7043東証グロース

アルー株式会社のM&A実績

社員研修の会社が、同じ社員研修の会社を買っている例です。件数は多くありませんが、買った案件はすべて取得価額を開示しています。売り手は創業社長個人(エナジースイッチ)、IT研修グループの持株会社(クインテグラルとそのフィリピン法人)、広告会社のD2C(eラーニング事業)と幅があります。いずれも売上1億〜3億円程度の小さな研修会社・事業です。

アルー株式会社が公表した適時開示3件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
東京都千代田区
設立
2003年10月
事業内容
国内大手企業向けの社員研修(新人研修から管理職研修まで)と、クラウド型eラーニング「etudes」を提供する人材育成会社
売上高
36億3,700万円(2025年12月期(連結))
営業利益
3億5,400万円
純資産
14億1,500万円

どんな会社を買っているか

買う業種
企業向け研修・人材育成/組織開発・人事コンサルティング/eラーニングシステム
対象の規模
対象の売上 1.55億円〜3.11億円(事業譲受のetudesは売上非開示)
手法
株式譲渡(子会社化)が中心。子会社クインテグラルが買い手になる「孫会社化」、事業譲受も使う
赤字でも買うか
買っている(実績あり)
買収後の扱い
社名を残すとは限りません。エナジースイッチは取得から約1年7か月で本体に吸収合併され、法人は消えています。一方、クインテグラルは子会社として残り、2025年には自らフィリピン法人を買う側に回っています。
  • 取得価額を全件で開示しています。エナジースイッチ1億4,300万円、クインテグラル2億1,800万円、フィリピン法人9,174万円、etudes事業1円。それぞれアドバイザリー費用等の概算額も別に書かれています
  • 赤字の事業を1円で引き取った実績があります。2019年のetudes事業は「経常損失を計上」していたため、譲受価格は1円でした
  • 研修業界の買い手としては、売上規模の小さい会社が対象です。この会社自体の連結売上も36億円台なので、億単位の研修会社を年に1件程度買うペースです

買収の履歴3件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2024年7月18日株式譲渡(子会社化)

クインテグラル株式会社

AMA(アメリカン・マネジメント・アソシエーション)が開発したリーダーシップ・マネジメント等の研修、グローバル人材育成のコンサルティング/東京都新宿区/2012年1月設立

取得価額
2億1,800万円
対象の売上
3億1,100万円
対象の営業利益
400万円
対象の純資産
100万円

決算期:2023年12月期/譲渡前の株主:トレノケートホールディングス株式会社(ITトレーニング等の企業グループの持株会社)が100%保有/取得関連費用等の概算7百万円を加えた合計額は225百万円

買収理由:AMAの研修プログラムを取り込み、課題だった管理職・経営層向け研修を強化して、新人からハイレイヤー層まで一貫して提供する

売上3億1,100万円、営業利益400万円、純資産100万円。純資産はほぼゼロで、利益もわずかなのに2億1,800万円がついています。営業利益は1,100万円の赤字→4,400万円の赤字→400万円と、黒字に戻ったばかりで、前々期は債務超過(純資産マイナス200万円)でした。売上は3年で1億8,000万円→3億1,100万円と伸びています。評価されたのは利益や純資産ではなく、海外の有名な研修プログラムを扱える権利と、管理職研修という買い手の弱点を埋める中身でした。

買収後存続2026年10月12日時点

2024年10月18日に取得完了。2025年12月期の決算短信でも子会社として業績への貢献が書かれており、2025年12月には同社がフィリピン法人を買う側になっています。

確認元:2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:クインテグラル株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2024年1月31日株式譲渡(子会社化)

株式会社エナジースイッチ

企業内人材育成プログラム、組織活性化支援、人事組織コンサルティング/東京都千代田区/2008年7月設立

取得価額
1億4,300万円
対象の売上
1億5,500万円
対象の営業利益
1,700万円
対象の純資産
1億3,200万円

決算期:2023年3月期/譲渡前の株主:個人1名(平川 明日香)が100%保有/アドバイザリー費用等の概算13百万円を加えた合計額は156百万円

買収理由:エナジースイッチの大手企業の顧客基盤への販路拡大と、ダイバーシティ&インクルージョン分野の研修コンテンツの取り込み

売上1億5,500万円・営業利益1,700万円・純資産1億3,200万円に対し、1億4,300万円。ほぼ純資産どおりの値段で、営業利益の約8.4倍です。売上は3年で1億2,400万円→1億5,500万円と伸び、ずっと黒字でした。社長1人が株を全部持つ小さな研修会社でも、上場企業が値段を開示して買っています。ただし売った後は、2024年末時点で代表が買い手の社長に替わり、2025年11月には本体に吸収合併されています。社名や会社を残したいなら、条件として最初に交渉しておく必要があることが読み取れます。

買収後吸収合併2026年10月12日時点

2024年4月1日に取得完了。2025年11月1日付でアルー本体に吸収合併され、法人は解散しました(簡易合併)。合併開示の時点(2024年12月31日現在)で、代表取締役はアルーの落合文四郎社長になっていました。

確認元:完全子会社の吸収合併(簡易合併)に関するお知らせ

出典:株式会社エナジースイッチの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2019年7月24日事業譲受

株式会社D2Cのクラウド型eラーニングシステム「etudes」事業

クラウド型eラーニングシステムの運営/東京都中央区(譲渡会社)/譲渡会社は2000年6月設立設立

取得価額
1円
対象の売上
―
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:2019年3月期/譲渡前の株主:株式会社D2C(非上場。主要株主はNTTドコモ、電通、エヌ・ティ・ティ・アド)/譲受価格は1円。対象事業が経常損失を計上していたことを理由としている。決済は現金/「アルーの直近連結売上高の10%未満」とだけ開示。諸経費を含めた事業全体では経常損失

買収理由:既存の法人向け研修事業との相互連携

赤字の事業を1円で引き取った案件です。売り手のD2Cはデジタル広告の会社で、eラーニングは本業から外れた事業でした。アルーはもともとD2Cに社員研修を提供しており、取引のあった相手です。この事業はその後アルーの柱の一つに育ち、2025年12月期のetudesの売上は4億3,657万円です。赤字で値段がつかない事業でも、使いこなせる相手に渡れば残ります。

買収後存続2026年10月12日時点

法人ではなく事業の譲受。2025年12月期の決算短信で、etudesはアルーのサービス区分の一つとして売上4億3,657万円(前年比18.9%増)と書かれています。

確認元:2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:事業譲受に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • クインテグラル株式会社2億1,800万円(売上の0.70倍・営業利益の54.5倍)
  • 株式会社エナジースイッチ1億4,300万円(売上の0.92倍・営業利益の8.4倍)
  • 株式会社D2Cのクラウド型eラーニングシステム「etudes」事業1円

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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本ページはアルー株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日