3987東証グロース(札証アンビシャス重複上場)

エコモット株式会社のM&A実績

札幌のIoT企業で、「事業領域の拡大」を掲げて数年に1件のペースで買っています。売り手は個人オーナーが中心で、5件中4件は直前期が営業赤字の会社でした。暖房設備のメンテナンス、回路設計、太陽光の施工、気象情報、水産加工と、本業から離れた業種にも手を出しています。一方で、買った会社を数年で手放した例が3件あります。

エコモット株式会社が公表した適時開示5件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
北海道札幌市
設立
―
事業内容
IoTインテグレーション事業。建設現場向けの「現場ロイド」、融雪システムの遠隔監視「ゆりもっと」など、センサーとAIを使った監視・省人化のサービスを提供
売上高
30億300万円(2025年8月期(連結))
営業利益
4,900万円
純資産
7億8,400万円

どんな会社を買っているか

買う業種
暖房・空調設備のメンテナンス/電気・電子回路設計、ソフトウェア開発/太陽光発電設備の施工、電気工事/気象情報提供(建設現場向け)/水産加工
対象の規模
対象の売上 0.87億円〜12.2億円
手法
株式譲渡(100%取得)と事業譲受。事業譲受では新設・既存の子会社が受け皿になり、負債は引き継がない形をとっている
赤字でも買うか
買っている(実績あり)
買収後の扱い
買った会社を長く持ち続けるとは限りません。2019年のストーク(のちのゴモジー)は2023年に経営陣へMBOで、2021年のフィットは同年に人材紹介会社へ、2022年に事業を譲り受けたパワーでんきイノベーションは2025年に再エネ会社へ、それぞれ売却しています。いずれも「想定したシナジーが出なかった」「IoT・AIに集中する」が理由として開示されています。
  • 取得価額が出ているのは5件中2件です。残りは「秘密保持義務」を理由に非開示、ストークは価格の項目自体がありません
  • 藤山水産加工は売上12億2,000万円・純資産2億4,300万円の会社を約203万円で取得しています。直前期は営業赤字3,300万円でした
  • 会社更生手続中の会社からも事業を買っています(ライフビジネスウェザー、譲受価額3,200万円)
  • 手放すときの価格は開示されることがあります。パワーでんきイノベーションは5,000万円で譲渡されました

買収の履歴5件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年5月29日事業譲受(子会社GRIFFYが全事業を譲受)。会社更生手続中のため東京地方裁判所の許可が条件。負債は引き継がない

株式会社ライフビジネスウェザーの全事業

気象情報提供サービス(建設現場向けの「建設気象」)/東京都中央区/1998年1月設立

取得価額
3,200万円
対象の売上
1億2,100万円
対象の営業利益
△1億1,200万円
対象の純資産
9,200万円

決算期:2025年12月期/譲渡前の株主:株式会社GRIFFY(買い手の子会社)19.3%、石川勝敏17.7%、株式会社ドワンゴ15.4%ほか(2024年12月末時点)/譲受価額32百万円(現金決済)。譲り受ける資産(工具器具備品・ソフトウェア)の金額32百万円と同額。あわせて、GRIFFYが持っていた同社株式19.3%について投資有価証券評価損20百万円を計上

買収理由:建設現場の安全管理に欠かせない高精度の気象予測を取り込み、IoT・AIと組み合わせた建設DXを作る

売上1億2,100万円、営業損失1億1,200万円。前の期まで営業利益400万円・600万円と小さく黒字だったものが、一気に赤字へ落ち、2026年4月に会社更生手続に入っていました。買い手は以前から株主で、サービスの利用者でもあった会社です。取引先・株主として事業の中身を知っている相手が、経営が行き詰まった後も事業の受け皿になった例です。価格は資産の額と同じ3,200万円で、のれんの影響は「軽微」とされています。

買収後存続2026年10月12日時点

2026年7月1日に事業譲受が完了し、子会社GRIFFYのもとで事業が続いています。その後の売却や統合の開示はありません。

確認元:(開示事項の経過)事業譲受完了に関するお知らせ

出典:連結子会社の事業譲受及び新たな事業の開始並びに特別損失の計上に関するお知らせ

2026年3月2日株式譲渡(100%取得、決議当日に実行)

株式会社藤山水産加工

水産物の加工・販売、冷凍食品の製造・販売、鮮魚の仲買、製氷/北海道白糠郡白糠町/1986年1月設立

取得価額
203万円
対象の売上
12億2,000万円
対象の営業利益
△3,300万円
対象の純資産
2億4,300万円

決算期:2025年8月期/譲渡前の株主:藤原修治71.0%、藤原美保29.0%(個人2名)/普通株式200株で2,034,925円。第三者機関の算定結果をもとに相手先と協議して決定。直前期の純資産243百万円に対して約0.8%の金額

買収理由:水産加工の現場を、画像解析による自動選別やロボットなど「フィジカルAI」の開発拠点にする

創業40年、売上12億2,000万円(11億4,600万円→11億9,800万円→12億2,000万円と増収)・純資産2億4,300万円。それでも取得価額は約203万円でした。営業損益は△200万円→△800万円→△3,300万円と3期続けて赤字で、赤字幅が広がっていた局面です。価格の理由は開示から読めませんが、売上が伸びていても、利益が出ていない会社の株価は純資産よりはるかに低く決まることがあるという実例です。買い手はIoT企業で、人手不足の加工現場を自動化の実験場として欲しがった、という異業種からの買収でもあります。

買収後存続2026年10月12日時点

2026年3月2日に株式譲受を実行済み。その後の商号変更や合併、売却の開示はありません。

確認元:株式会社藤山水産加工の株式取得(連結子会社化)及び新たな事業の開始に関する決議のお知らせ

出典:株式会社藤山水産加工の株式取得(連結子会社化)及び新たな事業の開始に関する決議のお知らせ

2022年10月14日事業譲受(新設した子会社パワーでんきイノベーションが譲受)。棚卸資産と有形固定資産の一部を引き継ぎ、負債は引き継がない

有限会社パワーでんきカンパニーの事業

太陽光発電設備の造成・販売施工、電気工事(建設現場用の太陽光&蓄電システム「ここでもでんき」)/群馬県高崎市/1998年4月設立

取得価額
―
対象の売上
8億6,500万円
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:2021年8月期(譲受事業)/譲渡前の株主:個人1名(津田 博之)が100%保有/秘密保持条項により非開示。譲り受けた資産(棚卸資産・有形固定資産)の簿価は54百万円。正ののれんが発生する見込みと開示されており、価格はこの簿価を上回る/譲り受けた事業の売上高(開示上の決算期表記は2021年8月期)

買収理由:蓄電池技術と充放電監視システムの新しい市場づくり。建設現場向けサービス「現場ロイド」と太陽光・蓄電システムを組み合わせる

譲受事業の売上8億6,500万円、経常損失1,400万円。会社全体の純資産は1億4,900万円でした。社長の津田氏は、受け皿の子会社の代表取締役にそのまま就いています。会社は手元に残し、事業だけを渡して自分は新会社の社長として続ける形です。ただしその子会社は売上6億5,900万円まで伸ばしたものの赤字が続き、2025年8月に別の会社へ5,000万円で売却されました。買い手が変わる可能性も含めて、譲渡後の立場を考えておく必要があることが分かる例です。

買収後再売却2026年10月12日時点

2022年12月16日に譲受完了。受け皿の株式会社パワーでんきイノベーションは、2025年8月29日付でファイバーゲートの子会社である株式会社オフグリッドラボへ全株式(譲渡価額5,000万円)が譲渡され、グループから外れました。

確認元:連結子会社の異動(株式譲渡)及び特別利益計上に関するお知らせ(株式会社パワーでんきイノベーション)

出典:当社子会社における事業譲受に関するお知らせ

2021年2月15日株式譲渡(100%取得)

株式会社フィット

電気・電子回路設計、機械設計、ソフトウェア開発設計、生体認証セキュリティ機器の販売・設置/北海道札幌市/2005年3月設立

取得価額
―
対象の売上
1億3,200万円
対象の営業利益
△500万円
対象の純資産
3,000万円

決算期:2020年2月期/譲渡前の株主:長内敏範81.7%、福岡強18.3%(個人2名)/株式譲渡契約の秘密保持義務により非開示

買収理由:画像・通信(5G)分野の設計力を取り込み、グループのサプライチェーンに組み込んで共同開発と販路拡大を図る

売上1億3,200万円・営業損失500万円・純資産3,000万円。売上は1億6,000万円→1億5,100万円→1億3,200万円と減り、営業損益も600万円→△300万円→△500万円と悪化していた局面です。小さく、下り坂の会社でも上場企業の子会社になっています。取得後は売上1億5,091万円、営業利益678万円まで戻しましたが、2023年8月に人材紹介会社のドゥーファへ売却されました(売却益900万円)。

買収後再売却2026年10月12日時点

2023年8月31日付で全株式が株式会社ドゥーファへ譲渡されました。理由は「シナジー効果を発揮するまでにはなお一定の時間を要する見込み」とされています。

確認元:連結子会社の異動(株式譲渡)及び特別利益計上に関するお知らせ(株式会社フィット)

出典:株式会社フィットの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2019年8月9日株式譲渡(100%取得)

株式会社ストーク

空調・暖房設備機器の製造・販売・保守、制御機器・ソフトウェアの設計/北海道札幌市/2013年1月設立

取得価額
―
対象の売上
8,700万円
対象の営業利益
△1,200万円
対象の純資産
―

決算期:2019年3月期/譲渡前の株主:開示なし/開示に取得価額の記載なし

買収理由:商業施設を中心とした顧客基盤への融雪遠隔監視「ゆりもっと」の販売と、暖房設備のメンテナンス人員・ノウハウの共有

売上8,700万円、営業損益は△2,300万円→△1,000万円→△1,200万円と3期続けて赤字でした。それでも商業施設・学校・病院への導入実績という顧客基盤が買われています。ただしその後は売上が2億8,400万円まで伸びた年もあったものの7,600万円まで落ち、4年後の2023年8月に経営陣へMBOで売り戻されました(社名はゴモジーに変更済み)。

買収後再売却2026年10月12日時点

社名を株式会社ゴモジーに変更したのち、2023年8月31日付で代表取締役の花田浩二氏ら(MBO)へ全株式が譲渡されました。理由は「事業の拡大スピードが鈍化し、想定したシナジー効果が発揮するに至らなかった」とされています。

確認元:連結子会社の異動(株式譲渡)及び特別利益計上に関するお知らせ(株式会社ゴモジー)

出典:株式会社ストークの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された2件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 株式会社ライフビジネスウェザーの全事業3,200万円(売上の0.26倍)※営業赤字での譲渡
  • 株式会社藤山水産加工203万円(売上の0.00倍)※営業赤字での譲渡

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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本ページはエコモット株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日