株式会社ロゴスホールディングスのM&A実績
「全国の地方工務店をM&Aにより、地域に根付いたブランドや優れた技術を継承する」と掲げ、工務店・ハウスビルダーを買っている会社です。開示の出ている案件は3件で、1件は創業家3名から黒字の老舗ハウスビルダーを丸ごと買ったもの、残る2件は民事再生に入った住宅会社のスポンサーとして事業だけを引き取ったものです。2026年7月の開示では「『住宅事業』×『事業再生』分野へのアプローチ」を打ち出しており、業績の良い会社だけでなく、経営に行き詰まった住宅会社も対象にしています。
株式会社ロゴスホールディングスが公表した適時開示3件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 北海道札幌市
- 設立
- ―
- 事業内容
- 北海道を地盤に注文住宅「ロゴスホーム」を展開し、地方の工務店・ハウスビルダーをM&Aでグループ化している住宅事業の持株会社
- 売上高
- 495億200万円(2026年5月期(連結))
- 営業利益
- 14億4,900万円
- 純資産
- 40億4,400万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 注文住宅の設計・施工/戸建分譲住宅/住宅リフォーム・不動産仲介
- 対象の規模
- 対象の売上 49.6億円〜79.8億円
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)のほか、民事再生手続の中でのスポンサー支援として、事業譲受(在庫不動産のみ)や、新設した受け皿会社への吸収分割を使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま残すのが基本です。2026年7月の開示では、ロゴスホーム・豊栄建設・GALLERY HOUSE・坂井建設の4社がそれぞれの地域で別ブランドの住宅を展開していると説明されています。民事再生の案件では、既存の子会社(豊栄建設)が事業を引き取る形と、受け皿会社を新たに作って元の社長を代表に据える形の両方を使っています。
- 坂井建設の取得価額29億4,100万円は全額開示されています。営業利益の約9.2倍、純資産の約2.8倍にあたります。取得資金は北洋銀行からの10年・無担保のタームローン31億3,000万円で賄うと開示されています
- 民事再生に入った住宅会社のスポンサーを2件続けて引き受けています。札証物産(札幌、純資産マイナス7億6,500万円)とアエラホーム(東京、純資産マイナス14億3,400万円)で、どちらも会社ごとではなく事業だけを引き取る形でした
- 札証物産の案件では、負債は引き継がず、在庫不動産(完成22戸、未完成50戸、土地53戸、注文住宅1戸)を16億円で買い取っています。仕掛中の物件を完成させて売り切ることが目的と書かれています
- 取得理由では毎回「後継者不足」「大工不足」や法改正への対応の遅れといった地場工務店の課題に触れています。住宅業界の後継者問題を正面から買収の理由にしている買い手です
買収の履歴3件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
アエラホーム株式会社の注文住宅事業
注文住宅の設計・施工・販売(「外張W断熱住宅」、19店舗)。リフォーム事業とFC事業は対象外/東京都千代田区/1984年12月(創業1963年)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 79億8,000万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- △3億6,500万円
決算期:2025年5月期(純資産は会社全体)/譲渡前の株主:中島 秀行(社長)が70.4%を保有(その他の株主は非開示)/未確定。承継対価は「再生債権者に分配されるべき金額として裁判所・監督委員等との協議を経て決める額」に670万円を加えた額(別除権の受戻費用を含む)。算定機関の算定書は取得していない。別に、効力発生までの運転資金として3億円のDIPファイナンスを実行予定と開示/承継する注文住宅事業のみの数値。会社全体の売上は2025年5月期8,559百万円、2026年5月期5,558百万円
買収理由:民事再生支援。グループのデジタルマーケティングとDXオペレーションのノウハウを入れ、コスト改善と生産性向上で事業を再建する
会社全体の売上は91億1,400万円→85億5,900万円→55億5,800万円と落ち込み、2026年5月期は営業損失10億3,000万円、純資産マイナス14億3,400万円の債務超過でした。それでもブランドと営業網に価値があるとして事業は引き取られ、新築請負の契約も受け皿会社が引き継いで完工させると開示されています。注目は人の扱いで、受け皿会社の社長には、アエラホームの社長で筆頭株主だった中島秀行氏がそのまま就いています。会社が行き詰まっても、事業と経営者が一緒に引き取られることはあります。
2026年10月1日に吸収分割の効力が発生し、事業の承継が完了しました。受け皿会社は当初「アエラホーム株式会社」へ商号変更する予定でしたが、実際には「クラージュホーム株式会社」(旧商号:株式会社LHD-1)となり、本店を山梨県中巨摩郡昭和町に移し、資本金を1億円に増資しています。代表取締役社長は中島秀行氏です。
確認元:(開示事項の経過)アエラホームへの民事再生支援を目的としたスポンサー契約に基づく会社分割の効力発生による事業承継の完了、並びに子会社の増資(特定子会社の異動)及び商号変更に関するお知らせ
札証物産株式会社の戸建分譲住宅事業
戸建分譲住宅(札幌エリアで年間100棟以上)/北海道札幌市/1965年9月設立
- 取得価額
- 16億円
- 対象の売上
- 49億5,700万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- △7億6,500万円
決算期:2025年8月期(純資産は会社全体)/譲渡前の株主:秋田 雅幸(社長)99.19%、秋田 弘美 0.81%/譲受資産の在庫不動産(完成物件22戸、未完成工事物件50戸、土地53戸、注文住宅1戸)1,600百万円と同額。現金決済。負債は譲受の対象外。のれんの額は精査中/開示の「譲受事業の直前事業年度における経営成績」欄にある札証物産株式会社の売上高。同時にスポンサー契約を結んだ関連会社の札証商事(建築資材卸、2025年6月期売上339百万円)は含めない
買収理由:民事再生支援。グループの札幌での販売実績と木造住宅の施工力で仕掛中の物件を完成させ、在庫不動産を早期に販売して事業を再建する
1965年の創業から札幌で年間100棟以上を分譲してきた会社です。売上49億5,700万円に対して経常損失14億6,300万円、純資産マイナス7億6,500万円の状態で民事再生を申し立て、同じ日にスポンサー契約が結ばれています。引き取られたのは在庫不動産と雇用で、負債は残されました。譲受額は在庫の額と同じ16億円で、事業そのものへの上乗せは開示上見えません。土地の仕入れ網や地主とのつながりは評価されても、行き詰まってからの譲渡では資産の値段以上はつきにくいことが読み取れます。
法人ではなく事業を譲り受けた案件で、2026年6月5日に譲受が完了し、子会社の豊栄建設の事業として引き継がれています。2026年5月期の決算短信では、2027年5月期に札証物産の販売用不動産の引渡しを見込むと書かれています。
坂井建設株式会社
新築注文住宅の設計・施工(「ディテールホーム」)、リフォーム・マンションリノベーション、不動産仲介、土木工事/新潟県長岡市/1964年8月(創業1948年4月)設立
- 取得価額
- 29億4,100万円
- 対象の売上
- 67億2,500万円
- 対象の営業利益
- 3億2,000万円
- 対象の純資産
- 10億4,600万円
決算期:2023年12月期/譲渡前の株主:坂井 重栄(社長)64%、坂井 義栄 30%、坂井 真理子 6%(親族3名)/アドバイザリー費用等(概算)178百万円を加えた合計は3,119百万円(概算)。取得資金は北洋銀行からの借入3,130百万円(10年、無担保)で調達
買収理由:新潟県内でのシェア拡大とグループの住宅事業の強化。坂井建設のデザイン力と、ロゴス側のデジタルマーケティング・DX・仕入調達力・人材開発力を相互に活用する
売上67億2,500万円・営業利益3億2,000万円・純資産10億4,600万円。営業利益は1億600万円→2億1,900万円→3億2,000万円、純資産も6億9,200万円→10億4,600万円と3期続けて伸ばしている局面での譲渡でした。取得価額29億4,100万円は営業利益の約9.2倍、純資産の約2.8倍です。公共土木から始まり、2006年に始めた住宅事業で新潟トップクラスの施工実績を築いた会社で、地域で名の通ったブランドを持つ工務店は、利益の10倍近い値段で売れた例です。
2024年12月26日に株式譲渡実行予定として開示され、2026年7月のアエラホーム支援の開示でもグループ会社の1社として社名が挙がっています。2026年5月期に決算日を12月31日から5月31日に変更しています(決算短信)。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された2件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 札証物産株式会社の戸建分譲住宅事業16億円(売上の0.32倍)
- 坂井建設株式会社29億4,100万円(売上の0.44倍・営業利益の9.2倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社ロゴスホールディングスが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日