事業承継・M&A補助金 十六次公募 ― 売り手も仲介手数料の1/2〜2/3が補助対象に
中小企業庁は2026年9月4日、事業承継・M&A補助金(十六次公募)の公募要領を公表しました。譲渡側が使える「売り手支援類型」では、FA・仲介手数料やデューデリジェンス費用の1/2〜2/3、最大800万円が補助されます。申請受付は10月2日から11月6日まで。GビズIDの取得に2〜3週間かかるため、検討中の方は先に準備が必要です。

中小企業庁は2026年9月4日、「事業承継・M&A補助金」十六次公募の公募要領を公表しました。申請受付は令和8年10月2日(金)から11月6日(金)17:00までの予定です。
この補助金は買い手だけのものではありません。会社を譲る側が、仲介会社やFAに払う手数料の補助を受けられます。
売り手が使えるのは「専門家活用枠」
4つの枠のうち、譲渡を検討している社長に関係するのは専門家活用枠です。この枠には売り手向けの類型が2つあります。
| 類型 | 補助率 | 補助上限 |
|---|---|---|
| 売り手支援類型 | 1/2(一定の要件で2/3) | 600万円(DD費用の申請で+200万円、最大800万円) |
| 小規模売り手支援類型 | 2/3 | 450万円 |
補助率が2/3に上がるのは、①赤字である、②物価高の影響などで営業利益率が低下している、のいずれかに該当する場合です。小規模売り手支援類型は、対象が小規模事業者等に限られます。
何に使えるのか
補助の対象になる費用は、M&Aを進めるうえで実際にかかるものです。
- ファイナンシャルアドバイザー(FA)・M&A仲介の費用
- デューデリジェンス(DD)費用
- セカンドオピニオン費用
- 表明保証保険料
売り手にとって金額が大きいのは、やはり仲介手数料です。M&A仲介の手数料の仕組みで書いたとおり、譲渡価格1億円規模でも数百万円単位になります。その半分から3分の2が戻るのは小さくありません。
使える仲介会社は限られる
重要な条件があります。FA・仲介費用が補助対象になるのは、M&A支援機関登録制度に登録されたFAまたは仲介業者に払ったものだけです。
登録していない業者に依頼すると、同じ金額を払っても補助は受けられません。仲介会社を選ぶ段階で確認しておく必要があります。登録業者の一覧は中小企業庁が公表しており、直近では2026年8月20日に令和8年度公募(7月分)の登録業者が公表されています。
この登録制度は中小M&Aガイドラインの遵守宣言が要件になっているため、手数料の17項目開示を守っているかどうかの目安にもなります。仲介会社の選び方はこちらにまとめています。
廃業を伴う場合は併用できる
事業の一部を譲渡して残りを畳む、というケースもあります。その場合は廃業・再チャレンジ枠を専門家活用枠と併用申請できます。
- 補助率 2/3、単独申請なら上限300万円
- 専門家活用枠との併用時も上限300万円(ただし小規模売り手支援類型との併用は150万円)
- 対象は廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、土壌汚染調査費など
畳むか売るかで迷っている段階の方は、会社を「たたむ」と「売る」の比較もあわせてご覧ください。
申請前に済ませておくこと
申請は電子申請(Jグランツ)のみで、紙の受付はありません。そしてJグランツを使うにはGビズIDプライムアカウントが必要です。
このアカウントの取得に2〜3週間かかります。11月6日の締切から逆算すると、10月中旬にはID取得の手続きを始めていないと間に合いません。M&Aを検討し始めた段階で、先に取っておくのが確実です。
補足
- 買い手向けには買い手支援類型(上限600〜800万円、一定要件で2,000万円)、M&A後の統合にはPMI推進枠、親族内・従業員承継には事業承継促進枠(上限800〜1,000万円)が用意されています
- 公募要領の詳細は事業承継・M&A補助金の公式サイトで確認できます
- 本補助金は公募が繰り返されており、今回で十六次です。今回に間に合わなくても、次回以降の公募を見込んで準備を進める選択肢もあります