「次も買いそうな会社」の見つけ方 ― 買い手293社の調べ方

相手探しは仲介会社の仕事です。ただ、任せきりにすると、候補リストが出てきた段階で初めて相手を知ることになります。
その場で「この会社はどうですか」と聞かれても、判断材料がありません。
上場企業が会社を買うと、適時開示で公表されます。つまり過去に何を買ったかは、全部こちらから調べられます。買い手名鑑は、それを293社ぶん整理したものです。
買い手の厚みを知る
名鑑に入っている293社のうち、
- 5件以上買っている会社 … 164社
- 10件以上買っている会社 … 33社
- 今年に入ってから買った会社 … 245社
- 最多の会社は40件
連続して買っている会社は「ロールアップ」と呼ばれる戦略を取っていて、次も買う前提で動いています。1件きりの会社より、話が進みやすく、進め方にも慣れています。
見るべき4点
相手候補が出てきたら、名鑑のその会社のページで次を確認してください。
1. 買っている規模
「対象の売上」に幅が出ています。自社がその範囲に入っているか。範囲から大きく外れていると、相手にとって扱いにくい案件になります。
小さすぎる場合は、その会社の子会社が買い手になることがあります。名鑑には親会社ではなく傘下の事業会社が取得主体になった案件が多数あります。
2. 買っている業種
同じ業種を繰り返し買っているか、周辺に広げているか。開示の「取得の理由」を読むと、何を取りに来ているのかが書かれています(買い手は何を見て値段を決めているか)。
3. 赤字の会社を買った実績があるか
名鑑の各社ページに「赤字でも買うか」の欄があります。自社の業績が厳しい場合、ここが合う相手を選ばないと時間を使うだけになります。
4. 買った会社をどう扱っているか
社名を残しているか、吸収合併しているか。口頭の約束より、過去の実績のほうが確かです(売った会社はその後どうなったか)。
金額の水準も読める
取得価額は924件が非開示ですが、そのうち309件は開示文の書き方から金額の上限や下限が読めます。
「直前期末の連結純資産額の15%を下回る金額」と書かれていれば、その会社の純資産から上限が逆算できます。相手がどのあたりの水準で動く会社なのかが、交渉前に分かります(非開示でも金額が読める理由)。
調べた結果をどう使うか
1. 仲介会社に候補を指定できる
「この業種をこの5年で8件買っているこの会社に当たってほしい」と言えるようになります。仲介会社の持っているネットワークと、こちらの希望を突き合わせられます。
2. トップ面談で聞くことが変わる
過去の案件を知ったうえで面談に臨むと、質問が具体的になります。「御社は買収後、社名を残されていますが、当社もそうお考えですか」と聞ける。相手の答えが過去の実績と食い違えば、そこが論点になります(トップ面談で何を話すか)。
3. 提示額が妥当か判断できる
同じ買い手が過去に似た規模の会社をいくらで買ったかが分かれば、提示された金額が相場の中でどのあたりかが見えます。
注意しておくこと
上場企業だけです。非上場の買い手や投資ファンドは開示義務がないので、この方法では調べられません。名鑑も上場企業に限っています。
開示されるのは一部です。金額の基準に満たない取引は開示義務がなく、公表されないものもあります。名鑑に載っている件数が、その会社の買収の全件とは限りません。
時価総額や株価との関係は見ないでください。買収1件と株価の動きに因果を示すことはできません。名鑑でもその種の数字は載せていません。
まとめ
- 上場企業の買収実績は全部公開されている。相手探しの前に調べられる
- 5件以上買っている会社が164社、10件以上が33社。連続して買う会社は次も買う
- 見るのは「規模」「業種」「赤字を買うか」「買収後の扱い」の4点
- 非開示でも309件は金額の水準が読める
業種と規模を教えていただければ、候補になりそうな会社を名鑑から絞ってお出しします。無料相談からお問い合わせください。
監修

長谷川 桂介ファミリーコンサルティング株式会社 代表取締役
経営者。1,800社の財務コンサル実績があるファミリーコンサルティング株式会社 代表取締役。これまで4社を経営。経営者として投資や節税、資金調達、事業売却(M&A)など法人の財務に関する実務を経験してきた企業財政のエキスパート。
YouTube「社長の資産防衛チャンネル」(登録者25万人)と「社長のM&Aチャンネル」を運営。M&Aチャンネルでは、実際に会社を譲渡したオーナー経営者へのインタビューを継続して行っている。
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