株式会社鉄人化ホールディングスのM&A実績
カラオケ一本足でコロナ禍の打撃を受けた反省から、「複数事業を保有することでのリスク分散」を掲げてM&Aを積極的に検討している会社です。買っている業種はラーメン、焼き鳥、まつ毛エクステ・ネイル、人材派遣とばらばらで、本業と同じ業種かどうかは問われていません。売り手は創業家や社長個人が中心で、老舗ブランドを持つ会社が目立ちます。
株式会社鉄人化ホールディングスが公表した適時開示4件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都目黒区
- 設立
- 1999年12月
- 事業内容
- 「カラオケの鉄人」のカラオケルーム運営を本業に、ラーメン「直久」・焼き鳥「鳥竹」の飲食、まつ毛エクステ・ネイルサロンの美容などを束ねる持株会社
- 売上高
- 80億4,300万円(2025年8月期(連結))
- 営業利益
- 2億1,100万円
- 純資産
- 6億5,600万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 飲食(ラーメン、焼き鳥)/まつ毛エクステ・ネイルサロン/人材派遣・転職支援
- 対象の規模
- 対象の売上 4.5億円〜15.6億円
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)が中心。株式取得と事業譲受の組み合わせ、80%だけ取得して社長に20%を残す形も使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名・ブランドのまま子会社として残すのが基本です。直久、鳥竹、ビアンカはいずれも2025年8月期の決算短信にブランド名・グループ名で出てきます。
- 取得価額が開示されたのは4件中1件です。ヴァンクールプロモーションの80%で4億8,000万円
- 非開示の案件でも「連結純資産額の15%を超える」と明記されることがあります。ただしこの会社は連結純資産が小さい(2024年8月期で2億2,300万円)ため、15%基準からは下限がほとんど読めません
- 決議から譲渡実行までが短い会社です。ビアンカは翌日、鳥竹は3日後、ヴァンクールは10日後に実行しています。デューデリジェンスは外部専門家に依頼したと毎回書かれています
- 直近期で営業赤字だった会社や、債務超過の親会社が手放した事業も引き受けています
買収の履歴4件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社ヴァンクールプロモーション
携帯電話業界に強い人材派遣、有料職業紹介、イベント・キャンペーン支援/東京都港区/2006年4月設立
- 取得価額
- 4億8,000万円
- 対象の売上
- 15億6,300万円
- 対象の営業利益
- 7,600万円
- 対象の純資産
- 3億7,600万円
決算期:2024年12月期/譲渡前の株主:個人1名(青木 隆紀)が100%保有/80%(320株)分の取得価額。アドバイザリー費用等39百万円を加えた合計は519百万円。100%に換算すると600百万円で、営業利益の約7.9倍、純資産の約1.6倍にあたる
買収理由:カラオケや飲食など、慢性的な人手不足に悩むグループ事業とのシナジー
売上15億6,300万円・営業利益7,600万円・純資産3億7,600万円。売上は11億1,400万円→13億800万円→15億6,300万円と伸び、営業利益も1,700万円台から7,600万円に跳ねた直後の譲渡です。買われたのは80%だけで、社長は20%を持ったまま経営に残ります。開示文には社長の「引続き同社への参画」が明記されています。本業とまったく違う業種でも、買い手側の困りごと(人手不足)を解決できる会社なら買われます。
予定どおり2025年10月31日に320株を取得し子会社化したと開示されています。その後の商号変更や合併の開示は手元にありません。
株式会社鳥竹
焼き鳥を中心とする大衆飲食店、仕出し弁当/東京都渋谷区/1970年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 4億5,200万円
- 対象の営業利益
- 2,500万円
- 対象の純資産
- 5億4,300万円
決算期:2024年5月期/譲渡前の株主:個人2名(間島 京子 50%、鈴木 恵美子 50%)。2名とも代表取締役/相手先の意向により非開示。「直前連結会計年度末の連結純資産額及び直前事業年度末の純資産額の15%を超える」と開示。2024年8月期の連結純資産223百万円の15%=約33百万円を上回ると読めるが、対象の純資産(543百万円)に比べて下限としての意味は薄い
買収理由:半世紀続く焼き鳥ブランドを引き継ぎ、飲食事業を拡大する
売上4億5,200万円・営業利益2,500万円・純資産5億4,300万円。純資産が売上を上回る、資産の厚い老舗です。2期前は営業損失6,800万円でしたが、その後2期は2,500万円前後の黒字に戻していました。代表2名が50%ずつ持つ会社でも、2名そろって譲渡すればそのまま成立します。取得後の2025年8月期には、飲食事業の売上が61.7%増えた主因として「鳥竹」の加入が挙げられています。
2024年9月30日に取得完了。2025年8月期決算短信で株式会社鳥竹が連結子会社に加わり、焼き鳥専門店「鳥竹」が飲食事業の主力と書かれています。
ビアンカグループ6社(株式会社UIMほか5社)
まつ毛エクステ・ネイルサロン計31店舗、ヘッドスパ1店舗、スクール事業/東京都新宿区(UIM)。ほか中野区、千代田区、さいたま市、川崎市/2009年2月(UIM)。ほか5社は2013〜2018年設立設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 11億2,200万円
- 対象の営業利益
- 7,400万円
- 対象の純資産
- 2億9,100万円
決算期:各社の直近期(単純合算)/譲渡前の株主:個人1名(稲垣 恵美)が6社とも100%保有/相手先の意向及び守秘義務契約により非開示。「直前連結会計年度末の連結純資産額及び直前事業年度末の純資産額の15%を超える」と開示/6社の直近期を単純合算した数値。決算期は会社ごとに異なる(2021年4月期〜2021年9月期、UIMのみ2020年12月期)
買収理由:首都圏の美容事業を拡大し、カラオケ・飲食と合わせて首都圏で効率的に運営する
6社合算で売上11億2,200万円・営業利益7,400万円・純資産2億9,100万円。1人のオーナーが地域ごとに会社を分けて持っていたものを、6社まとめて売っています。中核のUIMはコロナ期の2020年12月期に営業損失3,000万円、最小のBianca EASTも直近期は営業赤字でしたが、まとめて引き取られました。取得時32店舗だったビアンカグループは、2025年8月期には48店舗になっています。会社が分かれていても、ブランドが1つなら一括で売れます。
2021年12月15日に6社の取得完了。2025年8月期決算短信に「ビアンカグループ」(48店舗)として美容事業を運営とあり、グループとしては存続しています。取得時に「一部の子会社の経営統合を直ちに検討する」とされており、6社それぞれの法人が残っているかは手元の開示では確認できません(存続はグループ単位での推定)。
株式会社直久(+株式会社フククルフーズのラーメン事業)
創業100年以上のラーメン「直久」ブランドの店舗運営(直営5店舗と工場1か所を譲受)/東京都中央区(取得後に目黒区へ移転予定)/1967年10月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 8億3,400万円
- 対象の営業利益
- 3,400万円
- 対象の純資産
- ―
決算期:2019年3月期(ラーメン事業)/譲渡前の株主:株式会社フククルフーズ(代表の橋本 朋郁が100%保有)が100%保有/株式・事業譲受とも非開示(契約上の守秘義務に基づく相手方の強い希望)。会計処理で負ののれんが発生する見込みと開示されており、受け入れた純資産を下回る価格だったことが読める。ラーメン事業の譲受資産は約168百万円、負債は約25百万円(2020年3月末の想定値)/譲り受けたラーメン事業の数値。株式を取得した直久単体は売上73百万円・営業損失3百万円・純資産8百万円(2019年3月期)
買収理由:老舗ブランドの知名度と、店舗の立地・客層がカラオケの鉄人と重なることによるシナジー
ラーメン事業の売上8億3,400万円・営業利益3,400万円。売り手のフククルフーズは純資産マイナス5億3,100万円の債務超過でした。事業そのものは黒字でも親会社が傷んでいるため、ブランド名を社名にした子会社ごと事業を移す形がとられています。買い手は居酒屋事業も一括で引き取ることを条件に受け入れ、自分では持たずにすぐ第三者へ回しています。負ののれんが出る見込みとされ、価格は帳簿の純資産を下回る水準だったと読めます。債務超過でも、黒字の事業とブランドがあれば引き受け手はいますが、値段は厳しくなります。
2025年8月期決算短信で、子会社の株式会社直久が「直久」ブランドのラーメン店舗(直営7店舗、FC3店舗、業務受託1店舗)を運営していると書かれています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された1件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社ヴァンクールプロモーション4億8,000万円(売上の0.31倍・営業利益の6.3倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社鉄人化ホールディングスが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日