株式会社リテールパートナーズのM&A実績
中国・九州の地場スーパーを買い集めている会社です。ここ数年は宮崎県に集中していて、2021年の戸村精肉本店、2023年のハツトリー、2025年の永野、2026年の日髙ホールディングス(惣菜製造)と続いています。売り手はほぼ全件が創業家の個人です。数店舗のスーパー、2店舗だけの事業、取引先の惣菜メーカーまで買っています。
株式会社リテールパートナーズが公表した適時開示6件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 山口県防府市
- 設立
- ―
- 事業内容
- 山口県の丸久、大分県のマルミヤストア、福岡県のマルキョウなど、中国・九州の地場食品スーパーを束ねる持株会社(2026年2月期末281店舗)
- 売上高
- 2,781億9,700万円(2026年2月期(連結))
- 営業利益
- 64億6,800万円
- 純資産
- 917億100万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 食品スーパーマーケット/惣菜製造/調味料製造(焼肉のたれ等)
- 対象の規模
- 対象の売上 9.1億円(惣菜製造)〜101.6億円(スーパー18店舗の事業)。2店舗だけの事業譲受もある(売上非開示)
- 手法
- 株式譲渡が中心。親会社ではなく傘下の丸久やマルミヤストアが買い手になる「孫会社化」が基本。店舗だけの事業譲受、経営再建中の会社から会社分割で事業を切り出して買う形も使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 戸村精肉本店・ハツトリー・永野は、社名のまま店舗を運営する事業会社として残っています(2026年2月期の決算短信の事業会社別店舗数)。一方、2014年の中央フードと2016年の新鮮マーケットは、同じ表に会社としては載っておらず、店名やブランド名として残っています。
- 取得価額はほとんどの案件で非開示です。6件のうち金額が出ているのは、経営再建中のスーパーから18店舗を引き継いだ2016年の案件(20億円)だけでした
- 営業赤字の会社を何度も買っています。中央フード(2期連続の営業赤字)、永野(3期連続の営業赤字)、地域経済活性化支援機構の支援を受けていたオーケーの事業。赤字でも、店舗網や自社ブランド商品があれば買い手がつく例が続いています
- スーパーだけでなく、取引先のメーカーも買っています。焼肉のたれの戸村フーズ、和惣菜の惣栄食品はいずれもグループへの商品供給が理由に挙がっています。惣栄食品はもともとグループの仕入先でした
- 2023年3月のハツトリー(宮崎市、6店舗)の取得は決算短信に記載がありますが、取得時の開示資料が手元に無いため案件一覧には入れていません
- 2店舗だけの事業譲受(小野商店)でも「適時開示基準に該当しないが、有用な情報と判断し任意開示」として開示を出しています
買収の履歴6件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社日髙ホールディングス(惣菜製造の株式会社惣栄食品の持株会社)
和惣菜・巻き寿司・おはぎ等の惣菜製造(宮崎県内トップシェア)/宮崎県児湯郡川南町/惣栄食品は1991年4月設立、日髙ホールディングスは2023年4月設立設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 9億1,100万円
- 対象の営業利益
- 9,400万円
- 対象の純資産
- 3億2,700万円
決算期:2026年3月期(惣栄食品)/譲渡前の株主:個人(日髙 惣平)が日髙ホールディングスの92.0%を保有。残りの株主は非開示/非開示。第三者機関の株価算定で妥当性を検証したうえで、相手先との協議により決定/事業会社の惣栄食品単体の数値。株式を取得した日髙ホールディングス単体は売上0、純資産142百万円
買収理由:グループの経営資源とノウハウを生かした物流効率化と、惣菜製造の経営基盤の強化
売上9億1,100万円・営業利益9,400万円(利益率約10%)・純資産3億2,700万円。売上は8億8,100万円→9億1,100万円→9億1,100万円と横ばいで、利益も毎期9,000万円台で安定していました。惣栄食品はもともとマルミヤストアの惣菜の仕入先で、取引先が買い手になった案件です。オーナーは売却の3年前(2023年4月)に持株会社を作り、事業会社をその下に置いていました。株式譲渡契約から取得まで2週間で完了しています。
2026年8月21日に株式取得済みと開示され、日髙ホールディングスと惣栄食品はともにグループの完全子会社になっています。その後の商号変更や合併の開示はありません。
株式会社永野
食品スーパー「ナガノヤ」6店舗・「ウメコウジ」2店舗の運営/宮崎県宮崎市/1988年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 52億1,400万円
- 対象の営業利益
- △1億800万円
- 対象の純資産
- 8億9,500万円
決算期:2024年5月期/譲渡前の株主:個人4名(永野 雄太 79.4%ほか3名)/相手先との協議により非開示。なお2026年2月期決算短信のキャッシュ・フロー計算書には「連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出」5億5,000万円があり、同期の新規連結子会社は永野1社のみ。ただしこれは取得した会社の現預金を差し引いた純額で、取得価額そのものではない
買収理由:南九州での店舗網の拡大と、自社開発商品・ブランド力のグループ全体での活用
売上52億1,400万円・営業損失1億800万円・純資産8億9,600万円。3期連続の営業赤字で、売上も62億円→58億円→52億円と減り続けていました。それでも買われたのは、焼肉のたれやぽん酢などの自社ブランド商品と、ユーモアのある商品名で県外にも知られていたからです。数字が落ちていても、名前で売れる商品がある会社には買い手がつきます。
株式会社戸村精肉本店(子会社の株式会社戸村フーズを含む)
スーパー4店舗とレストラン1店舗の運営。子会社の戸村フーズは宮崎県シェア1位の焼肉のたれを製造/宮崎県日南市/1972年9月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 32億3,100万円
- 対象の営業利益
- 6,600万円
- 対象の純資産
- 23億7,300万円
決算期:2020年8月期(戸村精肉本店単体)/譲渡前の株主:個人1名(戸村 サチ子)が99.3%保有/非開示/戸村精肉本店単体の数値。子会社の戸村フーズ(2020年4月期)は売上490百万円・営業利益96百万円・純資産490百万円
買収理由:南九州でのドミナント化と、戸村フーズの商品をグループへ供給するシナジー
戸村精肉本店は売上32億3,100万円・営業利益6,600万円・純資産23億7,300万円。売上は39億5,400万円→35億7,100万円→32億3,100万円と下がっていましたが、純資産は売上の7割を超える厚さでした。一方、焼肉のたれの戸村フーズは売上3億4,500万円→4億9,000万円、営業利益1,600万円→9,600万円と伸びている最中です。スーパー本体より、子会社のたれのブランドが買い手にとっての目玉だったことが、取得理由から読み取れます。基本合意から株式取得まで約2か月です。
2026年2月期の決算短信で、戸村精肉本店が4店舗を運営する事業会社として載っており、戸村フーズも「戸村本店焼肉のたれ」の製造・販売を続けていると書かれています。
株式会社小野商店のスーパー2店舗(セルフおの安心院店・院内店)
食品スーパー2店舗/大分県宇佐市/譲渡会社は1951年4月設立設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:非開示(非公開企業)/守秘義務により非公開。適時開示基準に該当しない規模で、任意開示
買収理由:大分県でのドミナント化の推進
創業70年、資本金1,000万円の地元スーパーから2店舗だけを買った案件です。譲渡会社全体の純資産は1億8,800万円、総資産は2億9,200万円でした。会社ごとではなく店舗だけを渡す形なので、売り手の会社は残ります。店舗の業績は開示されていません。
2021年3月25日に事業譲渡を実行予定と開示されていますが、その後2店舗がどう運営されているかは手元の開示で確認できません。
株式会社オーケーの食品スーパー事業(「新鮮市場」18店舗と共配センター)
食品スーパー「新鮮市場」の運営/大分県大分市/分割会社は1978年1月設立設立
- 取得価額
- 20億円
- 対象の売上
- 101億6,000万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2015年2月期/譲渡前の株主:株式会社オーケー(大城 英男 28.4%、大城 方子 25.0%、大城 順義 23.3%、大城 俊裕 23.3%の個人4名が保有)/新鮮マーケットの全株式をオーケーからマルミヤストアが2,000百万円で取得。承継する資産2,111百万円・負債1,317百万円(2015年8月20日時点の見込み)で、差し引き約794百万円の2.5倍程度/承継する店舗の2015年2月期の売上高。オーケー全体(24店舗)の売上は13,055百万円
買収理由:大分県でのドミナント形成による経営の効率化と安定化
この会社の案件で唯一、金額が開示されたものです。20億円。売り手のオーケーは、生鮮・惣菜をテナント任せにしたことと大型店の出店で収益が伸びず、地域経済活性化支援機構と金融機関の支援を受けて再建を目指していました。オーケー全体の営業利益は1,337万円まで落ち、最終赤字2億3,000万円。それでも24店舗のうち18店舗に20億円の値段がついています。再建中の会社でも、店舗網そのものには値段がつきます。残り6店舗と会社自体は売り手側に残る形でした。
2016年5月16日に契約締結の経過開示があり、6月24日に株式譲渡予定とされました。「新鮮市場」は2026年の開示でもマルミヤストアのブランドとして出てきますが、2026年2月期決算短信の事業会社別店舗数に新鮮マーケットの名前は無く、法人がどうなったかを示す開示は手元にありません。
株式会社中央フード及び中央商事株式会社
スーパーマーケット10店舗の運営(中央フード)、不動産賃貸・管理(中央商事)/山口県岩国市/中央フードは1967年2月、中央商事は1961年5月設立設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 60億6,100万円
- 対象の営業利益
- △3,500万円
- 対象の純資産
- 1億7,000万円
決算期:2014年1月期(中央フード)/譲渡前の株主:中央フードは個人67名54.0%、中央商事30.1%、自己株式15.9%。中央商事は個人13名が100%保有/非開示。第三者の評価結果等を参考に社内で検討し、売主と交渉/中央フードの営業収益。中央商事は営業収益100百万円・営業利益7百万円・純資産797百万円(2014年1月期)
買収理由:山口県全域での店舗網の強化と、双方の収益力向上
中央フードは営業収益60億6,100万円・営業損失3,500万円・純資産1億7,000万円。営業利益4,100万円→△300万円→△3,500万円と2期続けて赤字で、純資産も3億2,300万円→1億7,000万円と減っていました。株主が個人67名(中央フード)と13名(中央商事)に分かれていても、不動産を持つ関連会社ごとまとめて100%を取得しています。株が散らばっている会社でも、株主全員から買い集める形で売却は成立します。
2026年2月期の決算短信に「中央フード柳井店」の閉鎖が載っており、店名はグループ内に残っていますが、事業会社別店舗数に中央フードの名前は無く、法人がどうなったかを示す開示は手元にありません。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された1件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社オーケーの食品スーパー事業(「新鮮市場」18店舗と共配センター)20億円(売上の0.20倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社リテールパートナーズが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日