株式会社エスコンのM&A実績
不動産会社です。事業会社の買収は、埼玉の戸建て分譲会社と住宅建築会社(売上21億円・11億円)、赤字の不動産クラウドファンディング会社と、同業で地域を広げる買い方と、新しい機能を足す買い方の両方があります。一方で、中期経営計画で掲げる「ストック収益」の積み上げのため、賃貸不動産を持つ会社を株式ごと買う案件を数百億円規模で繰り返しています。後者は事業というより不動産を買う取引で、性質が違います。
株式会社エスコンが公表した適時開示4件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月13日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都港区
- 設立
- ―
- 事業内容
- 分譲マンション・商業施設・物流施設などの不動産開発と、賃貸・アセットマネジメントを手がける不動産会社(旧商号 日本エスコン)
- 売上高
- 1,370億2,900万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 261億100万円
- 純資産
- 861億2,200万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 戸建て分譲・住宅建築/不動産の賃貸・管理・仲介/不動産クラウドファンディング・オンラインファンド
- 対象の規模
- 事業会社では対象の売上 0.09億円〜21億円(賃貸不動産を持つ会社の取得は除く)
- 手法
- 株式譲渡(100%取得)が中心。不動産保有会社では、売り手側が先に会社分割で不要な事業を切り出し、残った会社の株式を買う形を使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残す例が見られます。ピカソグループは2026年3月期の決算短信でも「賃貸事業を展開する連結子会社」として名前が出ています。
- 事業会社の取得価額は非開示です。ワンズオウンハウス・ライズホームとFUELはいずれも「相手先の意向」で非開示、「連結純資産額の15%以下」とだけ書かれています
- 賃貸不動産を持つ会社は「時価純資産」で値付けしています。ピカソグループ(298億円)、四条大宮ビル(300億円)、アーク不動産(110億円)のいずれも、保有不動産を時価評価した純資産を基に価格を決めたと開示しています
- 四条大宮ビル(2023年)、三菱ケミカルから切り出した芝リアルエステート(2025年)、アーク不動産(2026年予定)は、会社分割で賃貸不動産だけを残した会社を買う取引のため、事業の買収とは性質が違うので一覧には載せていません
- 2026年にはJリーグクラブのモンテディオ山形を新株の引受けで子会社化(98%、1億1,100万円)していますが、既存株主から株を買う取引ではないため一覧には載せていません
買収の履歴4件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
FUEL株式会社
不動産のオンラインファンド運営、不動産特定共同事業法型クラウドファンディング事業者へのシステム提供/東京都渋谷区/1999年7月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 900万円
- 対象の営業利益
- △1億800万円
- 対象の純資産
- 2億2,900万円
決算期:2020年12月期/譲渡前の株主:個人1名(細澤 聡希)が100%保有/相手先の意向により非開示。「連結純資産額の15%に相当する額以下」。DCF法と簿価純資産、事業計画、シナジーを加味して算定
買収理由:アセットマネジメント事業の強化と、セキュリティトークン・クラウドファンディングなど不動産DX事業への参入
売上885万円に対し営業損失1億810万円。売上は3,427万円→511万円→885万円と落ち、赤字は年々拡大していました。それでも純資産は3,026万円→2億2,913万円と増えており、増資で資金をつなぎながら仕組みを作っていた段階の会社です。売上がほとんど無くても、買い手が自前で持っていない機能(オンラインで小口の投資家を集める仕組み)があれば買われます。取得前から買い手の執行役員が社外取締役に入っており、関係ができていた相手への譲渡でした。
2022年1月21日に取得完了の開示があり、社名のまま子会社になりました。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。
株式会社ピカソ(優木産業・グループ6社を含む計8社)
賃貸マンション・オフィスビル等の賃貸、管理、仲介/大阪府大阪市/1991年5月(ピカソ)設立
- 取得価額
- 298億円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:8社で決算期が異なる/譲渡前の株主:創業者(若林 宏明)ほか個人3名。各社とも個人1名が100%保有/8社の合計額。諸費用1億円を加えた取得総額は299億円。保有不動産を時価評価した時価純資産額を基に決定。契約時点の予定額
買収理由:賃貸収益不動産による安定収益の確保。フロー型からストック型への収益構造の転換
事業の買収というより、賃貸不動産をまとめて買う取引です。価格は会社の利益ではなく、保有不動産を時価で評価した純資産で決まっています。中心のピカソは売上60億7,600万円・営業利益18億7,800万円・純資産43億9,100万円(2021年4月期)、優木産業は売上31億500万円・営業利益7億1,300万円・純資産15億9,300万円(2020年8月期)。残る6社は売上3,800万円〜1億4,500万円の小さな会社で、資本金10万円の会社も含まれます。創業者を含む個人4名が分けて持っていた複数の会社を、1つの買い手にまとめて引き取ってもらった形です。なお買い手の2026年3月期の決算短信では、ピカソグループが保有する賃貸レジデンスの売却を進めたと書かれており、買われた後に物件が順次売られていくことも読み取れます。
2021年10月29日に8社とも取得完了し、代表者は買い手側の人物に替わりました。2026年3月期の決算短信に「賃貸事業を展開する連結子会社のピカソグループ」として記載があります。各社の個別の商号変更や合併の開示は確認できていません。
ライズホーム株式会社
戸建て住宅の建築工事(年間60戸程度)/埼玉県さいたま市/2005年3月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 11億5,400万円
- 対象の営業利益
- 1億700万円
- 対象の純資産
- 3億1,300万円
決算期:2019年2月期/譲渡前の株主:個人1名(加賀 正信)が100%保有/相手先の意向により非開示。ワンズオウンハウスとあわせて「連結純資産額の15%に相当する額以下」
買収理由:人口が伸びている埼玉県での戸建て・マンション開発の強化
売上11億5,400万円・営業利益1億700万円・純資産3億1,300万円。売上は8億700万円→9億7,300万円→11億5,400万円、営業利益は6,500万円→8,300万円→1億700万円と、3期続けて伸びている最中の譲渡です。分譲会社(ワンズオウンハウス)と建築会社(ライズホーム)を分けて持っていたオーナーが、売る・建てるの両方を一度に渡したことで、買い手は埼玉で戸建て事業を丸ごと手に入れる形になりました。
ワンズオウンハウス株式会社
戸建て分譲(年間40戸程度)、中古住宅の買取再販、不動産仲介/埼玉県さいたま市/2001年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 21億1,400万円
- 対象の営業利益
- 1億6,300万円
- 対象の純資産
- 4億8,600万円
決算期:2018年6月期/譲渡前の株主:個人1名(加賀 正信)が100%保有/相手先の意向により非開示。ライズホームとあわせて「連結純資産額の15%に相当する額以下」
買収理由:人口が伸びている埼玉県での戸建て・マンション開発の強化
売上21億1,400万円・営業利益1億6,300万円・純資産4億8,600万円。売上は21億円前後で横ばいでしたが、営業利益は1億2,100万円→1億4,700万円→1億6,300万円と毎年伸び、純資産も着実に積み上がっていました。買い手が評価したのは会社そのものより「埼玉という市場」で、地域に根を張った会社は、その地域に出たい買い手にとって入口になります。社長は同じ住所でライズホームも経営しており、2社をセットで譲渡しています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された1件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社ピカソ(優木産業・グループ6社を含む計8社)298億円
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社エスコンが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月13日