3645東証グロース

株式会社メディカルネットのM&A実績

歯科業界に絞って買っている会社です。国内では地方の老舗の歯科ディーラー(歯科材料の卸)を、2018年に買った子会社オカムラを受け皿にして買い足しています。売り手はいずれも創業家の個人で、有限会社、売上2〜11億円、営業利益が数百万円しか出ていない会社が中心です。歯科医院向けの大衆医薬品メーカーや、臨床検査のベンチャーを買ったこともあります。

株式会社メディカルネットが公表した適時開示5件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月18日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
東京都渋谷区
設立
2001年6月
事業内容
歯科医院探しのポータルサイト運営を起点に、歯科ディーラー(器械材料・医薬品の卸)、大衆医薬品の企画・卸、歯科業界向けのマーケティング支援、タイでの歯科医院運営などを手がける歯科特化のグループ
売上高
67億3,200万円(2026年5月期(連結))
営業利益
1億9,100万円
純資産
20億6,500万円

どんな会社を買っているか

買う業種
歯科ディーラー(歯科器械材料・医薬品の卸)/大衆医薬品・医薬部外品の企画・卸(ファブレスメーカー)/受託臨床検査/歯科医院の運営・歯科商社(タイ)
対象の規模
対象の売上 2.7億円〜11.4億円
手法
株式譲渡が中心。最初に買った歯科ディーラーのオカムラが、その後の買い手になる「孫会社化」を続けている。過半数だけを買う形(ミルテル59%)もある
赤字でも買うか
黒字の会社のみ
買収後の扱い
買った会社は社名のまま子会社として残すのが基本です。2018年に買ったオカムラは社名を残したまま、代表取締役が創業者からメディカルネットの従業員に交代し、その後の買収の受け皿になっています。一方で、うまくいかなかった会社は手放しています。ミルテルは取得から約1年3か月で、創業社長に全株式を売り戻しました。
  • 国内の案件は取得価額が全件非開示です。理由は毎回「株主が個人であり、守秘義務契約を締結している」。直近2件は「直前連結会計年度末の連結純資産の15%未満」と明記されており、2026年5月期の連結純資産20億6,500万円の15%=約3億1,000万円を下回ると読めます
  • 利益の薄い会社を買っています。オカムラは売上11億3,900万円に対して営業利益278万円(利益率0.2%)、板倉歯科器材店は売上2億6,900万円で営業利益300万円でした。利益よりも、地域の歯科医院との取引網が見られています
  • 買った後に手放した例があります。ミルテルは取得後に売上が7億2,800万円から1億4,800万円に落ち、債務超過になったところで、保有する82.5%を創業社長に譲渡しました
  • タイでは歯科医院・歯科商社・POSシステム会社を、取得価額を開示して買っています(たとえば歯科商社NU-DENTは8,000万バーツ)。国内の売り手の参考になりにくいため、この一覧には載せていません

買収の履歴5件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年9月28日株式譲渡(子会社オカムラが取得=孫会社化)

有限会社板倉歯科器材店

歯科医療用品・歯科用機器材の卸(沖縄県の歯科医院向け)/沖縄県那覇市/1975年6月設立

取得価額
―
対象の売上
2億6,900万円
対象の営業利益
300万円
対象の純資産
3,800万円

決算期:2026年3月期/譲渡前の株主:板倉潤78.3%、板倉繁紀21.7%(個人2名)/株主が個人で守秘義務があるため非開示。「直前連結会計年度の末日における連結純資産の15%未満」。2026年5月期の連結純資産2,065百万円の15%=約310百万円を下回ると読める

買収理由:仕入条件の改善と商品力の強化。宮崎・鹿児島の吉見歯科器械店と連携した南九州・沖縄での事業拡大

創業51年、資本金600万円の有限会社。売上2億6,900万円・営業利益300万円・純資産3,800万円です。売上は2億6,300万円→2億3,500万円→2億6,900万円とほぼ横ばいで、営業利益も500万円→100万円→300万円と薄い水準でした。利益が小さく伸びてもいない地方の卸でも、同業の上場企業グループには買い手がいます。買い手が挙げたのは仕入条件の改善と、新規開業・事業承継の案件獲得で、単独では交渉しにくい仕入条件が、グループに入ると変わるという見方です。

買収後存続2026年10月18日時点

2026年10月16日に取得完了が開示されました。連結子会社の株式会社オカムラが100%を保有しています。商号変更や合併の開示はありません。

確認元:(開示事項の経過)有限会社板倉歯科器材店の株式取得(子会社化)完了のお知らせ

出典:連結子会社の異動を伴う子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

2025年3月26日株式譲渡(子会社オカムラが取得=孫会社化)

有限会社吉見歯科器械店

歯科医療用品・歯科用機器材の卸(宮崎県・鹿児島県の歯科医院・歯科技工所向け)/宮崎県宮崎市/1974年5月設立

取得価額
―
対象の売上
6億6,200万円
対象の営業利益
300万円
対象の純資産
7,100万円

決算期:2024年4月期/譲渡前の株主:個人1名(吉見 章一)が100%保有/株主が個人で守秘義務があるため非開示。「直前連結会計年度の末日における連結純資産の15%未満」

買収理由:宮崎県内シェア1位(25%)のディーラーと商品力・営業力を共有し、南九州でのシェア拡大を図る

創業51年、売上6億6,200万円・営業利益300万円・純資産7,100万円。営業損益は△100万円→△200万円→300万円で、前の2期は営業赤字でした。それでも「宮崎県内のディーラーで1位、シェア25%」という地域での地位が買う理由として挙げられています。利益が出ていなくても、地域で一番の取引網を持っていれば評価の対象になります。この会社は翌年、沖縄の板倉歯科器材店を買う際に連携先として名前が挙がっています。

買収後存続2026年10月13日時点

2026年9月の板倉歯科器材店取得の開示で、宮崎・鹿児島に拠点を置く連結子会社(孫会社)として社名が挙がっています。商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:連結子会社の異動を伴う子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

出典:連結子会社の異動を伴う子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

2023年11月27日株式譲渡。保有2.6%から59.0%まで買い増して子会社化

株式会社ミルテル(59%)

受託臨床検査(唾液による乳がんリスク検査、テロメア検査など)/広島県広島市/2012年9月設立

取得価額
―
対象の売上
7億2,800万円
対象の営業利益
1億7,700万円
対象の純資産
2億8,700万円

決算期:2022年12月期/譲渡前の株主:加藤俊也38.8%、グリーンコア株式会社18.5%、田原栄俊10.2%ほか。今回の譲渡元は代表取締役の加藤俊也氏ら個人5名/相手先の強い要請により非開示

買収理由:歯科医院の顧客基盤を使い、ミルテルの検査サービスを歯科医院経由で広める

売上7億2,800万円・営業利益1億7,700万円・純資産2億8,700万円。ただし前の2期は営業損失3億円前後が続いており、黒字は直前の1期だけでした。取得後、売上は1億4,800万円(2023年12月期)に落ち、債務超過に転じました。買い手は約1年3か月後、保有株をすべて創業社長に譲渡しています。上場企業に過半数を売っても、うまくいかなければ株が戻ってくることがあります。一部だけを売る形を考える場合、その後の出口まで含めて見ておく必要があります。

買収後再売却2026年10月13日時点

2024年1月5日に取得を完了し、追加取得で82.5%まで保有しましたが、2025年3月28日に全株式をミルテル代表取締役の加藤俊也氏(個人)に譲渡しました。直前の2024年5月期(5か月決算)は売上2,588万円、純資産△1億4,152万円でした。

確認元:連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ

出典:株式会社ミルテルの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2021年4月19日株式譲渡(子会社オカムラが取得=孫会社化)

ノーエチ薬品株式会社

大衆医薬品・医薬部外品の企画・卸(工場を持たないファブレスメーカー。ドラッグストア・調剤薬局向け)/大阪府松原市/1960年12月設立

取得価額
―
対象の売上
3億7,800万円
対象の営業利益
4,200万円
対象の純資産
1億5,700万円

決算期:2020年11月期/譲渡前の株主:池田善博37.1%、池田善輔25.0%、池田節子8.5%、その他5名29.4%(個人8名)/株主が個人で守秘義務があるため非開示

買収理由:歯科向けOTC医薬品の開発とプライベートブランド商品の提供、一般消費者向け販売への進出

創業60年、売上3億7,800万円・営業利益4,200万円・純資産1億5,700万円。営業損益は△200万円→5,100万円→4,200万円で、純資産は3期で8,000万円→1億5,700万円とほぼ倍になっていました。工場を持たず、企画だけで医薬品を出している会社です。買い手にとっては「これまでなかった製薬事業」を一度に手に入れる買い物でした。株主が8名に分かれていても、全員から買い集める形で100%の譲渡が成立しています。

買収後存続2026年10月13日時点

2021年6月に取引実行予定として開示されました。2026年5月期の決算短信でも大衆医薬品・医薬部外品の企画・卸販売を事業に挙げていますが、ノーエチの社名を挙げた後続の開示はなく、商号変更や合併の開示も確認できていません。

確認元:連結子会社の異動を伴う子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

出典:連結子会社の異動を伴う子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

2018年11月22日株式譲渡(子会社化)

株式会社オカムラ

歯科医院向けの器材・器具・薬品一式の販売(歯科ディーラー)/東京都福生市/1989年4月設立

取得価額
―
対象の売上
11億3,900万円
対象の営業利益
300万円
対象の純資産
2,900万円

決算期:2018年5月期/譲渡前の株主:岡村一男80.0%、岡村綾子20.0%(個人2名)/株主が個人で守秘義務があるため非開示

買収理由:関東を中心とする歯科医院との取引網を取り込み、グループの顧客にも歯科材料を販売する

売上11億3,900万円に対し、営業利益278万円(利益率0.2%)・純資産2,895万円。利益はほとんど出ていませんでしたが、関東の歯科医院との取引実績と経験のある社員が評価されました。買われた後、代表取締役は創業者からメディカルネットの従業員に交代しています。オカムラはその後、ノーエチ薬品・吉見歯科器械店・板倉歯科器材店を買う側に回りました。薄利の卸でも、同業を束ねる受け皿として買われることがあります。

買収後存続2026年10月13日時点

2026年9月の板倉歯科器材店取得の開示でも、メディカルネットが100%を持つ連結子会社として社名のまま買い手になっています。代表取締役はメディカルネットの従業員(中西弘幸氏)です。

確認元:連結子会社の異動を伴う子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

出典:株式会社オカムラの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

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