トレンダーズ株式会社のM&A実績
SNSマーケティングの会社が、隣にある機能(動画メディア、TikTok、リアルイベント、ECモール運用)を1つずつ買い足している会社です。売り手は創業社長の個人オーナーが中心で、資本金100万円・売上500万円台の会社から、売上17億円のイベント会社まで買っています。2025年12月には連結純資産の8割を超える35億円でECモール運用のしるし社を買いました。
トレンダーズ株式会社が公表した適時開示6件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都渋谷区
- 設立
- 2000年4月
- 事業内容
- 美容領域を中心にしたSNSマーケティング支援。イベント制作、ECモールの運用代行、非上場会社への投資も手がける
- 売上高
- 82億7,800万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 7億2,700万円
- 純資産
- 42億8,600万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- SNS・インフルエンサーマーケティング/美容動画メディア/イベントの企画・制作・運営/ECモールの運用代行・コンサルティング/化粧品の企画・OEM
- 対象の規模
- 対象の売上 約540万円〜17億300万円(CARAFULとMimiTVは業績非開示)
- 手法
- 株式譲渡(100%取得)が中心。現金と自社株を組み合わせる株式交付も使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 残し方は案件ごとに違います。zenplusとしるしは社名のまま子会社として連結されています。一方、MimiTVは約4年後に親会社へ吸収合併され、H&BCは約1年半後に個人へ売り戻されています。
- 価格が開示された案件が3件あります。しるし35億円、クレマンスラボラトリー3,000万円、H&BC 3,000万円です
- 非開示の案件でも上限が読めることがあります。zenplusは「2024年3月期末の連結純資産の20%未満」と書かれており、当時の連結純資産41億3,704万円から約8億2,700万円未満と分かります
- 協業してから買う流れが見えます。しるし社とは2025年4月から協業し、社員5名を出向させたうえで、同年11月に買収を決めています
- 買った事業がうまくいかなかったときに手放した実績もあります。H&BCは「想定していた効果を得ることができませんでした」として、取得額と同じ3,000万円で個人に売却しています
買収の履歴6件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
しるし株式会社
ECモール(Amazonなど)に特化した戦略コンサルティング・運用代行。子会社2社を持つ/東京都渋谷区/2021年3月設立
- 取得価額
- 35億円
- 対象の売上
- 9億200万円
- 対象の営業利益
- 3億2,300万円
- 対象の純資産
- 1億6,000万円
決算期:2025年2月期/譲渡前の株主:個人1名(下田 陽志郎)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)10百万円を加えた合計は3,510百万円。資金は金融機関からの借入を予定。決算短信では発生したのれん3,143百万円(暫定)
買収理由:SNSとECモールを連動させたマーケティング支援を、美容以外のカテゴリにも広げる
売上9億200万円・営業利益3億2,300万円・純資産1億6,000万円に対し、35億円。営業利益の約11倍、純資産の約22倍です。前々期は営業損失800万円で、売上も2億7,000万円→4億400万円→9億200万円と急伸した直後の譲渡でした。赤字の年があっても、直近で利益が跳ねていれば、その利益を基準に値段がつくことを示す例です。買収の半年前から協業し、買い手の社員5名が出向していた相手で、取引先として組んだ実績が、そのまま買収につながっています。
2025年12月1日に取得。2026年3月期の決算短信で、しるし株式会社とECのしるし株式会社が連結子会社として記載され、新たに「ECコンサルティング事業」セグメントが設けられています。
株式会社zenplus
イベントの企画・制作・運営、空間デザイン、販促物の企画制作/東京都中央区/2012年5月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 17億300万円
- 対象の営業利益
- 4,800万円
- 対象の純資産
- 9,200万円
決算期:2024年4月期/譲渡前の株主:個人2名(横山 聡 50.0%、福田 浩一郎 50.0%)/相手方の意向により非開示。外部専門家のデューデリジェンスと株式価値評価を勘案し、「2024年3月期末の当社連結純資産の20%未満」。同期末の連結純資産4,137百万円から、上限は約827百万円。アドバイザリー費用等(概算)は69百万円
買収理由:SNSマーケティングにリアルイベントを掛け合わせ、立体的なマーケティング支援を提供する
売上17億300万円・営業利益4,800万円・純資産9,200万円。営業利益は△1,900万円→500万円→4,800万円と、赤字から立ち直った直後の譲渡です。利益率は3%に届きませんが、外資系ラグジュアリーブランドや自動車メーカーとの実績が評価されています。株主が共同創業者2名で半分ずつでも、2人そろって100%を売る形で成立しています。アドバイザリー費用だけで6,900万円かかっている点も目安になります。
CARAFUL株式会社
TikTokを中心としたインフルエンサーマーケティング、クリエイタープロダクション/東京都渋谷区/2019年2月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:クルーズ株式会社(事業会社)が100%保有/非開示。適時開示基準に該当しない任意開示で、一部の事項を省略
買収理由:TikTok活用の専門性を高め、増えるTikTokマーケティング需要を取り込む
設立4年のTikTok専門の会社です。買い手の売上に占めるTikTokの比率が1.2%から7.1%へ伸びていた時期で、自社で育てるより、伸びている分野の専門会社を買う判断をしています。業績は非開示ですが、開示基準に当たらない小さな案件でも任意で開示を出しています。売り手のクルーズは、2018年のMimiTVの売り手(Candle)の親会社でもあります。
2023年4月1日に取得実行予定として開示されました。その後の開示や手元の2026年3月期決算短信には社名が出てこず、現状は確認できていません。
株式会社クレマンスラボラトリー
クリニック専売品(化粧品・健康食品・美容機器)の企画販売、化粧品OEM受託、クリニックのマーケティング支援/東京都中央区/2019年2月設立
- 取得価額
- 3,000万円
- 対象の売上
- 538万円
- 対象の営業利益
- △118万円
- 対象の純資産
- 97万円
決算期:2021年1月期/譲渡前の株主:個人1名(平野 香奈絵)が100%保有/現金21.65百万円+当社株式10,000株(1株835円換算で8.35百万円)の合計30百万円。第三者算定機関(WARC)のDCF法による株式価値は1株1,490,457円〜2,060,920円(20株で約29.8〜41.2百万円)で、レンジの下限付近で決まっている。株式対価の記載は2021年12月27日に訂正あり
買収理由:美容医療・再生医療の領域で、DX支援やマーケティング支援、施術・製剤・専売品の開発に取り組む
資本金100万円、売上538万円、営業損失118万円、純資産97万円の会社に3,000万円がついています。取引先の医療機関は全国60院超(2021年12月時点)。値段の根拠は過去の数字ではなく、事業計画に基づくDCF法でした。対価の約3割は買い手の株式で受け取っており、売り手が買い手の株主になる形です。創業者は譲渡後も代表取締役を続ける予定とされていました。
2022年2月7日に効力発生予定として開示され、所在地を買い手本社に移す予定とされていました。その後の開示や手元の2026年3月期決算短信には社名が出てこず、現状は確認できていません。
株式会社MimiTV
美容動画メディア「MimiTV」の企画・運営/東京都渋谷区/2017年5月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示(設立初年度で決算未確定)/譲渡前の株主:株式会社Candle(普通株式100%)、B Dash Fund 3号投資事業有限責任組合(A種優先株式100%)。Candleはクルーズ株式会社の100%子会社/当事者間の守秘義務により非開示
買収理由:インフルエンサー・メディアのネットワークと、美容動画の企画編集ノウハウを掛け合わせる
設立から1年たたず、決算が一度も確定していない会社を買っています。評価されたのはSNSでのべ60万人超のフォロワーという数字でした。吸収合併の開示によると、2021年3月期には売上4億6,100万円・営業利益2億1,700万円まで育っています。決算書がまだ無くても、集客の実績があれば買い手はつきます。
2022年4月1日付でトレンダーズ本体に吸収合併され、法人は消滅しました。事業はその後、2024年10月に新設子会社の株式会社Mimi Beautyへ移されています。
株式会社H&BC
化粧品の企画・製造・販売・輸出入(大手流通向けの卸売)/東京都渋谷区/2008年1月設立
- 取得価額
- 3,000万円
- 対象の売上
- 4億3,832万円
- 対象の営業利益
- 2,224万円
- 対象の純資産
- 2,121万円
決算期:2012年11月期/譲渡前の株主:上田 博嗣 96.5%、株式会社アールライブ(上田氏が代表)3.5%/取得価額の算定方法の記載なし。株式譲渡実行は取締役会決議と同日
買収理由:女性向けマーケティングのノウハウを新商品開発や販促に生かし、収益源を多様化する
売上4億3,800万円・営業利益2,200万円・純資産2,100万円に対し、3,000万円。営業利益の約1.3倍、純資産の約1.4倍と、純資産に少し上乗せした程度の値段でした。前年は売上1億7,700万円で、急に伸びた年の数字での譲渡です。
2015年4月、「想定していた効果を得ることができなかった」として全株式を個人(西山統氏)に30百万円で譲渡し、連結から外れました。取得から約1年5か月です。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- しるし株式会社35億円(売上の3.88倍・営業利益の10.8倍)
- 株式会社クレマンスラボラトリー3,000万円(売上の5.57倍)※営業赤字での譲渡
- 株式会社H&BC3,000万円(売上の0.07倍・営業利益の1.3倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページはトレンダーズ株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日