3904東証グロース

株式会社カヤックのM&A実績

「M&Aによるグループ編成の強化」を中期の成長戦略に掲げ、連結20社のグループに広げてきた会社です。買う業種は広告制作、出版、アニメ、eスポーツ、スポーツスクール、地域マーケティングと幅がありますが、売上1億〜10億円前後の、創業者や個人株主が持つ会社が中心です。営業赤字や債務超過の会社も買っています。

株式会社カヤックが公表した適時開示8件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月13日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
神奈川県鎌倉市
設立
―
事業内容
「面白法人」を掲げるクリエイター集団。ゲームアプリ、広告・Web制作、eスポーツ大会プラットフォーム、移住・関係人口などの地域事業を手がける
売上高
200億9,400万円(2025年12月期(連結))
営業利益
10億7,100万円
純資産
62億9,700万円

どんな会社を買っているか

買う業種
広告・PR・プロモーション制作/出版(ビジネス書、語学書)/アニメーション制作/eスポーツ・スポーツスクール/地域マーケティング・インバウンド
対象の規模
対象の売上 1.05億円〜約30億円(主要3社の単純合算)
手法
株式譲渡(子会社化)が中心。100%にこだわらず51〜75%の取得もある。持株会社ごと買って傘下の会社を孫会社にする形も使う
赤字でも買うか
買っている(実績あり)
買収後の扱い
買った会社は社名のまま子会社として残すのが基本です。一方で、合わなかった会社は売り戻すこともあります。2022年に取得したeSPは、2025年に同社社長が作った会社へ全株式を譲渡(MBO)しました。
  • 対価の一部をカヤック株で払う形をよく使います。英治出版、アスラフィルム、ブレインサービスでは、カヤックの代表取締役が自分のカヤック株を渡して売り手から株を買い、それを会社が引き取っています。売り手は現金だけでなく買い手の株も受け取ることになります
  • 取得価額は開示される案件とされない案件が半々です。8件のうち4件で金額が出ています。算定方法は毎回「当社が算定した株式算定価値のレンジ内において両社協議のうえ決定」と書かれています
  • 全部を買わないことがあります。SANKOは75%、eSPは70%、スクールパートナーは51.4%の取得でした
  • 業績が下がった局面、赤字の局面の会社も買っています。スクールパートナー(純資産マイナス1億6,200万円)、ネイティブ(営業損失2,200万円)、ブレイン(営業損失7,500万円)が例です

買収の履歴8件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年6月30日株式譲渡(子会社化)。傘下7社は孫会社になる。一部はカヤック代表取締役3名が自分のカヤック株を対価に取得し、それを会社が引き取る形

株式会社ブレインサービス

持株会社。傘下にインバウンド・観光のWeb制作の株式会社ブレイン、語学出版の株式会社三修社など国内外7社(総勢200名以上)/東京都渋谷区/1958年8月設立

取得価額
13億1,400万円
対象の売上
30億100万円
対象の営業利益
800万円
対象の純資産
―

決算期:2025年5月期(主要3社の単純合算)/譲渡前の株主:前田 俊秀 78.04%、ほかは守秘義務により非開示/アドバイザリー費用等5百万円を加えた合計額は1,319百万円。当社が算定した株式算定価値のレンジ内で両社協議のうえ決定/ブレインサービス単体(176百万円)、ブレイン(1,830百万円)、三修社(995百万円)の単純合算。グループ内の取引は消していない。開示では、この3社でグループの連結数値の大部分を占めるとされている

買収理由:インバウンドDX(ブレイン)と日本語学習支援(三修社)を新しい事業の軸にする

1958年設立の老舗グループ。取得価額13億1,400万円は、カヤックが開示した買収で最大です。持株会社単体の純資産は5億400万円で、その約2.6倍の値段です(傘下の会社の価値は持株会社の純資産に子会社株式として入っているため、純資産は単純に合算していません)。主力のブレインは売上が25億1,800万円→18億3,000万円と減り、営業損失7,500万円を出していました。一方の三修社は売上10億円前後を保ち、営業利益6,300万円です。稼ぐ会社と苦しい会社が同じ持株会社の下にあっても、グループごとまとめて引き取ってもらえた例です。

買収後存続2026年10月13日時点

2026年7月22日に株式取得予定として開示されています。取得完了後の商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:株式会社ブレインサービスの株式取得(子会社化及び孫会社化)に関するお知らせ

出典:株式会社ブレインサービスの株式取得(子会社化及び孫会社化)に関するお知らせ

2024年11月14日株式譲渡(子会社化)。一部はカヤック代表取締役2名が自分のカヤック株を対価に取得し、それを会社が引き取る形。同じオーナーが持つラゾ株式会社も同時に100%取得

株式会社アスラフィルム

デジタルアニメーションの撮影(線撮・本撮)、アニメーションの企画・制作/東京都杉並区/2013年11月設立

取得価額
―
対象の売上
3億6,800万円
対象の営業利益
4,200万円
対象の純資産
8,300万円

決算期:2023年10月期/譲渡前の株主:個人1名(望月 重孝)が100%保有/守秘義務により非開示。当社が算定した株式算定価値のレンジ内で両社協議のうえ決定

買収理由:広告・ゲームに加えアニメ制作までを担えるようにし、IPビジネスを含むアニメ制作の上流へ広げる

売上3億6,800万円・営業利益4,200万円・純資産8,300万円。営業損益は△500万円→△2,500万円→+4,200万円と、2期続いた赤字から黒字に戻した直後の譲渡です。売上も1億6,900万円から3億6,800万円へ倍増していました。同じオーナーが持っていた海外アニメーターの会社ラゾ(売上2,100万円)も一緒に引き取られています。関連する小さな会社をまとめて渡す形の例です。

買収後存続2026年10月13日時点

2024年11月22日に株式取得予定として開示されています。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:株式会社アスラフィルム及びラゾ株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:株式会社アスラフィルム及びラゾ株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2024年7月18日株式譲渡(子会社化)

株式会社メガ・コミュニケーションズ

広告・PRマーケティング、官公庁の移住・企業誘致業務、海外輸出のコンサルティング/北海道札幌市/2006年10月設立

取得価額
―
対象の売上
5億900万円
対象の営業利益
200万円
対象の純資産
3,100万円

決算期:2023年6月期/譲渡前の株主:個人1名(秋元 正明)が100%保有/守秘義務により非開示。当社が算定した株式算定価値のレンジ内で両社協議のうえ決定

買収理由:北海道企業の海外向けブランディングと、自治体DXの推進

売上5億900万円に対して営業利益240万円、純資産3,100万円。営業損益は△1,900万円→△1,000万円→+240万円と、ようやく黒字に届いたところでした。利益はほぼ出ていませんが、譲渡の4か月前からカヤックのサービスの取次パートナーとして取引していた関係がありました。先に取引で付き合いがあると、利益が薄くても買い手になってくれることがあります。新しい代表取締役にはカヤックの執行役員が就いています。

買収後社名変更2026年10月13日時点

2026年6月のブレインサービス取得の開示に「北海道拠点のグループ会社・株式会社カヤックメガ」とあり、この会社の新しい社名と推定しています。商号変更そのものの開示は確認できていません。

確認元:株式会社ブレインサービスの株式取得(子会社化及び孫会社化)に関するお知らせ

出典:株式会社メガ・コミュニケーションズの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2024年2月15日株式譲渡(子会社化)。一部はカヤック代表取締役が自分のカヤック株を対価に取得し、それを会社が引き取る形。発行済株式5,801株のうち5,800株を取得

英治出版株式会社(99.9%)

出版業(ビジネス書。『イシューからはじめよ』『ティール組織』など)/東京都渋谷区/1999年6月設立

取得価額
―
対象の売上
4億4,500万円
対象の営業利益
7,400万円
対象の純資産
2億9,500万円

決算期:2023年2月期/譲渡前の株主:原田 英治 33.08%、その他 66.92%/守秘義務により非開示。代表取締役経由で取得する株式も含め、全て同額での取引と開示

買収理由:ビジネス書の企画・編集力を生かした「まなびコンテンツ」の展開

売上4億4,500万円・営業利益7,400万円(利益率16.6%)・純資産2億9,500万円。営業利益は1億1,200万円→9,300万円→7,400万円と3期続けて減っている中での譲渡でした。創業社長の持分は33%で、残りは複数の株主に分かれていました。決算短信では、子会社になった後に新刊が好調と書かれています。ロングセラーという資産があれば、利益が下り坂でも買い手はつきます。

買収後存続2026年10月13日時点

2025年12月期決算短信で、前連結会計年度に子会社となった英治出版㈱の新刊が好調と書かれています。商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:英治出版株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2023年9月1日株式譲渡(子会社化)。発行済株式の51.4%のみを取得

株式会社スクールパートナー(51.4%)

スポーツスクールの運営(埼玉西武ライオンズベースボールスクールなど幼児〜高齢者向け)、東南アジアでのスクール展開/東京都渋谷区/2009年8月設立

取得価額
―
対象の売上
12億2,200万円
対象の営業利益
△3,300万円
対象の純資産
△1億6,200万円

決算期:2023年3月期/譲渡前の株主:橋野 裕之 48.2%、その他 51.8%/守秘義務により非開示。当社が算定した株式算定価値のレンジ内で両社協議のうえ決定

買収理由:スクール事業の知見とコンテンツ開発を組み合わせた新しい教育事業

売上12億2,200万円、営業損失3,300万円、純資産マイナス1億6,200万円の債務超過でした。純資産は△4億5,700万円→△3億6,100万円→△1億6,200万円と3年かけて縮めている途中です。前年にカヤックはこの会社の子会社eSPを買っており、子会社の売却で先に関係ができ、そのあと親会社にも出資が入った流れです。過半数だけを取得し、社長は株を持ったまま残る形でした。

買収後存続2026年10月13日時点

2023年8月31日に株式を取得済みと開示されています。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:株式会社スクールパートナーの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:株式会社スクールパートナーの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2022年9月28日株式譲渡(子会社化)

ネイティブ株式会社

移住・関係人口メディア「Nativ.media」の運営、自治体の移住促進デジタルマーケティング、ふるさと納税運営/東京都新宿区/2016年3月設立

取得価額
3,300万円
対象の売上
1億500万円
対象の営業利益
△2,200万円
対象の純資産
38万円

決算期:2022年6月期/譲渡前の株主:株式会社瀬戸内ブランドコーポレーション 62.0%、その他 38.0%/ネイティブの普通株式の取得価額32,619千円。当社が算定した株式算定価値のレンジ内で両社協議のうえ決定

買収理由:移住スカウトサービス「SMOUT」と地域マーケティングの知見を合わせ、移住・関係人口の分野で首位を固める

取得価額3,262万円。売上1億500万円、営業損失2,200万円、純資産はわずか38万円でした。売上は1億6,700万円→1億2,000万円→1億500万円と減り続け、営業損益も黒字から赤字に転じていました。業績が落ちていても、メディアやノウハウが買い手の既存事業と重なれば、売上の3分の1程度の値段で引き取られています。売り手は個人ではなく、地域活性化を手がける事業会社です。

買収後存続2026年10月13日時点

2022年9月30日に株式取得予定として開示されています。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:ネイティブ株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:ネイティブ株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2022年8月18日株式譲渡(子会社化)。発行済株式の70.0%を親会社のスクールパートナーから取得

株式会社eSP(70%)

eスポーツスクールの運営/東京都渋谷区/2019年4月設立

取得価額
5億6,000万円
対象の売上
1億8,200万円
対象の営業利益
5,400万円
対象の純資産
3,500万円

決算期:2022年3月期/譲渡前の株主:株式会社スクールパートナーが100%保有/eSPの普通株式(70%分)の取得価額560,000千円。100%換算で800百万円の水準。当社が算定した株式算定価値のレンジ内で両社協議のうえ決定

買収理由:eスポーツ領域のエコシステムづくりと、スポーツビジネスの知見の取り込み

設立3年目、売上1億8,200万円・営業利益5,400万円・純資産3,500万円。70%で5億6,000万円。100%換算の8億円は営業利益の約15倍、純資産の約23倍という値段です。売上は570万円→4,300万円→1億8,200万円と急伸しており、伸び方そのものが評価された例です。売り手は個人ではなく親会社(スクールパートナー)で、子会社だけを先に売っています。その後カヤックはその親会社にも出資しました。

買収後再売却2026年10月13日時点

2025年2月21日、eSPの代表取締役山田祐輝氏が新設した株式会社ZERO1に全株式を8億4,000万円で譲渡しました(MBO)。経営陣から独自の成長戦略を進めたいと申し出があり、グループとのシナジーも限定的と判断されています。譲渡直前の2024年3月期は売上5億2,600万円・営業利益1億5,500万円まで伸びていました。

確認元:連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ

出典:株式会社eSPの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2020年11月27日株式譲渡(子会社化)。発行済株式の75.0%を取得。傘下2社は孫会社になり、RIZeSTは別途30%を直接取得

株式会社SANKO(75%)

広告・販売促進・PRの企画制作、イベント運営。傘下にeスポーツのRIZeST、マンガデザイナーズラボ/東京都千代田区/1965年4月設立

取得価額
4億900万円
対象の売上
7億4,400万円
対象の営業利益
2,700万円
対象の純資産
4億6,200万円

決算期:2020年3月期(単体)/譲渡前の株主:鈴木 文雄 68.0%、ほかは個人(氏名非開示)/SANKOの普通株式408,750千円。アドバイザリー費用等700千円を加えた合計額は409,450千円。第三者による株式評価額をもとに双方協議のうえ決定。別途RIZeST株式30%を60,000千円で取得

買収理由:広告・プロモーションとeスポーツの事業基盤の強化

創業1965年、売上7億4,400万円・営業利益2,700万円・純資産4億6,200万円(いずれもSANKO単体)。75%で4億900万円、100%換算で約5億4,500万円と、純資産の1.2倍程度の値段です。単体の利益は小さめでしたが、子会社のRIZeST(売上6億7,100万円・営業利益6,300万円)とマンガデザイナーズラボ(売上2億600万円)を傘下に持っていました。老舗の本体に伸びている子会社がついていると、グループごと評価の対象になります。

買収後存続2026年10月13日時点

2020年11月30日に株式取得予定として開示されています。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:株式会社SANKOの株式取得(子会社化)並びに株式会社RIZeST及びマンガデザイナーズラボ株式会社の孫会社化に関するお知らせ

出典:株式会社SANKOの株式取得(子会社化)並びに株式会社RIZeST及びマンガデザイナーズラボ株式会社の孫会社化に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された4件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 株式会社ブレインサービス13億1,400万円(売上の0.44倍・営業利益の164.3倍)
  • ネイティブ株式会社3,300万円(売上の0.31倍)※営業赤字での譲渡
  • 株式会社eSP(70%)5億6,000万円(売上の3.08倍・営業利益の10.4倍)
  • 株式会社SANKO(75%)4億900万円(売上の0.55倍・営業利益の15.1倍)

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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