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安田倉庫株式会社のM&A実績

「倉庫・輸配送ネットワークを全国へ拡大する」という方針のもと、地方の運送会社を1県に1社ずつ買い足している会社です。石川の大西運輸、長野の南信貨物自動車、京都のOSO、愛知のオリエント・サービス、富山の富山県トラックと、北陸・甲信・関西・中京に拠点を広げてきました。売り手は創業家の個人オーナーが中心ですが、エーザイや帝人グループから物流子会社を引き取る案件もあります。

安田倉庫株式会社が公表した適時開示9件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月13日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
東京都港区
設立
―
事業内容
倉庫・輸配送・国際物流を手がける総合物流会社。医薬品などのメディカル物流に力を入れ、オフィスビル等の不動産賃貸も営む
売上高
800億2,800万円(2026年3月期(連結))
営業利益
42億8,900万円
純資産
1,084億800万円

どんな会社を買っているか

買う業種
一般貨物自動車運送業/倉庫業(定温倉庫を含む)/医薬品物流/化学品・合成繊維の物流/建設(クレーン作業・建材輸送)
対象の規模
対象の売上 6.3億円〜93.5億円
手法
株式譲渡(子会社化)が中心。オーナーの資産管理会社ごと買う形、子会社の安田運輸が買い手になる形(孫会社化)、売り手が新設した会社に事業を移してから買う形、まず20%を取得して段階的に100%にする形も使う
赤字でも買うか
買っている(実績あり)
買収後の扱い
買った会社は社名を残して子会社として置くのが基本です。大西運輸は2026年の富山県トラック取得の開示でも「既存グループ会社」として名前が出ています。一方、京都のOSOは「YSO Logi」へ社名が変わっています。
  • 取得価額は大半が非開示です。理由は「相手方との守秘義務」。算定方法は毎回「外部専門家による株式価値評価(DCF法等)を参考に当社内で検討」と書かれています
  • 金額が出たのは2件です。高木工業物流(4億円)と帝人物流(65億円)。帝人物流は純資産の約2.1倍、営業利益の約23倍でした
  • 営業赤字の会社も買っています。エーザイ物流は3期連続、OSOは2期連続の営業赤字でした
  • 開示義務のない規模の案件でも「有用な情報と判断した」として任意開示を出しています(オリエント・サービス)

買収の履歴9件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年4月21日株式譲渡(全株式を取得し子会社化)

富山県トラック株式会社

一般貨物自動車運送業、倉庫業(富山県内に倉庫2か所・保管面積2,780坪、トラック約80台)/富山県富山市/1969年5月設立

取得価額
―
対象の売上
16億7,600万円
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:2025年3月期/非開示(プレスリリース形式の開示で、取得価額への言及なし)

買収理由:北陸でのネットワーク拡充と、富山県の医薬品メーカー向け物流の提案強化

業歴50年超、売上16億7,552万円。温度・湿度を管理できる定温倉庫を持っていたことが、医薬品物流に力を入れる買い手の方針と合いました。富山は医薬品の生産が盛んな地域です。自社の設備が、地元のどの業界に効くのかを言葉にできると、買い手の狙いと結びつきやすくなります。7年前に買った石川の大西運輸との連携も理由に挙がっており、近隣県の同業がすでにグループにいることが次の買収の足がかりになっています。

買収後存続2026年10月13日時点

2026年4月21日付でグループ化済み。商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:安田倉庫株式会社、富山県の運送会社である富山県トラック株式会社の全株式を取得し、グループ化を決定

出典:安田倉庫株式会社、富山県の運送会社である富山県トラック株式会社の全株式を取得し、グループ化を決定

2025年11月14日株式譲渡(全株式を取得する契約。2026年4月10日にまず20%を取得し、残りは段階的に取得)

帝人物流株式会社

一般貨物運送業、利用運送事業、倉庫業、通関業、梱包業(合成繊維・化学品の物流)/大阪府大阪市/1980年12月設立

取得価額
65億円
対象の売上
93億5,300万円
対象の営業利益
2億8,100万円
対象の純資産
31億4,200万円

決算期:2025年3月期/譲渡前の株主:帝人フロンティア株式会社(帝人株式会社の100%子会社)が100%保有/全株式の取得価額。純資産の額等を基礎に、財務・資産の状況や将来の見通しを勘案して双方協議で決定。2026年4月10日の第1段階では20%(32,000株)を1,300百万円で取得

買収理由:合成繊維・化学品という新領域への参入と、西日本の物流ネットワークの拡充

売上93億5,300万円・営業利益2億8,100万円・純資産31億4,200万円に対して65億円。純資産の約2.1倍、営業利益の約23倍です。売上は99億円台から93億円台へ少しずつ減っていましたが、営業利益は2億800万円→2億2,300万円→2億8,100万円と伸びていました。取引先だった会社に買われています(買い手は帝人フロンティアの物流業務を受託していました)。システム移行に時間がかかるため、まず20%だけ先に取得して資本関係を作り、残りを段階的に移すという進め方も取られています。

買収後実行前2026年10月13日時点

2026年4月10日に20%を取得し、持分法適用会社になったところまでが2026年3月期決算短信で確認できます。残る80%の取得日は開示されていません。

確認元:2026年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2023年12月22日株式譲渡(親会社の株式会社HIROMIカンパニーの全株式を取得し、間接的に子会社化)

株式会社オリエント・サービス

一般貨物自動車運送事業、倉庫業(車両約170台と自社営業倉庫)/愛知県春日井市/1988年12月設立

取得価額
―
対象の売上
23億2,300万円
対象の営業利益
1億5,500万円
対象の純資産
4億2,400万円

決算期:2023年9月期/譲渡前の株主:HIROMIカンパニーが100%保有。HIROMIカンパニーは伊佐治俊尋氏77.7%ほか個人が保有/相手方との守秘義務により非開示。外部専門家の株式価値評価(DCF法等)を参考に決定。適時開示基準に該当しない規模で、任意開示

買収理由:グループ初の中京エリアの倉庫拠点。関東と関西を結ぶ中継地点として活用

売上23億2,300万円・営業利益1億5,500万円。オーナーは事業会社の株ではなく、その株を持つ資産管理会社(HIROMIカンパニー)の株を売っています。開示には「HIROMIカンパニーは譲渡実行日時点でオリエント・サービスの株式のみを保有し、負債はない」と書かれており、売る前に持株会社の中身を整理しておくと、この形が取れることが分かります。なお直前期に純資産が17億9,100万円から4億2,400万円、総資産が53億円台から34億円台へ大きく減っていますが、理由は開示されていません。

買収後存続2026年10月13日時点

2024年3月下旬に株式譲渡実行予定として開示されました。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2023年2月3日株式譲渡(子会社化)

OSO株式会社

一般貨物自動車運送事業、倉庫業(車両約60台と本社倉庫)/京都府八幡市/2010年9月設立

取得価額
―
対象の売上
25億9,200万円
対象の営業利益
△5,600万円
対象の純資産
7,900万円

決算期:2022年3月期/譲渡前の株主:株式会社OSOホールディングスが100%保有(同社は社長の鈴木闘志也氏が100%保有)/相手方との守秘義務により非開示。外部専門家の株式価値評価(DCF法等)を参考に決定

買収理由:輸配送・倉庫ネットワークとサービスメニューの拡充

売上25億9,200万円に対して営業損失5,600万円、純資産は7,900万円しかありませんでした。売上は29億1,800万円→27億8,100万円→25億9,200万円と毎年減り、営業利益も1,200万円の黒字から2期続けて赤字に転じていました。数字が下り坂でも、車両と倉庫という物流の基盤があれば買い手はつきます。社長が自分の持株会社を通じて100%を持っていた形です。

買収後社名変更2026年10月13日時点

2023年12月のオリエント・サービス取得の開示で、グループ化した会社として「YSO Logi株式会社(関西/京都府)」の名前が挙がっており、OSOから社名が変わったと読めます(新旧社名の対応を明記した開示ではありません)。

確認元:株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2022年12月28日株式譲渡(子会社化)

エーザイ物流株式会社

医薬品・診断薬・治験薬・医薬原料・食品等の物流業、医薬品製造業、倉庫業/神奈川県厚木市/1991年4月設立

取得価額
―
対象の売上
47億5,200万円
対象の営業利益
△3,700万円
対象の純資産
17億3,000万円

決算期:2022年3月期/譲渡前の株主:エーザイ株式会社(上場企業)が100%保有/相手方との守秘義務により非開示。外部専門家の株式価値評価を参考に決定

買収理由:メディカル物流事業の拠点拡充とサービス向上。医薬品物流のノウハウ・施設・配送網の融合

売上47億5,200万円、営業損益は2億5,200万円の赤字→1億3,400万円の赤字→3,700万円の赤字と3期連続の赤字でした。ただし赤字幅は毎年縮んでいます。買い手はもともとエーザイ物流から物流業務を受託しており、取引のある相手が買い手になった例です。医薬品の流通で品質管理のガイドライン(GDP)が厳しくなる中、専門のノウハウと施設そのものが評価されました。

買収後存続2026年10月13日時点

2023年3月31日に株式譲渡実行予定として開示されました。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2021年10月8日株式譲渡(子会社化)。譲渡前に社長がほかの個人株主13名の株を買い集め、社長1人から100%を取得

南信貨物自動車株式会社

一般貨物自動車運送事業(長野県全域に拠点、冷蔵・冷凍車を含む300台超)/長野県松本市/1943年3月設立

取得価額
―
対象の売上
44億3,700万円
対象の営業利益
1億5,900万円
対象の純資産
12億2,300万円

決算期:2021年3月期(単体)/譲渡前の株主:丸山光彦21.5%、その他個人株主13名78.5%/相手方との守秘義務により非開示。外部専門家の株式価値評価(DCF法等)を参考に決定/単体の数値。子会社との単純合算では7,361百万円(内部取引の相殺前)

買収理由:甲信から関東・中京を結ぶ輸配送ネットワークとサービスノウハウの共有

単体で売上44億3,700万円・営業利益1億5,900万円・純資産12億2,300万円。営業利益は7,300万円→1億3,300万円→1億5,900万円と伸びていました。社長の持分は21.5%だけで、残りは13名の個人株主に分かれていました。そこで譲渡の前に社長が13名から株を買い集め、買い手は社長1人から100%を買う形を取っています。株が散っていても、まとめる段取りを組めば売却できる例です。

買収後存続2026年10月13日時点

2023年12月のオリエント・サービス取得の開示で、グループ化した会社として社名が挙がっています。それ以降の商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2019年9月27日株式譲渡(子会社化)。大西運輸と同時に取得

オオニシ機工株式会社

一般建設業(クレーン作業、建材の輸配送)/石川県金沢市/2001年8月設立

取得価額
―
対象の売上
6億2,600万円
対象の営業利益
1,200万円
対象の純資産
9,500万円

決算期:2018年9月期/譲渡前の株主:個人1名(大西 勝二)から全株式を取得/非開示。外部専門家の株式価値評価(DCF法等)を参考に決定

買収理由:大西運輸グループのネットワークとサービスノウハウの取り込み

売上6億2,600万円・営業利益1,200万円・純資産9,500万円と、この会社の案件でいちばん小さな会社です。本業は建設業で、買い手の物流とは業種が違います。単独では買い手が見つけにくい関連会社でも、本体とセットにすれば一緒に引き取ってもらえることを示す例です。

買収後存続2026年10月13日時点

2019年11月1日に株式譲渡実行予定として開示されました。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2019年9月27日株式譲渡(子会社化)。関連会社のオオニシ機工も同時に取得

大西運輸株式会社

一般貨物自動車運送事業(北陸3県の配送網と関東・関西・中京への路線)/石川県金沢市/1982年7月設立

取得価額
―
対象の売上
37億4,700万円
対象の営業利益
1億5,000万円
対象の純資産
6億7,300万円

決算期:2019年3月期/譲渡前の株主:個人1名(大西 勝二)から全株式を取得/非開示。外部専門家の株式価値評価(DCF法等)を参考に決定

買収理由:北陸の配送網を取り込み、輸配送ネットワークとサービス品質を高める

売上37億4,700万円・営業利益1億5,000万円・純資産6億7,300万円。売上は31億9,600万円→34億9,100万円→37億4,700万円と伸びていました。会長の大西氏が、運送会社と建設会社(オオニシ機工)の2社をまとめて同じ買い手に売っています。この会社はその後、北陸での次の買収(2026年の富山県トラック)で連携相手として名前が挙がっており、先に買われた会社が、買い手のその地域の拠点になっています。

買収後存続2026年10月13日時点

2026年4月の富山県トラック取得の開示で「既存グループ会社の大西運輸株式会社(石川県金沢市)」と書かれています。

確認元:安田倉庫株式会社、富山県の運送会社である富山県トラック株式会社の全株式を取得し、グループ化を決定

出典:株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2014年3月26日株式譲渡(子会社の安田運輸が取得=孫会社化)。売り手の高木工業が物流部門を新会社に移し、その全株式を譲渡

高木工業物流株式会社

一般貨物自動車運送事業、業務請負・人材派遣事業/神奈川県綾瀬市/2014年8月設立

取得価額
4億円
対象の売上
21億円
対象の営業利益
3,500万円
対象の純資産
1億3,000万円

決算期:2015年3月期(9か月の見込み、純資産は譲渡日の見込み)/譲渡前の株主:高木工業株式会社(清水とし子71.1%、高木茂9.0%、高木勝次9.0%ほか)が100%保有/契約時の取得価額は450百万円。基準日の損益・財務状況で価額が変わる条件が付いており、2014年10月の完了時は400百万円(アドバイザリー費用等5百万円を加え405百万円)/2014年7月〜2015年3月の9か月間の見込み。物流部門単体の過去実績は算出されていない

買収理由:高木工業の物流部門(関東・関西・九州に拠点、関東〜関西間の配送に強み)を取り込み、配送ネットワークと輸送力を強化する

会社の一部門だった物流を、新しい会社に切り出してから売った案件です。部門単体の過去の数字が無いため、開示には9か月分の見込み(売上21億円・営業利益3,500万円)が載っています。契約時は4億5,000万円でしたが、完了時は4億円になりました。基準日の損益や財務状況で価格を調整する条項が入っており、契約後の数字次第で値段が動くことが分かる例です。

買収後存続2026年10月13日時点

2014年10月1日に株式取得が完了しています。その後の商号変更や合併の開示は、開示一覧の範囲では確認できていません。

確認元:当社連結子会社による株式取得(孫会社化)完了に関するお知らせ

出典:当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された2件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 帝人物流株式会社65億円(売上の0.69倍・営業利益の23.1倍)
  • 高木工業物流株式会社4億円(売上の0.19倍・営業利益の11.4倍)

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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本ページは安田倉庫株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月13日