会社の売却相場
自社がいくらで売れるのか。算定方法と業種別の目安、価格を上げる打ち手。自社の価値がわかると、売るか続けるか、今か数年後かという判断がはじめて具体的になります。 まず算定の考え方を押さえ、そのうえで業種別の目安を見てください。
まず読む会社はいくらで売れるのか ― 中小企業の売却相場の考え方
中小企業のM&Aでは「時価純資産+営業利益の3〜5年分」が価格の出発点になります。なぜこの計算が使われるのか、何が価格を動かすのか、そして算定額と実際の成約額がなぜずれるのかを整理します。
価格はどう決まるか

1円で売られた会社 ― 値段がつかないとはどういうことか
取得価額が1円、あるいは無償。上場企業の適時開示にはそういう取引が22件あります。1,000万円以下で売られた会社まで広げると43件。会社は引き継がれ、従業員も残るのに、オーナーの手元には何も入らない。そうなる会社の共通点と、そこに至る前にできることを整理します。

個人オーナーと事業会社、どちらが高く売れているか
同じ規模の会社でも、売り手が創業オーナー個人か、親会社である事業会社かで値段の付き方が違います。上場企業の適時開示から、売り手の属性が分かる取引を集計しました。個人オーナーの中央値10.3倍に対し、事業会社は8.5倍。なぜ差が出るのかを整理します。

上場企業は中小企業をいくらで買っているか ― 開示873件の実額
相場の話は「営業利益の3〜5年分」といった目安で語られがちですが、実際に支払われた金額は適時開示に残っています。293社の上場企業が公表した買収1,797件のうち、取得価額が開示された873件を集計しました。営業利益の1倍未満から1万倍超、そして1円以下や無償まで。倍率がばらつく理由と、自社がどこに当てはまるかの読み方を整理します。

取得価額が非開示でも金額が読める ― 開示文の309件から逆算する
上場企業の買収開示では、取得価額が伏せられることのほうが多いものです。1,797件のうち924件が非開示。ただし開示義務のしくみを知っていると、そのうち309件は金額の上限や下限が読み取れます。読み方を実例で示します。

買い手は何を見ているのか ― 「取得の理由」1,797件を読んだ
適時開示には必ず「取得の理由」という項目があります。買い手が社外に向けて、なぜこの会社を買うのかを説明する文章です。1,797件分を読むと、挙げられる理由には明確な偏りがありました。顧客265件、ノウハウ194件、技術169件、人材159件。決算書に出てこないものばかりです。

EBITDA倍率で見る自社の相場 ― 業種別の目安
EBITDA倍率は、設備投資の重さが違う会社どうしを同じ物差しで比べるための指標です。計算方法、中小企業での目安レンジ、そして年買法との使い分けまでを実例で解説します。

年買法(年倍法)とは ― 中小M&Aで最も使われる価格算定
時価純資産に営業利益の数年分を足す「年買法」は、理論的に精緻ではないのに中小M&Aの現場で最も使われています。計算例、なぜ支持されるのか、そしてこの方法が抱える限界までを解説します。

売却価格を上げる5つの打ち手 ― 売る前1〜3年でやること
売却価格は交渉で決まる前に、売る前の準備でほぼ決まっています。社長依存の解消、顧客の分散、決算書の整備、簿外債務の処理、買い手を競わせる設計。効果が出るまでの時間順に整理します。

DCF法・類似会社比較法をオーナー社長向けに噛み砕く
DCF法は将来キャッシュフローの現在価値、類似会社比較法は上場企業の株価からの逆算です。中小M&Aで主役にならない理由と、それでも知っておくべき理由、提示されたときの検証ポイントを解説します。

のれん(営業権)はどう値付けされるのか
のれんは「時価純資産を超えて払われた金額」の結果であり、先に計算されるものではありません。何がのれんを生むのか、買い手側の会計処理がなぜ価格交渉に影響するのかを解説します。
自社の業種で見る相場

【業種別】美容室・エステサロンのM&A売却相場
美容業の倒産は2025年に120件で過去20年の最多、エステ・脱毛サロンも過去最多ペースです。一方で美容所の数は増え続けており、出店より買収を選ぶ会社が増えています。スタイリストが付いてくるかで価格が変わる理由、2023年12月に始まった美容所の「承継届」、エステ特有の前受金の扱いを整理します。

【業種別】人材派遣・人材紹介会社のM&A売却相場
労働者派遣業の倒産は2025年に16年ぶりの水準まで増える一方、大手・中堅は買収で規模を追っています。許可は事業譲渡では引き継げず、資産要件は買い手にも重くのしかかる。派遣と紹介で倍率が違う理由、登録者と取引先の見られ方、2026年10月の法改正まで整理します。

【業種別】介護事業(訪問・通所・施設)のM&A売却相場
介護事業者の倒産は2025年に176件と過去最多。人手不足と報酬改定で小規模事業者の体力が削られる一方、買い手は積極的です。指定の引き継ぎ、人員基準、加算の返還リスク、施設系の不動産の扱い。介護事業特有の評価軸を整理します。

【業種別】建設業のM&A売却相場と評価されるポイント
建設業のM&Aでは、決算書の数字より許可・経審の評点・技術者の在籍が価格を左右します。許可を空白期間なく引き継ぐ制度、評価される条件、そして売る前に整えておくべき点をまとめます。

【業種別】IT・システム開発会社のM&A売却相場
資産を持たないIT企業は時価純資産が薄く、価格のほぼ全額がのれんです。受託か自社サービスか、技術者数と単価、継続収益の比率。何が倍率を分けるのかを整理します。

【業種別】製造業のM&A売却相場と評価されるポイント
製造業は設備の実態と技術者の年齢構成が価格を左右します。設備の簿価と時価の乖離、取引先の集中、図面と品質認証の扱いなど、製造業特有の評価軸を整理しました。

【業種別】運送・物流業のM&A売却相場
2024年問題以降、運送業のM&Aは再編局面に入りました。許可の引き継ぎに必要な譲渡譲受認可、ドライバーの確保、荷主の構成、車両の実態。運送業特有の評価軸を整理します。

【業種別】調剤薬局・クリニックのM&A売却相場
2026年度の調剤報酬改定は「立地依存からの脱却」が柱で、門前型の小規模薬局には逆風です。地域支援体制加算の取得可否、集中率、薬剤師の確保が価格を分けます。クリニックの手法選択も整理します。

【業種別】飲食・小売業のM&A売却相場
飲食・小売は倍率が最も低い一方、立地と賃借権に価値が出ます。店舗別の採算、賃貸借契約の残存期間、造作譲渡という選択肢まで、規模別の現実的な出口を整理します。