日創グループ株式会社のM&A実績
「加工」を軸に、製造業や建設まわりの中小企業を2016年から買い続けている会社です。売り手はほぼすべて個人株主で、1名から13名まで、親族や役員に株が散っている会社もそのまま100%買っています。第4次中期経営計画では3年間で50億円のM&A投資枠を掲げており、取得価額をはっきり出す案件が多いのが特徴です。
日創グループ株式会社が公表した適時開示16件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 福岡県福岡市南区
- 設立
- ―
- 事業内容
- 金属加工の日創プロニティを中心に、ゴム・ウレタン・プラスチックなどの化成品、建設・工務店、タイル・木材・家具、不動産分譲までを束ねる持株会社(2025年6月に日創プロニティから商号変更)
- 売上高
- 230億3,700万円(2025年8月期(連結))
- 営業利益
- 13億8,300万円
- 純資産
- 126億4,800万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 金属加工・精密切削・防音設備の製造/ゴム・ウレタン・プラスチック製品/タイル・内装木材・家具/建設工事・工務店/畜産排泄物処理プラント/マンション分譲・リノベーション
- 対象の規模
- 対象の売上 5.7億円〜44.4億円(単体)。B SLASHグループは事業会社3社の合算で約59億円
- 手法
- 株式譲渡による100%取得が中心。子会社の日創エンジニアリングが買う形(孫会社化)や、持株会社ごと買って傘下の事業会社を孫会社にする形、子会社カナエテによる事業譲受もある
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残すのが基本です。公式サイトのグループ企業一覧には、2016年に買った吾嬬ゴム工業から2025年の泉製作所・穴井工務店まで並んでいます。一方で、同業の子会社と合併させた例(壹会→日創エンジニアリング)や、8年持った後に同業大手へ売った例(ダイリツ→空研工業)もあります。
- 取得価額の開示が多い買い手です。16件のうち11件で金額が出ており、アドバイザリー費用の概算まで別に書かれています
- 金額は対象の純資産の0.1倍〜2.1倍に分布しています。1倍前後の案件が多い一方、純資産を大きく下回る価格の案件もあり、ニッタイ工業の取得では負ののれん発生益が出ると開示されました
- 金額が出ていない案件も、「適時開示基準に該当しない」(=小さい)、「連結純資産の15%を上回る」(=大きい)といった書き方で、おおよその規模が読めます
- 買った会社を売ることもあります。2018年に取得したダイリツは、2026年に空研工業へ18億円で譲渡されました
- 海外ではベトナムの設計会社(HIMAWARI SEKKEI VIETNAM)の持分を2025年に取得していますが、グループ内の設計業務の受け皿づくりが目的のため、一覧からは外しています
買収の履歴16件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社B SLASH HOLDINGS(ベルフラッツ、ビーズネクサス、ビーズコンセプションの持株会社)
首都圏でのマンションの企画開発・分譲、リノベーション、デザイン監修/東京都渋谷区/2021年10月(中核のベルフラッツは1995年12月)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 59億3,400万円
- 対象の営業利益
- 2億9,600万円
- 対象の純資産
- ―
決算期:2025年7月期・2025年2月期・2025年10月期(3社の単純合算)/譲渡前の株主:個人2名が100%保有(氏名は非公開)/非開示(売り手2名の要望による秘密保持契約)。ただし「単体・連結いずれの純資産額でも15%を上回る金額」と明記されており、2025年8月期の連結純資産126億4,800万円の15%=約19億円を上回ると読める。第三者機関の評価等を勘案して決定/傘下の事業会社3社(ベルフラッツ4,632百万円・ビーズネクサス1,273百万円・ビーズコンセプション29百万円)の単純合算。決算期が7月・2月・10月とばらばら。持株会社単体の売上は54百万円
買収理由:首都圏での自社ブランドマンション開発力の取り込みと、グループのタイル・内装木材・家具をマンションの企画に反映させる
中核のベルフラッツは売上46億3,200万円・営業利益2億5,300万円・純資産7億6,800万円。売上は66億800万円→50億7,200万円→46億3,200万円と2期続けて減っていましたが、営業利益は1億7,400万円から2億5,300万円に戻しています。この会社の案件で唯一「15%を上回る」と書かれた、いちばん大きな買い物です。売り手側が先に持株会社を作って3社をぶら下げていたため、持株会社の株を2名から買うだけでグループ全体が移っています。
2026年5月7日に株式譲渡実行予定として開示。公式サイトのグループ企業一覧にベルフラッツとビーズネクサスが載っています。持株会社のB SLASH HOLDINGSとビーズコンセプションは一覧に載っていませんが、合併等の開示は確認できていません。
株式会社穴井工務店
注文住宅・リフォームの設計施工、賃貸住宅の建設/福岡県福岡市/1972年11月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人3名が100%保有(氏名は非公開)/非開示。「適時開示基準には該当しない」と明記されており、小規模な取得と読める
買収理由:地域密着の設計施工力と、グループのタイル・内装木材・家具を組み合わせて住宅の価値を高める
従業員7名の地場工務店です。業績は開示されていませんが、累計1,500棟超の施工実績、そのうち600棟超が賃貸住宅という実績が取得理由に並んでいます。開示義務のない規模でも、上場企業がわざわざ任意で開示して買っています。親子2代の継続受注や紹介が多いことも強みとして書かれており、数字に出にくい顧客基盤も評価の対象になる例です。
株式会社泉製作所
自動車内装部品などのプラスチック射出成形、樹脂用金型の製造/愛知県春日井市/1993年4月(創業1987年5月)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 22億2,300万円
- 対象の営業利益
- 2億3,700万円
- 対象の純資産
- 15億2,900万円
決算期:2025年3月期/譲渡前の株主:非開示(守秘義務契約による)/非開示(売主との守秘義務契約による)。第三者機関による評価等を勘案して決定
買収理由:自動車メーカーの一次請けとの長年の取引による安定受注を取り込み、グループ業績の振れ幅を小さくする
売上22億2,300万円・営業利益2億3,700万円・純資産15億2,900万円、従業員106名。純資産は3期で11億7,000万円→15億2,900万円と積み上がっていました。買い手は「内装部品はモデルライフ5〜7年を通じて受注が見込める」点を取得理由に挙げており、取引先との長い関係そのものが評価の材料になっています。
大鳳株式会社(子会社フォームテックスを含む)
ウレタン素材のパッキン・シール材の販売(子会社フォームテックスで加工)/東京都中央区/1984年9月設立
- 取得価額
- 18億3,500万円
- 対象の売上
- 27億1,500万円
- 対象の営業利益
- 2億5,100万円
- 対象の純資産
- 13億2,600万円
決算期:2024年3月期/譲渡前の株主:個人10名が100%保有(氏名は非公開)/アドバイザリー費用等(概算)4百万円を加えた合計は1,839百万円/大鳳単体の数値。子会社フォームテックスは別に売上460百万円・営業利益13百万円・純資産181百万円
買収理由:300社を超える取引先網を取り込み、吾嬬ゴム工業など化成品分野の事業を広げる
売上27億1,500万円・営業利益2億5,100万円・純資産13億2,600万円に対して18億3,500万円。営業利益の約7.3倍、純資産の約1.4倍です。売上は22億1,200万円→23億4,400万円→27億1,500万円、営業利益も1億5,800万円→2億5,100万円と伸びている最中の譲渡でした。この会社で金額が出ている案件のうち最大です。売り手10名に対してアドバイザリー費用は400万円と、他の案件より目立って少なく書かれています。
シキファニチア株式会社
家庭用・業務用のダイニングチェア、テーブルなど洋家具の製造販売/福岡県朝倉市/1970年12月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人6名が100%保有(氏名は非公開)/非開示。「適時開示基準には該当しない」と明記されており、小規模な取得と読める
買収理由:家具の加工技術を取り込み、グループの内装材と合わせて空間デザインの提案力を高める
「SIKI」ブランドの家具を自社工場で一貫生産するメーカーです。業績は開示されていませんが、連結にも入れないほど小さい規模でも、買い手は取得して任意で開示しています。株主は6名に分かれていました。
株式会社マルトク
内装用木材・集成材の加工販売、オーダーカットのEC販売/香川県高松市/1954年10月(創業1920年)設立
- 取得価額
- 3億3,000万円
- 対象の売上
- 6億円
- 対象の営業利益
- 700万円
- 対象の純資産
- 2億7,700万円
決算期:2023年8月期/譲渡前の株主:個人5名が100%保有(氏名は非公開)/アドバイザリー費用等(概算)29百万円を加えた合計は359百万円
買収理由:EC販路と木材という素材を取り込み、グループの金属・ゴム・タイルと組み合わせた製品をつくる
売上6億円・営業利益700万円・純資産2億7,700万円に対して3億3,000万円。純資産の約1.2倍です。売上は6億7,800万円→6億4,100万円→6億円、営業利益も3,200万円→700万円と下がり続けていましたが、純資産を上回る値がついています。売上の約6割を自社ECのオーダーカットで稼ぐ仕組みが評価の中心で、創業100年超の老舗でも、新しい販路を持っていれば利益が細っていても買い手がつく例です。
株式会社Japonlineのシステム受託開発事業
EC関連を中心としたWEBシステムの受託開発/福岡県福岡市/譲渡会社は2017年2月設立設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/非開示。上場規程の軽微基準に該当する規模で、任意開示
買収理由:ものづくりWEBサービス「カナエテ」に必要なシステム開発力、マーケティング、UIデザインの取り込み
資本金700万円のシステム会社から、会社ではなく受託開発事業だけを買っています。中小企業庁の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選ばれた実績が開示文に書かれており、外部からの表彰歴が技術力の裏付けとして使われています。金額・業績は開示されていません。
事業はカナエテに移り、カナエテは公式サイトのグループ企業一覧に「システム開発・EC運営」の会社として載っています。カナエテには2025年1月と2026年2月に親会社からの増資が行われています。
株式会社天神製作所
畜産排泄物処理プラント(堆肥撹拌機、ペレットマシーン)の設計・製造・施工・メンテナンス/宮崎県都城市/1993年10月設立
- 取得価額
- 8億円
- 対象の売上
- 5億7,100万円
- 対象の営業利益
- 1,200万円
- 対象の純資産
- 3億7,600万円
決算期:2022年9月期/譲渡前の株主:個人1名が100%保有(氏名は非公開)/アドバイザリー費用等(概算)40百万円を加えた合計は840百万円
買収理由:畜産業界向け製品の相互販売と、内製化・購買先の共有によるコスト競争力の向上
売上5億7,100万円・営業利益1,200万円・純資産3億7,600万円に対して8億円。純資産の約2.1倍です。直前期は営業利益が1億1,000万円から1,200万円に落ち込み、2期前には最終赤字9,900万円も出していましたが、それでも純資産の倍以上の値がついています。直近1期の数字だけで値段が決まるわけではないことを示す例です。株主は1名でした。
株式会社エヌ・テクノス
防音BOX・消音ダクトの設計・販売(ワタナベテクノスの兄弟会社)/福岡県飯塚市/2014年9月設立
- 取得価額
- 3億円
- 対象の売上
- 10億3,600万円
- 対象の営業利益
- 8,500万円
- 対象の純資産
- 2億100万円
決算期:2022年8月期/譲渡前の株主:個人8名(ワタナベテクノスと合わせた売り手。氏名は非公開)/ワタナベテクノスの400百万円と、両社分のアドバイザリー費用等(概算)33百万円を合わせた合計は733百万円
買収理由:ワタナベテクノスと一体で、筐体の設計・販売機能を取り込む
売上10億3,600万円・営業利益8,500万円・純資産2億100万円に対して3億円。営業利益の約3.5倍、純資産の約1.5倍です。資本金300万円、設立8年の販売会社ですが、純資産は3期で7,600万円→2億100万円まで増えていました。販売だけの会社でも、製造会社と組で評価されています。
株式会社ワタナベテクノス
データセンターの発電機向けなどの防音BOX・消音ダクトの設計・製造・販売/福岡県飯塚市/2002年8月設立
- 取得価額
- 4億円
- 対象の売上
- 10億4,100万円
- 対象の営業利益
- 1億2,000万円
- 対象の純資産
- 3億6,300万円
決算期:2022年7月期/譲渡前の株主:個人8名(エヌ・テクノスと合わせた売り手。氏名は非公開)/エヌ・テクノスの300百万円と、両社分のアドバイザリー費用等(概算)33百万円を合わせた合計は733百万円
買収理由:筐体の製作力を加え、最終製品に近いところまでグループで一貫生産できる体制をつくる
売上10億4,100万円・営業利益1億2,000万円・純資産3億6,300万円に対して4億円。営業利益の約3.3倍、純資産の約1.1倍です。売上は7億6,000万円→9億4,300万円→10億4,100万円、営業利益も3,900万円→1億2,000万円と伸びていました。資本金500万円の会社です。製造会社と販売会社に分かれていても、まとめて1つの取引で売れています。
公式サイトのグループ企業一覧に社名のまま載っています。2026年12月1日付で金属加工の製造事業を日創プロニティへ移す吸収分割が予定されており、その後は設計・営業に特化した会社として残る予定です。
エヌ・トレーディング株式会社
タイルの輸入販売(主にニッタイ工業向け)/愛知県知多郡武豊町/2006年3月設立
- 取得価額
- 2億1,200万円
- 対象の売上
- 10億8,000万円
- 対象の営業利益
- 1,300万円
- 対象の純資産
- 1億9,400万円
決算期:2022年3月期/譲渡前の株主:個人13名・法人2社(ニッタイ工業と合わせた売り手。名称は非公開)/ニッタイ工業の1,587百万円と、アドバイザリー費用等(概算)85百万円を合わせた合計は1,885百万円。この会社はニッタイ工業株式の11.8%を保有していた
買収理由:ニッタイ工業と一体で、タイルの調達機能を取り込む
売上10億8,000万円・営業利益1,300万円・純資産1億9,400万円に対して2億1,200万円。純資産とほぼ同じ値段です。ただしこの会社はニッタイ工業の株式11.8%を持っていたので、価格にはその分も含まれていると読めます。本体と関係会社の間で株を持ち合っている場合、まとめて売る形になります。
2023年2月13日に株式取得を実行。公式サイトのグループ企業一覧には社名がありませんが、合併・譲渡などの開示は確認できておらず、どうなったかは追えていません。
ニッタイ工業株式会社
タイルの製造・販売・卸売/愛知県知多郡武豊町/1969年12月設立
- 取得価額
- 15億8,700万円
- 対象の売上
- 44億4,300万円
- 対象の営業利益
- 5,200万円
- 対象の純資産
- 36億1,700万円
決算期:2022年3月期/譲渡前の株主:個人13名・法人2社(エヌ・トレーディングと合わせた売り手。名称は非公開)/エヌ・トレーディングの212百万円と、アドバイザリー費用等(概算)85百万円を合わせた合計は1,885百万円。中国子会社の清算完了を条件とし、2023年2月13日に実行。取得により負ののれん発生益が出ると開示された
買収理由:タイルという新しい素材を加え、営業協力で事業基盤を広げる
売上44億4,300万円・純資産36億1,700万円に対して、88.2%分で15億8,700万円。純資産の半分以下の値段です。営業利益は1億4,300万円→900万円→5,200万円と細っており、純資産が厚くても利益が出ていなければ、純資産どおりの値はつかないことが分かる案件です。買い手側には負ののれん発生益が出ました。また売り手が先に中国子会社を清算することが取引の条件になっており、海外子会社のような手のかかるものは売る前に片付けるよう求められることがあります。
2023年2月13日に株式取得を実行。公式サイトのグループ企業一覧に社名のまま載っています。
いちえホールディングス株式会社(事業会社 株式会社壹会の持株会社)
建築物の金属パネル・ルーバーなど建築金物・金属製建具の設計施工/東京都千代田区/2018年7月(事業会社の壹会は1988年6月)設立
- 取得価額
- 5,000万円
- 対象の売上
- 7億500万円
- 対象の営業利益
- △4,300万円
- 対象の純資産
- 1億2,400万円
決算期:2021年11月期(壹会)/譲渡前の株主:個人5名が100%保有(氏名は非公開)/アドバイザリー費用等(概算)28百万円を加えた合計は78百万円/事業会社 壹会の数値。持株会社いちえHD単体は売上なし、純資産13百万円
買収理由:グループの金属パネル・内外装材と同じサプライチェーンにある工事会社を取り込む
壹会は売上7億500万円・営業損失4,300万円・純資産1億2,400万円。売上が11億8,200万円から7億500万円へ急減し、営業赤字に転じた直後の譲渡です。価格は5,000万円で、壹会の純資産の約4割でした。アドバイザリー費用2,800万円は価格の半分を超えています。赤字に落ちても、買い手の事業とつながる工事の技術があれば引き取り手はいます。
2024年3月18日開示の『連結子会社による孫会社の吸収合併に関するお知らせ』で、壹会は2024年6月1日付で日創エンジニアリングに吸収合併されると発表されました(この時点で壹会は日創エンジニアリングの100%子会社)。持株会社いちえHDもグループ企業一覧に載っていません。
株式会社ダイリツ
空調用ダンパー(自動制御・防火・防煙)、制御機器、制気口などの製造/愛知県名古屋市/1961年5月設立
- 取得価額
- 5,100万円
- 対象の売上
- 12億3,400万円
- 対象の営業利益
- 1億4,900万円
- 対象の純資産
- 4億5,400万円
決算期:2017年4月期/譲渡前の株主:個人3名が100%保有(氏名は非公開)/アドバイザリー費用等(概算)33百万円を加えた合計は84百万円
買収理由:「加工」をキーワードにした事業の多角化。営業協力による市場の拡大
売上12億3,400万円・営業利益1億4,900万円・純資産4億5,400万円に対して5,100万円。純資産の約1割、営業利益の半年分にも届かない値段です。総資産16億4,700万円に対して純資産4億5,400万円と、負債の比率が高い会社でした。開示からは価格の理由までは読めません。その後8年で純資産は8億1,900万円に増え、2026年には同業大手の空研工業へ18億円で譲渡されています。
2026年6月26日付で全株式を空研工業株式会社へ1,800百万円で譲渡(予定として開示)。日創グループの個別決算で関係会社株式売却益1,715百万円を計上する見込みです。譲渡直前の2025年6月期は売上11億8,700万円・営業利益1億9,200万円・純資産8億1,900万円でした。
綾目精機株式会社
印刷機械・工作機械・放射光設備・超伝導関連部品などの金属精密切削加工/広島県府中市/1988年4月設立
- 取得価額
- 4億8,000万円
- 対象の売上
- 5億8,300万円
- 対象の営業利益
- 3,800万円
- 対象の純資産
- 3億2,700万円
決算期:2016年1月期/譲渡前の株主:個人2名が100%保有(氏名は非公開)/アドバイザリー費用等(概算)26百万円を加えた合計は506百万円
買収理由:金属加工の幅を広げ、営業協力で市場対応を広げる
売上5億8,300万円・営業利益3,800万円・純資産3億2,700万円に対して4億8,000万円。純資産の約1.5倍、営業利益の約12.6倍です。営業利益は500万円→1,500万円→3,800万円と回復局面でした。短納期・高精度の切削技術と自社での治具・刃物製造が評価されており、売上5億円規模でも技術がはっきりしていれば利益の10倍超の値がつく例です。
吾嬬ゴム工業株式会社
住宅・機械・下水道向けなどの工業用ゴム製品の製造/群馬県藤岡市/1982年7月設立
- 取得価額
- 9億円
- 対象の売上
- 14億2,700万円
- 対象の営業利益
- 1億5,300万円
- 対象の純資産
- 7億5,800万円
決算期:2015年3月期/譲渡前の株主:個人9名が100%保有(氏名は非公開)/アドバイザリー費用等(概算)46百万円を加えた合計は946百万円。独立した第三者機関の評価額を基に協議して決定
買収理由:金属加工に加えてゴム加工を取り込み、事業を多角化する(M&A1件目)
売上14億2,700万円・営業利益1億5,300万円・純資産7億5,800万円に対して9億円。営業利益の約5.9倍、純資産の約1.2倍です。営業利益は7,200万円→1億100万円→1億5,300万円と伸びていました。この会社の最初の買収で、ここから10年続くM&Aの起点になっています。株主は9名に分かれていましたが、全員から100%を取得しています。
公式サイトのグループ企業一覧に社名のまま載っています。2024年取得の大鳳の取得理由でも、化成品分野の中核として名前が挙がっています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された11件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 大鳳株式会社(子会社フォームテックスを含む)18億3,500万円(売上の0.68倍・営業利益の7.3倍)
- 株式会社マルトク3億3,000万円(売上の0.55倍・営業利益の47.1倍)
- 株式会社天神製作所8億円(売上の1.40倍・営業利益の66.7倍)
- 株式会社エヌ・テクノス3億円(売上の0.29倍・営業利益の3.5倍)
- 株式会社ワタナベテクノス4億円(売上の0.38倍・営業利益の3.3倍)
- エヌ・トレーディング株式会社2億1,200万円(売上の0.20倍・営業利益の16.3倍)
- ニッタイ工業株式会社15億8,700万円(売上の0.36倍・営業利益の30.5倍)
- いちえホールディングス株式会社(事業会社 株式会社壹会の持株会社)5,000万円(売上の0.07倍)※営業赤字での譲渡
- 株式会社ダイリツ5,100万円(売上の0.04倍・営業利益の0.3倍)
- 綾目精機株式会社4億8,000万円(売上の0.82倍・営業利益の12.6倍)
- 吾嬬ゴム工業株式会社9億円(売上の0.63倍・営業利益の5.9倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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