イー・ガーディアン株式会社のM&A実績
ネット上の監視・サポート業務の周辺を、数年おきに1件ずつ買い足してきた会社です。対象は売上2億〜3億円台の会社が中心で、売り手の多くは個人株主でした。2025年9月期の決算短信では「BPO企業やサイバーセキュリティ企業、AI開発関連企業」のM&Aを積極的に行うと書いており、2026年にはコンタクトセンター会社を買っています。
イー・ガーディアン株式会社が公表した適時開示5件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都港区
- 設立
- 1998年5月
- 事業内容
- SNSや掲示板の投稿監視、カスタマーサポート、ゲームのデバッグ、脆弱性診断・WAFなどのサイバーセキュリティを一括で請け負う「総合ネットセキュリティ企業」。2023年からチェンジホールディングスが筆頭株主(49.70%)
- 売上高
- 113億2,100万円(2025年9月期(連結))
- 営業利益
- 15億400万円
- 純資産
- 120億5,300万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 人材派遣・人材紹介(メディア運営・広告運用の専門人材)/デバッグ・テクニカルサービスの業務請負/セキュリティ製品(WAF)の開発・販売/コンタクトセンター(アウトバウンドコール)
- 対象の規模
- 対象の売上 2.0億円〜3.6億円(アウトソーシングコミュニケーションズは事業再編前の会社全体で18.2億円)
- 手法
- 株式譲渡(100%取得)が中心。スタートアップには第三者割当増資を引き受けて子会社化する形も使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 同じ分野の子会社は1社にまとめる傾向があります。セキュリティ製品のグレスアベイルとジェイピー・セキュアは、2021年に子会社のEGセキュアソリューションズへ吸収合併されました。自社が作った子会社(イー・ガーディアン東北)も2026年に本体へ吸収合併しています。
- 取得価額を開示する会社です。買収5件のうち4件で金額が出ており、アドバイザリー費用も別に書いてあります
- 営業赤字の会社も買っています。パワーブレイン(営業損失1,400万円)とアイティエス(営業損失2,200万円)はどちらも、売上が3期続けて減っている中での譲渡でした
- 2026年6月のQ&Aで、今後のM&Aは「数億円~数十億円規模」、今期・来期を通じて「複数件の成約を視野」と答えています
- 2023年にチェンジホールディングスの公開買付けを受け、同社が筆頭株主(49.70%)になっています。上場は維持しています
買収の履歴5件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社アウトソーシングコミュニケーションズ
コンタクトセンター事業(アウトバウンドコール中心)/東京都千代田区/2018年3月設立
- 取得価額
- 2億9,000万円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2025年12月期(事業再編前の会社全体)/譲渡前の株主:株式会社BREXA Technology(BREXA Holdingsの100%子会社)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)4.5百万円を加えた合計は294.5百万円
買収理由:アウトバウンドコールの対人スキルとノウハウを取り込み、AIと人を組み合わせたコール基盤をつくる
開示された業績は、対象外の事業を切り離す前の会社全体のものです(売上18億2,200万円・営業利益1億4,600万円・純資産4億500万円)。買われたのはコンタクトセンター事業だけなので、この数字と2億9,000万円を直接は比べられません。売り手グループは、渡す事業だけを残した会社にしてから売っています。買い手は欲しかった理由を「質の高い対話スキルと運営ノウハウ」と書いており、人の応対品質そのものが評価の対象になった例です。
2026年6月1日に取得完了。社名は残り、本店はイー・ガーディアンと同じ東京都港区虎ノ門に移って、代表取締役は澤田隆氏から荒川典子氏に代わりました。
株式会社ジェイピー・セキュア
ソフトウェア型WAF「SiteGuardシリーズ」の開発・販売/神奈川県川崎市/2008年7月設立
- 取得価額
- 8億8,800万円
- 対象の売上
- 3億100万円
- 対象の営業利益
- 8,300万円
- 対象の純資産
- 1億8,700万円
決算期:2020年5月期/譲渡前の株主:菅原修65.5%、ほか個人7名34.5%(代表取締役とは別の人物が筆頭株主)/アドバイザリー費用等58百万円を加えた合計は946百万円。第三者算定機関の株式価値算定を勘案して決定
買収理由:WAFのラインアップをそろえ、サイバーセキュリティ分野で一括して提供する
売上3億100万円・営業利益8,300万円・純資産1億8,700万円に対し、株式の値段は8億8,800万円。営業利益の約10.7倍、純資産の約4.7倍です。営業利益は500万円→5,700万円→8,300万円と2年で大きく伸びていました。国内で導入実績のある自社製品を持ち、利益が伸びている局面だったことが、純資産を大きく上回る値段につながったと読めます。株主は個人8名で、社長ではない人物が65.5%を持っていました。
2021年10月1日を効力発生日(予定)として、子会社のEGセキュアソリューションズに吸収合併され、法人は解散すると開示されました。取得から約1年です。
株式会社グレスアベイル
クラウド型セキュリティ製品の開発・販売/東京都中央区/2015年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:非開示/非開示
買収理由:クラウド型セキュリティ製品の開発力を取り込み、グループの専門家の知見を製品にする
設立4年のスタートアップです。既存の株主から株を買うのではなく、会社が新しく出す株を引き受けて過半数を握る形でした。株主は代金を受け取らず、お金は会社に入ります。売上や価格は開示されていません。成長資金が必要な若い会社が、事業会社の傘下に入る手段として使われた例です。
2021年7月時点でイー・ガーディアンの100%子会社になっており、2021年10月1日を効力発生日(予定)としてEGセキュアソリューションズに吸収合併され、法人は解散すると開示されました。
株式会社アイティエス
コンピュータ・テクニカルサービスの業務請負、人材派遣(電子デバイスのデバッグ)/東京都羽村市/1991年2月設立
- 取得価額
- 2億1,000万円
- 対象の売上
- 3億5,700万円
- 対象の営業利益
- △2,200万円
- 対象の純資産
- 2億1,300万円
決算期:2015年9月期/譲渡前の株主:平田達也55.8%、濱田英次36.5%、平田綾子4.7%、濱田冷子3.0%(2家族の個人4名)/1株あたり210千円
買収理由:電子デバイスのデバッグのノウハウと顧客を取り込み、グループのデバッグ事業を強化する
売上3億5,700万円・営業損失2,200万円・純資産2億1,300万円。売上は5億200万円→4億7,900万円→3億5,700万円と減り、直近期に営業赤字へ落ちていました。それでも価格は2億1,000万円で、純資産とほぼ同じ水準です。業績が下り坂でも、電子機器のデバッグという技術と顧客を持っていたことで、純資産並みの値段がついています。株主は2つの家族に分かれていました。
2017年1月1日に株式譲渡を実行予定と開示されました。その後の社名・合併を確認できる開示は手元になく、2025年9月期の決算短信にも社名は出てきません。
株式会社パワーブレイン
メディア運営・広告クリエイティブ・広告運用に特化した人材の育成・紹介・派遣/東京都千代田区/2003年6月設立
- 取得価額
- 1,550万円
- 対象の売上
- 2億円
- 対象の営業利益
- △1,400万円
- 対象の純資産
- 500万円
決算期:2014年5月期/譲渡前の株主:個人1名(船渡哲也)が100%保有(代表取締役とは別の人物)/アドバイザリー費用等2.5百万円を加えた合計は18.0百万円
買収理由:顧客の現場に人材を派遣する常駐型サービスを強化する
売上2億円・営業損失1,400万円・純資産500万円。売上は2億4,200万円→2億2,000万円→2億円と減り、純資産も2,100万円から500万円まで減っていました。価格は1,550万円で、純資産の約3倍です。赤字で純資産がほとんど残っていなくても、専門人材の派遣という仕組みと人がいれば、上場企業に売れています。株主は社長ではないオーナー1名でした。
2014年9月1日に株式を取得と開示されました。その後の社名・合併を確認できる開示は手元になく、2025年9月期の決算短信にも社名は出てきません。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された4件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社アウトソーシングコミュニケーションズ2億9,000万円
- 株式会社ジェイピー・セキュア8億8,800万円(売上の2.95倍・営業利益の10.7倍)
- 株式会社アイティエス2億1,000万円(売上の0.59倍)※営業赤字での譲渡
- 株式会社パワーブレイン1,550万円(売上の0.08倍)※営業赤字での譲渡
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
関連する記事
本ページはイー・ガーディアン株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日