株式会社コメ兵ホールディングスのM&A実績
ブランドリユースの最大手で、中期経営計画「Beyond the 80th year milestone」の成長戦略にM&Aによる事業拡大を掲げています。買っているのは中古ブランド品・宝飾品・時計の買取販売会社、法人向けオークション、リユースのアプリやECといった同じ業界の周辺です。売り手は創業家の個人から、本業と離れた子会社を手放す事業会社まで幅があり、営業赤字や債務超過の会社も引き受けています。
株式会社コメ兵ホールディングスが公表した適時開示8件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月13日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 愛知県名古屋市
- 設立
- ―
- 事業内容
- 中古ブランド品・宝石・時計などの買取と販売(ブランドリユース)を軸に、法人向けオークション、タイヤ・ホイール事業などを営む持株会社
- 売上高
- 2,217億700万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 92億8,800万円
- 純資産
- 378億2,700万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 中古ブランド品・宝飾品・時計の買取販売/業者向けオークション・卸売/リユースのアプリ・EC/アンティーク時計・ジュエリーの販売/自動車部品(タイヤ・ホイール関連)
- 対象の規模
- 対象の売上 1.1億円〜202億円
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)が中心。子会社のコメ兵やK-ブランドオフが買い手になる「孫会社化」、経営難の会社から事業だけを吸収分割で引き取るスポンサー型も使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 同じ仕事をする会社は、既存の子会社に吸収合併させる例があります(RECLO→K-ブランドオフ、Rs-JAPAN→コメ兵。どちらも取得の開示の時点で合併予定を公表)。一方、アールケイエンタープライズやガレージバンクのように、店舗網やアプリといった独自の基盤を持つ会社は、合併の予定が示されていません。
- 2024年以降は取得価額を開示しています。アールケイエンタープライズ42億円、ガレージバンク16億円、RECLO 3億5,876万円、Rs-JAPAN 1億9,000万円。2017〜2022年の案件は「守秘義務契約」を理由に非開示でした
- Rs-JAPANでは「事業価値」も開示しています。取得価額6億9,000万円に有利子負債を足し現預金を引いた17億200万円で、さらに譲渡前の現金配当5億円分が価額から差し引かれました。値段の決まり方が読める珍しい開示です
- 赤字・債務超過でも買っています。ガレージバンク(3期連続の営業赤字)、RECLO(営業損失3億200万円)、セルビー(純資産マイナス4,100万円)、ブランドオフ(純資産マイナス29億9,800万円)
- 対象の大半はリユース業界の同業です。業界の中で事業を売るなら、まず候補に挙がる会社のひとつです
買収の履歴8件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
ガレージバンク株式会社
持ち物の査定から現金化までをスマートフォンで完結させるアプリ「cashari / カシャリ」の開発・運営(リースバックを含む)/東京都港区/2020年1月設立
- 取得価額
- 16億円
- 対象の売上
- 10億5,300万円
- 対象の営業利益
- △2億700万円
- 対象の純資産
- 4,200万円
決算期:2025年12月期(単体)/譲渡前の株主:個人を含む複数の株主(守秘義務により非開示)/アドバイザリー費用等(概算)80百万円を加えた合計は約1,680百万円
買収理由:アプリの顧客基盤(40万人超)と画像査定・与信の技術を取り込み、仕入れと流通サイクルを強化する
3期連続の営業赤字(1億4,500万円→2億8,600万円→2億700万円の損失)で、純資産は1億8,900万円から4,200万円まで減っていました。それでも価格は16億円です。純資産の約38倍、売上10億5,300万円の約1.5倍にあたります。売上は1億4,400万円→4億5,700万円→10億5,300万円と2年で7倍に伸びていました。利益が出ていなくても、顧客データと技術、伸びている売上があれば、純資産とはかけ離れた値段がつく例です。
2026年7月29日に株式取得が完了し、子会社になりました。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。
株式会社Rs-JAPAN
ブランド品の買取・卸販売、業者専用オークション「Rs-Auction」、催事/神奈川県横浜市/1960年6月設立
- 取得価額
- 1億9,000万円
- 対象の売上
- 134億7,600万円
- 対象の営業利益
- △4,400万円
- 対象の純資産
- 7億7,000万円
決算期:2024年2月期/譲渡前の株主:株式会社カジ・コーポレーション(カラオケ機器の賃貸・販売などを営む事業会社)が100%保有/当初の取得価額は690百万円。譲渡前に対象会社が現金配当を実施したため、2024年11月1日付で190百万円に変更(算定の前提は変わらず)。事業価値(取得価額+有利子負債−現預金)は1,702百万円と開示
買収理由:法人オークションの拡大と、仕入から販売までのバリューチェーンの一体化
売上134億7,600万円、営業損益は3億8,800万円→2億2,200万円→4,400万円の損失と悪化していました(2025年2月期の予想は1億9,300万円の黒字)。譲渡の直前に5億円の配当を出し、その分だけ価格が6億9,000万円から1億9,000万円に下がっています。事業価値17億200万円という前提は変わっていないので、売り手から見れば、配当で先に受け取るか株の代金で受け取るかの違いです。売り手は個人ではなく事業会社で、本業(カラオケ機器)と離れたリユースの子会社を手放した形でした。
取得の開示で、コメ兵を存続会社、Rs-JAPANを消滅会社とする吸収合併を2025年2月1日に行う予定と公表されています。合併完了の開示そのものは確認できていません。
株式会社アールケイエンタープライズ
ブランドリユース・質屋「ロデオドライブ」(国内8店舗・香港1店舗)、法人向け「RKオークション」、時計修理工房/神奈川県横浜市/1954年4月設立
- 取得価額
- 42億円
- 対象の売上
- 202億4,200万円
- 対象の営業利益
- 4億8,100万円
- 対象の純資産
- 26億900万円
決算期:2024年3月期/譲渡前の株主:原 幸雄ほか6名(個人)で100%/取得価額4,200,000,192円
買収理由:神奈川エリアの買取・小売、法人オークション、時計商材の相場対応を強化する
創業70年の老舗。売上202億4,200万円・営業利益4億8,100万円・純資産26億900万円に対し、価格は42億円。純資産の約1.6倍、営業利益の約8.7倍です。営業利益は7億2,900万円→7億500万円→4億8,100万円と下がっている局面での譲渡でした。利益が落ち始めていても、店舗網・オークション・修理工房・経験のある人材がそろっていれば、純資産を上回る値段で売れています。売り手は社長を含む7名の個人でした。
株式会社RECLO
ハイブランド専門のリセールサイト「RECLO」の運営(中国の大手EC「Tmall」での越境ECに強み)/東京都品川区/2021年7月設立
- 取得価額
- 3億5,900万円
- 対象の売上
- 42億7,600万円
- 対象の営業利益
- △3億200万円
- 対象の純資産
- 9億600万円
決算期:2023年3月期/譲渡前の株主:株式会社ULTRA WIDE(事業会社)が100%保有/取得価額358,760,000円
買収理由:越境ECの顧客基盤とノウハウを取り込み、アジアのラグジュアリー市場での影響力を高める
売上42億7,600万円に対し営業損失3億200万円。純資産は11億3,200万円→9億600万円と1年で2億円以上減っていました。価格は3億5,876万円で、純資産9億600万円の約4割です。赤字が続いている会社は、純資産より安い値段になることがある、という実例です。売上や顧客基盤があっても、損失が続けば価格は帳簿上の資産すら下回ります。
取得の開示で、K-ブランドオフを存続会社、RECLOを消滅会社とする吸収合併を2024年7月1日に行う予定と公表されています。合併完了の開示そのものは確認できていません。
株式会社セルビー
中古宝飾品の買取・販売、デジタル事業(システム開発、サイト構築)/東京都台東区/2001年2月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 10億6,100万円
- 対象の営業利益
- △2,900万円
- 対象の純資産
- △4,100万円
決算期:2021年12月期/譲渡前の株主:個人1名(松谷 稔哉)が100%保有/相手先との守秘義務により非開示
買収理由:重要商材であるジュエリーの販売・買取の強化と、リユース×テクノロジーでの差別化
売上10億6,100万円。2期続けて営業赤字で、純資産は2,900万円→マイナス700万円→マイナス4,100万円と債務超過に落ちていました。売上も12億4,300万円から少しずつ減っています。それでも社長1人が持つ株を上場企業がそのまま買っています。宝飾品の買取販売という本業に加えてシステム開発の力があったことが、債務超過でも買い手がつく理由になっています。
2022年8月17日に株式譲渡を実行と開示されました。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。
株式会社ブランドオフの全事業
「BRAND OFF」の店名での中古ブランド品の買取販売、新品の仕入販売(国内外)/石川県金沢市/分割会社は2000年9月設立設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 144億5,000万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2018年8月期(分割会社)/譲渡前の株主:安山 勉 94.9%、東口 浩 1.3%、従業員持株会 3.8%/非開示。貸付による資金提供等を行う予定とされ、金額は守秘義務と金融債権者との調整中を理由に非開示/分割する事業の2018年8月期の売上高(=ブランドオフ全体の売上)
買収理由:ブランドオフの再生を支援し、その事業基盤を承継する
売上144億5,000万円の事業ですが、分割元のブランドオフは連結で営業損失1億4,500万円、純資産マイナス29億9,800万円の債務超過でした(いずれも会社全体の数字。売上は203億9,800万円から2年で約3割減)。そこで会社ごとではなく、店舗・設備・人材などの事業だけを新会社に移し、銀行への借入は元の会社に残す形が取られています。金融債権者と再生計画で合意することが前提です。債務超過で会社ごとは売れなくても、事業と従業員の行き先はつくれることを示す例です。
承継先のK-ブランドオフは、2024年4月のRECLO取得の開示で買い手(コメ兵ホールディングスの100%子会社、本社は金沢市)として登場しており、事業は同社で続いています。吸収分割の完了そのものを示す開示は確認できていません。
出典:株式会社ブランドオフとのスポンサー支援に関する最終契約書の締結及び当社子会社における吸収分割契約締結に関するお知らせ
株式会社フォーバイフォーエンジニアリングサービス
自動車部品の開発・販売/岐阜県可児市/2019年5月(旧会社から不動産賃貸業を切り離して新設)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 1億1,300万円
- 対象の営業利益
- 800万円
- 対象の純資産
- 1億1,500万円
決算期:2018年8月期(不動産賃貸業除く)/譲渡前の株主:株式会社松本(旧社名フォーバイフォーエンジニアリングサービス、分割会社)が100%保有/守秘義務契約により非開示/不動産賃貸業を除いた2018年8月期の数値(買い手がデューデリジェンスで作成)
買収理由:タイヤ・ホイール事業の専門性強化
この一覧で最小の案件です。売上1億1,300万円・営業利益800万円。売り手は不動産賃貸業を手元に残し、本業だけを新会社に移して売っています。旧会社は社名を変えて残りました。不動産のように売りたくない資産を持つ会社が、本業だけを渡す進め方の実例です。売上は1億7,100万円→1億3,000万円→1億2,600万円(不動産含む)と縮んでいる中での譲渡でした。
2019年5月13日に株式譲渡を実行する予定と開示されました。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。
株式会社シエルマン
アンティーク時計、オリジナル時計、アンティークジュエリー等の販売(銀座、青山、伊勢丹・三越の店舗など)/東京都中央区/1971年5月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 9億6,300万円
- 対象の営業利益
- 8,700万円
- 対象の純資産
- 6億2,600万円
決算期:2017年9月期/譲渡前の株主:磯貝 建文 55.7%、磯貝 吉秀 29.8%、その他 14.5%/守秘義務契約により非開示
買収理由:時計・ジュエリー商材の専門性強化による他社との差別化
売上9億6,300万円・営業利益8,700万円・純資産6億2,600万円。営業利益は5,000万円→900万円→8,700万円と年によって大きく振れていましたが、純資産は売上の3分の2近くまで積み上がっていました。株は代表取締役2名でおよそ85%、残りを他の株主が持つ形です。銀座や百貨店に店を持つアンティーク時計の専門店という代わりのききにくい商品知識が、リユース最大手から求められた例です。
2018年11月16日に株式譲渡を実行する予定と開示されました。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された4件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- ガレージバンク株式会社16億円(売上の1.52倍)※営業赤字での譲渡
- 株式会社Rs-JAPAN1億9,000万円(売上の0.01倍)※営業赤字での譲渡
- 株式会社アールケイエンタープライズ42億円(売上の0.21倍・営業利益の8.7倍)
- 株式会社RECLO3億5,900万円(売上の0.08倍)※営業赤字での譲渡
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社コメ兵ホールディングスが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月13日