株式会社GENOVAのM&A実績
既存顧客の約6割が歯科医院という会社が、歯科の流通(器械・材料の卸売)を買収で組み立てている最中です。2025年に民事再生中の歯科ディーラーから事業を引き取り、2026年には歯科技工士向けの材料卸の有限会社を親族3名から買いました。決算短信では歯科流通事業を「M&Aによる事業の拡大及び利益創出」と位置づけています。本業の医療メディアに近い健康メディアの事業も買っています。
株式会社GENOVAが公表した適時開示3件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都渋谷区
- 設立
- 2005年7月
- 事業内容
- 医療情報メディア「Medical DOC」による医療機関の集患支援と、受付・電話業務の自動化サービスを軸に、2025年からは歯科医療機器・材料の卸売にも広げたヘルスケアテック企業
- 売上高
- 115億6,500万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 4億円
- 純資産
- 68億9,800万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 歯科医療用器械・材料の卸売(歯科ディーラー)/歯科技工所向けの歯科材料卸/健康・医療情報メディア
- 対象の規模
- 対象の売上 1.9億円〜60億円
- 手法
- 株式(持分)の取得による子会社化と、事業譲受の両方を使う。民事再生中の会社からは、新設した子会社に事業だけを引き継ぐ形を取った
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残しています(アカサカ歯材社)。事業だけを買う場合は、新しく作った子会社(ASANO)か本体が引き継ぎます。一方で、自前の完全子会社GENOVA DESiGNは2026年4月に本体へ吸収合併しており、グループ内の整理もしています。
- 取得価額を毎回開示しています。3件すべてで金額が出ており、アカサカ歯材社では株式代金6億円とアドバイザリー費用1,300万円を分けて書いています
- 売上に対する価格は低めです。アカサカ歯材社は売上57億6,000万円に対して6億円、ADI.Gの事業は売上60億円に対して約6億7,600万円と、いずれも売上の1割前後でした。卸売は売上が大きく利益率が薄い業態なので、売上規模ほどの値段にはなりません
- 経営破綻した会社の事業も買っています。ADI.Gは純資産マイナス38億4,800万円で民事再生中でしたが、事業そのものは裁判所の許可を前提に引き取られました
- アカサカ歯材社の取得資金6億円は、全額を銀行借入(三井住友銀行、7年返済)でまかなっています
買収の履歴3件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社セントラルメディエンスの「からだにいいこと」事業
健康メディア「からだにいいこと」を基盤とする受託編集・タイアップ広告・PR/東京都港区/譲渡会社は2018年5月設立設立
- 取得価額
- 5,100万円
- 対象の売上
- 1億8,800万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2026年4月期(譲受事業)/譲渡前の株主:株式会社コリバパートナーズ66.9%、中川隆太郎27.7%(譲渡会社の株主)/譲受価額51百万円(予定)、現金決済。軽微基準に該当するが任意で開示。資産は事業に付随するものだけを譲り受け、金額は軽微として省略
買収理由:メディア事業の編集力の強化と、出版コードの獲得によるオフライン(出版物)への情報発信チャネルの拡大
売上1億8,800万円の事業を5,100万円で譲り受けています。売上の約0.27倍です。譲渡会社は医療検査・コンサルティングが本業で、純資産は1,500万円(総資産10億3,500万円)でした。本業ではないメディア事業を、その分野を本業にしている上場企業に切り出して渡した形です。開示義務のない小さな案件でも、金額まで任意で開示されています。
2026年9月14日に事業開始予定として開示されました。事業はGENOVA本体が引き継ぐ形で、別の法人は作られていません。その後の開示はなく、根拠は取得時の開示のみです。
有限会社アカサカ歯材社
歯科材料の販売(主に歯科技工士向けの歯材卸)/埼玉県川越市/1980年5月設立
- 取得価額
- 6億円
- 対象の売上
- 57億6,040万円
- 対象の営業利益
- 2,440万円
- 対象の純資産
- 1億6,870万円
決算期:2025年4月期(未監査)/譲渡前の株主:赤坂博之45.56%、赤坂昌則45.56%、赤坂武夫8.88%(個人3名)/株式の取得価額600百万円。アドバイザリー費用等13百万円(概算)を加えた合計は613百万円。外部機関の株主価値評価と財務・法務デューデリジェンスをもとに、売り手3名との交渉で決定。取得資金は三井住友銀行からの借入600百万円
買収理由:子会社ASANOの歯科医院向け流通網と、技工領域の専門的な物流網を統合し、歯科医院から歯科技工所までをつなぐサプライチェーンを作る
創業1980年、資本金900万円の有限会社。売上57億6,000万円・営業利益2,400万円・純資産1億6,900万円。値段は純資産の約3.6倍、営業利益の約25倍でした。営業利益は5,400万円→3,900万円→2,400万円と3期続けて減っていましたが、売上は48億9,000万円→57億6,000万円と伸びています。利益が細っていても、長年の取引先との関係と物流網があれば、それに値段がつく例です。株主は赤坂姓の3名で、全員から持分を買い取って100%を取得しています。
2026年3月期決算短信の後発事象に、2026年4月21日付で全持分を取得して連結子会社化し、結合後の名称は「変更はありません」と記載されています。
株式会社ADI.Gの主要事業
歯科医療用器械・器材・材料・薬品の開発・販売、歯科医院向けクラウドサービス、歯科医院の開設・改装プロデュース/石川県金沢市/譲渡会社は1974年8月設立設立
- 取得価額
- 6億7,570万円
- 対象の売上
- 60億100万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2024年5月期(譲受事業)/譲渡前の株主:浅野弘治36.1%、浅野正子30.6%、浅野弘毅17.0%、浅野弘富16.3%(譲渡会社の株主。個人4名)/取得時の開示では譲受価額825百万円(予定)。2026年3月期決算短信の企業結合注記では取得原価675,714千円(現金、概算額で今後の価額調整の可能性あり)。のれんは1,089,970千円(暫定)
買収理由:既存顧客の約6割が歯科医院であることから、歯科の器械・材料の販売、クラウドサービス、開業・改装支援までを一体で提供する
譲受事業の売上60億100万円・経常利益1,900万円。譲渡会社のADI.Gは純資産マイナス38億4,800万円で、2024年12月に民事再生を申請していました。それでも事業は、監督委員の同意と裁判所の許可を前提に上場企業へ引き継がれています。会社が破綻しても、取引先と人がそろった事業には引き受け手が現れる例です。価格は開示時の予定8億2,500万円から、決算短信では約6億7,600万円となっています。のれんが取得原価を約4億1,400万円上回っており、引き継いだ資産より負債のほうが多い状態で引き取ったことが読めます。
事業は新設子会社の株式会社ASANOが2025年7月1日付で譲り受けました。2026年3月期決算短信で、ASANOは連結子会社として歯科流通事業を担っていると記載されています(同期の歯科流通事業は売上23億9,100万円・セグメント損失1億4,100万円)。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社セントラルメディエンスの「からだにいいこと」事業5,100万円(売上の0.27倍)
- 有限会社アカサカ歯材社6億円(売上の0.10倍・営業利益の24.6倍)
- 株式会社ADI.Gの主要事業6億7,570万円(売上の0.11倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社GENOVAが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日