登録M&A支援機関が3,362件に ― その4分の3は「担当者2人以下」という中身
中小企業庁が2026年9月24日、M&A支援機関登録制度の最新の登録状況を公表しました。登録は3,362件。同時に出た内訳を見ると、M&A業務の専従者が2人以下の事業者が2,515件で全体の約75%、2020年代に設立された事業者が2,077件で約62%を占めます。「登録されている」ことが何を保証し、何を保証しないのかを、数字から整理します。

中小企業庁は2026年9月24日、M&A支援機関登録制度の令和8年度公募(8月分)の結果を公表しました。今回新たに登録されたのは75件(法人59件、個人事業主16件)。これにより、登録されているFA・仲介業者は3,362件になりました。内訳は法人2,590件、個人事業主772件です。
数が増えたこと自体はニュースではありません。注目すべきは、同時に公表された内訳のほうです。
4分の3が「専従者2人以下」
公表資料の別紙2に、M&A支援業務の専従者数別の登録件数が載っています。
| 専従者数 | 登録件数 |
|---|---|
| 0人 | 828件 |
| 1〜2人 | 1,687件 |
| 3〜4人 | 429件 |
| 5〜9人 | 263件 |
| 10〜19人 | 102件 |
| 20〜49人 | 36件 |
| 50〜99人 | 9件 |
| 100〜499人 | 7件 |
| 500〜999人 | 1件 |
0人と1〜2人を合わせると2,515件。全体の約75%です。専従者が5人以上いる事業者は418件で、12%ほどしかありません。
専従者0人というのは、M&A支援を専業で行う人がいない、という意味です。税理士事務所や経営コンサルティング会社が、本業のかたわら登録している形が多いと見られます。これ自体は悪いことではありません。顧問税理士が自社のことを分かったうえで相手を探してくれるなら、むしろ良い選択になることもあります。
ただし、「登録されている」という一言から、専従チームを持つ会社と、専従者ゼロの事務所の区別はつきません。
6割が2020年代の設立
設立年代別の内訳も出ています。
| 設立年代 | 登録件数 |
|---|---|
| 2020年代 | 2,077件 |
| 2010年代 | 954件 |
| 2000年代 | 282件 |
| 1990年代 | 31件 |
| 1980年代 | 18件 |
2020年代に設立された事業者が2,077件で、全体の約62%。2010年代を含めると9割です。この制度が2021年8月に創設されたことを考えても、参入が直近に集中していることが分かります。
業種別では、M&A専門業者の仲介が794件で最多、次いで経営コンサルティング会社645件、税理士498件、FA360件、中小企業診断士319件、公認会計士283件と続きます。金融機関は信金・信組102件、地方銀行71件、都市銀行4件です。
登録が保証していること、していないこと
登録制度の要件は、中小M&Aガイドラインの遵守を宣言することなどです。試験も、実績の審査もありません。
そのうえで、登録には実質的な意味が2つあります。
1つ目。事業承継・M&A補助金の専門家活用枠で、FA・仲介費用が補助対象になるのは、登録業者に払ったものだけです。未登録の業者に依頼すると、同じ金額を払っても補助は受けられません。
2つ目。登録業者が不適切な対応をした場合、中小企業庁の情報提供受付窓口に通報でき、注意や登録取消しの対象になります。実際に2026年9月1日、営業停止の意思を伝えた相手に営業を再開した登録業者1社に厳重注意が出されています。未登録の業者には、この規律が及びません。
一方で、登録は腕前や実績を保証するものではありません。今回の数字が示しているのは、「登録業者3,362件」という母集団の中身が、専従チームを抱える大手から、専従者ゼロで登録だけしている事務所まで、相当に幅広いということです。
選ぶときに見る順番
登録の有無は、最低限の足切りとして使うものです。そこを通過したあとに見るべきものが3つあります。
1. 専従者が何人いるか。登録データベースでは、手数料体系も併せて公表されています。面談のときに「御社でM&A支援を専業でやっている方は何人ですか」「私の担当は何件を同時に見ますか」と聞いてください。答えにくそうなら、それが答えです。
2. 自社の業種・規模の実績。件数そのものより、譲渡価格が1億円前後の案件を扱っているかどうかです。大型案件が中心の会社に小さな案件を持ち込むと、最低報酬が効いて実効料率が跳ね上がります。
3. 書面で条件を出せるか。2024年8月の中小M&Aガイドライン第3版により、契約締結前の17項目の書面説明が求められています。登録業者はその遵守を宣言しているので、求めて出てこないなら、その時点で候補から外して構いません。
登録業者はM&A支援機関登録制度のデータベースで検索できます。手数料体系も載っているので、面談前に目を通しておくと話が早くなります。会社ごとの手数料の違いは主要仲介会社の手数料比較に、選び方の全体像はM&A仲介会社の選び方にまとめています。
数が増えているということは、選択肢が増えているということでもあります。3,362件の中から選べる立場にいる、と考えてください。
出典:中小企業庁「M&A支援機関登録制度に係る登録フィナンシャル・アドバイザー及び仲介業者の公表(令和8年度公募(8月分))について」