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株式会社JストリームのM&A実績

動画配信まわりの小さな会社を、数年に1社のペースで買い続けている会社です。対象は売上1億円台〜13億円台、動画の制作会社や配信SaaSの会社で、売り手の多くは創業者・社長個人です。2027年3月期の方針として「動画マニュアル、コンテンツ配信、動画生成等の中核事業領域とその隣接分野のスタートアップ企業」を主な対象にM&Aを進めると明記しています。

株式会社Jストリームが公表した適時開示6件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
東京都港区
設立
1997年5月
事業内容
企業・団体向けのインターネット動画配信。製薬会社のWeb講演会ライブ配信、法人向け動画配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia」、放送局・コンテンツ事業者向けの配信基盤などを手がける
売上高
119億9,700万円(2026年3月期(連結))
営業利益
8億2,600万円
純資産
111億9,600万円

どんな会社を買っているか

買う業種
法人向け動画配信システム・SaaS/製薬会社向けのデジタルコンテンツ制作/放送・配信設備のインテグレーション/動画マニュアル作成ツール
対象の規模
対象の売上 1.2億円〜13.2億円(売上非開示の案件を除く)
手法
株式譲渡(子会社化)が中心。少数株式を先に取得してから残りを買い増す二段階の形、子会社が買い手になる孫会社化、80%だけを取得する形も使う
赤字でも買うか
黒字の会社のみ
買収後の扱い
事業会社は子会社として残すのが基本ですが、本体と事業が重なる会社は吸収合併しています(ビムーブは取得から約2か月後に本体へ吸収合併)。買った会社の社名を自社サービス名に変える例(LAMILA→VideoStep)や、持株会社と事業会社を1社にまとめる例もあります。
  • 取得価額を開示した案件が3件あります。アズーリ7億2,600万円、LAMILA5億円、ビッグエムズワイ(61%分)3億1,400万円。いずれも数億円規模です
  • 非開示の案件では理由を「相手先の意向・守秘義務」と書いたうえで、毎回「第三者による財務調査・デューデリジェンスを実施した」と明記しています
  • 債務超過の会社も買っています。イノコスは取得前3期とも純資産がマイナス(直前期△8,200万円)でしたが、直前期に営業黒字へ戻した段階で80%を取得しました
  • 取引先から子会社へ、という流れが2回あります。ビッグエムズワイは取得前から代理販売の関係があり、アズーリはそのビッグエムズワイの外注先でした

買収の履歴6件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2025年9月30日株式譲渡(持株会社ごと取得して子会社化)

株式会社アイ・ピー・エルHD(事業会社 株式会社アイ・ピー・エルの持株会社)

会員・社員限定の動画配信プラットフォーム「クラストリーム」の開発・販売、ソフトウェア開発、技術者派遣・受託/神奈川県厚木市/持株会社は2023年2月、事業会社は1991年3月設立

取得価額
―
対象の売上
4億5,200万円
対象の営業利益
―
対象の純資産
2億9,400万円

決算期:2024年12月期(事業会社)/譲渡前の株主:個人1名(吉川 実)が持株会社を100%保有/相手先の意向及び守秘義務により非開示。第三者によるデューデリジェンスの結果を勘案して決定。アドバイザリー費用等(概算)50百万円/事業会社アイ・ピー・エルの数値。開示の表では期の表記が「2022年12月期・2024年12月期・2024年12月期」となっており、最新列を採用

買収理由:法人向け動画配信「J-Stream Equipmedia」と同じ領域のサービス・技術を取り込み、営業・管理面の支援で新たな市場を獲得する

創業1991年、売上4億5,200万円・純資産2億9,400万円。売上は4億9,500万円→4億9,500万円→4億5,200万円と横ばいから微減の局面でした。開示には「採算性の低い事業を整理した後の買収」と書かれています。売る前に不採算事業を片付け、残る事業が採算を確保している形に整えてから渡した例です。社長は2023年設立の持株会社を通じて事業会社を保有しており、取得完了後は「合併完了とともに退任予定」とされています。

買収後存続2026年10月12日時点

2025年11月4日に取得完了し、事業会社の代表にはJストリームの取締役副社長が就きました。持株会社と事業会社は合併して「株式会社アイ・ピー・エル」になる予定と開示されていますが、合併完了の開示は手元にありません。

確認元:株式会社アイ・ピー・エルHDの株式の取得(子会社化)の完了のお知らせ

出典:株式会社アイ・ピー・エルHDの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2023年5月25日株式譲渡(全株式を取得して子会社化)

株式会社LAMILA

動画マニュアル作成SaaS「VideoStep」の開発・販売/東京都文京区/2019年5月設立

取得価額
5億円
対象の売上
―
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:非開示/譲渡前の株主:大株主は代表取締役社長(迎 健太)。持株比率の記載なし/取得価額5億円(取得後持株比率100%)。アドバイザリー費用の記載なし

買収理由:教育・トレーニング用途の動画市場を取り込み、動画・AIの技術を自社の配信インフラと組み合わせる

設立4年のスタートアップに5億円がついています。業績は任意開示のため省略されていて、売上や利益は分かりません。数字ではなく、動画マニュアルというサービスそのものと技術が評価された案件です。子会社化と同時に社名をサービス名の「VideoStep」に変えており、Jストリームは2027年3月期の方針でも「VideoStep」のグループ展開強化を掲げています。

買収後社名変更2026年10月12日時点

2023年7月3日付で株式会社LAMILAから株式会社VideoStepに社名変更し、Jストリームの100%子会社になりました。代表は創業者の迎健太氏が続投しています(取得完了時点)。

確認元:株式会社LAMILA(新社名:株式会社VideoStep)の株式の取得(子会社化)完了のお知らせ

出典:株式会社LAMILAの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2020年9月30日株式譲渡(子会社ビッグエムズワイが取得=孫会社化)

アズーリ株式会社

製薬会社向けCRMコンテンツの制作、Webサイト制作、関連するコンサルティング・運用・保守/東京都文京区/2006年6月設立

取得価額
7億2,600万円
対象の売上
5億8,400万円
対象の営業利益
2億400万円
対象の純資産
4億4,100万円

決算期:2020年3月期/譲渡前の株主:個人1名(新本 知幸)が100%保有/アドバイザリー費用等 約5百万円を加えた合計は約731百万円。営業利益(204百万円)の約3.6倍、純資産(441百万円)の約1.6倍

買収理由:製薬業界向けデジタルマーケティング支援能力と研究開発体制の強化

売上5億8,400万円・営業利益2億400万円(利益率35%)・純資産4億4,100万円。売上は2億8,000万円→4億4,200万円→5億8,400万円と3年で倍増していました。ただし売上の大半は買い手側(ビッグエムズワイ)からの受注で、開示にも「外部売上を獲得するものではない」と書かれています。それでも7億2,600万円がついたのは、外注先を抱え込んで制作力を内製化する価値があったからです。大口の取引先そのものが、いちばん有力な買い手になり得る例です。

買収後不明2026年10月12日時点

取得時の開示で「手続きを経た後、ビッグエムズワイにより吸収合併される予定」とされていますが、合併完了を確認できる開示は手元にありません。

確認元:当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

出典:当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

2019年7月30日株式譲渡(2018年に39%を取得し、2019年に残り61%を追加取得して完全子会社化)

株式会社ビッグエムズワイ

製薬会社のMR向けデジタルコンテンツ(CLM)の制作・運用、映像制作、Web制作、ライブ配信、収録スタジオ/東京都文京区/1994年12月設立

取得価額
3億1,400万円
対象の売上
13億2,000万円
対象の営業利益
1億2,100万円
対象の純資産
2億1,000万円

決算期:2018年9月期/譲渡前の株主:個人1名(千年 泰行)。2018年の出資前は100%、追加取得前は61%を保有/61%分の取得価額。アドバイザリー費用等(概算)40百万円を加えた合計は約354百万円。100%に単純換算すると約5.1億円で、直前期営業利益(121百万円)の約4.3倍。2018年の39%取得分の価額は非開示/開示の表に「税込」と注記あり

買収理由:製薬業界向けライブ配信とCLMコンテンツ制作・CRMデータ活用を一体で展開する

売上13億2,000万円・営業利益1億2,100万円・純資産2億1,000万円。いきなり全部ではなく、まず39%を売って1年組んでから残りを売る二段階の形です。最初の出資の時点では、Jストリームが同社のサービスを代理販売する取引先の関係でした。2018年の開示では2015年9月期に営業赤字(△200万円)があり、そこから3年で売上を約2.4倍に伸ばした段階での譲渡です。

買収後不明2026年10月12日時点

2020年9月のアズーリ取得の開示ではJストリームの100%子会社として買い手になっています(代表は羽石雄高氏に交代)。それ以降の状況を確認できる開示は手元にありません。

確認元:当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

出典:株式会社ビッグエムズワイの株式の追加取得(子会社化)に関するお知らせ

2017年6月30日株式譲渡(80%を取得して子会社化)

株式会社イノコス

デジタル放送機器の輸入・開発・販売、映像伝送・配信システムのインテグレーション、配信プラットフォームの提供/東京都品川区/2010年1月設立

取得価額
―
対象の売上
3億円
対象の営業利益
2,900万円
対象の純資産
△8,200万円

決算期:2016年12月期/譲渡前の株主:有限会社シークス(個人2名が保有する会社)80%、その他個人20%/株式取得先との守秘義務契約と強い要請により非公表。第三者機関による財務調査を実施

買収理由:放送と通信の連携サービス、コンテンツ事業者向け配信サービスの販売展開と外部顧客網の拡大

純資産マイナス8,200万円の債務超過で売れています。営業利益は△1億1,000万円→△700万円→2,900万円と、大きな赤字から黒字に戻した直後の譲渡でした。売上は3億円。債務超過でも、黒字に転じて技術と顧客基盤がある会社には買い手がつきます。取得は80%で、残り20%は個人株主の手元に残る形でした。

買収後不明2026年10月12日時点

2017年8月31日に取得完了。その後の社名や存続を確認できる開示は手元にありません。

確認元:株式会社イノコスの株式取得(子会社化)完了のお知らせ

出典:子会社の異動を伴う株式取得(連結子会社化)に関するお知らせ

2015年12月17日株式譲渡(90.08%を取得、その後残りも取得して完全子会社化)→吸収合併

ビムーブ株式会社

法人向け動画配信ASPサービス「ビムーブVIDEO」の開発・提供/東京都渋谷区/2007年7月設立

取得価額
―
対象の売上
1億1,800万円
対象の営業利益
1,700万円
対象の純資産
5,300万円

決算期:2015年3月期/譲渡前の株主:インテック・アイティ2号投資事業有限責任組合53.5%、創業者(伊藤 靖)26.1%、三生5号投資事業有限責任組合9.9%、その他個人2名(現経営陣)10.4%/株式譲渡人との守秘義務契約により非公表。第三者機関による財務調査を実施

買収理由:法人向け動画配信サービスの効率的な提供・販売展開と、同社の営業基盤・開発力の活用

売上1億1,800万円・営業利益1,700万円・純資産5,300万円の小さなASP事業者です。売り手は投資ファンド、創業者、現経営陣の混成でした。当初は90%で合意し、約1か月後に残りのファンド分も取得して100%にしています。同業の小さな会社は、買われたあと本体に吸収されることが多いという流れが、この案件ではっきり出ています。

買収後吸収合併2026年10月12日時点

2016年1月29日に全株式を取得し、同年4月1日付でJストリームを存続会社とする簡易吸収合併によりビムーブは解散しました。

確認元:ビムーブ株式会社の株式取得(完全子会社化)及び吸収合併に関するお知らせ

出典:子会社の異動を伴う株式取得(連結子会社化)に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 株式会社LAMILA5億円
  • アズーリ株式会社7億2,600万円(売上の1.24倍・営業利益の3.6倍)
  • 株式会社ビッグエムズワイ3億1,400万円(売上の0.24倍・営業利益の2.6倍)

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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