株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングスのM&A実績
後継者不在などの課題を抱える食品の中小企業を買い集めることを、事業モデルそのものにしている会社です。買収は年に数件のペースで続いており、対象は売上1億7,000万円の調理機器メーカーから売上168億円の水産加工グループまで。株主が個人オーナーである案件が大半を占めます。
株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングスが公表した適時開示7件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月18日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都港区
- 設立
- ―
- 事業内容
- 食品中小企業のグループ化と経営支援(製造・卸・小売)
- 売上高
- 574億8,400万円(2026年2月期(連結))
- 営業利益
- 15億6,800万円
- 純資産
- 192億5,300万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 食品製造/水産加工/製麺・調味料/酒類(ワイン)/業務用厨房機器
- 対象の規模
- 対象の売上 1.76億円〜168億円
- 手法
- 株式譲渡。100%取得が中心だが、70%など一部取得の例もある
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 社名をそのまま残します。今回調べた6社(倖生工業、はこだてわいん、富強食品、ワイエスフーズ、マルキチ、林久右衛門商店)は全社が、現在もグループ企業一覧に自社の名前で掲載されています。この一覧のなかで、社名の残存率がもっとも高い買い手です。
- 取得価額は「相手先との守秘義務契約に基づき非開示」が基本です。ただし規模の大きい案件では公表されることがあります
- 赤字の会社も買っています。富強食品は直前期に黒字化したものの、その前2期は営業損失でした
- 開示資料で「調整後営業利益(M&A後に削減可能な費用を加算した利益)」という考え方を明示しています。オーナーの個人的な経費を戻した後の利益で見る、という買い手側の実務がそのまま読めます
- 債務超過の会社も買っています。日本罐詰は純資産△32億3,700万円でしたが、営業利益は3期連続で黒字でした。この案件では売り手(明治)が譲渡前に第三者割当増資で債務超過を解消しています
買収の履歴7件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
日本罐詰株式会社
冷凍野菜・レトルトパウチ食品の製造・販売(国産冷凍コーンで高い市場シェア)/北海道河西郡芽室町/1948年12月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 30億4,100万円
- 対象の営業利益
- 2億900万円
- 対象の純資産
- △32億3,700万円
決算期:2026年3月期/譲渡前の株主:株式会社明治が92.9%、株式会社明治ナイスデイが7.1%。大手食品メーカーの子会社/相手先との守秘義務契約に基づき非開示。「外部機関が実施した財務・法務デューディリジェンスの結果を勘案し、合理的な価格としています」と開示。のれんは発生しない予定とされており、取得価額が対象の時価純資産を上回らない水準だったことが読めます
買収理由:北海道における農産物の調達・加工機能の強化。日本罐詰が持つ生産管理・品質管理ノウハウ(FSSC 22000認証)をグループ各社で活用する
売上30億4,100万円・営業利益2億900万円を3期連続で黒字で出している会社ですが、純資産は△32億3,700万円の債務超過です。総資産34億8,100万円に対して負債が67億円ある状態でした。 それでも買い手が付いています。理由は単純で、事業そのものが毎期2億円の営業利益を出しているからです。十勝の契約農家との調達網、国産冷凍コーンの市場シェア、FSSC 22000の食品安全管理体制。これらは貸借対照表には出てきません。 売り手が大手(明治)だったことも効いています。譲渡に先立ち、明治を割当先とする第三者割当増資で債務超過を解消してから渡す形です。[債務超過でも会社は売れるのか](/guide/risk/saimu-chouka-baikyaku)で書いた「債務超過の解消を売り手側で済ませてから渡す」実例がこれです。オーナー個人が売り手の場合は同じことができないので、そこは条件が違います。
倖生工業株式会社
業務用焼物調理機器の製造(セラミック製人工炭のグリラー)/千葉県千葉市/1975年12月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 2億3,700万円
- 対象の営業利益
- 9,100万円
- 対象の純資産
- 4億1,900万円
決算期:2025年6月期/譲渡前の株主:個人2名(91.5%と8.5%)/相手先との守秘義務契約に基づき非開示
買収理由:国内事業の成長と、東南アジアの業務用厨房機器子会社との連携による海外展開
売上2億3,700万円に対して営業利益9,100万円。営業利益率38%です。小さくても、独自製品で高い利益率を出している会社は強い。売上の2割〜3割が海外向けという点も評価されています。
株式会社はこだてわいん
ワインの製造・販売/北海道/1973年4月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 5億1,400万円
- 対象の営業利益
- 600万円
- 対象の純資産
- 9億1,400万円
決算期:2026年3月期/譲渡前の株主:株式会社ヤクルト北海道中央が100%保有/非開示
買収理由:酒類分野への展開
売上5億1,400万円に対して営業利益600万円。利益はほとんど出ていませんが、純資産9億1,400万円と1973年からのブランドがあります。売り手は事業会社(ヤクルトの地域会社)で、ノンコア事業の整理です。
株式会社富強食品
中華料理用材料の製造販売(春巻きの皮が主力)/千葉県野田市/2024年10月(事業自体は長く継続)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 5億1,000万円
- 対象の営業利益
- 3,500万円
- 対象の純資産
- 1億8,100万円
決算期:2023年12月期/譲渡前の株主:有限会社富強食品が100%保有/非開示
買収理由:食品製造事業の拡充
直前期は営業利益3,500万円ですが、その前の2期は営業損失(△3,500万円、△3,100万円)でした。赤字から立ち直った段階での譲渡です。主力商品の春巻きの皮が売上の約6割を占めるという、一品集中型の会社です。
株式会社ワイエスフーズ
水産加工(ほたて貝柱、いくら醤油漬、いかそうめん等)/北海道茅部郡森町/1998年9月設立
- 取得価額
- 60億2,000万円
- 対象の売上
- 168億6,500万円
- 対象の営業利益
- 16億3,400万円
- 対象の純資産
- 28億5,700万円
決算期:2022年7月期(連結)/譲渡前の株主:個人2名(50.6%と45.4%)/70%分の金額。資金は銀行借入
買収理由:水産加工分野の強化
この一覧で最大の案件です。70%の取得価額60億2,000万円は、100%換算でおよそ86億円。連結の営業利益16億3,400万円に対して約5.3倍、売上168億6,500万円の0.51倍にあたります。グループ会社3社と従業員284人を抱える企業グループが、兄弟とみられる個人2名から譲渡されました。30%は売り手側に残しています。
株式会社マルキチ
水産加工・食品/北海道/1988年8月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 69億円
- 対象の営業利益
- 5億7,100万円
- 対象の純資産
- 11億1,700万円
決算期:2021年12月期/譲渡前の株主:個人2名(90.0%と10.0%)/非開示
買収理由:水産・食品分野の拡充
売上69億円・営業利益5億7,100万円。ただし前年は営業損失1億7,300万円で、年ごとの振れが大きい会社です。相場が動く水産では珍しくありませんが、買い手は単年ではなく複数年で見ています。
株式会社林久右衛門商店
食品製造(だし・調味料等)/福井県/1959年12月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 11億8,500万円
- 対象の営業利益
- 5,800万円
- 対象の純資産
- 6億円
決算期:2022年8月期/譲渡前の株主:個人1名が97.3%(残りは自己株式)/非開示
買収理由:食品製造事業の拡充
創業1959年、売上11億8,500万円・営業利益5,800万円。2年前の営業利益1億100万円からは落ちている局面での譲渡ですが、純資産を2年で2.2倍に増やしていました。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された1件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社ワイエスフーズ60億2,000万円(売上の0.36倍・営業利益の3.7倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングスが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月18日