株式会社ガイアックスのM&A実績
SNSマーケティングやシェアリングエコノミーなど、本業に近い小さなネット系の会社を買っています。対象は売上3,000万円〜4億円台と、この一覧でもかなり小さい規模です。売り手は創業社長個人が多く、上場企業の子会社を引き取った例もあります。一方で、育てた子会社を他社や経営陣へ売る(または持分を下げて連結から外す)ことも繰り返しており、「買って終わり」ではなく「育てて出口を作る」投資会社に近い動き方をする買い手です。
株式会社ガイアックスが公表した適時開示6件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都千代田区
- 設立
- 1999年3月
- 事業内容
- 企業のソーシャルメディア運用・マーケティング支援を中核に、スタートアップへの出資と事業創出(インキュベーション)を手がける会社
- 売上高
- 34億9,800万円(2025年12月期(連結))
- 営業利益
- 2億5,400万円
- 純資産
- 12億9,100万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- SNSマーケティング・ブランディング支援/デジタル素材販売・商品撮影/シェアリングエコノミー・マッチングサービス/広報・PR支援/システムインテグレーション(2016年当時)
- 対象の規模
- 対象の売上 0.29億円〜4.6億円
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)が中心。全株ではなく過半数や90%だけを取得し、創業者や経営陣に一部を残す形が多い。子会社を通じた孫会社化、事業譲受も使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 社名を残して子会社として運営するのが基本です。ただし、その後に他社へ売却(電縁をクラウドワークスへ、nottecoの事業をアディッシュプラスへ)したり、経営陣の増資で持分を下げて連結から外す(ロコタビ)ことがあります。買われた会社がガイアックスの傘下にずっと残るとは限りません。
- 取得価額はほとんど非開示です。6件のうち金額が出ているのはスナップマートの1,000万円だけでした
- 債務超過・赤字の会社も買っています。ロコタビ(営業損失5,765万円・純資産マイナス2,129万円)とスナップマート(営業損失2,124万円・純資産マイナス4,839万円)は、いずれも債務超過の状態での譲渡でした
- 100%を買わないことがあります。ロコタビは50.002%、kokodearは90%の取得で、創業者や経営陣が株を持ったまま残っています
- 子会社の売却も多い会社です。2017年に電縁の株式67%をクラウドワークスへ6億4,300万円で、2021年にEDGEの株式を社長側へ1億1,563万円で譲渡しています。売ったあとにもう一度売られる可能性は、譲渡前に確認しておきたい点です
買収の履歴6件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社kokodear
ブランディング(CI/VI開発・デザイン)、広告・コンテンツ制作、SNS戦略コンサルティング/東京都渋谷区/2022年4月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 1億6,300万円
- 対象の営業利益
- 1,800万円
- 対象の純資産
- 6,900万円
決算期:2026年3月期/譲渡前の株主:代表取締役の大谷明日香80.0%、その他個人2名20.0%/相手先との合意により非公表。「直前連結会計年度末の連結純資産の15%未満」と開示されており、2025年12月期の連結純資産12億9,100万円の15%=約1億9,400万円を下回ると読める
買収理由:採用ブランディング需要を取り込み、HR事業の中核にする。既存のSNS支援事業とのクロスセル
売上1億6,300万円・営業利益1,800万円・純資産6,900万円。設立から4年、資本金200万円の会社です。売上は1億8,400万円→1億7,600万円→1億6,300万円と少しずつ減っていましたが、営業黒字は3期とも続いていました。創業者が90%を手放し、10%を持ったまま残る形です。買い手は前年に子会社化した人材紹介コンサルのMatkaと組み合わせて使うと説明しており、買い手側の「次の事業」に役立つ技能があれば、売上が伸び悩んでいても買われる例です。
2026年7月1日に株式譲渡実行予定として開示され、その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。
スナップマート株式会社
デジタル素材販売サイト「Snapmart」の運営、商品撮影、SNSマーケティング/東京都渋谷区/2016年8月設立
- 取得価額
- 1,000万円
- 対象の売上
- 1億1,800万円
- 対象の営業利益
- △2,100万円
- 対象の純資産
- △4,800万円
決算期:2022年12月期/譲渡前の株主:ピクスタ株式会社(上場企業)が100%保有/株式の取得価額は1,000万円。これとは別に、売り手(ピクスタ)がスナップマートに貸していた5,000万円の債権を額面の5,000万円で譲り受けている。譲渡実行日の財政状態と将来キャッシュ・フローを考慮して協議で決定
買収理由:クリエイターエコノミー領域の強みを取り込み、SNSマーケティング支援事業を伸ばす
売上1億1,835万円・営業損失2,124万円・純資産マイナス4,839万円の債務超過。それでも株式は1,000万円の値段がつきました。ただし買い手は親会社からの借入5,000万円も額面で引き取っています。株の値段だけを見ると安く見えますが、実際の支払いは合計6,000万円です。債務超過の会社を売るときは、株の値段と借入金の処理をセットで交渉することが読み取れます。
2024年2月にガイアックス本体のジェニックラボ事業を会社分割で承継し、あわせて商号を変更する予定と開示されています。新しい商号は手元の開示では確認できていません。
株式会社ロコタビ
海外在住日本人に現地案内や通訳を頼めるマッチングプラットフォーム「ロコタビ」の運営/東京都千代田区/2015年12月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 9,700万円
- 対象の営業利益
- △5,800万円
- 対象の純資産
- △2,100万円
決算期:2019年11月期/譲渡前の株主:創業者の椎谷豊87.26%(ガイアックスは取得前から11.56%を出資)/相手先との合意により非公表
買収理由:シェアリングエコノミー分野の強化。コロナ後の海外現地調査や業務代行の需要
売上9,700万円・営業損失5,765万円・純資産マイナス2,129万円の債務超過。売上は4,560万円→7,200万円→9,730万円と伸びていた一方、赤字が膨らんでいる局面での譲渡でした。出資していた株主がそのまま過半数を買い取る形で、ベンチャー出資を受けている会社にとっては、既存の株主が出口になる例です。
法人・社名は残っています。2025年12月期は売上1億8,890万円・営業利益1,906万円で債務超過も解消しました。2026年3月に経営陣6名が第三者割当増資を引き受け、ガイアックスの持分は70.59%から60.33%に下がり、純投資目的の保有として連結から外れています。
アイ・オーシステムインテグレーション株式会社
製造業向けERP・生産管理システムの構築、情報処理システムの開発・販売・保守/群馬県前橋市/1995年10月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 4億6,500万円
- 対象の営業利益
- 6,500万円
- 対象の純資産
- 1億6,700万円
決算期:2015年8月期/譲渡前の株主:須田正人ほか個人4名が88.9%、朝日工業株式会社が11.1%/株式取得先との合意により非開示。自社で株式価値を検討した結果と、各株主の取得価額等を勘案して協議で決定
買収理由:得意な顧客業種・技術領域が異なる電縁とのノウハウ共有、営業協力
売上4億6,456万円・営業利益6,475万円(利益率14%)・純資産1億6,671万円。個人5名と事業会社1社に株が分かれていましたが、全員から買い集めて100%にしています。地方(群馬)の製造業向けシステム会社でも、顧客基盤があれば東京の会社に買われます。ただし下の通り、親会社ごと1年半後に別の上場企業へ渡りました。
2017年11月、親会社の電縁の株式67%がクラウドワークスへ6億4,300万円で譲渡され、アイ・オーシステムインテグレーションも電縁の子会社のままガイアックスの連結から外れました。
株式会社Costyleの「notteco」事業
相乗りマッチング型の長距離ライドシェアサービス「notteco」の運営/東京都渋谷区/譲渡会社は2014年4月設立設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:株式会社Costyle(株主構成は非開示)/非開示。「連結財務状況に与える影響は軽微」
買収理由:シェアリングエコノミー関連サービスのラインナップ拡充
会社ではなくサービス1本だけを譲り受けた案件です。業績は開示されていません。受け皿として専用の子会社を新たに作り、そこへ事業を移しています。
2022年3月、nottecoの事業はアディッシュプラス(アディッシュの子会社)へ譲渡されました。その時点の事業の売上は0円と開示されています。
株式会社ベンチャー広報
広報・PRの戦略立案と業務代行、コンサルティング、ネットメディアの企画運営/埼玉県さいたま市/2010年2月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 2,900万円
- 対象の営業利益
- 80万円
- 対象の純資産
- 200万円
決算期:2014年1月期/譲渡前の株主:代表取締役の野澤直人が100%保有/開示なし
買収理由:中堅中小企業の顧客基盤を取り込み、ソーシャルメディア関連サービスとの相乗効果を出す
売上2,874万円・営業利益82万円・純資産208万円、資本金200万円の会社です。この一覧でも最小級の案件です。売上は927万円→1,676万円→2,874万円と毎年伸びていました。社長の野澤直人氏はその後ガイアックスの執行役管理本部長に就任しており、2026年の開示でも同職にあります。会社と一緒に社長自身が買い手の経営陣に迎えられた例です。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された1件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- スナップマート株式会社1,000万円(売上の0.08倍)※営業赤字での譲渡
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社ガイアックスが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日