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セレンディップ・ホールディングス株式会社のM&A実績

「事業承継M&A」を成長戦略の柱に掲げ、自動車部品を中心とした製造業を買い続けている会社です。売り手は個人オーナーのほか、投資ファンドや、民事再生後の会社を支えてきた官民の再生ファンドまで幅があります。対象は売上11億円台から200億円規模までと、この名鑑の中では大きめです。買うときは特別目的会社(SPC)を作り、地方銀行や商工中金の投資子会社と共同で出資する形をよく使います。

セレンディップ・ホールディングス株式会社が公表した適時開示6件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月8日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
愛知県名古屋市
設立
2006年8月
事業内容
中堅・中小のものづくり企業に投資し、プロ経営者を派遣して経営を立て直す事業投資会社。自動車部品の製造会社を中心にグループ化している
売上高
511億6,300万円(2026年3月期(連結))
営業利益
21億8,900万円
純資産
170億6,300万円

どんな会社を買っているか

買う業種
自動車部品の製造(プレス、樹脂成形、めっき・表面処理)/試作品の受託製作/建設機械部品の商社・加工/業務用美容機器の開発・販売
対象の規模
対象の売上 11.4億円〜216億円(216億円は対象グループの簡易連結)
手法
株式譲渡が中心。買い手はSPC(特別目的会社)で、OKBキャピタル(大垣共立銀行系)や商工中金キャピタルが共同出資することがある
赤字でも買うか
買っている(実績あり)
買収後の扱い
買った会社は社名のまま子会社として残しています。前社長が留任する案件(エクセル、レディーバード)と、グループから社長を送り込む案件(イワヰ)の両方があります。2026年には、商工中金などと共同で設立した中間持株会社「ものづくり事業承継ホールディングス」の下に、アペックスと日建産業をまとめています。
  • 6件のうち2件で取得価額が開示されています。イワヰ8億6,000万円、日建産業39億4,100万円。どちらもアドバイザリー費用を別に書いています
  • 3件で「負ののれんが発生する見込み」と開示しています(イワヰ、エクセル、サーテックカリヤ)。負ののれんは、取得価額が対象の純資産(時価で評価し直したもの)を下回ったときに出ます。純資産が厚い製造業では、純資産より安い値段で決まることがあるということです
  • 非開示の案件でも「直前期末の連結純資産の15%以上」「15%未満」のどちらかが毎回書かれており、下限か上限が読めます
  • 名鑑の中では珍しく、投資ファンドから買う案件が多い会社です。アペックスはアント・キャピタル・パートナーズのファンドから、イワヰは地域経済活性化支援機構(REVIC)系の再生ファンドから買っています

買収の履歴6件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年6月11日株式譲渡(SPCが100%取得。SPCは中間持株会社「ものづくり事業承継ホールディングス」の傘下)

日建産業株式会社

建設機械メーカー向け部品の輸入商社、給排水用ライニング鋼管の製造、建機機材パーツの加工/大阪府大阪市/2021年12月設立

取得価額
39億4,100万円
対象の売上
95億2,400万円
対象の営業利益
6億8,900万円
対象の純資産
17億2,100万円

決算期:2026年3月期/譲渡前の株主:日建コラボレーションスクエア株式会社(1942年設立)が100%保有。代表者は日建産業と同じ濱口健宏氏/アドバイザリー費用等の概算300百万円を加えた合計額は4,241百万円

買収理由:自動車部品で培った加工技術が生きる建設機械分野への参入と、関西圏の拠点確保

売上95億2,400万円・営業利益6億8,900万円・純資産17億2,100万円で、取得価額は39億4,100万円。営業利益の5.7倍、純資産の2.3倍です。営業利益率は7%強で、3期とも7億〜8億円の営業利益を安定して出していました。売上は104億円から95億円に下がった局面での譲渡です。韓国からの部品調達と国内の加工工場を併せ持つ、という事業の組み立てが評価されています。

買収後存続2026年10月8日時点

2026年7月1日に取得が完了し、社名のまま子会社になりました。その後の商号変更や合併の開示はありません。

確認元:日建産業の株式の取得(子会社化)完了に関するお知らせ

出典:当社子会社による日建産業の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2025年5月13日株式譲渡(SPCが100%取得)

株式会社サーテックカリヤ

自動車部品のめっき・表面処理加工。タイ、インドネシア、メキシコなど海外に生産拠点/愛知県刈谷市/1954年2月設立

取得価額
―
対象の売上
216億円
対象の営業利益
11億円
対象の純資産
134億円

決算期:2024年12月期(簡易連結)/譲渡前の株主:個人株主17名(78.11%)と従業員持株会(21.89%)。譲渡の前に個人株主1名へ集約したうえで買い取る/相手方の要請により非開示。「2025年3月期末の連結純資産の15%以上」。同期末の連結純資産81億3,200万円の15%=約12億円を上回ると読める。負ののれんが発生する見込みと開示/海外子会社を含む10社の簡易連結(参考値、億円単位)。めっき対象品を客先から買って売り戻す「有償支給取引」は除いた数字。単体の売上は有償支給を含めて458億2,000万円

買収理由:表面処理技術を取り込み、グループの車載電装メーカー・海外自動車メーカーへの拡販につなげる

創業75年、簡易連結で売上216億円・営業利益11億円・純資産134億円。買い手にとって設立以来最大の買収でした。金額は非開示ですが、下限は約12億円と読め、しかも負ののれんが出る見込みです。つまり純資産を下回る値段で決まっています。単体の営業利益は△5,600万円→2,000万円→5億2,500万円と、赤字の年から戻したところでした。株主が17名と持株会に分かれていたため、売る前に1名へまとめています。株が散っている会社が売るときの段取りとして参考になります。

買収後存続2026年10月8日時点

2025年7月1日に取得が完了し、日本政策投資銀行と商工中金キャピタルがメザニン出資で加わりました。その後の商号変更や合併の開示はありません。

確認元:サーテックカリヤの株式の取得(子会社化)完了並びに株式会社日本政策投資銀行及び商工中金キャピタル株式会社によるメザニン出資に関するお知らせ

出典:サーテックカリヤの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2024年10月23日株式譲渡(SPCが100%取得。SPCには商工中金キャピタルが45%出資する計画)

エクセル・グループ(エクセルホールディングス株式会社ほか)

3次元ブロー成形による自動車部品ダクト等の樹脂成形品の開発・製造。米国・タイ・チェコ・中国に拠点/東京都中央区/1970年2月(エクセル株式会社)設立

取得価額
―
対象の売上
111億円
対象の営業利益
8億円
対象の純資産
104億円

決算期:各社の直近期(簡易連結)/譲渡前の株主:個人(氏名は非開示)。持株会社と国内事業会社の株式をそれぞれ66.7%〜92.5%保有/相手方の要請により非開示。負ののれんが発生する見込みと開示/国内5社・海外4社の簡易連結(参考値、億円単位)

買収理由:グループの三井屋工業(樹脂成形の内外装品)と組み、海外生産網とトラックメーカーへの販路を取り込む

簡易連結で売上111億円・営業利益8億円・純資産104億円。金額は非開示ですが、負ののれんが出る見込みと書かれており、純資産104億円より安く買ったことが読めます。代表取締役の中川剛太氏は譲渡後も社長に留任し、グループ会社の社長が副社長として入る形でした。オーナーが経営に残る前提でも、価格は純資産を下回る水準になり得るという例です。

買収後存続2026年10月8日時点

2024年12月4日に取得が完了し、商工中金キャピタルがファイナンシャル・スポンサーとして出資参加しました。取得時の開示では「グループの企業再編を予定」とされていますが、その後の商号変更や合併の開示はありません。

確認元:エクセル・グループの株式の取得(子会社化)完了に関するお知らせ

出典:エクセル・グループの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2024年9月4日株式譲渡(OKBキャピタルのファンドと共同で設立したSPCが100%取得)

株式会社イワヰ

自動車のボディ・シート部品の金属加工(大型プレス・溶接)/三重県津市/1964年3月設立

取得価額
8億6,000万円
対象の売上
71億6,600万円
対象の営業利益
△4,600万円
対象の純資産
12億300万円

決算期:2024年3月期/譲渡前の株主:近畿中部広域復興支援投資事業有限責任組合(REVICキャピタルとAGSコンサルティングが運営する再生ファンド)が100%保有/アドバイザリー費用等の概算51百万円を加えた合計額は911百万円。負ののれんが発生する見込みと開示

買収理由:グループの佐藤工業(プレス加工)と設備・顧客を補い合い、地域の自動車サプライチェーンを維持する

2020年8月にコロナ禍で民事再生を申し立てた会社です。その後、地方銀行や信用金庫が出資する再生ファンドが全株を持って立て直し、そこから売られました。直前期は営業損失4,600万円、売上71億6,600万円・純資産12億300万円で、取得価額8億6,000万円は純資産の0.7倍です。一度民事再生を経た会社でも、設備と取引先があれば次の買い手は現れます。ただし値段は純資産を下回りました。

買収後存続2026年10月8日時点

2024年10月11日に取得が完了し、社名のまま子会社になりました。社長にはグループの佐藤工業の社長が就いています。その後の商号変更や合併の開示はありません。

確認元:株式会社イワヰの株式の取得(子会社化)完了に関するお知らせ

出典:株式会社イワヰの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2024年3月15日株式譲渡(SPCが100%取得)。売り手の社長がSPCに再出資して株主に残る

株式会社レディーバード

業務用脱毛機器など美容機器の開発・製造・卸、エステ商材の販売/東京都港区/2014年6月設立

取得価額
―
対象の売上
11億4,200万円
対象の営業利益
2億9,200万円
対象の純資産
10億7,200万円

決算期:2023年5月期/譲渡前の株主:個人1名(横沢 直希)が100%保有/相手方の要請により非開示。「2023年3月期末の連結純資産の15%以上」。同期末の連結純資産44億7,900万円の15%=約6億7,000万円を上回ると読める

買収理由:ビューティーテック市場への参入。グループの設計・製造の知見で製品の付加価値を上げる

売上11億4,200万円・営業利益2億9,200万円(利益率25%)・純資産10億7,200万円。設立から10年足らずの会社です。取得価額は約6億7,000万円以上と読めます。営業利益は3億1,100万円→5億4,200万円→2億9,200万円と振れていました。創業者は全株を売ったあと、買い手側の会社に再出資して株主に戻り、社長も続けています。全部手放すのではなく、一部を持ち直して成長の果実を分け合う形です。

買収後存続2026年10月8日時点

取得の開示以降、商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:株式会社レディーバードの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:株式会社レディーバードの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2022年11月21日株式譲渡(完全子会社化)

株式会社アペックス

自動車部品を中心とした開発段階の試作品製作、デザインモックアップ、UI/UX開発/東京都八王子市/1975年4月設立

取得価額
―
対象の売上
14億4,700万円
対象の営業利益
6,800万円
対象の純資産
3億9,200万円

決算期:2022年3月期/譲渡前の株主:アント・ブリッジ5号A投資事業有限責任組合(アント・キャピタル・パートナーズ運営)86.7%、買い手の子会社13.3%/守秘義務により非開示。「2022年3月期末の連結純資産の15%未満」。同期末の連結純資産45億6,800万円の15%=約6億9,000万円を下回ると読める

買収理由:付加価値の高い「成長事業」への投資。試作を通じて次の技術トレンドを先に掴む

売上14億4,700万円・営業利益6,800万円・純資産3億9,200万円。2020年に投資ファンドと買い手が共同で出資し、2年後にファンドの持分を買い手が引き取った案件です。買収から約3年後の2026年3月期は、売上23億500万円・営業利益2億6,500万円・純資産11億5,000万円と開示されています。売上は1.6倍、営業利益は3.9倍になりました。

買収後存続2026年10月8日時点

社名・事業内容を変えずに残り、2026年6月に中間持株会社「ものづくり事業承継ホールディングス」の傘下へ移されました。代表取締役は取得時の景山敏行氏から本多伸彦氏に代わっています。

確認元:株式投資契約締結および子会社の異動に関するお知らせ

出典:株式会社アペックスの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された2件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 日建産業株式会社39億4,100万円(売上の0.41倍・営業利益の5.7倍)
  • 株式会社イワヰ8億6,000万円(売上の0.12倍)※営業赤字での譲渡

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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本ページはセレンディップ・ホールディングス株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月8日