株式会社エイチ・アイ・エスのM&A実績
中期経営計画(2024-2026年10月期)の「コア領域の変革」「新規領域への挑戦」の一環として、2025年以降、国内の地方の老舗中小企業を続けて買い始めた会社です。沖縄の土産物店、長崎の電気工事会社、大阪のバスツアー会社と、旅行に近い事業から地元の工事会社まで幅があります。3件とも取得価額が開示されているのが特徴です。
株式会社エイチ・アイ・エスが公表した適時開示3件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都港区
- 設立
- ―
- 事業内容
- 海外・国内・訪日の旅行事業を中心に、ホテル事業、九州産交グループ(バス等)を展開する旅行会社
- 売上高
- 3,731億600万円(2025年10月期(連結))
- 営業利益
- 116億2,700万円
- 純資産
- 672億500万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 旅行業(バスツアー)/観光土産品の製造・小売/電気工事・電気通信工事、太陽光発電
- 対象の規模
- 対象の売上 6.99億円〜27.26億円
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)。100%取得が基本だが、80%だけ取得して売り手に2割を残した案件もある。長崎の案件は子会社のCross Eホールディングスが買い手になる「孫会社化」
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 国内の3件はいずれも2025年以降の案件で、買収後に商号変更や合併をしたという開示はまだありません。どの案件も「業績に与える影響は軽微」とされており、本体の規模に比べて小さな会社を地域ごとに加えていく形です。
- 取得価額を毎回開示しています。ラド観光6億8,400万円、サウスウイング9億6,000万円(80%分)、共新電設工業4億2,000万円。軽微な案件でも金額が出ているので、売り手には相場の手がかりになります
- 価格の水準は営業利益の5〜7倍、純資産の1.1〜1.2倍程度に収まっています。3件とも純資産を少し上回る値段で、のれんを大きく乗せる買い方ではありません
- 買収は旅行に近い事業だけではありません。長崎の電気工事会社は、子会社Cross Eホールディングスが「類似または近接市場の事業をM&Aで加える」方針で取得しています
- 海外の旅行会社の取得(米国American Ring Travel、カナダJonview Canadaなど)やグループ内の会社分割は、この一覧から外しています
買収の履歴3件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
ラド観光株式会社
旅行事業(バススキーツアーなど)/大阪府大阪市/1968年11月設立
- 取得価額
- 6億8,400万円
- 対象の売上
- 27億2,600万円
- 対象の営業利益
- 1億2,900万円
- 対象の純資産
- 6億4,200万円
決算期:2025年6月期/譲渡前の株主:株式会社アドベンチャー(事業会社)が100%保有/取得関連費用4百万円を加えた合計は688百万円。2025年6月期の営業利益129百万円の約5.3倍、純資産642百万円の約1.07倍
買収理由:バススキーツアーでの高いシェアと地方の仕入網を取り込み、手薄だった地方発・バス商材を補完する
売上27億2,600万円・営業利益1億2,900万円・純資産6億4,200万円。値段は6億8,400万円で、純資産とほぼ同じ、営業利益の約5倍です。売上は22億800万円→25億9,700万円→27億2,600万円と伸びていますが、営業利益は1億1,600万〜1億2,900万円で横ばい、利益率は5%弱です。利益率が低い旅行会社でも、「コロナ禍でも黒字を維持した」安定性と特化した商品網が評価されています。創業者からではなく、事業会社から事業会社へ渡る案件です。
株式会社サウスウイング
観光土産品の製造・加工・販売、国際通りの土産物店「KID HOUSE」6店舗の運営/沖縄県那覇市/1988年9月設立
- 取得価額
- 9億6,000万円
- 対象の売上
- 9億9,800万円
- 対象の営業利益
- 1億7,400万円
- 対象の純資産
- 9億8,900万円
決算期:2025年8月期/譲渡前の株主:個人(清家 昇、代表取締役社長)。持株比率の数値は開示に記載なし/発行済株式の80%(160株)の取得価額。100%に換算すると1,200百万円で、2025年8月期の営業利益174百万円の約6.9倍、純資産989百万円の約1.2倍
買収理由:沖縄観光市場での収益基盤強化。ツアー客の誘致、グループのホテル事業・地域創生事業との連携
売上9億9,800万円・営業利益1億7,400万円(利益率17%)・純資産9億8,900万円。80%分で9億6,000万円、100%換算で12億円です。純資産が売上とほぼ同じ水準まで積み上がっており、値段もおおむね純資産に営業利益1年分強を乗せた水準です。社長は全部を売らず、2割を持ったまま残りました。国際通りの好立地6店舗と30年以上の地元基盤という、旅行会社が自分では作れない資産が評価されています。
2025年11月10日に株式譲渡実行予定として開示され、その後の商号変更や合併の開示はありません。
共新電設工業株式会社
電気工事・電気通信工事・管工事(公共工事中心)、太陽光発電所9か所の売電/長崎県佐世保市/1946年2月設立
- 取得価額
- 4億2,000万円
- 対象の売上
- 6億9,900万円
- 対象の営業利益
- 8,200万円
- 対象の純資産
- 3億7,200万円
決算期:2025年5月期/譲渡前の株主:個人株主6名/アドバイザリー費用等(概算)3百万円を加えた合計は423百万円。2025年5月期の営業利益82百万円の約5.1倍、EBITDA129百万円の約3.3倍、純資産372百万円の約1.13倍
買収理由:長崎県内の電気工事・電気通信工事市場への参入と、近接分野をM&Aで加えることによる業績の安定
創業80年、売上6億9,900万円・営業利益8,200万円・純資産3億7,200万円。旅行会社のグループが、地方の電気工事会社を買っています。一級電気工事施工管理技師の資格を持つ中堅社員が多いことと、太陽光発電所9か所の売電収入が評価されました。価格4億2,000万円は5月の基本合意の時点で開示されていて、そのときの直近期(2024年5月期)は営業利益2,900万円でした。9月の最終契約までに2025年5月期の営業利益が8,200万円に伸びても、価格は変わっていません。売上は2億7,500万円→6億1,800万円→5億3,100万円→6億9,900万円と年ごとの振れが大きい会社です。株主が6名に分かれていても、まとめて100%を譲渡しています。
2025年10月1日に株式譲渡実行予定として開示され、その後の商号変更や合併の開示はありません。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- ラド観光株式会社6億8,400万円(売上の0.25倍・営業利益の5.3倍)
- 株式会社サウスウイング9億6,000万円(売上の0.96倍・営業利益の5.5倍)
- 共新電設工業株式会社4億2,000万円(売上の0.60倍・営業利益の5.1倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社エイチ・アイ・エスが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日