アルフレッサ ホールディングス株式会社のM&A実績
医療用医薬品の卸売を本業とする会社です。開示の多くは完全子会社どうしの合併・事業譲渡(グループ内の再編)で、外から買った案件はそのうちの一部です。近年の買収は、地方で長く続いてきた診断薬・医療機器の専門商社を、その地域を受け持つ子会社が買う形が中心です(長崎のテクノ・スズタ、仙台の東日本メディカルシステム、福山のミヤノメディックス)。売り手は地元オーナー家の持株会社のほか、エーザイ・第一三共といった製薬会社、ヤオコーやマツモトキヨシの子会社など、事業会社が手放す子会社・事業も多く引き取っています。
アルフレッサ ホールディングス株式会社が公表した適時開示9件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都千代田区
- 設立
- 2003年9月
- 事業内容
- 医療用医薬品等の卸売を中核に、一般用医薬品の卸売(セルフメディケーション)、医薬品等の製造、調剤薬局などの子会社を束ねる持株会社
- 売上高
- 31,040億6,400万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 361億6,400万円
- 純資産
- 5,079億300万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 医療用医薬品の卸売/診断薬・医療機器の専門商社/一般用医薬品・ヘルスケア商品の卸売/医薬品の製造・受託製造、長期収載品/調剤薬局/CRO(臨床試験の支援)
- 対象の規模
- 対象の売上 15億円〜227億円
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)が中心。東北アルフレッサやティーエスアルフレッサなど地域の子会社が買い手になる「孫会社化」、相手先が会社分割で切り出した新会社の株式取得、少数株主からの追加取得による完全子会社化も使う
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社は、数年のうちに既存の子会社へ吸収合併されることが多い会社です。ミヤノメディックスは取得から約1年でティーエスアルフレッサに、宮崎温仙堂商店は約4年でアルフレッサに合併される予定です(2027年1月)。茂木薬品商会、日本アポック、サンノーバも、取得から6〜7年で同じ道をたどりました。取得時の開示には「名称・所在地の変更予定はない」と書かれますが、それは当面の話で、長く社名が残るとは限りません。
- 会社の買収で取得価額が開示された案件はありません。金額が出ているのは、第一三共から長期収載品(特許の切れた医薬品)を譲り受けた2件(2018年に41製品115億円、2021年に11製品47億円)だけで、いずれも売上高とほぼ同じ金額でした。大企業同士の製品売買なので、この一覧には載せていません
- 近年の開示は対象会社の売上高しか載せないことが多く、営業利益や純資産は分かりません。「業績への影響は軽微」とだけ書かれます
- 取得した会社のその後は後続の開示で追えます。グループ内の合併・事業譲渡を細かく開示する会社なので、自社が買われた後どこに統合されるかが比較的はっきり見えます
買収の履歴9件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社テクノ・スズタ
臨床・研究用診断薬、医療機器など医療・研究・福祉分野の商材の卸売・レンタル/長崎県長崎市/1977年9月(創業1953年)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 79億200万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2025年2月期/譲渡前の株主:株式会社温仙堂(長崎県諫早市、農業用資材の卸売)が100%保有/開示に取得価額の記載なし
買収理由:九州でのメディカル品(診断薬・医療機器等)の流通網を強める
売上79億200万円、資本金2,400万円。長崎県で70年以上、診断薬を主力に卸売を続けてきた会社です。売り手の温仙堂は、2023年に宮崎温仙堂商店をアルフレッサへ売ったのと同じグループです。一度取引した相手に、時間をおいて別の子会社も渡しています。買い手との関係ができていれば、次の売却の相手探しは短くて済みます。取得後の開示では、2026年2月期の純資産が2億7,600万円と出ています。
2026年9月の開示で完全子会社として記載されています。2026年12月31日には、同じグループの宮崎温仙堂商店から診断薬卸売事業を譲り受ける予定で、九州の診断薬卸売の受け皿になっています。
東日本メディカルシステム株式会社
CT・MRIなど医療機器の卸売と保守サポート(宮城県・岩手県)/宮城県仙台市/1980年5月(創業1975年)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 14億9,900万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:直近期/譲渡前の株主:開示に記載なし(全株式を取得)/開示に取得価額の記載なし
買収理由:CT・MRIなど医療機器の販売エリア拡大と、メディカル品の流通機能の強化
売上14億9,900万円、資本金2,000万円。この会社の買収でいちばん小さい案件です。売上3兆円の企業グループでも、東北の地域子会社を通じて、この規模の地元商社を買っています。大手の傘下に入る場合、本体ではなく自分の地域を受け持つ子会社が相手になることがある、という例です。
2025年10月31日に取得完了予定として開示され、その後の商号変更や合併の開示はありません。
確認元:東北アルフレッサ株式会社による医療機器専門商社 東日本メディカルシステム株式会社の株式の取得(子会社化)について
株式会社ミヤノメディックス
高度管理医療機器・動物用医療機器・衛生材料の販売、保守、医療用具の賃貸/広島県福山市/1977年12月(創業1947年)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:開示に記載なし(全株式を取得)/開示に取得価額の記載なし
買収理由:医療機器の取扱品目の拡充と、広島県東部での営業力の強化
資本金1,000万円。福山市で70年以上、医療機器の卸売と納品後の保守を自社でこなしてきた会社です。開示は取得を終えた翌日に出され、業績は載っていません。そして取得から約1年後の2026年10月1日、買い手のティーエスアルフレッサに吸収合併されました。取得時の開示には「名称・所在地の変更はない」と書かれていました。社名が残るかどうかを重視する売り手は、契約前に合併の予定まで確かめる必要があります。
2026年6月16日に合併契約が締結され、2026年10月1日を効力発生日としてティーエスアルフレッサに吸収合併されました(効力発生日は開示上の予定日)。合併後のティーエスアルフレッサの商号・所在地の変更はありません。
株式会社インテージヘルスケアの新設分割会社(現 ArkMS株式会社)
CRO(医薬品・医療機器・再生医療等の臨床試験・臨床研究の支援、製造販売後調査、データベース研究支援)/東京都豊島区/2024年9月2日(新設分割により設立)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:株式会社インテージヘルスケア(分割会社)/2024年6月の取得時の開示は未確認。2026年4月の開示には取得価額の記載なし
買収理由:医薬品の開発から製造・物流・市販後調査までをグループで担う体制のうち、開発支援を担わせる
資本金3億円。会社を丸ごとではなく、分割会社がCRO事業だけを新会社に切り出し、その株式をアルフレッサが取得しています。取得から約1年半は非連結子会社のままで、2026年4月に「質的重要性が高まった」として連結子会社に組み入れられました。数字はいずれも開示に出ていません。
2024年9月に完全子会社化。2026年4月1日付で連結子会社となり、代表取締役直轄の組織を整えたことが開示されています。
株式会社宮崎温仙堂商店
医療用医薬品、検査用試薬・機器等の卸売(長崎県・佐賀県・熊本県天草地方)/長崎県諫早市/1927年1月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 226億7,000万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2021年2月期/譲渡前の株主:株式会社しんようフォレストホールディングス(宮﨑到26.1%、宮﨑泰児8.2%ほか)が100%保有/基本合意時の開示に取得価額の記載なし(2023年1月の最終契約の開示は未確認)
買収理由:九州での事業基盤の強化と、大規模災害などへの対応力の向上
売上226億7,000万円。この会社の買収で売上がいちばん大きい案件です。創業家が持株会社を通じて保有していた地方の医薬品卸で、最初は「資本業務提携の協議」として始まり、基本合意を経て、約1年2か月後に全株式の取得になりました。いきなり売却を決めるのではなく、提携から入って段階的に進めた例です。2026年には同じ売り手グループからテクノ・スズタも取得しています。
2026年9月29日に合併契約が締結され、2027年1月1日にアルフレッサに吸収合併される予定です。それに先立ち、2026年12月31日に診断薬卸売事業をテクノ・スズタへ譲渡する予定です。
アポロメディカルホールディングス株式会社(少数株主分31.9%)
調剤薬局の運営(調剤・一般薬販売)/東京都豊島区/1991年3月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 201億200万円
- 対象の営業利益
- 4億500万円
- 対象の純資産
- 35億900万円
決算期:2020年3月期/譲渡前の株主:アルフレッサ ホールディングス68.1%、個人株主等31.9%/「相手先の意向もあり契約上の守秘義務により」非開示
買収理由:調剤薬局事業の基盤強化とガバナンス強化
すでに連結子会社だった調剤薬局チェーンの残り31.9%を、個人株主等から買い取った案件です。売上201億200万円・営業利益4億500万円・純資産35億900万円。営業利益は5億3,600万円→2億1,900万円→4億500万円と上下していました。金額は「相手先の意向」で非開示と明記されており、売り手側から金額を伏せるよう求めることができる、という実例です。
2021年4月1日に日本アポック・中日ファーマシーを吸収合併する存続会社となり、商号をアポクリート株式会社に変更する予定と開示されました。
サンノーバ株式会社(医薬品製造販売事業の承継会社)
医薬品・医薬部外品の研究、開発、製造、販売(錠剤・軟膏・液剤などの受託製造)/群馬県太田市/1923年3月(分割会社)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2015年3月期(分割前の会社全体)/譲渡前の株主:エーザイ株式会社(上場企業)79.5%ほか/開示に取得価額の記載なし/承継会社の数値は開示なし。分割前のサンノーバ全体の数値はコメント欄に記載
買収理由:医薬品の受託製造の生産能力を拡充し、製造事業の基盤を強化する
分割前のサンノーバ全体で売上86億6,300万円・営業利益6億9,700万円・純資産89億4,300万円、従業員約350名。営業利益は6億2,200万円→8億3,100万円→6億9,700万円と黒字を続けていました。大正12年創業の製造会社で、取得後もエーザイ製品の受託製造を続けることが前提になっています。売った後も元の親会社が大口の顧客として残る形の売却です。
2023年4月1日を効力発生日として、アルフレッサ ファーマに吸収合併されました(取得から7年)。
株式会社日本アポック
調剤薬局の経営/埼玉県川越市/1995年9月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 105億6,900万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 26億8,800万円
決算期:2014年3月期/譲渡前の株主:株式会社ヤオコー(上場企業)84%、アルフレッサ ホールディングス16%/開示に取得価額の記載なし
買収理由:調剤薬局事業の取り込みによる両社の企業価値向上
売上105億6,900万円・純資産26億8,800万円、従業員361名。スーパーのヤオコーの子会社で、買い手はもともと16%を持つ株主で、役員2名も兼務していました。少しずつ関係を深めた相手が、最後に過半数を引き取った形です。2017年の開示では100%子会社になっており、その後は同業の子会社を吸収する側にも回っています。
2017年10月に同業のユースケアを吸収合併した後、2021年4月1日を効力発生日としてアポロメディカルホールディングス(現アポクリート)に吸収合併されました(取得から約6年)。
株式会社茂木薬品商会(新設分割会社)
一般用医薬品・健康食品・医療機器・ヘルスケア関連商品の卸売(ドラッグストア向け)/東京都中央区/2014年10月1日(新設分割により設立。分割会社は1946年11月設立)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 2,600万円
決算期:2014年9月末想定(試算値)/譲渡前の株主:株式会社マツモトキヨシホールセール(マツモトキヨシホールディングスの子会社)が100%保有/開示に取得価額の記載なし/新設会社のため確定した決算なし。分割前の茂木薬品商会全体の売上はコメント欄に記載
買収理由:セルフメディケーション卸売事業の基盤確立。ドラッグストア向け卸のノウハウの取り込み
分割前の茂木薬品商会全体で売上166億2,700万円、従業員50名。新会社の純資産は2,600万円(試算)、総資産39億3,500万円で、売掛金や在庫が中心の、純資産の薄い会社として切り出されています。旧社長が新会社の代表取締役社長に残り、買い手側の社長が会長に就いています。売った後も社長が経営を続ける形でした。
2021年4月1日を効力発生日の予定として、親会社のアルフレッサ ヘルスケアに吸収合併されることが基本合意されました(取得から約6年半)。開示時点の売上高は198億円まで伸びていました。
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本ページはアルフレッサ ホールディングス株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日