株式会社Orchestra HoldingsのM&A実績
IT・デジタル領域の中小企業を、2017年から10年近く買い続けている会社です。自社資料では投資実績を「累計30件」としています。対象は売上1億円台のSalesforce導入会社から、売上39億円のデジタルマーケティング会社まで。売り手は創業社長個人が中心ですが、LIFULLやフロムスクラッチのような事業会社が子会社や一部事業を手放したケースもあります。近年は1件10億〜20億円規模の買収が増え、借入れも使って買っています。
株式会社Orchestra Holdingsが公表した適時開示20件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都渋谷区
- 設立
- 2009年
- 事業内容
- デジタルマーケティング事業(広告運用・SEO・SNSマーケティング)と、DX事業(システム開発、Salesforce導入、ソフトウェアテスト)を中心に、ゲーム開発や人材紹介も束ねる持株会社
- 売上高
- 157億6,800万円(2025年12月期(連結・IFRS))
- 営業利益
- 14億4,200万円
- 純資産
- 70億1,400万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- システム開発・SES・オフショア開発/Salesforce導入(クラウドインテグレーション)/ソフトウェアテスト・第三者検証/デジタルマーケティング(Web制作、SNSマーケティング、SEO、広告運用)/ゲーム開発/自動認識(RFID・バーコード)ソリューション
- 対象の規模
- 対象の売上 1.26億円〜39.35億円(業績が非開示の案件も多い)
- 手法
- 株式譲渡(100%取得)が中心。子会社のデジタルアイデンティティ、Sharing Innovations、ヴェスが買い手になる「孫会社化」が多く、事業譲受で開発チームや自社ツールだけを引き取る形も使う。ミンツプランニングでは90%だけを先に取得
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 会社によって扱いが分かれます。ヴェス、ランド・ホー、日本技研プロフェッショナルアーキテクト、ケーウェイズ、SALTOといった2023年以降の買収先は、社名のままグループ会社一覧に載っています。一方、2018〜2023年にDX・デジタルマーケティング領域で買った会社の多くは、2026年10月時点のグループ会社一覧に社名がありません。会社側は補足資料で「DX領域で11社をM&Aし、統合」と説明しており、既存の子会社にまとめていく使い方もしています。
- 取得価額を開示した案件が多い会社です。この一覧に載せた20件のうち8件で金額が出ており、3億5,000万円から18億8,400万円まで幅があります
- 価格以外の情報も厚めです。ランド・ホー、日本技研プロフェッショナルアーキテクト、ケーウェイズ、SALTOなどでは補足説明資料を別に出し、対象の従業員数や買収後の狙いまで説明しています
- M&Aの選定基準を公表しています。「のれん償却後営業利益で黒字が見込まれる」ことを基本方針に掲げ、2026年の資料では投資基準として「成長性」「HDシナジー」「バリュエーション(EBITDA倍率)」の3つを挙げています。今後の検討先としてITコンサル、ERP導入、セキュリティ、IP・エンタメ領域を挙げています
- 契約後に中止になった案件もあります。2024年4月に人材紹介会社オトラビスタの株式譲渡契約を結びましたが、「最終的なクロージング条件が整わず」契約を解除したと開示されています(開示は買い手側の説明)
- 2024年4月1日開示の「連結子会社の事業譲受に関するお知らせ」は原文を取得できなかったため、この一覧には入れていません
買収の履歴20件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社SALTO
請負・ラボ型・オフショア型のシステム開発(東京・大阪・ベトナムに拠点、約230名)/東京都新宿区/2015年9月設立
- 取得価額
- 17億2,100万円
- 対象の売上
- 22億6,500万円
- 対象の営業利益
- 1億1,600万円
- 対象の純資産
- 2億3,000万円
決算期:2025年8月期/譲渡前の株主:個人株主2名が100%保有(氏名は非公開)/デューデリジェンス諸費用等(概算)3百万円を加えた合計は1,724百万円。「直接取引のためアドバイザリー費用は発生しません」と明記/単体の数値(ベトナム子会社は規模と重要性から含めず)
買収理由:請負・ラボ型の開発体制と日本・ベトナムの開発リソース、防衛・AI・社会インフラ分野の顧客基盤の取り込み
売上22億6,500万円・営業利益1億1,600万円・純資産2億3,000万円。営業利益は600万円→1,600万円→1億1,600万円と伸び、2026年8月期の着地見込みは売上26億円・営業利益2億6,000万円と開示されています。取得価額17億2,100万円は、直前期の営業利益の約15倍、着地見込みの営業利益なら約6.6倍です。利益が伸びている途中で売った案件で、開示には直前期の実績だけでなく今期の着地見込みまで載っています。仲介会社やFAを通さない直接取引で、アドバイザリー費用はかかっていません。
株式会社ケーウェイズ
RFID・バーコード・ICカードなどの自動認識ソリューション(約30名)/神奈川県横浜市/2010年2月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 4億6,200万円
- 対象の営業利益
- 4,100万円
- 対象の純資産
- 2億9,100万円
決算期:2023年12月期/譲渡前の株主:個人株主2名が100%保有(氏名は非公開)/相手先の強い希望により非開示。「デューデリジェンスを実施の上、公正妥当と考えられる金額」
買収理由:DX事業にIoT・自動認識の領域を加え、提案の幅を広げる
売上4億6,200万円・営業利益4,100万円・純資産2億9,100万円。従業員約30名の会社です。補足資料には「従来はリソース不足で断っていた案件、外注活用していた案件の受注も可能に」とあり、人手が足りずに仕事を断っていたことが、グループに入る理由のひとつとして書かれています。買い手は、2023年に買われたヴェスです。
株式会社日本技研プロフェッショナルアーキテクト
大手・中堅SIer向けのソフトウェア開発(SES、約130名)/東京都新宿区/2006年6月設立
- 取得価額
- 10億5,300万円
- 対象の売上
- 7億9,700万円
- 対象の営業利益
- 4,100万円
- 対象の純資産
- 2億8,400万円
決算期:2024年3月期/譲渡前の株主:個人株主1名が100%保有(氏名は非公開)/株式とアドバイザリー費用等を合わせた概算額。内訳は非開示。取得資金は借入金と手元資金
買収理由:エンジニア約130名の合流と、ヴェスとの顧客基盤・人材の共有によるDX事業の拡大
売上7億9,700万円・営業利益4,100万円・純資産2億8,400万円。売上は6億5,700万円→7億1,900万円→7億9,700万円と伸びていました。金額は営業利益の約25倍(アドバイザリー費用込み)で、買い手は理由の筆頭にエンジニア約130名の合流を挙げています。補足資料には、2次請け以下の案件を、ヴェスの顧客基盤を使って元請け案件に切り替え「利益率の大幅な改善を見込む」とあります。下請け中心で利益率が低くても、技術者を抱えている会社には値段がつく例です。
株式会社ランド・ホー
スマートフォン・家庭用ゲームの開発・運営受託、ロブロックスでの開発受託(約130名)/東京都大田区/1999年6月設立
- 取得価額
- 6億1,000万円
- 対象の売上
- 12億9,600万円
- 対象の営業利益
- △1億9,900万円
- 対象の純資産
- 6,800万円
決算期:2024年5月期/譲渡前の株主:株式会社ハートランド(代表は対象会社の社長、事業内容は有価証券の保有・管理)67.5%、塚本昌信24.3%、個人株主6名8.2%/アドバイザリー費用等(概算)30百万円を加えた合計は640百万円。取得資金は手元資金
買収理由:国内ゲーム開発市場への参入と、ロブロックスを使ったメタバースマーケティング事業への参入
営業損失1億9,900万円、純資産6,800万円の状態での譲渡です。売上は20億9,300万円→19億9,300万円→12億9,600万円と落ち、営業利益も2億7,400万円→790万円→赤字と急に悪化していました。それでも純資産の約9倍にあたる6億1,000万円がついています。買い手は、エンジニア約130名とゲーム開発の実績、早くから参入していたロブロックスでの受託を評価したと説明しています。業績が落ちた局面でも、人材と技術に使い道を見出す買い手がいれば売れる例です。
コンティニュー株式会社
Salesforceの導入・開発、AppExchange製品の導入支援/愛知県名古屋市/2014年3月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 1億2,600万円
- 対象の営業利益
- 500万円
- 対象の純資産
- 900万円
決算期:2022年9月期/譲渡前の株主:平健司50.0%、大津幸志50.0%(個人2名)/相手先との協議により非開示。「外部の専門家による株式価値評価」等を勘案した金額
買収理由:中部エリアでのSalesforce事業の強化と、大企業向け案件を担える上位エンジニアの確保
売上1億2,600万円・営業利益500万円・純資産900万円。この一覧で最小の案件です。3期前は純資産マイナス100万円の債務超過で、営業損益も赤字→赤字→黒字と、ようやく黒字に戻ったところでした。それでも上場企業の孫会社として迎えられています。買い手が評価したのは、プロジェクトマネージャー級のエンジニアと大企業向けの実績でした。会社の規模や財務が小さくても、人の質で買われる例です。共同創業者2名が半分ずつ持つ形でも成立しています。
2026年10月時点の買い手のグループ会社一覧に社名はありません。ただし一覧は主要会社だけのようで、吸収合併などの開示も見つかっていないため、扱いは確認できていません。
株式会社ヴェス
ソフトウェアの第三者検証(ソフトウェアテスト、約130名)/東京都新宿区/2003年7月設立
- 取得価額
- 18億8,400万円
- 対象の売上
- 13億1,900万円
- 対象の営業利益
- 3,900万円
- 対象の純資産
- 3億6,800万円
決算期:2022年3月期/譲渡前の株主:個人(相手先の意向により氏名・持株比率は非公開)/アドバイザリー費用等(概算)75百万円を加えた合計は1,959百万円。取得資金としてメガバンク等4行から19億円を7年で借入
買収理由:ソフトウェアテスト市場への新規参入と、設計・開発・テストを一気通貫で提供する体制づくり
売上13億1,900万円・営業利益3,900万円・純資産3億6,800万円。取得価額18億8,400万円は、この会社の案件で最大です。直前期の営業利益の約48倍にあたりますが、買い手は追加資料で「M&A後は不要となる費用削減後の実態営業利益」で見ればのれん償却を上回ると説明しています。また、ソフトウェアテスト以外の赤字事業を、譲渡の前に切り離していたことも開示されています。帳簿上の利益が小さくても、買い手が「買収後に不要になる費用」を除いた実力値で評価することがある、という実例です。
買い手のグループ会社一覧に「ヴェス」として載っています。その後、日本技研プロフェッショナルアーキテクト(2024年)とケーウェイズ(2025年)を買う側に回っています。代表取締役は2024年の開示時点で買い手の社長が務めています。
株式会社e2e・株式会社アダムテクノロジーズ(2社同時)
WordPressに特化したシステム開発・保守(e2e)、SEOコンサルティング・コンテンツマーケティング(アダムテクノロジーズ)/東京都千代田区/2020年2月(e2e)・2020年1月(アダムテクノロジーズ)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人1名(野口 浩孝)が2社とも100%保有/相手先の強い希望により非開示/相手先の強い希望により非開示。2社とも「売上高は買い手の連結売上高の10%未満」とだけ開示
買収理由:デジタルマーケティング事業のサービス拡充と人材確保
同じオーナーが持つ設立3年目の会社2社を、まとめて引き受けた案件です。事業ごとに会社を分けていても、関連する事業なら一括で買い手が見つかります。業績と金額は売り手の強い希望で非開示です。
2026年10月時点の買い手のグループ会社一覧に2社とも社名はありません。吸収合併などの開示は見つかっておらず、扱いは確認できていません。
株式会社LIFULL Marketing Partners
不動産・住宅業界向けのデジタルマーケティング(約80名)/東京都千代田区/2005年10月設立
- 取得価額
- 6億9,000万円
- 対象の売上
- 39億3,500万円
- 対象の営業利益
- △8,100万円
- 対象の純資産
- 2億1,900万円
決算期:2021年9月期/譲渡前の株主:株式会社LIFULL(上場企業)が100%保有/M&Aアドバイザリー費用を含む概算額。内訳は非開示。取得資金は手元資金
買収理由:不動産・住宅領域のデジタルマーケティングの取り込みと、デジタル人材約80名の確保
売上39億3,500万円に対して営業損失8,100万円。3期続けて営業赤字で、純資産も3億8,000万円→2億8,700万円→2億1,900万円と減っていました。売り手は不動産情報サイトのLIFULLで、上場企業が手放した子会社です。買い手は補足資料で「当期は黒字化」の見込みと、外注していた広告運用を内製化することでのコスト削減を挙げています。赤字続きでも、人員と顧客基盤がそろっていれば値段はつきます。
2026年10月時点の買い手のグループ会社一覧に社名はありません。吸収合併や商号変更の開示は見つかっておらず、扱いは確認できていません。
株式会社ミンツプランニング
SNSマーケティング(女性目線のプランニング、クリエイティブ制作、キャスティング)/東京都渋谷区/2011年9月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人1名(山本 かすみ)が100%保有/相手先の強い希望により非開示/相手先の強い希望により非開示。「売上高は買い手の連結売上高の10%未満」とだけ開示
買収理由:SNSマーケティング領域のサービス拡充と人材確保
創業社長が100%を持つ会社から、まず90%を買い、残り10%は後から買うという2段階の形です。売り手が一定期間株を持ち続けて引き継ぎに関わる形として使われます。業績と金額は売り手の強い希望で非開示です。
残り10%の追加取得の開示は見つかっていません。2026年10月時点の買い手のグループ会社一覧にも社名はなく、扱いは確認できていません。
株式会社インタームーブ
Salesforceの導入支援、Salesforce連携ワークフローアプリ「AppMoveワークフロー」の開発販売/愛知県名古屋市/2006年4月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人1名(神谷 元教)が100%保有/相手先との協議により非開示
買収理由:名古屋でのSalesforce事業の拠点づくりと、自社アプリの取り込み
資本金300万円、創業社長が100%を持つ会社です。Salesforce導入という受託に加えて、自社開発のアプリを持っていた点が評価されています。買い手は前年の京都(アップオンデマンド)に続いて名古屋の同業を買っており、地方拠点を同業の買収で作るという買い方がはっきり出ています。
2026年10月時点の買い手のグループ会社一覧に社名はありません。吸収合併などの開示は見つかっておらず、扱いは確認できていません。
テテマーチ株式会社のSNSマーケティングツール「CAMPiN」事業
SNSマーケティングツールの提供/東京都品川区
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/守秘義務に基づき非開示
買収理由:SNSマーケティング領域のサービスラインナップ拡充
会社ごとではなく、ツール1つの事業だけを切り出して売った案件です。売り手のテテマーチは本業のSNSマーケティング支援を続けたまま、ツール事業だけを手放しています。本業と離れつつある製品やサービスは、事業単位でも買い手が見つかります。
受け皿のデジタルアイデンティティは買い手のグループ会社一覧に載っていますが、譲り受けたツール事業がその後どうなったかは確認できていません。
株式会社ぱむ
金融業界向けのWeb制作・動画などのコンテンツ制作/東京都豊島区/2000年3月設立
- 取得価額
- 5億7,000万円
- 対象の売上
- 9億7,800万円
- 対象の営業利益
- 5,000万円
- 対象の純資産
- 2億7,100万円
決算期:2020年12月期(連結)/譲渡前の株主:法人株主2社と個人株主1名(相手先の意向で名称は非公開)/アドバイザリー費用等(概算)2.2百万円を加えた合計は572.2百万円。金額は2021年10月15日の取得完了の開示で公表
買収理由:金融業界の顧客基盤とWeb・コンテンツ制作の品質の取り込み、人材確保
売上9億7,800万円・営業利益5,000万円・純資産2億7,100万円。取得価額5億7,000万円は営業利益の約11倍、純資産の約2.1倍です。法規制の厳しい金融機関向けの制作で実績があったことが評価されています。業界の規制を分かったうえで仕事ができることも、買い手から見れば価値のある強みです。
2021年10月15日に取得が完了しています(開示事項の経過)。2026年10月時点の買い手のグループ会社一覧に社名はなく、吸収合併などの開示も見つかっていないため、扱いは確認できていません。
株式会社アップオンデマンド
Salesforceの導入・開発(関西圏の企業向け、取引社数100社超)/京都府京都市/2010年1月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人1名(上嶌 昇)が100%保有/非開示
買収理由:関西でのSalesforce事業の拠点づくりと、関西圏でのエンジニア採用
資本金300万円、創業社長が100%を持つ会社です。買い手には関西の拠点がなく、拠点を一から作るより地元の同業を買うほうが早いと判断しています。「関西圏で働きたいエンジニアに勤務地を提供できる」ことも理由に挙げられており、地方で人材を抱えていること自体が評価の対象になっています。
2026年10月時点の買い手のグループ会社一覧に社名はありません。吸収合併などの開示は見つかっておらず、扱いは確認できていません。
株式会社ワン・オー・ワン
人材管理クラウド「Enterprise Skills Inventory」の開発・販売/東京都千代田区/2002年12月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:二階堂隆67.0%、兒玉敏幸16.5%、白砂丈太郎16.5%(個人3名)/非開示
買収理由:タレントマネジメント市場での自社製品の開発力・販売力の強化
創業者全員が日本オラクル出身という会社で、株主は個人3名でした。自社製品(クラウドサービス)を持つソフト会社で、買い手は開発リソースと販売力を足して伸ばす狙いを示していました。買収後、2020年には買い手から8,360万円の増資を受けており、グループに入った後に成長資金が入ることもあります。
買い手のグループ会社一覧に「ワン・オー・ワン」として載っています。2020年12月には持株会社の100%子会社として増資を受けています。
株式会社クラフトリッジ
システム開発/東京都新宿区/2017年11月設立
- 取得価額
- 3億5,000万円
- 対象の売上
- 7億8,200万円
- 対象の営業利益
- 4,000万円
- 対象の純資産
- 4,700万円
決算期:2018年9月期/譲渡前の株主:株式会社フロムスクラッチ(マーケティングツール「b→dash」の開発会社)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)17百万円を加えた合計は367百万円/設立1期目の数値。会社分割前の事業を合算した2017年10月〜2018年9月の概算は売上1,372百万円・営業利益86百万円
買収理由:システム開発体制の強化
売上7億8,200万円・営業利益4,000万円・純資産4,700万円。事業会社が、本業から外れたシステム開発部門を会社分割で切り出し、その新会社ごと売った案件です。取得価額3億5,000万円は、1期目の営業利益の約8.7倍、分割前を合算した年間の営業利益8,600万円で見れば約4倍です。事業を新会社に移してから売る形は、一部門だけを手放したいときに使えます。
2026年10月時点の買い手のグループ会社一覧に社名はありません。吸収合併などの開示は見つかっておらず、扱いは確認できていません。
株式会社ファンステージ
Webサイト開発、アプリケーション開発/東京都中央区/2011年12月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/非開示
買収理由:システム開発体制の強化
資本金300万円の開発会社です。株主構成や業績、金額は開示されていません。IT人材不足を背景に、小さな開発会社でも人ごと引き受ける買い方の一例です。
2026年10月時点の買い手のグループ会社一覧に社名はありません。吸収合併などの開示は見つかっておらず、扱いは確認できていません。
株式会社エス・エス・アヴェニュー
ソフトウェア開発(大手企業・官公庁向け)/大分県大分市/2001年8月設立
- 取得価額
- 6億6,500万円
- 対象の売上
- 4億6,900万円
- 対象の営業利益
- △400万円
- 対象の純資産
- 4億2,100万円
決算期:2017年3月期/譲渡前の株主:個人1名(木下 憲吾)が100%保有/2018年4月2日の取得完了時に概算額として開示。契約上、取得価額は変動する可能性があるとされている
買収理由:システム開発体制の強化
営業損失417万円の期での譲渡です。営業損益は赤字→黒字→赤字と、ほぼ収支とんとんで推移していましたが、経常利益は1,200万〜2,200万円出ており、純資産は4億2,100万円まで積み上がっていました。取得価額6億6,500万円は純資産の約1.6倍でです。本業の営業損益が赤字でも、純資産を厚く積んだ会社なら純資産を上回る値段がつくことを示す例です。
取得から3か月後の2018年7月、あゆたと統合され、統合後の会社は社名をSharing Innovationsに変えています(2018年7月27日開示の「子会社の統合および子会社の社名変更のお知らせ」)。エス・エス・アヴェニューの社名はグループ会社一覧にありません。
株式会社グローバル・リサーチのITソリューション事業
ARアプリ、CRM、IoT制御システムなどの開発(官公庁向け案件も)/東京都港区/譲渡会社は1990年7月設立設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/守秘義務契約に基づき非開示
買収理由:開発チームを迎え入れ、ソリューション事業の開発体制を強化する
人材紹介とIT開発の2つの事業を持つ会社が、IT開発の部門だけを開発チームごと譲った案件です。売り手は本業の人材紹介を続けています。複数の事業を持つ会社は、事業ごとに別々の買い手へ渡す道があることを示しています。
受け皿のあゆたは2018年7月にエス・エス・アヴェニューと統合してSharing Innovationsとなり、グループ会社一覧に載っています。譲り受けた事業がその後どうなったかは確認できていません。
確認元:株式会社Orchestra Holdingsによる株式会社Sharing Innovationsの完全子会社化に関する株式交換契約締結(簡易株式交換)のお知らせ
株式会社セレッテのシステム開発事業
スマートフォンアプリ開発、CRM・金融系システム開発/東京都渋谷区/譲渡会社は2003年4月設立設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:上木原光一郎62.9%ほか(譲渡会社の株主)/守秘義務契約に基づき非開示
買収理由:開発チームを迎え入れ、アプリ・システム開発体制を強化する
会社は残したまま、アプリ・システム開発の事業と開発チームだけを譲った案件です。買い手があゆたを買った翌月に決めたもので、買ったばかりの子会社を受け皿にして、周辺の開発チームを次々に集めていく買い方の始まりでした。
受け皿のあゆたは現在のSharing Innovationsで、グループ会社一覧に載っています。譲り受けた事業がその後どうなったかは確認できていません。
確認元:株式会社Orchestra Holdingsによる株式会社Sharing Innovationsの完全子会社化に関する株式交換契約締結(簡易株式交換)のお知らせ
株式会社あゆた
ソフトウェア開発(ゲーム・ツール系アプリ、クラウド、ディープラーニング等)/東京都千代田区/2008年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/任意開示のため一部省略。金額は非開示
買収理由:デジタルマーケティングの専門性と開発力を組み合わせ、新サービスと中長期の柱となる事業をつくる
この会社のその後が、この買い手の特徴をいちばんよく表しています。あゆたは買収後、開発チームの受け皿となり、2018年にエス・エス・アヴェニューと統合して社名をSharing Innovationsに変えました。2021年には自ら東証マザーズに上場しています。買われた小さな開発会社が、グループの中核として上場企業にまで育った例です。なお2026年8月、買い手はSharing Innovationsを株式交換で完全子会社に戻すと発表しています。
2018年7月にエス・エス・アヴェニューと統合し、社名を株式会社Sharing Innovationsに変更。2021年3月に東証マザーズへ上場し、2026年11月30日を効力発生日として買い手の完全子会社になる予定です(株式交換、同年11月26日に上場廃止予定)。
確認元:株式会社Orchestra Holdingsによる株式会社Sharing Innovationsの完全子会社化に関する株式交換契約締結(簡易株式交換)のお知らせ
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された8件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社SALTO17億2,100万円(売上の0.76倍・営業利益の14.8倍)
- 株式会社日本技研プロフェッショナルアーキテクト10億5,300万円(売上の1.32倍・営業利益の25.7倍)
- 株式会社ランド・ホー6億1,000万円(売上の0.47倍)※営業赤字での譲渡
- 株式会社ヴェス18億8,400万円(売上の1.43倍・営業利益の48.3倍)
- 株式会社LIFULL Marketing Partners6億9,000万円(売上の0.18倍)※営業赤字での譲渡
- 株式会社ぱむ5億7,000万円(売上の0.58倍・営業利益の11.4倍)
- 株式会社クラフトリッジ3億5,000万円(売上の0.45倍・営業利益の8.8倍)
- 株式会社エス・エス・アヴェニュー6億6,500万円(売上の1.42倍)※営業赤字での譲渡
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社Orchestra Holdingsが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日