3138東証スタンダード

株式会社富士山マガジンサービスのM&A実績

雑誌の定期購読が本業の会社ですが、2024年から学習塾を個人オーナーから続けて買っています。沖縄のオンライン塾、横浜の医学部受験塾、大阪の英語に強い予備校、福岡の学習塾と英会話教室と、2年あまりで4件。対象はいずれも売上1億円前後〜4億円の規模で、売り手はほぼ全件が塾長・社長個人です。塾以外でも、時計専門誌の出版社や加除式出版の部門を買っています。

株式会社富士山マガジンサービスが公表した適時開示7件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
東京都渋谷区
設立
―
事業内容
雑誌の定期購読サイト「Fujisan.co.jp」の運営とデジタル雑誌の取次が本業。2024年から学習塾を運営するEdTech事業を始めている
売上高
58億1,400万円(2025年12月期(連結))
営業利益
1億6,200万円
純資産
25億5,400万円

どんな会社を買っているか

買う業種
学習塾・予備校(オンライン塾、医学部・難関大受験塾)/英会話教室/専門誌の出版・Webメディア/加除式出版物/番組制作・PR支援
対象の規模
対象の売上 0.36億円〜4.2億円
手法
株式譲渡(子会社化)と事業譲受の両方を使う。塾の案件は子会社(しょうわ出版、Fujisan Academia Group)が買い手になる。新設分割で切り出した会社の株式取得、第三者割当増資の引受けによる子会社化もある
赤字でも買うか
買っている(実績あり)
買収後の扱い
株式で買った会社は社名のまま子会社として残しています(シーズ・ファクトリーは「結合後企業の名称 変更ありません」と開示)。塾は「Fujisan Academia」ブランドのもとで授業の相互提供や共通事業を進める形です。一方、2018年に子会社化した103Rは、2020年に株式の大半を同社の社長へ譲渡しています。
  • 取得価額を開示する会社です。7件のうち6件で金額が出ており、1円から1億7,475万円まで幅があります
  • アドバイザリー費用も別に書いてあります。クリエイト研究会では株式の価格1円に対し、アドバイザリー費用等が約2,500万円でした。価格と手数料が別物であることがよく分かります
  • 開示基準に満たない小さな事業譲受でも「有用な情報と判断した」として任意で開示しています(虔十社、Vネット系3社の事業)
  • 2026年の開示では、買った塾の授業や運営の仕組みを全国の地元密着型の塾・自習室事業者向けにフランチャイズ展開する狙いが書かれています。塾の買い手としては今後も続く方針と読めます

買収の履歴7件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年9月7日事業譲受(子会社Fujisan Academia Groupが譲受)。2026年6月30日に基本合意、9月7日に契約締結

株式会社受験Vアカデミーの学習塾事業ほか(Vネットホールディングス傘下3社の事業)

学習塾、シェーン英会話教室、教室のテナント管理/福岡県福岡市/受験Vアカデミーは1983年2月設立設立

取得価額
―
対象の売上
4億1,666万円
対象の営業利益
△278万円
対象の純資産
―

決算期:2025年11月期・2026年3月期/譲渡前の株主:受験Vアカデミーは株式会社Vネットホールディングス71%・肥川正嗣29%、Vネットワールドは肥川正嗣100%/相手先の要請により非開示。「事業の全部又は一部の譲渡又は譲受け」の適時開示軽微基準の範囲内。手元現預金による現金決済/学習塾事業298百万円(2025年11月期)とシェーン英会話教室事業119百万円(2026年3月期)の合計。営業利益も同じく合計(学習塾7.9百万円、英会話△10.7百万円)。テナント管理事業は含まない

買収理由:九州の学習塾・英会話教室を取り込み、地元密着型の塾・自習室向けフランチャイズのサービスモデルを作る

学習塾は売上2億9,800万円・営業利益790万円、英会話教室は売上1億1,900万円・営業損失1,070万円。英会話教室を運営していたVネットワールドは純資産マイナス162万円の債務超過、受験Vアカデミーも純資産943万円でした。会社ではなく事業だけを渡す形なので、こうした状態でも譲渡が成立しています。同じグループの個別指導塾(明光義塾九州)は対象外で、売る事業と残す事業を分けています。6月の基本合意時点では売掛金や負債も引き継ぐ予定でしたが、契約時には敷金・設備などの資産だけに縮み、前受授業料や家賃は実費精算になりました。基本合意から契約までに条件が変わる実例です。

買収後不明2026年10月12日時点

法人ではなく事業を譲り受ける取引で、事業譲渡日は2026年10月1日と開示されています。譲受の完了を示す後続の開示は確認できていません。

確認元:連結子会社による事業の譲受に関する契約書締結のお知らせ

出典:連結子会社による事業の譲受に関する契約書締結のお知らせ

2025年8月25日株式譲渡(完全子会社化)

株式会社シーズ・ファクトリー

時計専門誌の出版、Webメディアの運営、広告、自社時計ブランドの企画・製造・販売/東京都港区/1990年10月設立

取得価額
1億7,475万円
対象の売上
2億2,840万円
対象の営業利益
1,467万円
対象の純資産
7,170万円

決算期:2024年7月期/譲渡前の株主:個人2名(現代表取締役とその親族)が保有。氏名は守秘義務により非開示/外部専門家の株価算定とデューディリジェンスを踏まえて決定。開示時の概算は174.7百万円で、決算短信で取得原価174,750千円と確定。アドバイザリー費用は開示時概算2.5百万円、決算短信では6.2百万円

買収理由:専門誌の読者コミュニティ、Webでの発信力、自社ブランド商品を「興味」を軸にした事業に取り込む

売上2億2,840万円・営業利益1,467万円・純資産7,170万円で、価格は1億7,475万円。営業利益の約12倍、純資産の約2.4倍です。営業利益は1,120万円→2,565万円→1,467万円と上下していますが、純資産は4,295万円→6,003万円→7,170万円と3期続けて積み上がっていました。時計という一分野の専門誌でも、読者の集まりと自社ブランドがあれば買い手がつきます。

買収後存続2026年10月12日時点

2025年8月29日に株式を取得。2025年12月期の決算短信で連結子会社として記載され、「結合後企業の名称 変更ありません」とされています。

確認元:2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:株式の取得(連結子会社化)に関するお知らせ

2025年1月24日新設分割で塾事業を切り出した新会社の株式を、子会社しょうわ出版が100%取得

クリエイト研究会株式会社

医系予備校・学習塾(ミリカ医専、ミリカ予備校)、実用英語検定対策/大阪府茨木市/2025年3月(新設分割で設立)設立

取得価額
1円
対象の売上
―
対象の営業利益
―
対象の純資産
332万円

決算期:会社分割時点(新設会社)/譲渡前の株主:個人1名(白石 栄紀)が100%保有/株式の取得価額は1円(概算額)。別にアドバイザリー費用等が概算25百万円。外部専門家の株価算定とデューディリジェンスを踏まえて決定

買収理由:英語指導と英検対策のノウハウを、グループの医系予備校やオンライン塾と組み合わせ、全国の個人塾向けのパッケージにする

株式の価格は1円でした。新会社の純資産は332万円。分割前の会社は2024年3月期に売上9,893万円・営業損失300万円・純資産3,215万円で、その事業の大部分を新会社に移して渡しています。2024年11月末の生徒数は218名。値段がつかなくても、塾長が事業の引き受け先を確保する手段として株式譲渡が使われています。一方で買い手側のアドバイザリー費用は約2,500万円かかっており、価格と手数料は別物です。

買収後存続2026年10月12日時点

2025年12月期の決算短信で、期中に新たに連結範囲に入った会社としてクリエイト研究会株式会社の名前が記載されています。商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:連結子会社による株式の取得(連結子会社化)に関するお知らせ

2024年7月19日事業譲受(子会社しょうわ出版が譲受)

株式会社虔十社の翔進予備校事業・アカデミア事業ほか塾事業

医学部・難関大受験塾(理数系の集団授業・個別指導)/神奈川県横浜市/分割元の虔十社は1988年11月設立設立

取得価額
2,000万円
対象の売上
6,045万円
対象の営業利益
△885万円
対象の純資産
―

決算期:2023年8月期(対象事業部門)/譲渡前の株主:譲渡元の株式会社虔十社は個人1名(大竹 裕太郎)が100%保有/20百万円(税抜)、現金決済。第三者機関の評価算定報告と将来収益の見積りを踏まえて決定

買収理由:理数系の補習型指導の強みを取り込み、EdTech(学習塾)事業を立ち上げる

対象事業は売上6,045万円・営業損失885万円。前期は売上7,773万円・営業利益459万円の黒字で、売上が落ちて赤字に転じた局面での譲渡です。譲渡元の虔十社は純資産マイナス9,931万円の債務超過でした。引き継いだのは現預金・敷金・設備など2,183万円の資産と前受金1,154万円で、価格は2,000万円。会社ごとではなく事業だけを渡すことで、債務超過の会社の塾でも引き受け手が見つかっています。

買収後存続2026年10月12日時点

法人ではなく事業を譲り受けた取引です。2025年12月期の決算短信で「虔十社より学習塾事業を譲り受け、Fujisan Academiaブランドにて」展開していると記載されており、その後この事業を譲渡した開示は確認できていません。

確認元:2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:連結子会社による事業の譲受に関するお知らせ

2024年6月21日株式譲渡(子会社しょうわ出版が70%を取得)

Create Education Online株式会社

小学生〜高校生向けのオンライン学習塾/沖縄県那覇市/2021年3月設立

取得価額
5,880万円
対象の売上
3,600万円
対象の営業利益
388万円
対象の純資産
996万円

決算期:2024年2月期/譲渡前の株主:個人1名(伊藤 公太)が100%保有/70%分の価格(概算額)。別にアドバイザリー費用等が概算17.5百万円。外部専門家の株価算定とデューディリジェンスを踏まえて決定

買収理由:「教える/教わる」を事業領域とするEdTech事業への参入

設立3年、売上3,600万円・営業利益388万円・純資産996万円の小さなオンライン塾です。70%で5,880万円、100%に換算すると約8,400万円で、営業利益の20倍超、純資産の8倍超になります。売上は763万円→3,189万円→3,600万円と伸びている途中でした。この会社のEdTech事業はこの案件から始まっており、最初の1件は「規模より入口」として買われた例です。創業者は30%を持ち続けています。

買収後存続2026年10月12日時点

2025年1月のクリエイト研究会取得の開示でグループ傘下のオンライン塾として名前が挙がり、2025年12月期の決算短信でも取得済みと記載されています。商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:連結子会社による株式の取得(連結子会社化)に関するお知らせ

2019年3月11日株式譲渡(完全子会社化)。親会社の加除式出版部門を切り出した新会社の全株式を取得

株式会社しょうわ出版

社会保険・介護保険関係の加除式出版物の編集・作成・販売/大阪府大阪市/2019年2月(設立1期目)設立

取得価額
5,000万円
対象の売上
4,404万円
対象の営業利益
2,257万円
対象の純資産
―

決算期:2018年3月期(部門損益)/譲渡前の株主:株式会社しょうわ(電報事業)が100%保有。同社は川田社長85%・親族15%/別にアドバイザリー費用等が概算5.15百万円、合計約55.15百万円/譲渡元の株式会社しょうわの加除式出版部門の部門損益(2018年3月期)。新会社のため決算はない

買収理由:加除式出版物の法人・図書館・官公庁向けの顧客基盤に、雑誌定期購読の商材を売る

部門の売上4,404万円・営業利益2,257万円(利益率51%)に対し、価格は5,000万円。営業利益の約2.2倍です。電報事業の会社が、本業と別の出版部門だけを新会社にして売った形です。買い手が欲しかったのは利益よりも大手企業・図書館・官公庁という顧客基盤でした。このしょうわ出版は、のちに塾の買収(Create Education Online、虔十社の塾事業、クリエイト研究会)の買い手を務めています。

買収後不明2026年10月12日時点

2025年1月の開示までは連結子会社として塾の買収の主体になっています。2026年の開示では子会社Fujisan Academia Groupが「学習塾事業・加除式出版事業」を担うと書かれていますが、しょうわ出版との関係(社名変更か別会社か)は手元の開示では確認できていません。

確認元:連結子会社による事業の譲受に関する基本合意書締結のお知らせ

出典:株式会社しょうわ出版の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2018年11月12日第三者割当増資の引受け(77.1%を取得して子会社化)

103R株式会社

テレビ番組制作、メディア情報共有サービス「メディキュレ」、Web動画メディアの運営/東京都港区/2016年4月設立

取得価額
3,990万円
対象の売上
5,678万円
対象の営業利益
45万円
対象の純資産
△80万円

決算期:2017年3月期/譲渡前の株主:個人2名(田島 直樹50%、依田 邦章50%)/新株672株の引受価額。株主ではなく会社に払い込む形。別にアドバイザリー費用等が概算0.5百万円

買収理由:共同で運営していたWebメディアやイベントを取り込み、出版社のWebメディア化支援を加速する

売上5,678万円・営業利益45万円・純資産マイナス80万円の債務超過の会社に、増資の形で3,990万円を入れて子会社化しています。株主にお金が渡るのではなく、会社に資金が入る形です。もともと共同で事業をしていた相手でした。

買収後再売却2026年10月12日時点

2020年6月、保有株式のうち72.1%分を103Rの代表取締役 田島直樹氏へ629円で譲渡し、子会社から外れました。直前の2019年12月期は売上8,534万円・営業損失1,187万円で、前期に純資産価格まで減損済みと開示されています。約1年半で創業者の手に戻った形です。

確認元:連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ

出典:103R株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された6件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 株式会社シーズ・ファクトリー1億7,475万円(売上の0.77倍・営業利益の11.9倍)
  • クリエイト研究会株式会社1円
  • 株式会社虔十社の翔進予備校事業・アカデミア事業ほか塾事業2,000万円(売上の0.33倍)※営業赤字での譲渡
  • Create Education Online株式会社5,880万円(売上の1.63倍・営業利益の15.2倍)
  • 株式会社しょうわ出版5,000万円(売上の1.14倍・営業利益の2.2倍)
  • 103R株式会社3,990万円(売上の0.70倍・営業利益の89.7倍)

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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