7539東証スタンダード

株式会社アイナボホールディングスのM&A実績

タイルや住宅設備の卸・工事の会社を、地域と商材を補う形で買い足している会社です。決算短信では「持続的成長のためのM&Aを積極的に実施し、営業エリア及び商材・施工力の補完を図る」と方針を明記しています。売り手は社長個人や同族の資産管理会社が中心で、まず1割前後を持ち合う資本業務提携から入り、数年後に100%を買い取るという段階を踏んだ案件が2件あります。

株式会社アイナボホールディングスが公表した適時開示6件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
東京都北区
設立
1955年3月
事業内容
タイル・住宅設備機器・空調機器などの卸販売と設計施工・工事請負を、アベルコや今村などの子会社で手がける持株会社
売上高
922億7,200万円(2025年9月期(連結))
営業利益
25億3,100万円
純資産
262億9,800万円

どんな会社を買っているか

買う業種
タイル・石材の卸販売と工事/住宅設備機器・管工機材の販売と施工/サッシ・金属製建具工事/建物の設備管理・清掃管理
対象の規模
対象の売上 4.2億円〜75.8億円
手法
株式譲渡(完全子会社化)が中心。子会社アベルコが買い手になる孫会社化もある。今村とマニックスは、先に1割前後を取得する資本業務提携を結び、1〜4年後に残りを買い取る2段階で進めている
赤字でも買うか
黒字の会社のみ
買収後の扱い
地域の卸・工事会社は社名を残して子会社にするのが基本です。今村は創業家の今村伊三郎氏が取得から7年後も代表取締役を続けており、2025年10月にはアベルコ大阪支店を吸収して関西の拠点になっています。一方、2015年に買ったサッシ工事の2社は、取得時の開示で子会社アベルコへの吸収合併が予定されていました。
  • 取得価額は6件中1件だけ開示です。非開示の5件はいずれも「株式取得先との合意により非公表」とされ、算定は毎回「第三者機関の評価算定報告を勘案し、双方協議の上」と書かれています
  • いきなり買わず、先に資本業務提携を結ぶ会社です。マニックスは9.5%取得から4年7か月後、今村は10%取得から約1年後に完全子会社化しています。提携の段階で互いの相性を確かめられる進め方です
  • 開示されていない買収もあります。2025年9月期の決算短信には「施工店の買収」によるサイディング工事の増加と、非連結子会社株式の取得による支出15億500万円が記載されていますが、個別の適時開示は出ていません

買収の履歴6件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年3月24日株式譲渡(完全子会社化)

エースセンター株式会社

オフィスビル・学校・ターミナルビル等の設備管理、清掃管理、施設管理/東京都中央区/1971年6月設立

取得価額
3億3,500万円
対象の売上
6億9,900万円
対象の営業利益
5,200万円
対象の純資産
2億1,400万円

決算期:2025年12月期/譲渡前の株主:株式会社ラックランド(上場企業)が100%保有/アドバイザリー費用等の概算20百万円を加えた合計は355百万円。デューデリジェンスと株式価値算定を第三者機関に委託し、その結果を参考に双方協議で決定

買収理由:建材・住設の「つくる」機能に、建物を「維持・運用する」ストック型の管理事業を加え、提案領域を広げる

この会社の案件で唯一、金額が開示されたものです。3億3,500万円。売上6億9,900万円・営業利益5,200万円・純資産2億1,400万円で、営業利益の約6.4倍、純資産の約1.6倍にあたります。営業利益は2,300万円→4,300万円→5,200万円と伸びている局面での譲渡でした。直前期は1株42万5,000円(総額1億7,000万円)の配当を出し、純資産が3億5,100万円から2億1,400万円に減っています。売る前に親会社が配当で現金を引き上げ、そのぶん安い値段で株を渡すという形が数字から読み取れます。売り手は商空間の設計施工を手がける上場企業で、本業から離れた子会社を、建材の会社に渡した案件です。

買収後存続2026年10月12日時点

2026年3月27日に株式譲渡実行予定として開示され、その後の商号変更や合併の開示はありません。

確認元:エースセンター株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:エースセンター株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2021年8月3日株式譲渡(完全子会社化)。2017年に9.5%を取得済みで、残りを買い取る形。譲渡前に4,000株を1株とする株式併合を実施

株式会社マニックス

住宅設備機器、管工機材の販売及び施工(兵庫・大阪・岡山・広島が中心)/兵庫県神戸市/1968年2月設立

取得価額
―
対象の売上
75億8,200万円
対象の営業利益
3,200万円
対象の純資産
12億6,500万円

決算期:2020年9月期(単体)/譲渡前の株主:有限会社MSS(社長の松田幸治氏が90%保有する資産管理会社)87.7%、アイナボHD 9.5%、その他2.8%/株式取得先との合意により非公表。第三者機関の評価算定報告を勘案し、双方協議で算定。当社連結業績への影響は「軽微」とされている

買収理由:営業地域が補完関係にあるため、工事力・企画力の情報交換と販売チャネルの共有で販売網を広げる

売上75億8,200万円・営業利益3,200万円・純資産12億6,500万円(単体)。この会社の案件で最大の規模です。営業利益率は0.4%と薄く、前々期は5億1,600万円の最終赤字を出していました。2017年1月にまず9.5%を持ち合う資本業務提携を結び、4年半後に残りを買い取っています。株式は社長個人ではなく、社長の資産管理会社(有限会社MSS)が持っていました。資産管理会社を通して持っていても、その会社がそのまま売り手になれます。

買収後不明2026年10月12日時点

2021年10月1日に株式譲渡実行予定として開示されました。その後の商号変更や合併の開示は手元に無く、現在の状況は確認できていません。

確認元:株式会社マニックスの株式の取得(完全子会社化)に関するお知らせ

出典:株式会社マニックスの株式の取得(完全子会社化)に関するお知らせ

2020年9月17日株式譲渡(完全子会社化)

中央窯業株式会社

タイル並びに煉瓦工事の請負/東京都中野区/1959年2月設立

取得価額
―
対象の売上
4億5,000万円
対象の営業利益
2,500万円
対象の純資産
1億8,100万円

決算期:2019年12月期/譲渡前の株主:個人1名(高鳥 猛弘)が100%保有/株式取得先との合意により非公表。第三者機関の評価算定報告を勘案し、双方協議で算定。適時開示基準に該当しない任意開示

買収理由:技術力のある職人の確保とタイル工事の施工力向上

売上4億5,000万円・営業利益2,500万円・純資産1億8,100万円。この会社の案件で最小の規模です。創業1959年のタイル工事会社で、社長1人が株式を全部持っていました。営業利益は5,800万円→2,600万円→2,500万円と下がっている局面です。買い手が欲しかったのは「技術力のある職人」で、もともと子会社アベルコからタイルを仕入れていた取引先でした。人手不足の業種では、腕のいい職人がいること自体が売れる理由になります。開示義務のない規模でも、任意で開示が出ています。

買収後不明2026年10月12日時点

2020年10月1日に株式譲渡実行予定として開示されました。その後の商号変更や合併の開示は手元に無く、現在の状況は確認できていません。

確認元:中央窯業株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:中央窯業株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2018年9月21日株式譲渡(完全子会社化)。2017年に今村タイルと今村住宅機器の各10%を取得済みで、2社合併後の残り84.2%を買い取る形

株式会社今村

タイル・石材・衛生陶器の卸販売、住宅設備機器の据付・卸販売、タイル工事・石工工事/大阪府吹田市/1965年1月設立

取得価額
―
対象の売上
31億3,600万円
対象の営業利益
―
対象の純資産
1億3,800万円

決算期:合併時の決算(7か月の変則決算)/譲渡前の株主:今村伊三郎64.3%、アイナボHD 15.8%ほか/株式取得先との合意により非公表。第三者機関の評価算定報告を勘案し、双方協議で算定/2018年7月の今村タイルと今村住宅機器の合併時の決算数値。直近事業年度は7か月間の変則決算

買収理由:関西での営業基盤の拡充。双方の営業地域の補完と販売チャネルの共有

売上31億3,600万円・純資産1億3,800万円(合併時の数値)。1年前に10%の資本業務提携を結び、その間に兄弟会社2社を合併して1社にまとめ、そのうえで残りを売っています。売りやすい形に整えてから渡した例です。社長の今村伊三郎氏は取得から7年後の2025年時点でも代表取締役を続けており、2025年10月にはアベルコ大阪支店を引き受けて関西の拠点になっています。売ったあとも社長として残り、会社が大きくなることもあります。

買収後存続2026年10月12日時点

2025年5月の開示で、代表取締役今村伊三郎・アイナボHD 100%保有の子会社として社名のまま記載されています。2025年10月にアベルコ大阪支店を吸収分割で承継しました。

確認元:会社分割(無対価での吸収分割)に関するお知らせ

出典:株式会社今村の株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ

2015年10月6日株式譲渡(子会社アベルコが取得=孫会社化)。東京サッシ販売と同時取得

株式会社ライフメタリック

金属製建具工事/東京都足立区/1988年5月設立

取得価額
―
対象の売上
4億2,400万円
対象の営業利益
600万円
対象の純資産
3,200万円

決算期:2015年4月期/譲渡前の株主:浅野和子61.1%、浅野康文38.9%(個人2名で100%)/株式取得先との合意により非公表。「当社の連結純資産の15%未満」(東京サッシ販売との合計。当時の連結純資産額は手元の開示に無く、上限額は計算できない)

買収理由:子会社アベルコの取扱商材を増やし、サッシ・住宅金物市場へ早く参入する

売上4億2,400万円・営業利益640万円・純資産3,200万円。営業利益は1,860万円→640万円と落ち、当期純利益は29万円しかない小さな工事会社です。同じ株主2名が持つ東京サッシ販売とセットで売っています。単独では小さすぎる会社でも、関連会社とまとめれば買い手の検討に乗ることを示す例です。

買収後不明2026年10月12日時点

取得時の開示で、アベルコを存続会社とする吸収合併が予定されていました。合併が実行されたことを示す開示は手元に無く、確認できていません。

確認元:当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関する株式譲渡契約締結のお知らせ

出典:当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関する株式譲渡契約締結のお知らせ

2015年10月6日株式譲渡(子会社アベルコが取得=孫会社化)。ライフメタリックと同時取得

東京サッシ販売株式会社

各種サッシの販売並びに取付工事/東京都葛飾区/1966年2月設立

取得価額
―
対象の売上
10億8,400万円
対象の営業利益
1,900万円
対象の純資産
1億400万円

決算期:2015年5月期/譲渡前の株主:浅野康文53.8%、浅野和子38.6%、株式会社ライフメタリック7.6%/株式取得先との合意により非公表。「当社の連結純資産の15%未満」(当時の連結純資産額は手元の開示に無く、上限額は計算できない)

買収理由:子会社アベルコの取扱商材を増やし、サッシ・住宅金物市場へ早く参入する

売上10億8,400万円・営業利益1,900万円・純資産1億400万円。営業利益率は1.8%、当期純利益は100万円程度という薄利の状態でした。それでも、買い手が手がけていない商材(サッシ)と工事のノウハウを持っていたことで買われています。7月に基本合意、10月に契約と、約2か月半で成約しています。

買収後不明2026年10月12日時点

取得時の開示で、アベルコを存続会社とする吸収合併が予定されていました。合併が実行されたことを示す開示は手元に無く、確認できていません。

確認元:当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関する株式譲渡契約締結のお知らせ

出典:当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関する株式譲渡契約締結のお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された1件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • エースセンター株式会社3億3,500万円(売上の0.48倍・営業利益の6.4倍)

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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