バルテス・ホールディングス株式会社のM&A実績
ソフトウェアテストの会社が、売上1億〜6億円規模のIT会社を個人オーナーから買い続けています。対象はSES(技術者の常駐支援)、金融系のシステム開発、UI/UXデザインなど。M&Aの条件として「模倣困難な技術力」「ストック収入(保守・サブスク)の拡大」「グループへのクロスセル」の3つを毎回明記しています。新中期経営計画では3年で「M&A等へのBS戦略投資25億円」を掲げています。
バルテス・ホールディングス株式会社が公表した適時開示6件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 大阪府大阪市
- 設立
- 2004年
- 事業内容
- ソフトウェアテストを主体とする品質向上支援サービスの持株会社。システム開発、セキュリティ診断、テストツール・教育サービスもグループで手がける
- 売上高
- 119億3,900万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 9億2,300万円
- 純資産
- 36億2,700万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- SES(システムエンジニアリングサービス)/金融機関向けシステム開発・パッケージ/Webアプリケーション開発/UI/UXデザイン開発
- 対象の規模
- 対象の売上 1.5億円〜6.1億円
- 手法
- 株式譲渡(100%取得・子会社化)。大型の案件ではアーンアウト(業績に応じた追加支払い)を付ける。売り手が事前に会社分割して、対象事業だけを渡した例もある
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 買った会社の社名をそのまま残し続ける会社ではありません。フェアネスコンサルティングは取得から約1年5か月で別の子会社に吸収合併され、2026年7月にはシンフォーにミントを吸収合併させ、アール・エス・アールの受託開発事業も移したうえでシンフォーの社名を「バルテス・ソリューションズ&AI」に変えています。事業ごとにグループの中で組み直すのが基本の方針です。
- 取得価額を開示する会社です。6件のうち4件で株式の取得価額とアドバイザリー費用の概算額が出ています
- アーンアウトを使います。シンフォーでは最大3億7,500万円、タビュラでは最大1億5,000万円の追加支払いを、取得後2〜3期の業績に連動させています。会社側は「本件買収に伴う当社のリスクを軽減することができます」と説明しています
- 開示された4件の取得価額は、対象の直前期の営業利益の11倍〜23倍でした(アーンアウトとアドバイザリー費用は含まない)
- 買った会社のトップは、その後グループ側の役員に代わっていく傾向があります。ミント、アール・エス・アール、シンフォーはいずれも後の開示で代表者がバルテス側の役員になっています
買収の履歴6件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社オプティム
SES事業(通信・金融・官公庁向けの基幹システム・業務システムの開発支援)/東京都豊島区/1999年6月設立
- 取得価額
- 3億円
- 対象の売上
- 6億1,055万円
- 対象の営業利益
- 1,310万円
- 対象の純資産
- 1億3,013万円
決算期:2025年11月期/譲渡前の株主:国内の個人(氏名・持株比率は相手方の意向で非開示)/アドバイザリー費用等(概算)29.9百万円を加えた合計は約329.9百万円。第三者機関のデューデリジェンスの結果を踏まえ株主と協議して決定。直前期の営業利益の約23倍、純資産の約2.3倍、売上の約0.5倍/開示では「金額は消費税等を含んでおります」と注記されている
買収理由:エンタープライズ領域の開発人材の強化。システム開発から品質向上支援までを一気通貫で提供する体制づくり
売上6億1,100万円・営業利益1,300万円・純資産1億3,000万円で、取得価額は3億円。売上は7億7,700万円→6億7,900万円→6億1,100万円と3期続けて減り、営業利益も1,700万円→70万円→1,300万円と薄い状態でした。それでも純資産の2倍強の値段がついています。営業利益の倍率で見ると約23倍と高く出ますが、買い手が見ていたのは利益より「IT人材を安定的に供給できる体制」と顧客基盤だと開示文から読めます。技術者を抱えたSES会社は、利益が薄くても人材そのものが評価されます。
2026年9月30日に全株式の取得が完了し、連結子会社になりました。その後の商号変更や合併の開示はありません。
タビュラ株式会社
UI/UXデザイン開発(Webサイト・アプリデザイン等をサブスクリプションで提供)/東京都新宿区/2019年3月設立
- 取得価額
- 8億円
- 対象の売上
- 1億6,589万円
- 対象の営業利益
- 5,370万円
- 対象の純資産
- 7,329万円
決算期:2024年1月期/譲渡前の株主:国内の個人(氏名・持株比率は相手方の意向で非開示)/アドバイザリー費用等(概算)65.0百万円を加えた合計は約865.0百万円。このほか2025年1月期〜2026年1月期の業績達成度に応じて最大150百万円のアーンアウトを売り手に追加で支払う。固定部分だけで直前期の営業利益の約15倍、純資産の約11倍、売上の約4.8倍
買収理由:模倣困難な技術、高いストック事業比率、顧客層の近さによるクロスセル
設立5年・資本金100万円の会社に8億円がつきました。売上1億6,600万円・営業利益5,400万円(利益率32%)・純資産7,300万円。売上は4,900万円→7,200万円→1億6,600万円と急伸中で、進行期も50%以上の増収見込みと開示されています。純資産の約11倍という値段は、サブスクで積み上がる売上と伸び率が評価された結果です。業績連動の追加支払い(最大1億5,000万円)が付いており、売り手は譲渡後の成長分も受け取れる設計です。
2024年11月8日に取得完了。2026年3月期の決算短信でも「タビュラ株式会社の連結組入れの影響もあり開発事業の利益率が大きく改善」と社名で言及されています。
フェアネスコンサルティング株式会社
SES事業(SAPソリューション、インフラソリューション)/東京都港区/2009年2月設立
- 取得価額
- 2億1,600万円
- 対象の売上
- 1億4,682万円
- 対象の営業利益
- 1,951万円
- 対象の純資産
- 5,400万円
決算期:2023年1月期/譲渡前の株主:国内の個人(氏名・持株比率は相手方の意向で非開示)/アドバイザリー費用等(概算)32百万円を加えた合計は約248百万円。直前期の営業利益の約11倍、純資産の約4倍、売上の約1.5倍
買収理由:SAP・インフラに強いSES事業者の知見を共有し、グループの経営基盤を強化する
売上1億4,700万円・営業利益2,000万円・純資産5,400万円で、取得価額は2億1,600万円。この会社の価格開示案件ではいちばん小さい規模です。売上は1億1,100万円→1億3,100万円→1億4,700万円、営業利益は500万円→950万円→2,000万円と伸びていました。売上1億円台でも、伸びている会社なら営業利益の10倍超で売れた例です。ただし取得から約1年5か月で別の子会社に吸収合併され、法人としては残っていません。
2025年4月1日を効力発生日として、完全子会社のバルテス・モバイルテクノロジー(同日にバルテス・イノベーションズへ商号変更)に吸収合併され解散する、と開示されました。2026年3月期の決算短信でも連結範囲から除外された会社として社名が挙がっています。
株式会社シンフォー
金融取引システム・投資情報ツールのパッケージ開発(大手ネット証券向け)/東京都中央区/2005年2月設立
- 取得価額
- 8億7,500万円
- 対象の売上
- 3億9,831万円
- 対象の営業利益
- 5,101万円
- 対象の純資産
- 4億5,612万円
決算期:2023年1月期/譲渡前の株主:国内の個人(氏名・持株比率は相手方の意向で非開示)/アドバイザリー費用等(概算)82.5百万円を加えた合計は約957.5百万円。このほか2024年1月期〜2026年1月期の業績達成度に応じて最大375百万円のアーンアウトを売り手に追加で支払う。固定部分だけで直前期の営業利益の約17倍、純資産の約1.9倍、売上の約2.2倍
買収理由:模倣困難な技術力と高いストック事業比率。金融業界の専門知見をグループで共有する
この会社の買収でいちばん大きい8億7,500万円です。売上3億9,800万円・営業利益5,100万円・純資産4億5,600万円。注目は業績の推移で、売上は6億400万円→4億8,500万円→3億9,800万円、営業利益は2億1,600万円→1億3,100万円→5,100万円と、3期連続で落ちている最中の譲渡でした。それでも純資産の約1.9倍がついたのは、自社パッケージと保守・運用のストック収入が評価されたためです。下がり幅のリスクは、最大3億7,500万円のアーンアウトという形で買い手と売り手が分け合っています。業績が下り坂でも、積み上げた資産と継続収入があれば値段はつきます。
2026年7月1日を効力発生日として、ミントを吸収合併し、アール・エス・アールの受託開発事業を承継したうえで「バルテス・ソリューションズ&AI株式会社」に商号変更する、と開示されました。同日付で代表取締役も李熙男氏からバルテスHD取締役の西村祐一氏に交代する予定とされています。法人はグループの受託開発事業の受け皿として残る形です。
確認元:グループ組織再編(連結子会社間の吸収合併、吸収分割、連結子会社の商号変更、代表取締役の異動及び連結子会社の本店所在地変更)に関するお知らせ
株式会社ミント
金融機関向けシステムの開発・運用保守、ITコンサルティング/東京都中央区/2009年1月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 1億6,124万円
- 対象の営業利益
- △613万円
- 対象の純資産
- 4,062万円
決算期:2021年3月期/譲渡前の株主:国内の個人(氏名・持株比率は相手方の意向で非開示)/相手方の意向により非開示。デューデリジェンスを実施し双方協議の上で算出
買収理由:金融系システムの知見を取り込み、エンタープライズ領域(特に金融系)の品質向上支援を強化する
売上1億6,100万円・純資産4,100万円で、営業利益は2期連続の赤字(△90万円→△610万円)でした。それでも上場企業が100%買い取っています。評価されたのは大手金融機関のシステム開発・保守に携わってきた実績です。後の開示では2025年3月期に売上1億7,700万円・営業利益3,800万円まで戻しており、小さな赤字の会社でも、業種の専門性があれば買い手のもとで立て直されることが分かります。2026年7月にグループ会社のシンフォーへ吸収合併されました。
2026年7月1日を効力発生日として、グループ会社のシンフォー(同日付でバルテス・ソリューションズ&AIに商号変更)に吸収合併され解散する、と開示されました。開示時点でミントの代表取締役はバルテスHD社長の田中真史氏でした。
確認元:グループ組織再編(連結子会社間の吸収合併、吸収分割、連結子会社の商号変更、代表取締役の異動及び連結子会社の本店所在地変更)に関するお知らせ
株式会社アール・エス・アール
Webアプリケーション・ECサイトの開発・運用保守、開発要員派遣/広島県広島市/2001年5月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 2億6,935万円
- 対象の営業利益
- 1,082万円
- 対象の純資産
- ―
決算期:2019年9月期(会社分割前)/譲渡前の株主:西山経祐(社長)96.9%、事業法人1社と個人1名で3.1%/相手方の意向により非開示。デューデリジェンスを実施し双方協議の上で算出/2020年8月の会社分割より前の会社全体の数値。取得した会社は分割後のもので、純資産・総資産はこれより減っていると注記されている
買収理由:当社の未開拓地域(広島)での事業拡大と、Web・モバイルアプリ開発との相乗効果
売上2億6,900万円・営業利益1,100万円(いずれも分割前)。社長が96.9%を持つ典型的なオーナー企業で、地方(広島)の会社です。譲渡の直前に会社分割をして、ソフトウェア開発の事業だけを買い手に渡しています(分割前の純資産5,500万円は、分割後はさらに小さいと注記)。売らない事業や資産は手元に残し、買い手が欲しい部分だけを渡す進め方の実例です。その後2026年7月には、東京・広島・福岡の受託開発事業がグループのシンフォーへ移されています。
2026年7月1日を効力発生日として、東京・広島・福岡の受託開発事業などをシンフォー(バルテス・ソリューションズ&AI)に吸収分割で移す、と開示されました。法人は中国地方のシステム運用サポート・SE派遣事業を続けて存続します。開示時点の代表取締役はバルテスHD取締役の西村祐一氏です。
確認元:グループ組織再編(連結子会社間の吸収合併、吸収分割、連結子会社の商号変更、代表取締役の異動及び連結子会社の本店所在地変更)に関するお知らせ
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された4件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社オプティム3億円(売上の0.49倍・営業利益の22.9倍)
- タビュラ株式会社8億円(売上の4.82倍・営業利益の14.9倍)
- フェアネスコンサルティング株式会社2億1,600万円(売上の1.47倍・営業利益の11.1倍)
- 株式会社シンフォー8億7,500万円(売上の2.20倍・営業利益の17.2倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページはバルテス・ホールディングス株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日