株式会社ココナラのM&A実績
「規律あるM&A戦略」を掲げ、エンジニアや専門人材を企業につなぐ会社を買っている会社です。ITフリーランスのエージェント2社、SESの会社、AIコンサルの会社と、買う領域ははっきりしています。売り手は創業者個人が中心で、4件のうち3件で取得価額を開示しています。
株式会社ココナラが公表した適時開示4件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都渋谷区
- 設立
- 2012年1月
- 事業内容
- スキルマーケット「ココナラスキルマーケット」の運営を軸に、ITフリーランスの案件紹介「ココナラテック」、アシスタント派遣「ココナラアシスト」、弁護士検索「ココナラ法律相談」などを展開
- 売上高
- 94億1,000万円(2025年8月期(連結))
- 営業利益
- 2億5,600万円
- 純資産
- 24億1,700万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- ITフリーランスのエージェント(案件紹介)/SES(システムエンジニアリングサービス)/AIコンサルティング・AI開発
- 対象の規模
- 取得価額 2.5億円〜12.6億円(Acrosstudioは51%取得で8.67億円)。対象の売上が開示されたのはAcrosstudioの11.3億円のみ
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)。100%取得が基本だが、Acrosstudioは51%だけを取得。オーナーの資産管理会社の持分ごと買う形も使う
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社を「ココナラ」の名前に変えて事業の受け皿にする傾向があります。ポートエンジニアリングは取得2か月後に株式会社ココナラエージェントへ商号変更し、ココナラ本体のエージェント事業を移しました。アン・コンサルティングも、決算短信に出てくる「2024年6月に子会社化した株式会社ココナラテック」がこの会社と見られます。
- 取得価額の開示が多い会社です。4件中3件で金額が出ています。アン・コンサルティングは最初「非開示」でしたが、約2か月後に訂正開示で12億6,100万円と公表しました
- 算定方法は「対象会社の予想業績等に基づいたDCF法を当社内で算定」と書かれています。過去の利益よりこれからの伸びで値段を決める姿勢です
- 純資産の何倍もの値段を払っています。アン・コンサルティングは純資産1億6,300万円に12億6,100万円、Acrosstudioは純資産2,200万円の会社の51%に8億6,700万円でした
- アン・コンサルティングの取得では、三井住友銀行から取得価額とほぼ同額の12億6,000万円を7年で借り入れています。手元資金の範囲に縛られずに買う会社です
- 軽微基準に届かない小さな案件(フレームキャリア)でも、任意で開示を出しています
買収の履歴4件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
Acrosstudio株式会社
AIコンサルティング及びAI開発(AI実装型コンサルティングファーム)/東京都渋谷区/2021年7月設立
- 取得価額
- 8億6,700万円
- 対象の売上
- 11億3,000万円
- 対象の営業利益
- 4,600万円
- 対象の純資産
- 2,200万円
決算期:2026年6月期/譲渡前の株主:個人5名(氏名・持株比率は相手方の意向により非開示)/51%分の取得価額。アドバイザリー費用等(概算)5百万円を加えた合計は872百万円。単純に100%へ換算すると約17億円
買収理由:2026年9月に設けたAIカンパニーの中核とし、AIコンサルティング・AI開発・AI BPOへ領域を広げる
売上11億3,000万円・営業利益4,600万円・純資産2,200万円。売上は1億6,200万円→6億3,000万円→11億3,000万円と2年で7倍になっていました。純資産2,200万円の会社の過半数に8億6,700万円がついています。評価されたのは利益の額ではなく、売上の伸びと63名の陣容(7割超がコンサルタントとAIエンジニア)、大手企業での本番導入の実績です。49%は売り手側に残る形で、創業メンバーが株主として経営に残る設計です。
株式会社フレームキャリア
SES(システムエンジニアリングサービス)/東京都渋谷区/2023年5月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人1名(八木澤 勇希)が100%保有/相手先の意向により非開示。業績への影響は「軽微」とされ、適時開示基準に該当しない任意開示
買収理由:正社員エンジニアのマッチング事業をスピード感をもって拡大する
資本金500万円、設立から3年足らずのSES会社です。業績も価格も非開示ですが、創業社長1人が100%持つ若い会社でも上場企業に売れています。ココナラはフリーランスに加えて正社員エンジニアの紹介を始めたところで、買い手の新しい事業に必要な人材を抱えていることが売れた理由です。
2026年3月2日付で子会社化を完了したと開示されています。その後の商号変更や合併の開示はありません。
アン・コンサルティング株式会社
ITフリーランスエンジニアのエージェント事業(案件プラットフォーム「furien」)/東京都渋谷区/2011年1月設立
- 取得価額
- 12億6,100万円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 1億6,300万円
決算期:2023年10月期/譲渡前の株主:久利鋭一46.93%、合同会社EKパートナーズ(久利氏100%出資の資産管理会社)46.93%、ほか個人9名4.5%・法人2社1.64%/当初は相手先の要望により非開示としていたが、2024年7月12日の訂正開示で1,261百万円と公表。アドバイザリー費用(概算)7百万円は別。対象会社の予想業績等に基づくDCF法で社内算定。取得資金は三井住友銀行からの借入1,260百万円(7年)
買収理由:ITフリーランス向けエージェント事業の拡大を早める
純資産1億6,300万円に対して12億6,100万円、純資産の約7.7倍です。当期純利益は1,600万円→900万円→300万円と減っていましたが、累計3万件超の案件を載せたプラットフォームが評価されました。社長が株の半分を資産管理会社で持っていても、その資産管理会社ごと買い取る形で100%の取得が成立しています。売上と営業利益は守秘義務で非開示です。
2025年8月期の決算短信に「2024年6月に子会社化した株式会社ココナラテック」とあり、同月に子会社化したのはこの会社だけのため、ココナラテックへ商号変更したものと推定しています(商号変更の開示そのものは未確認)。
ポートエンジニアリング株式会社
ITフリーランスエンジニアのエージェント事業(プラットフォーム「Futurizm」)/東京都新宿区/2023年4月設立
- 取得価額
- 2億5,000万円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示(2023年4月設立のため決算実績なし)/譲渡前の株主:ポート株式会社(事業会社)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)4百万円を加えた合計は254百万円
買収理由:ITフリーランス向けエージェント事業の早期拡大
設立3か月で決算が一度もない会社に2億5,000万円がついています。親会社のポートが事業を新会社に切り出して売った形で、値段の根拠は約3,500名のITフリーランスが登録したプラットフォームそのものでした。会社の実績が無くても、事業として登録者や顧客を持っていれば値段はつきます。
2023年9月1日付で株式会社ココナラエージェントに商号変更し、ココナラ本体のエージェント事業を吸収分割で引き継ぐと開示されています。その後の状況は手元の開示では確認できていません。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- Acrosstudio株式会社8億6,700万円(売上の0.77倍・営業利益の18.8倍)
- アン・コンサルティング株式会社12億6,100万円
- ポートエンジニアリング株式会社2億5,000万円
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社ココナラが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日