自分の業種を何件も買っている会社はどこか

監修 長谷川 桂介ファミリーコンサルティング株式会社 代表取締役公開 2026年9月26日
自分の業種を何件も買っている会社はどこか

相手探しで効率がいいのは、すでに同じ業種を何件も買っている会社に当たることです。

理由は3つあります。買う理由が最初から存在する。進め方に慣れている。そして次も買う前提で予算と体制を持っている。

買い手名鑑の293社のうち、5件以上買っているのが164社、10件以上が33社。最多は40件です。今年に入ってから買った会社が245社あります。

業種ごとに、繰り返し買っている会社がいる

名鑑から、件数の多い会社とその領域を挙げます。

件数 買い手 買っている領域
40件 SHIFT 受託開発・SES・システムインテグレーション/ERP導入・業務システム
28件 じげん 業界特化の人材紹介・人材派遣(建設、不動産、メーカー、運送、薬剤師、介護・保育、リゾート)/求人メディア・人材会社向けシステム
24件 ソフィアホールディングス 調剤薬局(1〜7店舗の地域薬局)/システム開発・PM支援
23件 オートバックスセブン カー用品小売(オートバックス加盟店)/自動車の車検・整備
20件 平和ホールディングス ゴルフ場の保有・運営
20件 Orchestra Holdings システム開発・SES・オフショア開発/Salesforce導入(クラウドインテグレーション)
19件 SYSホールディングス 受託ソフトウェア開発(業務系・基幹系)/組込み・制御系システム開発(車載ECU、搬送機など)
16件 ALSOK 警備(常駐警備・機械警備・警備輸送)/ビルメンテナンス・設備管理・清掃
16件 日創グループ 金属加工・精密切削・防音設備の製造/ゴム・ウレタン・プラスチック製品
16件 ERIホールディングス 建設コンサルタント・測量・補償コンサルタント/指定確認検査機関(建築確認・住宅性能評価)
16件 ジャパンエレベーターサービスHD エレベーター等の保守・保全(独立系メンテナンス会社)/小荷物昇降機の保守
16件 ワキタ 建設機械のレンタル・販売(地域の建機レンタル会社)/建設機械の製造・部品卸
15件 三井松島HD 生活消費財(ストロー、シュレッダー、ペットフード、住宅部材、綿棒)/感熱レジロール・記録紙の加工販売
15件 ヒビノ 業務用音響・映像・照明機器の販売施工/建築音響・防音工事、音響実験室
15件 クリエイト・レストランツ・ホールディングス ラーメン・つけ麺/和食レストラン・そば・うどん
15件 リビングプラットフォーム 高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)/有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅

同じ領域に複数の買い手がいる業種があります。システム開発にはSHIFT・Orchestra Holdings・SYSホールディングスがいて、建設コンサルタントにはERIホールディングスとメイホーホールディングスがいます。

買い手が複数いる業種は、売り手にとって条件がよくなります。比較ができるからです。

調べ方

買い手名鑑の一覧には、各社が「どの業種を買っているか」と「対象の売上の範囲」が出ています。自社の業種と規模で見ていってください。

もう一段細かく見るならデータで見る買い手名鑑に業種別の集計があります。件数・価格開示数・倍率の中央値が業種ごとに出ます。

各社のページでは、個々の取引の対象会社名・売上・営業利益・取得価額・出典リンクまで追えます。

「件数が多い=良い相手」ではない

ここは分けて考えてください。件数は話が進む確率の目安であって、条件の良さではありません。

名鑑で各社ページを見るときは、件数と一緒に次を確認します。

買収後に社名を残しているか。繰り返し買う会社ほど、グループ内で統合していく方針のことがあります。調剤薬局や介護では、一定期間後に吸収合併する例が目立ちます(売った会社はその後どうなったか)。

対象の規模が合っているか。20件買っていても、全部が売上10億円以上なら、売上2億円の会社は対象外かもしれません。逆に1店舗だけの会社や有限会社を買っている会社もあります。

価格の水準。金額が非開示でも、開示文から上限が読めることがあります(非開示でも金額が読める理由)。

1件きりの会社を外さない

293社のうち10件以上は33社だけです。残りは数件ずつです。

件数が少ない会社のほうが条件がよいことがあります。その1件が「どうしても欲しかった会社」である場合、価格にのれんが厚く乗ります。丸和運輸機関がM・Kロジに純資産の11倍を払った案件はこの形でした。

ロールアップ型の買い手は、価格の型を持っています。繰り返し買う会社ほど「うちはこの水準」という基準があり、そこから大きくは動きません。高値を狙うなら、むしろ数は少なくても自社を強く欲しがる相手を探すほうが合理的です。

繰り返し買う会社 1件きりの会社
話が進む確率 高い 低い
進め方 慣れている 手探りのことがある
価格 型にはまりやすい 上にも下にも振れる
買収後 統合されることがある 読みにくい

使い方

1. 仲介会社に候補を指定する

「この業種をこの5年で複数件買っているこの会社に当ててほしい」と言えます。仲介会社のネットワークと希望を突き合わせられます。

2. 複数の買い手がいる業種なら、比較できる形にする

同じ領域に3社いるなら、1社に絞らず並行して話を進める設計にします。仲介会社の選び方で、複数打診を前提にした契約になっているかを確認してください。

3. 自分の業種に買い手がいない場合

名鑑に該当がない業種もあります。その場合は、隣接する業種を買っている会社を見ます。開示の「取得の理由」には「周辺領域への拡大」「新規参入」と書かれた案件もあります。

まとめ

  • 5件以上買っている会社が164社、10件以上が33社。今年買った会社が245社
  • 同じ領域に複数の買い手がいる業種は、売り手の条件がよくなる
  • ただし件数が多い=良い相手ではない。価格は型にはまりやすい
  • 高値を狙うなら、数より「自社を強く欲しがる相手」

自社の業種で候補になる会社を知りたい方は、無料相談からお問い合わせください。名鑑から絞ってお出しします。

監修

長谷川 桂介

長谷川 桂介ファミリーコンサルティング株式会社 代表取締役

経営者。1,800社の財務コンサル実績があるファミリーコンサルティング株式会社 代表取締役。これまで4社を経営。経営者として投資や節税、資金調達、事業売却(M&A)など法人の財務に関する実務を経験してきた企業財政のエキスパート。

YouTube「社長の資産防衛チャンネル」(登録者25万人)と「社長のM&Aチャンネル」を運営。M&Aチャンネルでは、実際に会社を譲渡したオーナー経営者へのインタビューを継続して行っている。

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