9416東証プライム

株式会社ビジョンのM&A実績

Wi-Fiレンタルと法人向け通信サービスを本業に、本業と隣り合う分野の会社を数年おきに買い足している会社です。同業を続けて買うロールアップ型ではなく、グランピング(温泉旅館)、スペースマネジメント、賃貸保証、訪日旅行手配と、毎回違う分野に入るための買収になっています。2026年に入ってからは3月・4月と続けて2件を発表しています。

株式会社ビジョンが公表した適時開示4件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
東京都新宿区
設立
2001年12月
事業内容
海外・訪日客向けWi-Fiルーターレンタル「グローバルWiFi」「NINJA WiFi」、中小企業向けの通信機器・OA機器などの情報通信サービス、グランピング施設と訪日旅行手配のグランピング・ツーリズム事業
売上高
390億1,200万円(2025年12月期(連結))
営業利益
64億6,500万円
純資産
212億8,900万円

どんな会社を買っているか

買う業種
賃貸保証・家賃収納代行/訪日旅行の手配/温泉旅館・グランピング施設/スペースマネジメント(空きスペースの運営)
対象の規模
対象の売上 5.7億円〜11.9億円(事業譲受のフリープラスは約9億円規模)
手法
株式譲渡(完全子会社化)のほか、自社株を対価にする簡易株式交付で過半数だけを取得する形、新設した子会社で事業だけを譲り受ける形も使う
赤字でも買うか
買っている(実績あり)
買収後の扱い
買った会社がその後どうなったかを示す後続開示は、手元の範囲では見当たりません。温泉旅館のこしかの温泉は「VISION GLAMPING Resort & Spa こしかの温泉」という施設名でグループの事業として運営が続いていることが決算短信から分かりますが、法人として残っているかは開示からは読めません。
  • 取得価額が出たのは、株式交付で買ったあどばるの1件だけです。現金で買った案件は金額も、純資産の何%といった水準も書かれていません
  • 営業赤字・債務超過の会社も買っています。あどばるは直前期が営業損失3億5,400万円・純資産マイナス3億4,200万円でしたが、DCF法(将来の稼ぎから逆算する方法)で評価され、約半分の株式に6億5,000万円の値がつきました
  • 対象の業績を3期分載せることがあります。賃貸保証のアイウィッシュ賃貸保証では売上・営業利益・純資産まで開示されています
  • このほか2023年6月にZORSE株式会社の子会社化を開示していますが、開示資料を確認できていないため、ここには載せていません

買収の履歴4件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年4月8日事業譲受。ビジョンが新設した子会社(株式会社フリープラス、2026年3月設立・資本金5,000万円)が事業を引き継ぐ

株式会社フリープラスの訪日旅行サービス手配事業

訪日旅行(インバウンド)のサービス手配、地方創生事業/大阪府大阪市(承継先の新会社の所在地)/2007年(「フリープラス」ブランドの設立年)設立

取得価額
―
対象の売上
―
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:非開示/譲渡前の株主:非開示(譲渡元は株式会社フリープラス)/非開示/開示には「売上高約9億円規模の実績」とだけあり、決算期や利益、純資産の記載はない

買収理由:インバウンド・ツーリズム事業の集客チャネル拡大と、海外の旅行代理店網へのWi-Fi・eSIMの販売

売上約9億円規模の旅行手配事業です。買い手は新しく子会社を作り、そこに事業と「フリープラス」というブランド名ごと移しています。開示文は「海外の旅行代理店ネットワークにおいて高い認知度」と、ブランドと取引先網、多国籍の人材を引き継ぐ理由として挙げています。会社そのものではなく、のれんと顧客基盤と人を事業として渡す形の例です。

買収後不明2026年10月12日時点

2026年4月8日時点で新会社が事業を開始したと開示されていますが、その後の状況を示す開示は手元にありません。

確認元:事業譲受および子会社設立に関するお知らせ

出典:事業譲受および子会社設立に関するお知らせ

2026年3月31日株式譲渡(全株式を取得して子会社化)

株式会社アイウィッシュ賃貸保証

不動産賃貸物件の保証、債権・信用保証、賃料収納代行/東京都世田谷区/2005年4月設立

取得価額
―
対象の売上
5億7,082万円
対象の営業利益
8,548万円
対象の純資産
11億8,000万円

決算期:2025年9月期/譲渡前の株主:非開示/非開示

買収理由:不動産領域の信用保証機能を加え、拠点を構える法人顧客への支援を広げる

売上5億7,100万円・営業利益8,500万円。純資産は11億8,000万円と売上の2倍以上あり、総資産12億200万円のほとんどが自己資本という会社でした。業績は売上5億7,200万円→5億8,700万円→5億7,100万円と横ばいで、営業利益は1億1,600万円から8,500万円に下がった期の後の譲渡です。通信会社が賃貸保証を買うという異業種の組み合わせで、買い手が欲しがったのはビル管理会社・不動産管理会社との提携網でした。

買収後不明2026年10月12日時点

2026年5月1日に株式を取得する予定と開示されています。その後の取得完了や商号変更・合併を示す開示は手元にありません。

確認元:株式会社アイウィッシュ賃貸保証の株式取得に関するお知らせ

出典:株式会社アイウィッシュ賃貸保証の株式取得に関するお知らせ

2021年11月17日株式譲渡(完全子会社化)

こしかの温泉株式会社

温泉旅館、グランピング宿泊施設の運営/鹿児島県霧島市/2018年8月設立

取得価額
―
対象の売上
―
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:非開示/譲渡前の株主:非開示/非開示

買収理由:第3の柱として準備していたグランピング事業の立ち上げに、想定どおりの施設を持つ会社を取り込む

資本金777万円、設立3年の温泉旅館です。全室に自噴の源泉を引き、グランピング施設も併設していました。買い手は新規事業を始める前に、自前で施設を作るのではなく、すでに運営している会社を買う道を選んでいます。業績は開示されていません。その後この施設は「VISION GLAMPING Resort & Spa こしかの温泉」として、グループのグランピング事業の柱の一つになっています。

買収後不明2026年10月12日時点

2025年12月期の決算短信に「VISION GLAMPING Resort & Spa こしかの温泉」が堅調と書かれており、施設の運営は続いています。ただし法人のこしかの温泉株式会社が残っているかは確認できていません。

確認元:2025年12月期第決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:こしかの温泉株式会社の完全子会社化に関するお知らせ

2021年10月18日簡易株式交付(ビジョン株式を対価に過半数を取得)。発行済株式の約49%を取得し、もともと持っていた分と合わせて50.10%

株式会社あどばる

スペースマネジメント(サブリース、月額定額制の会議室「Office Ticket」などのフレキシブルオフィス)/東京都渋谷区/2016年6月設立

取得価額
6億5,013万円
対象の売上
11億8,631万円
対象の営業利益
△3億5,427万円
対象の純資産
△3億4,207万円

決算期:2021年5月期/譲渡前の株主:中野邦人48.33%、穐田誉輝20.71%、株式会社エアトリ8.37%、KUMAアセットマネジメント株式会社5.19%、寺田航平5.19%ほか(大株主)/取得したのは約49%分で、全株式の値段ではない。下限の94,809株を前提にした取得価額で、アドバイザリー費用等6.5百万円を加えた合計は656.633百万円(概算)。対価は現金ではなくビジョンの自己株式446,500株。DCF法で1株4,930円〜6,931円と算定され、実際の譲受は95,000株

買収理由:情報通信サービス事業とあどばるの顧客基盤を相互に広げ、売上の向上と仕入れ・コストの効率化を図る

売上11億8,600万円に対し、営業損失3億5,400万円、純資産マイナス3億4,200万円の債務超過でした。売上は5億5,500万円→18億8,400万円→11億8,600万円と、前期の急増から一転して落ち込んだ年です。それでも約半分の株式に6億5,000万円の値がついています。評価は過去の決算ではなく、5年間の事業計画をもとにしたDCF法で行われました。直前期が悪くても、これからの計画に説得力があれば値段はつく、という例です。代金は現金ではなく買い手の株式で払われました。社長の中野邦人氏は代表を続け、あどばる株も持ち続けたまま上場企業の株主にもなる形で、開示文はこれを「経営における大きな動機」と説明しています。全部を売り切らずに、続けて経営する道を残した例です。

買収後不明2026年10月12日時点

2021年12月1日に株式交付の効力が発生し、議決権50.10%の子会社になりました。その後の商号変更・合併・売却を示す開示は手元になく、現在の状況は確認できていません。

確認元:簡易株式交付による株式会社あどばるの子会社化の結果に関するお知らせ

出典:株式会社あどばるの株式交付(簡易株式交付)による子会社化に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された1件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 株式会社あどばる6億5,013万円(売上の0.55倍)※営業赤字での譲渡

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

関連する記事

本ページは株式会社ビジョンが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日