ヒビノ株式会社のM&A実績
「さまざまな分野のナンバーワン、オンリーワン企業が集まり連携する」という「ハニカム型経営」を掲げ、音響・映像の専門会社を10年以上買い続けている会社です。売り手は創業者個人から、日本板硝子・日東紡・JVCケンウッドのような上場企業の子会社、投資ファンドまで幅があります。取得価額を開示する案件が多く、売上1億3,000万円・取得額1,218万円の会社から、売上50億円規模の事業まで買っています。
ヒビノ株式会社が公表した適時開示15件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都港区
- 設立
- 1964年11月
- 事業内容
- 業務用音響・映像機器の販売施工、スタジオやホールの建築音響工事、コンサート・イベントの音響・大型映像サービスを手がける「音と映像」の専門グループ
- 売上高
- 676億300万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 50億6,600万円
- 純資産
- 149億9,700万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 業務用音響・映像・照明機器の販売施工/建築音響・防音工事、音響実験室/イベント用映像・音響機器のレンタル・オペレート/映画館・ホール向け音響映像設備/映像制作(CM・ウェブ動画)/IoT機器の開発
- 対象の規模
- 対象の売上 1.3億円〜49.8億円
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)が中心。持分法適用会社の株式を買い増して子会社にする形、子会社(日本音響エンジニアリング、ヒビノメディアテクニカル)が買い手になる孫会社化、相手先が会社分割で切り出した事業の新会社を買う形も使う。70〜90%だけ取得する案件もある
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社は法人として残し、数年後に社名に「ヒビノ」を付けるのが基本です。エレクトリはヒビノエレクトリ、サンオーはヒビノサンオー、テクノハウスはヒビノテクノスになっています。一方で、2026年10月には2014年に買ったコバレント販売(のちのヒビノイマジニアリング)を同じ業態のグループ会社に吸収合併させており、10年以上たってから統合されることもあります。創業社長は、引き渡し日に顧問へ退きヒビノ側の役員が社長を兼ねる形(アセント)もあります。
- 取得価額を開示する会社です。国内15件のうち12件で金額が出ています。非開示は相手先の意向によるもので、その場合も「DCF方式をベースに第三者機関の算定に基づき決定」と算定方法は書かれています
- アドバイザリー費用も別に開示しています。サンオー(取得額4,500万円)では費用が2,500万円と、取得額の半分を超えていました。小さな案件ほど仲介・助言の費用が重くなることが数字で分かります
- 純資産を下回る価格の案件があります。メディアニクス(純資産3,900万円に対し1,218万円)、コバレント販売(同8億5,700万円に対し4億5,000万円)、エレクトリ(同2億7,000万円に対し1億8,000万円)です。営業利益が細っている会社では、純資産がそのまま値段になるとは限りません
- 過去に赤字や債務超過を経験した会社も買っています。Cerevoは2年前まで純資産マイナス10億円超、日本板硝子環境アメニテイは3期前に営業損失5億7,200万円、サンオーは2期連続の営業赤字でした。いずれも買収直前の期は営業黒字に戻していました
- 海外ではシンガポール、オーストラリア、韓国、米国の会社も買っていますが、この名鑑では国内案件だけを載せています
買収の履歴15件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
ソノーラテクノロジー株式会社
組立式無響室・防音室など音響実験設備・防音設備の設計・施工、音響製品の開発・製造/東京都世田谷区/2003年8月設立
- 取得価額
- 7億2,200万円
- 対象の売上
- 7億4,600万円
- 対象の営業利益
- 1億1,800万円
- 対象の純資産
- 2億2,100万円
決算期:2025年6月期/譲渡前の株主:WMグロース4号投資事業有限責任組合(投資ファンド)90.1%、個人株主2名9.9%/アドバイザリー費用等(概算)35百万円を加えた合計は757百万円
買収理由:築造式の音響実験室に組立式を加えた一体提案、騒音対策分野の売上拡大と製品開発、海外展開
売上7億4,600万円・営業利益1億1,800万円・純資産2億2,100万円。売上は5億3,800万円→7億6,900万円→7億4,600万円、営業利益は6,900万円→9,600万円→1億1,800万円と伸びていました。90.1%で7億2,200万円なので、営業利益の約6.8倍、純資産の約3.6倍の水準です。売り手は中小企業向けの成長投資ファンドで、個人株主2名の9.9%は取得の対象になっていません。組立式無響室で国内トップクラスという「型」になった製品を持っていたことが評価されています。
株式会社フォトロン企画(株式会社フォトロンの映像システム事業本部の事業を吸収分割で承継)
放送局・ポストプロダクション向け業務用映像機器の販売、ワークフロー設計、システム構築、保守/東京都千代田区/2026年3月(承継のための新設会社)設立
- 取得価額
- 6億1,900万円
- 対象の売上
- 49億8,200万円
- 対象の営業利益
- 1億7,700万円
- 対象の純資産
- 2億2,200万円
決算期:2025年3月期(承継事業)/譲渡前の株主:株式会社フォトロン(株式会社IMAGICA GROUPの100%子会社)/アドバイザリー費用等(概算)8百万円を加えた合計は627百万円/フォトロン企画に承継される事業の2025年3月期の数値(純資産は2025年3月31日の貸借対照表を基準に算出)。同時に取得したメディア・ソリューションズは含まない
買収理由:映像機器販売を音響機器販売に並ぶ規模に拡大するため、放送・映像制作向けの商品群とワークフローの知見を取り込む
承継事業は売上49億8,200万円・営業利益1億7,700万円・純資産2億2,200万円。この会社の国内案件でいちばん売上の大きい対象ですが、取得額は6億1,900万円で、営業利益の約3.5倍です。売上に対して利益が薄い販売事業だったことが価格に表れています。一緒に移ったメディア・ソリューションズは売上2億6,000万円で、営業損益は△3,100万円→△1,300万円→100万円と赤字から戻したところでした。会社全体ではなく1つの事業本部だけを、新会社に移してから売るという形の実例です。
2026年7月1日に取得が完了し、同日付で「ヒビノプロビジョン株式会社」に商号変更、本店をヒビノ本社と同じ港区港南に移しました。代表取締役はフォトロンで同事業本部の本部長だった竹内清定氏です。メディア・ソリューションズも社名のままグループ会社一覧に載っています。
確認元:(開示事項の経過)株式会社フォトロン企画の株式の取得(子会社化)完了、当該子会社の商号変更、本店移転及び代表取締役の異動に関するお知らせ
出典:株式会社フォトロンの一部事業を吸収分割により承継する株式会社フォトロン企画の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
株式会社アセント
スポーツ施設・自治体向け業務用音響・映像・照明機器の販売・システム設計・施工・保守/東京都港区/1988年8月設立
- 取得価額
- 5億円
- 対象の売上
- 23億6,300万円
- 対象の営業利益
- 1億1,900万円
- 対象の純資産
- 2億2,400万円
決算期:2025年5月期/譲渡前の株主:個人1名(木越 健二)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)40百万円を加えた合計は540百万円
買収理由:スタジアム・アリーナ案件の供給体制強化、スポーツ施設向け知見を加えた統合提案、取扱商品の相互活用
売上23億6,300万円・営業利益1億1,900万円・純資産2億2,400万円。売上は15億7,000万円→17億8,400万円→23億6,300万円、営業利益は2,200万円→3,700万円→1億1,900万円と、直前期に利益が3倍になったタイミングでの譲渡です。取得額5億円は営業利益の約4.2倍、純資産の約2.2倍。社長が株式を100%持つオーナー企業で、プロバスケットボールのアリーナ案件という伸びている市場の実績が評価されています。
2026年4月1日に取得が完了し、社名のまま子会社になりました。同日付で創業者の木越健二氏は代表取締役社長を退いて顧問となり、ヒビノの執行役員(川崎正美氏)が社長を兼務しています。
確認元:(開示事項の経過)株式会社アセントの株式の取得(連結子会社化)完了及び当該子会社の代表取締役の異動に関するお知らせ
CHホールディングス株式会社(傘下に株式会社エルロイなど映像制作会社9社)
テレビCM・ウェブ動画・ミュージックビデオなどの映像制作/東京都渋谷区/2014年9月(中核のエルロイは2012年6月)設立
- 取得価額
- 8億500万円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:各社の直近期(2023年1月期〜2023年11月期)/譲渡前の株主:個人1名(和田 篤司)が持株会社と9社すべてを100%保有/アドバイザリー費用等(概算)59百万円を加えた合計は864百万円/開示は持株会社と9社それぞれの数値のみ。持株会社単体は2023年7月期で売上68百万円・営業利益10百万円・純資産27百万円。中核のエルロイは2023年5月期で売上979百万円・営業利益9百万円・純資産200百万円
買収理由:イベントの大型映像サービスに映像コンテンツ制作を加え、バーチャルプロダクションを広告映像制作に広げる
創業者が1人で持っていた映像制作会社10社を、持株会社の下にまとめてから一括で売っています。各社の直近期を編集部で単純に足すと、売上約17億5,000万円・営業利益約8,200万円・純資産約3億6,400万円です。中核のエルロイは売上9億7,900万円に対し営業利益900万円と薄く、前々期は営業赤字でした。利益が小さくても、約80名のクリエイター集団という人材そのものに8億円台の値がついた案件です。取得は70%で、残り30%は今回の対象外です。
CHホールディングスとエルロイ、RECO、massive、CHAMELEON、サザビー、ボールドタイプ、カナンはグループ会社一覧に社名のまま載っています。傘下のデランシーは2026年3月9日開示の「連結子会社である株式会社デランシーの商号変更及び代表取締役の異動に関するお知らせ」で商号を変えています。
株式会社エヌジーシー
放送局向け映像編集システム、LEDディスプレイなど大型・中型映像表示システムの販売・設計・施工/東京都江東区/1985年7月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 22億6,000万円
- 対象の営業利益
- 7,300万円
- 対象の純資産
- 6億9,600万円
決算期:2023年3月期/譲渡前の株主:日商エレクトロニクス株式会社(双日株式会社の100%子会社)が100%保有/相手先の意向により非開示。DCF方式をベースに第三者の株式価値算定結果に基づき協議して決定
買収理由:取扱商品と技術領域が重ならない相互補完。LEDディスプレイ市場の拡大に備えた受注体制の強化
売上22億6,000万円・営業利益7,300万円・純資産6億9,600万円。売上は22億200万円→17億6,000万円→22億6,000万円と一度落ちて戻し、営業利益は9,400万円→200万円→7,300万円と振れていました。売り手は大手商社グループのIT会社で、映像事業の子会社を映像・音響の専業グループに渡した形です。
2025年6月10日開示の「連結子会社である株式会社エヌジーシーの商号変更に関するお知らせ」で商号を変更しています。グループ会社一覧の「ヒビノグラフィックス株式会社」が新社名と推定されます(同社サイトのSNSアカウント名に「ngc」が残っていることからの推定で、新旧社名の対応は開示本文では確認できていません)。
株式会社Cerevo
ライブ配信機器などIoT関連製品の開発・製造・販売、他社製品の受託開発/東京都千代田区/2007年4月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 5億円
- 対象の営業利益
- 900万円
- 対象の純資産
- 4,700万円
決算期:2022年3月期/譲渡前の株主:個人(大沼 慶祐)87.2%、ほか法人及び個人12.8%/株式譲渡契約の秘密保持義務と相手先の意向により非開示。DCF方式をベースに第三者機関の算定結果に基づき決定
買収理由:IoT技術とハードウェア・ソフトウェア開発力を取り込み、新しいものづくりを確立する
売上5億円・営業利益900万円・純資産4,700万円。2年前は純資産マイナス8億2,700万円、前年はマイナス10億7,600万円の債務超過でした。2021年に社長がMBOで会社を買い取った際に関係者が債権放棄に合意し、債務免除益を計上して債務超過を解消しています。財務を整理してから1年半で上場企業の子会社になった例です。
ヒビノのグループ会社一覧に載っていません。Cerevo社の2026年3月12日付のお知らせ「Cerevo、MBO実施のお知らせ」によると、2026年4月1日に同社取締役がヒビノ保有の全株式を取得するMBOを行い、ヒビノグループを離れています(ヒビノ側の開示は確認できていません)。
株式会社シグマ映像
展示会・企業イベント向け映像・音響システムの企画立案、レンタル、オペレート/神奈川県横浜市/1990年3月設立
- 取得価額
- 6億9,000万円
- 対象の売上
- 8億9,000万円
- 対象の営業利益
- 1億1,900万円
- 対象の純資産
- 6億6,400万円
決算期:2019年1月期/譲渡前の株主:個人1名(日野 安雄)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)5百万円を加えた合計は695百万円。独立した第三者の評価額をもとに協議して決定
買収理由:MICE市場の拡大に備えた技術者の獲得と大型映像サービスの対応力強化
売上8億9,000万円・営業利益1億1,900万円・純資産6億6,400万円。売上は6億7,900万円→7億3,300万円→8億9,000万円、営業利益は4,600万円→6,200万円→1億1,900万円と伸びていました。取得額6億9,000万円は純資産とほぼ同じ、営業利益の約5.8倍です。毎期配当を出しながら純資産を積み上げてきた会社で、創業30年のオーナー社長が業績のピークで売った例です。
2024年3月14日開示の「連結子会社である株式会社シグマ映像の商号変更に関するお知らせ」で商号を変更しています。グループ会社一覧の「ヒビノシグマライズ株式会社」が同じ所在地(横浜市磯子区)にあり、新社名と推定されます。
株式会社サンオー
工場・ビル・商業施設の防音設備工事、防音パネル・サイレンサーなど防音製品の設計・製造/東京都台東区/1989年5月設立
- 取得価額
- 4,500万円
- 対象の売上
- 2億4,600万円
- 対象の営業利益
- 2,500万円
- 対象の純資産
- 1,900万円
決算期:2018年4月期/譲渡前の株主:個人2名(奥澤 敏雄、奥澤 和子)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)25百万円を加えた合計は70百万円。独立した第三者の評価額をもとに協議して決定
買収理由:騒音対策事業の育成。防音製品と製造機能の活用、新製品の共同開発
売上2億4,600万円・営業利益2,500万円・純資産1,900万円。営業損益は△400万円→△700万円→2,500万円と、2期続けて赤字の後に黒字に戻した年の譲渡です。取得額4,500万円は営業利益の約1.8倍。買い手側のアドバイザリー費用が2,500万円と取得額の半分を超えており、小さな案件でも仲介・助言の費用は一定額かかることが分かります。空調設備の消音という狭い分野の技術と大手設備会社の取引先が評価されました。
2026年3月16日開示の「連結子会社である株式会社サンオーの商号変更に関するお知らせ」で商号を変更しています。グループ会社一覧の「ヒビノサンオー株式会社」が新社名と推定されます。
日本板硝子環境アメニテイ株式会社
ホール・スタジオの建築音響、高速道路の防音対策、防音・防振製品の開発・製造/東京都港区/1988年2月設立
- 取得価額
- 19億5,000万円
- 対象の売上
- 46億3,100万円
- 対象の営業利益
- 1億8,500万円
- 対象の純資産
- 9億1,700万円
決算期:2018年3月期/譲渡前の株主:日本板硝子株式会社(上場企業)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)7百万円を加えた合計は1,957百万円。独立した第三者の評価額をもとに協議して決定
買収理由:建築設計段階からの関与と輸入ブランド商品の供給拡大。同業の日本音響エンジニアリングとの技術融合
売上46億3,100万円・営業利益1億8,500万円・純資産9億1,700万円。この会社の国内案件で最も高い19億5,000万円で、営業利益の約10.5倍、純資産の約2.1倍です。3期前は営業損失5億7,200万円でしたが、4,200万円→1億8,500万円と立て直した後の譲渡でした。一度大きな赤字を出しても、立て直してから売れば高い倍率がつくことを示しています。
2019年5月31日開示の「連結子会社である日本板硝子環境アメニテイ株式会社の商号変更に関するお知らせ」で商号を変更しています。グループ会社一覧の「日本環境アメニティ株式会社」が同じ所在地(港区高輪3-5-23)にあり、新社名と推定されます。
株式会社テクノハウス
業務用映像・音響機器(Barco、Evertzなど)の輸入販売、システム設計・施工・保守/東京都中央区/1988年4月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 11億4,500万円
- 対象の営業利益
- 2,600万円
- 対象の純資産
- 1億9,400万円
決算期:2018年3月期/譲渡前の株主:平凡商事株式会社51.00%ほか法人株主1名/相手先の意向を踏まえ守秘義務契約を締結し非開示。DCF方式をベースに第三者機関の価格算定に基づき決定
買収理由:映像の専門技術者と取扱ブランドを取り込み、音響・映像・ネットワークの一体提案力を強化
売上11億4,500万円・営業利益2,600万円・純資産1億9,400万円。売り手は紙の卸売会社で、異業種の会社が持っていた映像機器の会社を同業の上場企業が引き取った形です。もともとヒビノのコンサート事業がこの会社の機材を使っていた取引先同士で、仕入先・販売先が買い手になる典型的なパターンです。
グループ会社一覧に「ヒビノテクノス株式会社」として載っています。同社サイトの2026年8月3日付のお知らせで、株式会社テクノハウスが2026年10月1日にヒビノテクノス株式会社へ社名変更したことを確認しました。
株式会社JVCケンウッド・アークス
全国の自治体ホール・文化施設・体育施設向け業務用音響・映像機器の販売・施工/東京都港区/1960年3月設立
- 取得価額
- 6億5,100万円
- 対象の売上
- 32億3,800万円
- 対象の営業利益
- 1億3,700万円
- 対象の純資産
- 2億6,300万円
決算期:2016年3月期/譲渡前の株主:株式会社JVCケンウッド(上場企業)59.26%、ヒビノ35.00%、株式会社三社電機製作所5.71%、個人0.03%/追加取得分(59.26%)の金額。アドバイザリー費用等(概算)2百万円を加えた合計は654百万円。独立した第三者の評価額をもとに協議して決定
買収理由:ホール音響市場の強化。エンジニアリング業務を行うグループ各社との連携
売上32億3,800万円・営業利益1億3,700万円・純資産2億6,300万円。まず35%を持って6年間一緒に仕事をし、それから過半を買い増すという段階的な買い方です。59.26%で6億5,100万円は、利益の持分換算で約8倍。毎期の利益をほぼ全額配当していたため純資産は小さく、純資産の約4倍の値がついています。この会社はその後ヒビノスペーステックとなり、2025年3月期には売上54億4,000万円・営業利益5億4,900万円まで伸びています(2026年5月22日開示「連結子会社間の合併に関するお知らせ」)。
2017年6月9日開示「連結子会社である株式会社JVCケンウッド・アークスの商号の変更に関するお知らせ」でヒビノアークスに、2020年8月7日開示「連結子会社であるヒビノアークス株式会社の商号変更に関するお知らせ」で商号を変え、現在はヒビノスペーステック株式会社です(2026年5月22日開示の合併のお知らせで、設立1960年3月・資本金3,500万円・発行済株式7万株と一致)。2026年10月1日付でグループのヒビノイマジニアリングを吸収合併する存続会社になっています。
株式会社エレクトリ
業務用音響・映像・制御機器、家庭用ハイエンドオーディオの輸入販売(複数ブランドの輸入総代理店)/東京都豊島区/1964年12月設立
- 取得価額
- 1億8,000万円
- 対象の売上
- 16億1,200万円
- 対象の営業利益
- 6,200万円
- 対象の純資産
- 2億7,000万円
決算期:2015年5月期/譲渡前の株主:個人5名(平川 隆文、小原 尤子、山本 清彦ほか2名)。譲渡日までに3名が他2名の株式を集めてから譲渡/アドバイザリー費用等(概算)5百万円を加えた合計は185百万円。独立した第三者の評価額をもとに協議して決定
買収理由:取扱商品の幅を広げ、AV設備市場での提案力を強化
売上16億1,200万円・営業利益6,200万円・純資産2億7,000万円。取得額1億8,000万円は純資産の約3分の2で、純資産を下回る価格です。営業利益は1億1,600万円→1億8,000万円→6,200万円と直前期に大きく落ちていました。利益が落ちた年に売ると、純資産より安くなることもあるという例です。また5名に分かれていた株式を、譲渡前に3名へまとめてから売っています。
グループ会社一覧に「ヒビノエレクトリ株式会社」が載っており、同社サイトのドメインも「electori」のままのため、エレクトリが社名変更したものと推定されます。商号変更の開示は確認できていません。
日東紡音響エンジニアリング株式会社
放送局・スタジオ・ホールの建築音響工事の設計・請負、音のコンサルティング/東京都墨田区/1974年4月設立
- 取得価額
- 8億円
- 対象の売上
- 36億400万円
- 対象の営業利益
- 1億7,600万円
- 対象の純資産
- 8億円
決算期:2014年3月期/譲渡前の株主:日東紡績株式会社(上場企業)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)7百万円を加えた合計は807百万円。独立した第三者の評価額をもとに協議して決定
買収理由:建築設計段階から関与し、内装設計・施工・システム販売を一気通貫で行う体制の確立
売上36億400万円・営業利益1億7,600万円・純資産8億円。取得額8億円は純資産とぴったり同じ、営業利益の約4.5倍です。売上は51億8,200万円→36億6,500万円→36億400万円と縮んでいた局面でした。売り手は大手繊維メーカーの日東紡績です。この会社はその後、自らサンオーを買う側に回っています(2019年)。
日本音響エンジニアリング株式会社に社名を変えています。2019年のサンオー取得の開示で、同社が設立1974年4月17日・所在地「墨田区緑一丁目21番10号 BR両国2ビル」と、日東紡音響エンジニアリングと同じ内容で記載されています。
株式会社メディアニクス
関西の医学系学会などでの映像・音響機器のレンタル/大阪府大阪市/1986年12月設立
- 取得価額
- 1,218万円
- 対象の売上
- 1億3,000万円
- 対象の営業利益
- 100万円
- 対象の純資産
- 3,900万円
決算期:2014年6月期/譲渡前の株主:個人1名(川西 卓)が100%保有/取得価額は12,180千円。独立した第三者の評価額をもとに協議して決定
買収理由:手薄だった関西エリアでのシェア拡大
売上1億3,000万円・営業利益100万円・純資産3,900万円。この会社の国内案件で最小、取得額は1,218万円で純資産の約3分の1です。営業利益は500万円→400万円→100万円と細っていました。それでも28年続けた医学系学会の顧客基盤があれば、関西に拠点がほしい同業の上場企業グループが引き受けます。
コバレント販売株式会社
映画館・ホール向け映像・音響装置の販売、システム設計・施工・保守/東京都中央区/1950年9月設立
- 取得価額
- 4億5,000万円
- 対象の売上
- 10億5,900万円
- 対象の営業利益
- 9,400万円
- 対象の純資産
- 8億5,700万円
決算期:2013年3月期/譲渡前の株主:コバレントマテリアル株式会社(カーライル、ユニゾン・キャピタルの投資ファンドが主要株主)が100%保有/独立した第三者の評価額をもとに協議して決定
買収理由:次世代シネマ音響の普及に向け、興行会社との顧客基盤を活用してシネマ市場を強化
売上10億5,900万円・営業利益9,400万円・純資産8億5,700万円。取得額4億5,000万円は純資産の約半分です。デジタル上映機への入れ替え需要が一巡し、売上は58億1,200万円(一部事業の譲渡前)→14億2,800万円→10億5,900万円と縮んでいました。需要の山を越えた後は、厚い純資産があっても価格は営業利益の約4.8倍で決まっています。
2014年5月27日開示の「連結子会社であるコバレント販売株式会社の商号の変更に関するお知らせ」で商号を変え、ヒビノイマジニアリング株式会社となっていました(2026年5月22日開示の合併のお知らせで、設立1950年9月・資本金8,000万円・発行済株式160万株と一致)。同開示により、2026年10月1日(予定)付でヒビノスペーステックに吸収合併され、法人は消滅しています。合併完了の開示は確認できていません。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された12件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- ソノーラテクノロジー株式会社7億2,200万円(売上の0.97倍・営業利益の6.1倍)
- 株式会社フォトロン企画(株式会社フォトロンの映像システム事業本部の事業を吸収分割で承継)6億1,900万円(売上の0.12倍・営業利益の3.5倍)
- 株式会社アセント5億円(売上の0.21倍・営業利益の4.2倍)
- CHホールディングス株式会社(傘下に株式会社エルロイなど映像制作会社9社)8億500万円
- 株式会社シグマ映像6億9,000万円(売上の0.78倍・営業利益の5.8倍)
- 株式会社サンオー4,500万円(売上の0.18倍・営業利益の1.8倍)
- 日本板硝子環境アメニテイ株式会社19億5,000万円(売上の0.42倍・営業利益の10.5倍)
- 株式会社JVCケンウッド・アークス6億5,100万円(売上の0.20倍・営業利益の4.8倍)
- 株式会社エレクトリ1億8,000万円(売上の0.11倍・営業利益の2.9倍)
- 日東紡音響エンジニアリング株式会社8億円(売上の0.22倍・営業利益の4.5倍)
- 株式会社メディアニクス1,218万円(売上の0.09倍・営業利益の12.2倍)
- コバレント販売株式会社4億5,000万円(売上の0.42倍・営業利益の4.8倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
関連する記事
本ページはヒビノ株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日