OCHIホールディングス株式会社のM&A実績
西日本の建材卸を本業に、地方の建材店・建設会社・工事会社を各地で1社ずつ買い足している会社です。岐阜、長野、愛媛、仙台、広島、札幌、宇都宮、会津若松、豊岡と、各地の地場企業を選んでいます。売り手の多くは社長個人や創業家で、営業利益が数千万円規模の会社も買っています。
OCHIホールディングス株式会社が公表した適時開示13件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 福岡県福岡市中央区
- 設立
- ―
- 事業内容
- 建材・住宅設備機器の卸売を軸に、木材加工、空調・厨房機器、建設工事(エンジニアリング)などを展開する持株会社
- 売上高
- 1,204億3,200万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 16億6,900万円
- 純資産
- 246億2,800万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 建材・住宅設備機器の卸売/建設・土木・内装工事/建設コンサルタント(構造物の調査・診断)/木材のプレカット加工/業務用空調・厨房機器の販売と工事/建設業向けソフトウェア、産業資材や繊維の商社
- 対象の規模
- 対象の売上 3.3億円〜67億円
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)が全件。100%(自己株式を除く)を一度に取得する形で、対象会社の子会社ごと引き取ることもある
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残すのが基本です。公式サイトのグループ会社一覧には、2014年以降に買った13社のうち12社が当時の社名のまま載っており、事業ごとに「建材」「エンジニアリング」などのグループに振り分けられています。
- 価格の出し方が年代で変わっています。2018〜2020年は「費用込みで13〜14億円」のような幅つき、2022年以降は株式の対価とアドバイザリー費用を分けて開示しています
- 価格が出た案件でみると、営業利益の6〜11倍、純資産の約1〜2.3倍に収まっています(日本調査6.1倍、日本システムソリューション8.3倍、弓田建設10.4倍、キョウワ11.0倍)
- 利益率の低い会社も買っています。丸滝(利益率1.7%)、寺田(1.1%)、太平商工(1.5%)など、営業利益が数千万円でも純資産や地域の顧客基盤があれば対象になっています
- 中小企業投資育成が株主に入っている会社(DS TOKAI、弓田建設)や、株主が20人以上に分かれている会社(丸滝、寺田)も、全株をまとめて取得しています
- このほか2024年5月にヒット・イールを子会社化したことが決算短信に書かれていますが、個別の開示資料が手元にないため一覧には入れていません
買収の履歴13件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社キョウワ
木材の市売、建材・住宅設備機器の販売/兵庫県豊岡市/1945年12月設立
- 取得価額
- 9億5,400万円
- 対象の売上
- 30億7,100万円
- 対象の営業利益
- 8,700万円
- 対象の純資産
- 9億8,800万円
決算期:2026年2月期/譲渡前の株主:持株会社(株式会社K・wood GAホールディングス)が99.71%、ほか1名が0.29%。譲渡前に持株会社が残り1名へ株式等売渡請求をかけ、100%にそろえてから売る段取り/アドバイザリー費用等(概算)70百万円を加えた合計は1,024百万円
買収理由:関西地区での事業拡大
取得価額9億5,400万円は、純資産9億8,800万円とほぼ同額(約0.97倍)でした。営業利益8,700万円に対しては約11倍。売上は35億3,600万円→33億6,300万円→30億7,100万円と3期続けて減っている中での譲渡です。創業80年の木材・建材の地域卸で、OCHIの本業とまったく同じ業種。少数株主が1名残っていても、売り手側で株式等売渡請求を使って100%に整えれば、丸ごとの譲渡に持ち込めることが分かります。
株式会社日本システムソリューション
建築・土木業向けCADシステム開発などのソフトウェア開発/東京都中央区/2003年6月設立
- 取得価額
- 3億円
- 対象の売上
- 3億3,400万円
- 対象の営業利益
- 3,600万円
- 対象の純資産
- 2億1,700万円
決算期:2024年3月期/譲渡前の株主:個人1名(王 維)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)36百万円を加えた合計は336百万円。2026年3月期決算短信でも取得原価300百万円(現金)と記載
買収理由:ソフトウェア開発事業への参入と、既存事業部門との協業・専門人材の育成
この会社の買収でいちばん小さい案件です。売上3億3,400万円、取得価額3億円。営業利益3,600万円の約8.3倍、純資産2億1,700万円の約1.4倍でした。営業利益は5,100万円→4,300万円→3,600万円と下がっていましたが、建設業向けCADという本業に近い技術を持っていたことで、建材商社が新分野の入口として買っています。オーナー1人が全株を持つ売上3億円台のソフト会社にも、上場企業の買い手がつく例です。
株式会社弓田建設
建築工事、土木工事、住宅工事、不動産賃貸など/福島県会津若松市/1982年1月設立
- 取得価額
- 22億円
- 対象の売上
- 29億1,100万円
- 対象の営業利益
- 2億1,100万円
- 対象の純資産
- 16億6,800万円
決算期:2023年12月期(単体)/譲渡前の株主:筆頭株主は東京中小企業投資育成(43.6%)。開示に取得相手先として記載されているのは同社のみ/アドバイザリー費用等(概算)215百万円を加えた合計は2,415百万円
買収理由:エンジニアリング事業の全国ネットワークを東北地方に広げ、非住宅分野を強化
取得価額22億円は、営業利益2億1,100万円の約10.4倍、純資産16億6,800万円の約1.3倍。経常利益は4億6,700万円と営業利益の2倍以上ありました。純資産は10億3,100万円→12億9,200万円→16億6,800万円と3期で6億円以上増えており、業績が伸びている局面での譲渡です。中小企業投資育成が大株主に入っている会社でも、株式をまとめて上場企業へ渡す形が取れることが分かります。
芳賀屋建設株式会社
建築工事、土木工事/栃木県宇都宮市/1973年1月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 16億7,900万円
- 対象の営業利益
- 5,900万円
- 対象の純資産
- 11億6,500万円
決算期:2021年9月期/譲渡前の株主:社長個人(関 明彦)が91.5%、ほか個人1名/相手先の意向と守秘義務により非開示。第三者によるデューデリジェンスの結果を勘案して決定
買収理由:関東地方でのエンジニアリング事業の拡大
1931年に材木店として創業した地場の建設会社です。売上は16億5,400万円→10億3,800万円→16億7,900万円と1期だけ大きく落ち込み、営業利益は1,900万円〜5,900万円と薄めでした。それでも純資産は11億円台を保っており、利益が小さくても純資産の厚い建設会社は買い手の対象になることが読み取れます。株式取得は取締役会決議の翌日に実行されています。
日本調査株式会社
建設コンサルタント業(土木構造物の診断・調査)/東京都板橋区/1991年2月設立
- 取得価額
- 20億6,900万円
- 対象の売上
- 18億3,100万円
- 対象の営業利益
- 3億4,000万円
- 対象の純資産
- 8億9,600万円
決算期:2021年10月期/譲渡前の株主:社長個人(窪田 智光)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)94百万円を加えた合計は2,163百万円
買収理由:エンジニアリング事業の拡大
営業利益率18.6%の高収益企業で、取得価額は営業利益3億4,000万円の約6.1倍、純資産8億9,600万円の約2.3倍でした。純資産より利益で値がついた例です。営業利益は2億3,600万円→3億2,300万円→3億4,000万円と伸びていました。社長1人が全株を持つ調査会社で、契約から株式譲渡の実行まで約3か月半あけています。
寺田株式会社
繊維商品(寝具、衣料品、タオル等)の卸売/北海道札幌市/1956年10月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 38億6,100万円
- 対象の営業利益
- 4,400万円
- 対象の純資産
- 17億2,600万円
決算期:2021年2月期/譲渡前の株主:創業一族の資産管理会社2社(計35.4%)、金融機関5社、個人18名/相手先の意向と守秘義務により非開示。第三者による株式価値の算出結果を勘案して決定
買収理由:東日本での事業拡大と、環境アメニティ事業での仕入・販売の連携
売上38億6,100万円に対して営業利益は4,400万円(利益率1.1%)。売上は41億6,000万円→40億9,800万円→38億6,100万円と減っていました。一方で純資産は17億2,600万円あり、利益は薄くても資産の厚い老舗卸という形です。株主は資産管理会社2社・金融機関5社・個人18名に分かれており、発行済株式の6割超を自己株式として会社が持っていました。株主が散らばっていても、まとめて売却できた例です。
2026年10月時点の公式サイトのグループ会社一覧に社名が見当たりません。合併や売却の開示は確認できておらず、その後どうなったかは追えていません。
株式会社アイエムテック
マンション・オフィスビル等の内装工事/広島県広島市/2000年12月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 13億4,200万円
- 対象の営業利益
- 2億3,800万円
- 対象の純資産
- 7億1,700万円
決算期:2019年5月期/譲渡前の株主:個人(氏名・持株比率は非開示)/株式価値算定などの費用を含めて12〜13億円となる予定と開示。株式の対価だけの金額は出ていない
買収理由:中国地区での事業拡大と、建材事業・加工事業との連携
費用込みで12〜13億円。営業利益2億3,800万円の約5〜5.5倍、純資産7億1,700万円の約1.7〜1.8倍の水準です。営業利益は6,000万円→2億9,800万円→2億3,800万円と、直近2期で大きく伸びていました。設立20年の内装工事会社で、利益が伸びた後のタイミングでの譲渡です。
長豊建設株式会社
公共土木工事を中心とする建設業(ほかに水処理、ガソリンスタンド、飲食)/長野県飯田市/1967年2月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 16億5,000万円
- 対象の営業利益
- 5,900万円
- 対象の純資産
- 9億6,800万円
決算期:2019年5月期/譲渡前の株主:個人(氏名・持株比率は非開示)/相手先の意向と守秘義務により非開示。第三者が算出した評価額に基づき協議して決定
買収理由:中部地区での事業拡大と、建材事業などとの連携
公共土木が主力で、ガソリンスタンドや飲食まで抱える地方の兼業型建設会社です。営業利益は900万円→5,200万円→5,900万円と小さめでしたが、純資産は9億円台。本業以外の事業を抱えたままでも、まとめて引き取られています。同じ日にアイエムテックの取得も決議しています。
太陽産業株式会社
業務用冷凍冷蔵・空調・厨房機器等の販売及び設置工事/宮城県仙台市/2005年4月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 66億9,700万円
- 対象の営業利益
- 2億1,700万円
- 対象の純資産
- 8億9,700万円
決算期:2018年3月期/譲渡前の株主:事業会社(フドー株式会社、三菱ガス化学の100%子会社)が100%保有/企業調査や株式価値算定等の費用を含めて約18億円となる予定と開示。株式の対価だけの金額は出ていない
買収理由:非住建分野の中核企業として位置づけ、東日本での事業展開を強化
この会社の買収で売上がいちばん大きい案件です(売上66億9,700万円)。費用込み約18億円は、営業利益2億1,700万円の約8倍、純資産8億9,700万円の約2倍の水準。営業利益は1億3,300万円→1億8,200万円→2億1,700万円と伸びていました。売り手は個人ではなく化学メーカーのグループ会社で、本業と離れた子会社を手放す形です。買収に合わせて、OCHIはセグメント名を「環境アメニティ事業」に改めています。
愛媛プレカット株式会社
住宅用木材の加工(プレカット)・販売/愛媛県松山市/1992年4月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 27億4,700万円
- 対象の営業利益
- 1億1,000万円
- 対象の純資産
- 14億円
決算期:2017年3月期/譲渡前の株主:個人(氏名・持株比率は非開示)/企業調査や株式価値算定等の費用を含めて13〜14億円となる予定と開示。株式の対価だけの金額は出ていない
買収理由:四国地区での事業拡大と、加工事業・建材事業との連携
費用込み13〜14億円は、純資産14億円とほぼ同じ水準でした。営業利益1億1,000万円に対しては約12〜13倍。もともとOCHIの子会社が木材加工を委託していた取引先で、取引関係のある相手に会社を買ってもらった例です。決議から株式譲渡の実行まで3日でした。
株式会社丸滝
建材・住宅設備機器の販売、建築工事の請負/長野県駒ヶ根市/1956年7月(創業は1909年)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 12億5,300万円
- 対象の営業利益
- 2,100万円
- 対象の純資産
- 5億400万円
決算期:2017年6月期/譲渡前の株主:社長個人が34.2%、社長の親族9名が48.5%、その他個人9名が17.3%/売主との守秘義務契約により非公表。第三者による株式価値の算定結果を勘案して決定
買収理由:甲信越地区での事業展開の中核とする
営業利益2,100万円(利益率1.7%)と、この会社の買収で利益がいちばん小さい案件です。営業利益は3,800万円→3,300万円→2,100万円と減っており、2016年6月期は最終赤字(マイナス2,600万円)でした。それでも明治創業の地域の建材店として、甲信越進出の足がかりに選ばれています。社長と親族を含む個人19名に株が分かれていても、全株をまとめて譲渡できています。
太平商工株式会社
電気絶縁物・耐熱材料、自動車用部品等の販売/東京都港区/1954年12月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 39億8,900万円
- 対象の営業利益
- 5,900万円
- 対象の純資産
- 3億3,300万円
決算期:2016年3月期/譲渡前の株主:社長個人(小澤 義一)が100%保有/売主との守秘義務契約により非公表。第三者による株式価値の算定結果を勘案して決定
買収理由:グループにない取引先と商材の獲得
売上39億8,900万円に対して営業利益5,900万円(利益率1.5%)、純資産3億3,300万円。建材とは関係のない電気絶縁材料の商社ですが、「当社グループにない取引先と商材」があることが買収理由として挙げられています。本業と業種が違っても、販売先の顔ぶれそのものに値打ちを見いだす買い手がいる例です。
DS TOKAI株式会社
建設業、介護事業、不動産賃貸業/岐阜県可児市/1972年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 26億800万円
- 対象の営業利益
- 1億3,500万円
- 対象の純資産
- 10億4,300万円
決算期:2014年5月期/譲渡前の株主:個人株主6名(82.5%)と名古屋中小企業投資育成(12.5%)/基本合意の時点で「2014年5月期の純資産を基に8〜9億円の範囲で協議」と開示。デューデリジェンスの結果を勘案して決定するとしており、確定額の続報は見当たらない
買収理由:中京圏へのエリア拡大と、建築工事など隣接分野への進出
価格は「純資産を基に8〜9億円」と、算定の考え方まで開示されています。純資産10億4,300万円に対して約0.8倍の水準です。営業利益は6,300万円→9,300万円→1億3,500万円と伸びている局面でした。建設業に介護事業が併設された会社ですが、事業ごと分けずにまとめて引き取られています。この後に続く建設・工事会社の買収の1件目にあたります。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された4件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社キョウワ9億5,400万円(売上の0.31倍・営業利益の11.0倍)
- 株式会社日本システムソリューション3億円(売上の0.90倍・営業利益の8.3倍)
- 株式会社弓田建設22億円(売上の0.76倍・営業利益の10.4倍)
- 日本調査株式会社20億6,900万円(売上の1.13倍・営業利益の6.1倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページはOCHIホールディングス株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日