ホリイフードサービス株式会社のM&A実績
北関東の飲食チェーンが、2024年から飲食の周辺会社を年1件ほどのペースで買い始めた会社です。対象は仕入先の卸、仙台の焼肉店3店舗、大阪の持ち帰り寿司チェーンと、いずれも地方の中小企業で、3件とも取得価額を開示しています。東日本の居酒屋業態に、焼肉・持ち帰り寿司といった別の業態と西日本のエリアを足していく方向です。
ホリイフードサービス株式会社が公表した適時開示3件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 茨城県水戸市
- 設立
- ―
- 事業内容
- 茨城県を地盤に、北関東・首都圏・東北の1都9県で和風ダイニングレストランを中心とした飲食店を多店舗展開(2025年11月末で81店舗)
- 売上高
- 32億2,000万円(2025年11月期(連結。決算期変更による8か月決算))
- 営業利益
- 1億4,900万円
- 純資産
- 10億7,600万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 焼肉店/持ち帰り寿司・弁当/食品・酒類・消耗品の卸(自社向け仕入先)
- 対象の規模
- 対象の売上 2.1億円〜11億円
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)。関連会社(20%保有)の株式を買い増して60%の子会社にする形も使う
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残しています。セイコーポレーションは決算短信で「結合後企業の名称:変更有りません」と明記されています。ホリイ物流は60%の取得にとどめ、残り40%は他の株主が持ったままです。
- 取得価額は3件とも開示されています。1億1,500万円、3億8,000万円、3,000万円(40%分)でした
- 鮨桝食品は純資産10億7,100万円の会社を3億8,000万円で買っています。価格は純資産の約0.35倍で、帳簿上の純資産を大きく下回る水準です
- セイコーポレーションでは、取得価額1億1,500万円に対してアドバイザリー費用等が1,750万円(取得価額の約15%)かかったと決算短信に書かれています。小さな案件ほど、手数料の割合が重くなります
買収の履歴3件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
鮨桝食品株式会社
「スシマス」の屋号で近畿圏(大阪・兵庫・京都・奈良)に持ち帰り寿司店と弁当事業を展開/大阪府八尾市/1970年9月設立
- 取得価額
- 3億8,000万円
- 対象の売上
- 8億7,400万円
- 対象の営業利益
- 1,250万円
- 対象の純資産
- 10億7,100万円
決算期:2025年8月期/譲渡前の株主:有限会社みつや(食品・食肉の加工販売)が100%保有。みつやの株主は播州交通株式会社68%、鮨桝食品の社長でもある小谷陽亮氏32%/取得価額380,000千円。対象の純資産1,071百万円の約0.35倍、売上の約0.43倍
買収理由:東日本中心の既存基盤に、西日本に強い持ち帰り寿司・弁当業態を加え、エリアと業態を広げる
1970年創業、売上8億7,400万円・営業利益1,252万円・純資産10億7,100万円。価格は3億8,000万円で、純資産の3分の1程度です。営業利益は1,824万円→2,064万円→1,252万円と薄く、純資産10億円の多くが利益を生んでいない状態だったと読めます。純資産が厚くても、稼ぐ力が弱いと価格は帳簿の数字まで届きません。純資産は2023年8月期の14億5,700万円から翌期に10億4,400万円へ、4億円あまり減っています(理由は開示にありません)。売り手は個人ではなく、交通会社が親会社の持株会社でした。
2026年6月1日付で株式取得が完了したと開示されています。その後の商号変更や合併の開示はありません。
有限会社セイコーポレーション
焼肉店の経営(仙台市2店舗、郡山市1店舗)/宮城県仙台市/2003年8月設立
- 取得価額
- 1億1,500万円
- 対象の売上
- 2億1,180万円
- 対象の営業利益
- 160万円
- 対象の純資産
- 3,130万円
決算期:2025年7月期/譲渡前の株主:個人2名(金井良弘80%、金井郁20%)/取得価額115,000千円(現金、自己資金)。別にアドバイザリー費用等17.5百万円。対象の純資産31百万円の約3.7倍、売上の約0.54倍
買収理由:1都9県の店舗網に焼肉という新しい業態を加え、食事需要の取り込みと郊外店のリモデルにつなげる
焼肉店3店舗、売上2億1,200万円・営業利益155万円・純資産3,100万円の有限会社。営業利益は31万円→275万円→155万円と、ほぼ収支トントンの状態でした。それでも価格は1億1,500万円で、純資産の約3.7倍です。利益ではなく、仙台牛を出す駅前・郊外の店舗と業態そのものが評価されたと読めます。利益がほとんど出ていなくても、店と業態に価値があれば値段はつきます。
2025年11月期決算短信に、企業結合日2025年12月1日、「結合後企業の名称:変更有りません」と記載されています。その後の商号変更や合併の開示はありません。
株式会社ホリイ物流
食品・酒類・消耗品等の販売(販売先は当社向け100%)/茨城県東茨城郡茨城町/2011年9月設立
- 取得価額
- 3,000万円
- 対象の売上
- 11億円
- 対象の営業利益
- 1,840万円
- 対象の純資産
- 5,980万円
決算期:2023年3月期/譲渡前の株主:個人(氏名・住所は非開示)。買い手自身も取得前に20%を保有/取得価額30,000千円は40%分の金額。100%に換算すると75百万円相当で、対象の純資産60百万円(2023年3月期)の約1.25倍
買収理由:主要な仕入先を子会社化し、従業員の交流や出店・改廃を通じてグループの収益力を高める
売上11億円・営業利益1,840万円・純資産6,000万円。売上の100%が買い手向けという、取引先そのものを子会社にした案件です。営業利益は△3,981万円→△3,272万円→1,841万円と、2期続けて赤字の後に黒字へ戻した直後での譲渡でした。取引先に20%出資してもらっている会社は、その出資先がそのまま買い手になる道があります。
2024年4月30日に取引実行予定として開示され、その後の商号変更や合併、残り40%の取得の開示はありません。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 鮨桝食品株式会社3億8,000万円(売上の0.43倍・営業利益の30.4倍)
- 有限会社セイコーポレーション1億1,500万円(売上の0.54倍・営業利益の71.9倍)
- 株式会社ホリイ物流3,000万円(売上の0.03倍・営業利益の1.6倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
関連する記事
本ページはホリイフードサービス株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日