Trailhead Global Holdings株式会社のM&A実績
2025年6月の新経営体制から、飲食店を続けざまに買っている会社です。決算短信では「10か月で5件のM&A・事業譲受」と自ら書いています。買い手自体の連結売上は18億円台と小さく、対象も1店舗の事業から売上6億円台の会社まで、中小の飲食店オーナーと規模感が近い買い手です。3件は取得価額まで開示されており、1店舗の事業譲受は2,500万〜2,700万円台でした。
Trailhead Global Holdings株式会社が公表した適時開示7件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都渋谷区
- 設立
- 1994年5月
- 事業内容
- 「九州筑豊ラーメン山小屋」のワイエスフード(旧商号の事業会社)を中心に、焼肉、寿司居酒屋、プレミアムバーガー、ロケ弁などの飲食ブランドを束ねる持株会社
- 売上高
- 18億2,600万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- △1,100万円
- 純資産
- 21億5,700万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 焼肉・フレンチなど都市型の飲食店/寿司居酒屋・プレミアムバーガー(インバウンド需要の高い業態)/弁当・宅配(ロケ弁)/飲食店向けのIT・システム開発
- 対象の規模
- 対象の売上 0.73億円〜6.75億円(1店舗だけの事業譲受を含む)
- 手法
- 株式譲渡(100%取得のほか、80%・51%の一部取得)と、子会社Yappaを受け皿にした1店舗単位の事業譲受。一部取得の2件は、残りの持分を将来買い取るコール・オプションを持っている
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残しています。公式サイトのグループ会社一覧には、買収した5社がすべて載っています。事業譲受で引き取った店舗は子会社Yappaが運営し、焼肉BEEFMAN横浜は「神戸牛焼肉 當麻」に名前を変えて営業しています。
- 1店舗の事業譲受でも価格を開示しています。ROTISSERIE★BLUEは2,746万円、焼肉BEEFMAN横浜は2,560万円でした。店舗の営業利益に対して2〜5倍程度の水準です
- 株式を買う案件は、相手の意向で価格が非開示になることが多いです。価格が出ているのは株式取得ではYappa(1億1,000万円)だけでした
- 全部ではなく一部だけ買う形も使います。KINKA FAMILY JAPANは80%、バーガーレボリューションは51%の取得で、残りは将来買い取る前提のコール・オプションを持っていると決算短信に書かれています
- 飲食店以外も買っています。2026年にはIT会社のSBWorksを「デジタル・フードテック」の中核として買いました
- 海外の案件は名鑑に入れていません。米国のラーメンチェーンTajima(取得価額15億円)は契約まで進みましたが2025年4月に中止、台湾のラーメン店2店舗の事業譲受(企業価値1,600万円が前提)は2026年8月時点で基本合意の段階です
買収の履歴7件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社食べる
健康志向の弁当・宅配(ロケ弁)「三代目「玄」KURO」、飲食店の経営/東京都練馬区/2023年12月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人1名(木下 準也)が100%保有/相手先の意向により非開示
買収理由:受賞歴のある健康志向ブランドと、テレビ局・広告・イベントの制作現場向けの法人顧客基盤の取り込み
設立2023年12月、資本金100万円の若い会社です。業績も価格も相手の意向で非開示でした。決め手として挙げられているのは「日本ロケ弁大賞」の金賞などの受賞歴と、制作現場という法人の得意先です。設立から2年半でも、名前の通った商品と固定客があれば上場企業の買収対象になります。
株式会社SBWorks
ITコンサルティング、システム開発支援、ITサービスの企画運営/東京都中央区/2016年3月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 6億7,500万円
- 対象の営業利益
- 2,000万円
- 対象の純資産
- ―
決算期:2026年2月期/譲渡前の株主:個人1名(根本 智勝)が100%保有。基本合意の時点では根本74.5%ほか個人4名/相手先の意向により非開示(決算短信の後発事象でも「売主の希望により非開示」)
買収理由:飲食店のAI自動発注・シフト管理などを内製するテクノロジー開発拠点にする
売上6億7,500万円・営業利益2,000万円。売上は13億5,800万円→6億6,000万円と半減し、営業損失4,900万円→1億3,000万円を出した後、直近期でようやく黒字に戻した局面での譲渡です。基本合意の時点では株主が5名でしたが、契約時には社長の100%になっていました。株主を社長1人にまとめてから売るという段取りが開示から読み取れます。飲食の会社がIT会社を買った例で、本業と違う業種でも「買い手の困りごとを解決できる」会社には声がかかります。
株式会社バーガーレボリューション
国産和牛を使ったプレミアムバーガー店(六本木・京都)の運営/東京都港区/2024年3月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 2億5,600万円
- 対象の営業利益
- 5,300万円
- 対象の純資産
- 400万円
決算期:2025年2月期(初年度)/譲渡前の株主:株式会社ワイン・ラ・ターブルが100%保有(KINKA FAMILY JAPANと同じ売り手)/相手先の意向により非開示
買収理由:訪日外国人に強い高単価業態を取り込み、大阪・福岡など主要都市へ出店を広げる
売上2億5,600万円・営業利益5,300万円(利益率20%)。設立1年目の決算しかない会社が買われています。一方で純資産は400万円しかありません。開示には「親会社への経営指導料4,700万円が営業外費用に出ていたが、取得後は解消される」とあり、親会社に吸い上げられていた利益を戻して評価されたことが読み取れます。KINKA FAMILY JAPANの10日後に、同じ売り手から2社目を買った案件です。
株式会社KINKA FAMILY JAPAN
カナダ発の寿司居酒屋「KINKA SUSHI BAR IZAKAYA」の運営(渋谷・六本木2店舗)/東京都渋谷区/2015年5月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 3億8,600万円
- 対象の営業利益
- 4,400万円
- 対象の純資産
- ―
決算期:2024年12月期/譲渡前の株主:株式会社ワイン・ラ・ターブルが100%保有(同社の株主は株式会社クロノス100%)/相手先の意向により非開示
買収理由:インバウンド需要の高い寿司居酒屋業態を加え、福岡・大阪・京都などへ広げる
売上3億8,600万円・営業利益4,400万円。営業利益は△400万円→2,500万円→4,400万円と、赤字から2年で立て直した後の譲渡です。財政状態は相手の意向で非開示でした。80%だけを売り、20%は後で買い取ってもらう前提になっています。全部を一度に手放さず、成長の続きを残りの持分の値段に乗せられる形です。
2025年12月19日に取得完了。公式サイトのグループ会社一覧に社名のまま載っています(所在地は港区六本木)。
焼肉BEEFMAN横浜(株式会社JYU-KENの1店舗)
神戸牛・但馬牛の高級焼肉店1店舗/神奈川県横浜市/譲渡会社は2011年7月設立設立
- 取得価額
- 2,560万円
- 対象の売上
- 7,330万円
- 対象の営業利益
- 550万円
- 対象の純資産
- ―
決算期:2025年7月期(店舗単位)/譲渡前の株主:株式会社JYU-KEN(建設・不動産・介護など多角経営の事業会社。株主構成は非公開)/税別。譲り受けた資産(内装などの有形固定資産と食材在庫)の評価額は3.5百万円。現金・債権債務は引き継がない
買収理由:神戸牛を打ち出した高単価ブランドを、既存の「焼肉やっぱ。」と分けて展開する
1店舗だけの売買で、価格2,560万円が開示されています。店舗の売上7,330万円・営業利益550万円に対し、営業利益の約4.7倍。引き渡した資産の評価額は350万円で、価格の大半は設備ではなく店の稼ぐ力とブランドについた値段です。売り手は建設や不動産を本業とする会社で、本業外の1店舗だけを切り出して手放しています。決議・契約・譲受が同じ日に済んだ案件でもあります。
店舗は子会社Yappaが運営を続けており、2026年3月に「神戸牛焼肉 當麻」へ店名を変えています。公式サイトのグループ会社一覧で、Yappaの運営店舗として確認できます。
ROTISSERIE★BLUE(株式会社アジアンテイブルの1店舗)
恵比寿ガーデンプレイスタワーのロティサリーチキン専門のカジュアルフレンチ1店舗/東京都渋谷区(店舗。譲渡会社は横浜市)/譲渡会社は2001年11月設立設立
- 取得価額
- 2,750万円
- 対象の売上
- 1億340万円
- 対象の営業利益
- 1,150万円
- 対象の純資産
- ―
決算期:2024年9月期(店舗単位)/譲渡前の株主:株式会社アジアンテイブル(飲食店・中華総菜の事業会社。株主構成は非公開)/27,458,480円(税別)。譲り受けた資産は主に内装などの有形固定資産で「ほぼ譲受価額と同額」。現金・債権債務は引き継がない
買収理由:業態・顧客層の多様化と、国内主要都市・海外への多店舗展開の候補
1店舗の売買で、価格2,746万円。店舗の売上1億340万円・営業利益1,150万円に対し、営業利益の約2.4倍です。開示では「資産の額はほぼ譲受価額と同額」とされ、ほぼ内装・設備の価値で引き取られたことになります。同じ月の焼肉BEEFMAN横浜(営業利益の約4.7倍)と比べると、1店舗の値段は利益よりも、設備の残り具合や業態の評価で大きく変わることが分かります。
2025年9月1日に譲受完了。公式サイトのグループ会社一覧で、子会社Yappaの運営店舗として確認できます。
株式会社Yappa
焼肉レストラン「焼肉やっぱ。」3店舗の運営/東京都目黒区/2020年1月設立
- 取得価額
- 1億1,000万円
- 対象の売上
- 1億8,700万円
- 対象の営業利益
- 900万円
- 対象の純資産
- 1,600万円
決算期:2025年2月期/譲渡前の株主:個人2名(今川 博貴70%、越淵 佳祐30%)/1株あたり110万円×100株。協議で決定
買収理由:都市部のDX化された焼肉店のモデルと運営ノウハウの取得。創業以来の「ホルモン焼肉+ラーメン」業態との親和性
売上1億8,700万円・営業利益900万円・純資産1,600万円で、価格は1億1,000万円。営業利益の約12倍、純資産の約7倍です。3期前は営業損失1,200万円でしたが、売上1億1,500万円→1億6,800万円→1億8,700万円と伸ばしての譲渡でした。利益の額が小さくても、伸びていて、注文・決済のデジタル化など仕組みのある店は高く評価されます。買われた後は、この会社が次の店舗を譲り受ける受け皿になっています。
2025年7月31日に取得完了。公式サイトのグループ会社一覧に社名のまま載っており(所在地は港区南青山に移転)、ROTISSERIE★BLUEと「神戸牛焼肉 當麻」も運営しています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 焼肉BEEFMAN横浜(株式会社JYU-KENの1店舗)2,560万円(売上の0.35倍・営業利益の4.7倍)
- ROTISSERIE★BLUE(株式会社アジアンテイブルの1店舗)2,750万円(売上の0.27倍・営業利益の2.4倍)
- 株式会社Yappa1億1,000万円(売上の0.59倍・営業利益の12.2倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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