ERIホールディングス株式会社のM&A実績
建築確認・住宅性能評価の大手が、地方の建設コンサルタントや検査会社を、2022年以降は毎年2〜3社のペースで買っている会社です。北海道だけで5社、関西で3社と、地域ごとに同業を重ねています。売り手はほぼ全件が個人株主で、対象は売上1億〜3億円台の会社が中心です。決算短信で取得価額を後から開示するため、非開示で始まった案件でも値段が分かることが多い買い手です。
ERIホールディングス株式会社が公表した適時開示16件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都港区
- 設立
- ―
- 事業内容
- 建築確認検査・住宅性能評価を行う指定確認検査機関「日本ERI」を中核に、建設コンサルタント、非破壊検査、ドローン点検、環境コンサルティングなどを束ねる持株会社
- 売上高
- 247億400万円(2026年5月期(連結))
- 営業利益
- 49億4,300万円
- 純資産
- 85億4,900万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 建設コンサルタント・測量・補償コンサルタント/指定確認検査機関(建築確認・住宅性能評価)/建築設備の定期検査・非破壊検査/BIM/CIMモデリング・3D測量・ドローン/環境経営コンサルティング/建築系ソフトウェア
- 対象の規模
- 対象の売上 1.1億円〜22.4億円(取得価額は1,632万円〜21.9億円)
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)が中心で、ほぼ全件100%取得。ベンチャーは84%だけ取得した例がある。株主が分散している会社では、社長が株を取りまとめたうえで、残りを対象会社が自己株式として買い取る形も使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 基本は社名のまま子会社として残します。ただしグループ内での整理も早い会社です。2025年9月には構造総合技術研究所(取得から6年)と花田設計事務所(取得から8か月)を国土工営コンサルタンツに吸収合併させ、北洋設備設計事務所は取得から約1年4か月で売却しています。TOMPLAやタイトー建築・設備検査センターのように、取得後に「ERI」を冠した社名へ変えることもあります。
- 取得価額は、開示の時点では非開示でも、あとの決算短信の「企業結合等関係」注記で出てくることが多い会社です。この一覧の価格開示8件のうち6件は、決算短信か訂正開示で判明したものです
- アジアコンサルタントでは、当初「守秘義務により非開示」としていた取得価額を、約2か月後に訂正開示で公表しています。理由は「契約上の秘密保持は、法令等で開示を求められる場合まで妨げない」というものでした。守秘義務契約を結んでも、上場企業が買い手なら値段は公表されうると考えておくべきです
- アドバイザリー費用も毎回開示されます。2,000万〜3,700万円台が多く、国土工営コンサルタンツ(取得価額1,632万円・アドバイザリー費用2,012万円)や花田設計事務所(3,000万円・2,360万円)では、株の値段と同じくらいの費用が買い手側にかかっています
- 少数出資もしています。2026年6月に、同業の指定確認検査機関である東日本住宅評価センターの株式33.3%を東京ガスグループから取得し、持分法適用会社にしました(子会社化ではないため、上の一覧には入れていません)
- 2026年4月の太栄コンサルタンツでは、決算短信に「負ののれん発生益」が計上されています。時価純資産より安い値段で決まることもある、という実例です
買収の履歴16件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
カーボンフリーコンサルティング株式会社
環境経営コンサルティング、カーボンオフセット事業、国内外の植林事業/神奈川県横浜市/2007年9月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/非開示。適時開示基準に該当しない規模の案件を、任意で開示したもの
買収理由:2028年に始まる建築物のライフサイクルカーボン評価制度や、サステナビリティ開示の義務化に向けたコンサルティング体制づくり
資本金6,900万円、2007年創業の環境コンサルティング会社。業績や株主は開示されていません。法改正で需要が生まれる分野の専門家集団を、制度が始まる前に取り込みに行く買い方です。建築の第三者検査という本業に、新しい制度対応の業務を足していく流れの一件で、規制対応のノウハウを持つ小さな会社にとっては、こうした買い手が現れる時期がある、ということが読み取れます。
2026年7月31日に株式譲渡を実行する予定と開示されました。その後の続報(完了・商号変更・合併)の開示は確認できていません。
太栄コンサルタンツ株式会社
建設コンサルタント、測量、補償コンサルタント/愛知県名古屋市/1968年4月設立
- 取得価額
- 6億6,940万円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 7億6,400万円
決算期:2026年4月(企業結合日に受け入れた時価純資産)/取得時の開示では非開示。2026年5月期決算短信の企業結合注記で取得原価669.4百万円(現金)と判明。アドバイザリー費用36.5百万円は別。受け入れた資産956.7百万円・負債192.7百万円で、時価純資産が取得原価を上回り、負ののれん発生益94.6百万円を計上
買収理由:名古屋を拠点とする公共事業向け建設コンサルタントの取り込み
1968年創業、資本金2,700万円。業績は開示されていませんが、決算短信から時価純資産7億6,400万円に対し、取得価額は6億6,940万円(約0.88倍)だったことが分かります。買い手は差額を「負ののれん発生益」として利益に計上しています。資産を厚く積み上げた会社でも、純資産どおりの値段がつくとは限らない例です。売却を考えるなら、純資産の額だけでなく、それを生かす収益力をどう説明するかが値段を左右します。
2026年4月24日に株式を取得。2026年5月期決算短信の連結子会社一覧に、社名のまま記載されています。(根拠は2026年7月13日開示の「2026年5月期決算短信〔日本基準〕(連結)」)
TOMPLA株式会社
小型ドローン・ロボットの開発と販売、3D測量/神奈川県川崎市/2021年3月設立
- 取得価額
- 1億8,900万円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 1,830万円
決算期:2025年9月末(企業結合日に受け入れた純資産)/取得時の開示では非開示(適時開示基準に該当しない任意開示)。2026年5月期決算短信の企業結合注記で、84%分の取得原価189百万円(現金)と判明。アドバイザリー費用24.7百万円は別。のれん173.6百万円を10年で償却
買収理由:ドローンなどのロボティクス技術を、建築・土木インフラ・プラントの点検や調査に展開する
設立4年半、資本金100万円のベンチャーです。受け入れた純資産は1,830万円しかありませんが、84%分に1億8,900万円が払われ、取得価額のほぼ全部(1億7,360万円)がのれんになっています。純資産の持分相当額の約12倍です。資産がほとんどなくても、買い手の本業で使える技術があれば値段はつくことを示す案件です。創業者側が16%を持ち続ける形になっている点も、全部を手放さない選択肢として参考になります。
2025年10月27日に株式を取得し、2026年1月1日付でTOMPLA株式会社から株式会社ERIRoboticsに社名を変更しています(2026年5月期決算短信の企業結合注記)。(根拠は2026年7月13日開示の「2026年5月期決算短信〔日本基準〕(連結)」)
株式会社タイトー建築・設備検査センター
建築設備定期検査、特定建築物定期調査、防火設備定期検査、消防設備点検
- 取得価額
- 3億2,800万円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 2億1,500万円
決算期:2025年6月(企業結合日に受け入れた純資産)/2025年5月期・2026年5月期の決算短信の企業結合注記による(取得原価328百万円、現金)。アドバイザリー費用25.8百万円は別。のれん113.0百万円を5年で償却
買収理由:建築基準法第12条に基づく定期報告業務(既存建築物の点検・調査)の拡大
創業40年以上、建築設備の定期検査を専門にしてきた会社です。受け入れた純資産2億1,500万円に対し、取得価額は3億2,800万円(約1.5倍)。法律で定期的に義務づけられている点検業務は、毎年の売上が読みやすく、買い手から評価されやすい分野です。取得から約1か月で、社名から旧社名を外して「ERI検査センター」に変えています。
2025年6月2日に株式を取得し、2025年7月7日付で株式会社ERI検査センターに社名を変更しています。2026年5月期決算短信の連結子会社一覧に新社名で記載されています。(根拠は2026年7月13日開示の「2026年5月期決算短信〔日本基準〕(連結)」)
有限会社花田設計事務所
プラント設備のBIMモデリング、3D測量/兵庫県
- 取得価額
- 3,000万円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 1,450万円
決算期:2024年12月末(企業結合日に受け入れた純資産)/2025年5月期決算短信の企業結合注記による(取得原価30百万円、現金)。アドバイザリー費用23.6百万円は別。のれん15.5百万円を5年で償却
買収理由:3D測量とBIM/CIMモデリングを組み合わせたデジタルツインのコンサルティング
大規模プラント設備のBIMモデリングを得意とする設計事務所です(決算短信では株式会社花田設計事務所と記載)。純資産1,450万円に対し、取得価額は3,000万円(約2倍)。3,000万円という小さな金額でも、上場企業が買い、開示まで出しています。一方で、取得から8か月で国土工営コンサルタンツに吸収合併され、法人としては消えました。専門技術を持つ小さな事務所は、技術と人をグループに取り込む形で買われやすいことが読み取れます。
2025年1月17日に株式を取得。2025年9月1日、グループの国土工営コンサルタンツ株式会社を存続会社とする吸収合併で消滅しました(2026年5月期決算短信)。(根拠は2026年7月13日開示の「2026年5月期決算短信〔日本基準〕(連結)」)
国土工営コンサルタンツ株式会社
建設コンサルタント(橋梁など構造物の設計・点検調査・補修補強設計)、BIM/CIMモデリング/大阪府/1967年(創業)設立
- 取得価額
- 1,632万円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- △90万円
決算期:2024年6月末(企業結合日に受け入れた純資産。資産329.1百万円・負債329.9百万円)/2025年5月期決算短信の企業結合注記による(取得原価16.32百万円、現金)。アドバイザリー費用20.12百万円のほうが取得原価より大きい。のれん17.2百万円を5年で償却
買収理由:関西での土木インフラ事業の強化と、BIM/CIMモデリングの専門性のグループ内活用
1967年創業、大阪で橋梁の設計や点検を手がけてきた会社です。受け入れた資産3億2,900万円に対して負債も3億2,990万円あり、わずかに債務超過の状態でした。取得価額は1,632万円。債務超過でも、技術と取引先を持つ会社には値段がつきます。その後、この会社はグループ内の構造総合技術研究所と花田設計事務所を吸収合併する存続会社になっており、関西の受け皿として位置づけられています。
2024年6月25日に株式を取得。2025年9月1日に構造総合技術研究所と花田設計事務所を吸収合併した存続会社で、2026年5月期決算短信の連結子会社一覧に記載されています。(根拠は2026年7月13日開示の「2026年5月期決算短信〔日本基準〕(連結)」)
株式会社福田水文センター
建設コンサルタント(河川環境)、環境調査測量、環境分析試験/北海道札幌市/1965年8月設立
- 取得価額
- 21億9,300万円
- 対象の売上
- 18億3,100万円
- 対象の営業利益
- 2億9,000万円
- 対象の純資産
- 14億9,300万円
決算期:2023年3月期/譲渡前の株主:個人(氏名・持株比率は相手先の意向で非開示)/開示時点でアドバイザリー費用等(概算)95百万円を加えた合計2,288百万円と開示。2025年5月期決算短信ではアドバイザリー費用86.6百万円、のれん627.4百万円(7年償却)。独立した第三者機関がDDと株式価値算定を実施
買収理由:北海道・東北での土木インフラ・環境関連事業の強化(北海道で5社目の建設コンサルタント)
売上18億3,100万円・営業利益2億9,000万円・純資産14億9,300万円。取得価額は21億9,300万円で、純資産の約1.5倍、営業利益の約7.6倍です。営業利益は1億8,300万円→3億600万円→2億9,000万円、純資産は3期で11億3,900万円→14億9,300万円と積み上がっていました。創業60年近い地方の建設コンサルでも、利益と純資産が厚ければ20億円を超える値段がつきます。
2024年6月5日に株式を取得。2026年5月期決算短信の連結子会社一覧に社名のまま記載されています。(根拠は2026年7月13日開示の「2026年5月期決算短信〔日本基準〕(連結)」)
アジアコンサルタント株式会社
建設コンサルタント、測量/三重県松阪市/2004年6月設立
- 取得価額
- 2億500万円
- 対象の売上
- 2億200万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 2億円
決算期:2023年3月期/譲渡前の株主:個人(氏名・持株比率は非開示)/当初は守秘義務を理由に非開示。2023年12月28日の訂正開示で取得原価205百万円(現金)を公表。アドバイザリー費用37.4百万円は別
買収理由:近畿での土木インフラ事業の体制強化。子会社の構造総合技術研究所と連携
売上2億200万円・純資産2億円。取得価額2億500万円は、純資産・売上とほぼ同額(約1.0倍)です。売上は1億1,000万円→1億8,600万円→2億200万円と伸びていました。営業利益は相手先の意向で非開示。最初は「守秘義務で非開示」とされた値段が、2か月後の訂正で公表されています。上場企業に売る場合、価格が公になる可能性は織り込んでおく必要があります。
2026年5月期決算短信の連結子会社一覧に社名のまま記載されています。(根拠は2026年7月13日開示の「2026年5月期決算短信〔日本基準〕(連結)」)
株式会社北洋設備設計事務所
公共建築物の設計・施工監理、省エネ診断、耐震診断、補償コンサルタント/北海道札幌市/1966年10月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 2億200万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 1億1,100万円
決算期:2022年3月期/譲渡前の株主:個人(氏名・持株比率は非開示)/取得先の個人との守秘義務契約により非開示。第三者機関のDDと株式価値算定に基づき合意
買収理由:公共建築の設計と建築ストックの調査診断で、北海道のソリューション事業を強化
売上2億200万円・純資産1億1,100万円。売上は2億2,000万円→2億400万円→2億200万円と横ばいでした。この会社は取得から約1年4か月後の2024年9月30日に売却され、グループを離れています(売却先は開示されていません)。上場企業に買われても、ずっとグループに残るとは限らないことを示す例です。
2025年5月期決算短信に「2024年9月30日付で売却を行ったため、連結の範囲から除外」と記載されています。売却先は開示されていません。(根拠は2025年7月7日開示の「2025年5月期決算短信〔日本基準〕(連結)」)
日建コンサルタント株式会社
建設コンサルタント、測量/北海道札幌市/1972年1月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 1億1,200万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 1億6,900万円
決算期:2021年8月期/譲渡前の株主:個人(氏名・持株比率は非開示)/守秘義務と相手方の意向により非開示。第三者機関のDDと株式価値算定に基づき合意
買収理由:北海道での土木インフラ事業の体制強化(北海道で3社目の建設コンサルタント)
売上1億1,200万円で、この会社の案件では最小です。しかも売上は1億3,700万円から1億1,200万円に減った局面でした。それでも純資産1億6,900万円と売上を上回る蓄えがあり、3か月で3社目となる北海道の建設コンサルとして買われています。売上が落ちていても、同じ地域で同業を集めている買い手にとっては価値がある例です。
2026年5月期決算短信の連結子会社一覧に社名のまま記載されています。(根拠は2026年7月13日開示の「2026年5月期決算短信〔日本基準〕(連結)」)
株式会社森林環境リアライズ
建設コンサルタント(森林土木)、測量/北海道札幌市/2003年11月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 3億5,100万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 1億8,500万円
決算期:2021年6月期/譲渡前の株主:個人(氏名・持株比率は非開示)/守秘義務と相手方の意向により非開示。軽微基準に該当するため開示内容を一部省略
買収理由:森林・自然環境の保全分野を加え、北海道の基盤整備事業を強化
売上3億5,100万円・純資産1億8,500万円。売上は3億6,200万円→2億8,200万円→3億5,100万円と一度落ちて戻した形で、純資産は3期で1億2,500万円→1億8,500万円と増えていました。森林土木という狭い専門でも、地域で同業を束ねる買い手にとっては欠けているピースになります。
2026年5月期決算短信の連結子会社一覧に社名のまま記載されています。(根拠は2026年7月13日開示の「2026年5月期決算短信〔日本基準〕(連結)」)
道建コンサルタント株式会社
建設コンサルタント、測量/北海道伊達市/1971年5月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 2億7,100万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 1億9,400万円
決算期:2022年3月期/譲渡前の株主:個人(氏名・持株比率は非開示)/取得先の個人との守秘義務契約により非開示。軽微基準に該当するため開示内容を一部省略
買収理由:北海道での土木インフラ事業の推進
売上2億7,100万円・純資産1億9,400万円。売上は2億3,000万円→2億3,600万円→2億7,100万円、純資産も1億5,400万円→1億9,400万円と伸びていました。北海道の建設コンサル連続買収の1社目で、札幌ではなく伊達市の会社です。地方都市の会社でも、地域の公共事業を担っている実績が評価の対象になっています。
2026年5月期決算短信の連結子会社一覧に社名のまま記載されています。(根拠は2026年7月13日開示の「2026年5月期決算短信〔日本基準〕(連結)」)
株式会社サッコウケン
指定確認検査機関(戸建住宅の確認検査で北海道トップシェア)、性能評価、調査診断/北海道札幌市/1974年10月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 5億4,700万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 1億1,700万円
決算期:2020年3月期/譲渡前の株主:兼平久(社長)56.7%、サッコウケン持株会15.9%ほか個人/守秘義務と相手先の意向により非開示。軽微基準に該当するため開示内容を一部省略
買収理由:同業の取り込みによる北海道での市場シェア拡大
売上5億4,700万円・純資産1億1,700万円。売上は5億8,400万円→5億6,400万円→5億4,700万円と少しずつ減っていました。社長が56.7%、持株会や他の個人が残りを持つ形でしたが、社長以外の分を会社が自己株式として買い取ってから、社長の株を上場企業に渡す手順で100%取得が成立しています。従業員持株会がある会社の進め方として参考になります。
2026年5月期決算短信の連結子会社一覧に社名のまま記載されています。(根拠は2026年7月13日開示の「2026年5月期決算短信〔日本基準〕(連結)」)
株式会社構造総合技術研究所
非破壊検査全般、高速道路・橋梁などの調査・診断/大阪府東大阪市/1986年1月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 1億8,400万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 1億3,000万円
決算期:2018年12月期/譲渡前の株主:個人(氏名・持株比率は非開示)/取得先の個人との守秘義務契約により非開示。軽微基準に該当するため開示内容を一部省略
買収理由:非破壊検査を足がかりに、建築ストック関連事業へ進出する
売上1億8,400万円・純資産1億3,000万円。建築確認の会社が、土木インフラの分野に踏み出した最初の買収です。ここから建設コンサルの連続買収が始まりました。一方でこの会社自身は、取得から約6年後の2025年9月に国土工営コンサルタンツへ吸収合併され、法人としては消えています。
2025年9月1日、グループの国土工営コンサルタンツ株式会社を存続会社とする吸収合併で消滅しました(2026年5月期決算短信)。(根拠は2026年7月13日開示の「2026年5月期決算短信〔日本基準〕(連結)」)
株式会社住宅性能評価センター
指定確認検査機関(戸建住宅に強み)、住宅性能評価、調査診断。東西14事業所/東京都新宿区/2000年6月設立
- 取得価額
- 13億5,800万円
- 対象の売上
- 22億3,800万円
- 対象の営業利益
- 2億2,000万円
- 対象の純資産
- 9億2,800万円
決算期:2017年3月期/譲渡前の株主:株式会社TANOBE(社長の田野邉幸裕氏の会社)48.0%ほか個人株主/1株70万円。ERIが払った額は980株分686百万円(アドバイザリー費用13百万円を含め699百万円)。TANOBE保有分を対象会社が自己株式として取得した分を合わせた「実質的な取得価額」は1,358百万円(費用込み1,371百万円)と開示(2017年10月24日の経過開示)
買収理由:同業の取り込みによる既存中核業務の市場シェア拡大
売上22億3,800万円・営業利益2億2,000万円・純資産9億2,800万円。1株70万円は、1株当たり純資産46万4,347円の約1.5倍、実質的な取得価額13億5,800万円は営業利益の約6.2倍です。営業利益は7,800万円→5,300万円→2億2,000万円と直前期に大きく伸びていました。株主が分散していても、社長が取りまとめ役になり、自分の資産管理会社の分は会社に買い取らせることで、上場企業への譲渡を成立させた例です。
2026年5月期決算短信の連結子会社一覧に社名のまま記載されています。(根拠は2026年7月13日開示の「2026年5月期決算短信〔日本基準〕(連結)」)
株式会社イーピーエーシステム
建築系積算CADの開発(兄弟会社のソフトウェア会社ゲンバアイを取得前に吸収合併)/東京都渋谷区/1989年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 1億4,400万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 1億6,100万円
決算期:2016年3月期/譲渡前の株主:個人(氏名・持株比率は非開示)/取得先の個人との守秘義務契約により非開示。第三者機関の株式価値算定報告書等を基に協議して決定。軽微基準内のため開示内容を一部省略/イーピーエーシステム単体の2016年3月期。合併予定の兄弟会社ゲンバアイは売上36百万円・純資産35百万円(2015年9月期)
買収理由:グループのICT強化と業務効率改善
売上1億4,400万円・純資産1億6,100万円。売上は2億3,000万円→1億8,800万円→1億4,400万円と3期続けて減っていました。それでも、買い手の本業(建築確認)で使えるソフトウェアの開発力が評価されています。譲渡の前に兄弟会社を1社にまとめてから売る、という整理の仕方も参考になります。
基本合意の開示のみで完了の続報は見当たりませんが、2026年5月期決算短信の連結子会社一覧に社名のまま記載されており、取得は実行されたと判断しました。(根拠は2026年7月13日開示の「2026年5月期決算短信〔日本基準〕(連結)」)
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された8件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 太栄コンサルタンツ株式会社6億6,940万円
- TOMPLA株式会社1億8,900万円
- 株式会社タイトー建築・設備検査センター3億2,800万円
- 有限会社花田設計事務所3,000万円
- 国土工営コンサルタンツ株式会社1,632万円
- 株式会社福田水文センター21億9,300万円(売上の1.20倍・営業利益の7.6倍)
- アジアコンサルタント株式会社2億500万円(売上の1.01倍)
- 株式会社住宅性能評価センター13億5,800万円(売上の0.61倍・営業利益の6.2倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
関連する記事
本ページはERIホールディングス株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日