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ファーストブラザーズ株式会社のM&A実績

不動産投資会社が、地方で不動産を持って事業をしている会社を、会社ごと買っている例です。青森のビル賃貸会社、大阪のビル管理会社、弘前の冷凍倉庫、香取のショッピングモール運営会社と、どれも土地・建物を抱えた地域の会社でした。売り手は創業家や個人オーナーが中心で、直近2件は「後継者不在」「株主から譲渡の意向」がきっかけと開示されています。

ファーストブラザーズ株式会社が公表した適時開示4件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
東京都千代田区
設立
―
事業内容
自己勘定での不動産投資(投資銀行事業)を主力に、不動産ファンドの運用、ホテル・旅館の運営を行う不動産投資会社
売上高
190億6,300万円(2025年11月期(連結))
営業利益
52億9,500万円
純資産
262億5,200万円

どんな会社を買っているか

買う業種
不動産賃貸(オフィスビル・商業施設)/ビル管理・設備点検・清掃/冷凍倉庫/ショッピングモールの運営
対象の規模
対象の売上 0.43億円〜18.4億円
手法
株式譲渡(子会社化)。買った子会社の東日本不動産や、子会社のファーストブラザーズキャピタルが買い手になる「孫会社化」の形も使う
赤字でも買うか
買っている(実績あり)
買収後の扱い
買った会社は社名のまま子会社として残しています。2019年に買った東日本不動産は、2025年に自ら菅原冷蔵を買う側に回りました。一方、2020年に買った富士ファシリティサービスは、2022年にビル管理などの事業を新会社に移し、その新会社を別の国内法人へ売却しています。
  • 4件のうち3件で取得価額が開示されています。いずれもアドバイザリー費用等を含んだ概算額です
  • 株式の代金とは別に、借入金の返済や自己株式の買取りの資金も出しています。東日本不動産では株式代金26億5,900万円に対して総額41億5,900万円、富士ファシリティサービスでは21億7,300万円に対して総額26億円と開示されています
  • 赤字の会社も買っています。菅原冷蔵は3期連続の営業赤字で、取得価額はアドバイザリー費用込みで676万円でした
  • 非開示の場合も「連結純資産額の3%未満」のように水準が書かれます。直近のサワラシティでは、2025年11月期の連結純資産262億5,200万円の3%=約7億8,800万円を下回ると読めます

買収の履歴4件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年9月30日株式譲渡(子会社ファーストブラザーズキャピタルが全株式を取得)。子会社の飯田自動車も併せてグループ入り

株式会社サワラシティ

ショッピングモール「サワラシティ」の運営(不動産賃貸業)。不動産賃貸業の飯田自動車株式会社を100%子会社に持つ/千葉県香取市/1978年10月設立

取得価額
―
対象の売上
2億9,300万円
対象の営業利益
4,500万円
対象の純資産
7億2,600万円

決算期:2025年9月期/譲渡前の株主:個人1名(樽谷 早苗)が100%保有。代表取締役本人/非開示(相手先が個人のため)。「直前事業年度末の連結純資産額の3%未満」と開示されており、2025年11月期の連結純資産26,252百万円の3%=約788百万円を下回ると読める。外部専門家の株式価値評価を勘案して決定/サワラシティ単体の数値。子会社の飯田自動車は売上21百万円・営業利益6百万円・純資産71百万円(2025年9月期)

買収理由:運営開始から約30年たった商業施設の修繕・更新投資と運営の最適化。株主から株式譲渡の意向が示されたことがきっかけ

売上2億9,300万円・営業利益4,500万円・純資産7億2,600万円。食品スーパーやドラッグストアが入る約800台の駐車場つきモールです。開業から約30年で大きな修繕の時期が来ていることが、譲渡の背景として書かれています。また2025年9月期に会社分割を行い、繰越利益剰余金が4億9,400万円減っています。子会社から2億1,400万円の配当も受けており、譲渡の前に会社の中身を整理していることが数字から読み取れます。

買収後実行前2026年10月12日時点

株式譲渡実行日は2026年10月30日(予定)と開示されています。

確認元:当社連結子会社による株式取得(連結子会社化)及び特定子会社の異動に関するお知らせ

出典:当社連結子会社による株式取得(連結子会社化)及び特定子会社の異動に関するお知らせ

2025年8月8日株式譲渡(子会社の東日本不動産が全株式を取得=孫会社化)

菅原冷蔵株式会社

冷凍倉庫(りんごジュースの保管など)/青森県弘前市/1990年1月設立

取得価額
676万円
対象の売上
4,280万円
対象の営業利益
△500万円
対象の純資産
3,310万円

決算期:2024年6月期/譲渡前の株主:齋藤幸子54.6%、齋藤良明45.4%(個人2名。齋藤良明は代表取締役)/普通株式とアドバイザリー費用等の合計(概算額)6,760千円。株式代金だけの金額は開示されていない

買収理由:後継者不在による事業承継。地域の物流インフラの維持と、保有資産の活用・関連事業への展開

売上4,278万円、営業損失496万円、純資産3,307万円。営業利益は3期連続の赤字(△238万円→△190万円→△496万円)でした。取得価額はアドバイザリー費用込みで676万円と、純資産の約5分の1です。それでも後継者のいない冷凍倉庫が、廃業ではなく上場企業グループへの譲渡で残った例です。買い手は東日本不動産で、2019年に同じ形でグループ入りした弘前の会社が、地元の会社を引き受けています。

買収後不明2026年10月12日時点

2025年8月8日に株式譲渡を実行済み。当期純利益の単位誤りを直す訂正開示(2025年8月13日)は出ていますが、その後の存続・合併を確かめられる開示は手元にありません。

確認元:(訂正)「当社連結子会社による株式取得(孫会社化)及び特定子会社の異動に関するお知らせ」の一部訂正について

出典:当社連結子会社による株式取得(孫会社化)及び特定子会社の異動に関するお知らせ

2020年7月10日株式譲渡(子会社化)

富士ファシリティサービス株式会社

ビル運営・管理、設備点検・清掃、警備、事務・システム受託支援(BPO)/大阪府大阪市/1963年11月設立

取得価額
21億7,300万円
対象の売上
18億3,300万円
対象の営業利益
8,600万円
対象の純資産
29億3,900万円

決算期:2020年3月期/譲渡前の株主:AIGハーモニー10.31%、AIG損害保険9.69%、その他15社・3名で80.00%(取引先2社が各9.31%、対象会社取締役2名が各2.09%など)/普通株式とアドバイザリー費用等の合計(概算額)。このほか対象会社の借入金約4億円の返済資金も買い手が出し、合計約2,600百万円と開示

買収理由:大阪をはじめ複数都市の営業拠点を足がかりにした活動領域の拡大

売上18億3,300万円・営業利益8,600万円・純資産29億3,900万円。取得価額21億7,300万円は純資産を下回る水準です。売上は22億4,300万円→19億9,500万円→18億3,300万円と減少が続いていました。株主が取引先や役員など17社・3名に分散していても、まとめて100%の譲渡が成立しています。ただし買収から約2年半後に、主な事業は別の会社へ売られています(下記)。

買収後再売却2026年10月12日時点

2022年12月1日、CRE事業とBPO事業を新設のFFS株式会社に吸収分割で移し、その全株式を国内法人(社名非開示)へ譲渡しました。買い手側は約6億1,500万円の関係会社株式売却益を計上する見込みと開示しています。分割元の富士ファシリティサービスのその後は開示で確認できていません。

確認元:(開示事項の経過)連結子会社における会社分割(吸収分割)および株式譲渡(孫会社の異動)による事業の一部譲渡に関するお知らせ

出典:富士ファシリティサービス株式会社の株式取得(子会社化)に係る株式譲渡契約締結のお知らせ

2019年3月28日株式譲渡(子会社化)。発行済株式の62.5%を買い手が取得し、残り37.5%は対象会社が自己株式として買い取る(資金は買い手が提供)

株式会社東日本不動産

不動産の売買・賃貸・管理(東北エリアのオフィスビル・商業施設)、再生可能エネルギー事業/青森県弘前市/1983年12月設立

取得価額
26億5,900万円
対象の売上
18億4,500万円
対象の営業利益
4億9,400万円
対象の純資産
16億5,900万円

決算期:2018年2月期/譲渡前の株主:有限会社東日本アセット(秋元浩が100%保有の資産管理会社)56.66%、秋元浩27.54%、その他個人4名15.80%/取得する普通株式225,000株とアドバイザリー費用等の合計(概算額)。残りの株式を自己株式として買い取る資金を合わせると合計約4,159百万円と開示

買収理由:東北エリアで地域に根差した不動産会社をグループに迎え、地域とともに成長する事業モデルを実現する

売上18億4,500万円・営業利益4億9,400万円・純資産16億5,900万円。総額約41億5,900万円は純資産の約2.5倍、営業利益の約8.4倍です。オーナーが資産管理会社と個人の両方で株を持っていても、一部は会社に自己株式として買い取らせる形で、まとめて手放せています。売上は14億4,500万円→17億2,200万円→18億4,500万円と伸びている局面での譲渡でした。

買収後存続2026年10月12日時点

2025年8月の菅原冷蔵取得の開示で、ファーストブラザーズが99.52%を保有する連結子会社(本社・青森県弘前市)として記載され、自ら買い手になっています。

確認元:当社連結子会社による株式取得(孫会社化)及び特定子会社の異動に関するお知らせ

出典:株式会社東日本不動産の株式取得(子会社化)に係る株式譲渡契約締結のお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 菅原冷蔵株式会社676万円(売上の0.16倍)※営業赤字での譲渡
  • 富士ファシリティサービス株式会社21億7,300万円(売上の1.19倍・営業利益の25.3倍)
  • 株式会社東日本不動産26億5,900万円(売上の1.44倍・営業利益の5.4倍)

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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