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ダイコク電機株式会社のM&A実績

パチンコホール向けシステムが本業の会社ですが、「M&Aを通じた新たな事業領域の拡大」を掲げ、本業の周辺(クラウド開発、パチスロ開発)から、本業と関係のない美術館や和クレープ店まで買っています。売り手の多くは創業者個人で、対象は売上3億円〜10億円規模です。5件中3件で金額を開示しているのも特徴です。

ダイコク電機株式会社が公表した適時開示5件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
愛知県名古屋市
設立
―
事業内容
パチンコホール向けの情報システム(カードユニット、データ分析サービス「DK-SIS」等)と、パチスロ・遊技機ソフトの開発を手がける会社
売上高
543億3,700万円(2026年3月期(連結))
営業利益
96億7,300万円
純資産
496億6,800万円

どんな会社を買っているか

買う業種
システム開発・クラウド構築/組み込みソフト・パチスロ開発/美術館(観光・文化事業)/飲食(和クレープ専門店)
対象の規模
対象の売上 3.0億円〜10.9億円(Staddは子会社ログオンシステムの売上。売上非開示の案件あり)
手法
株式譲渡(子会社化)が中心。子会社経由の孫会社化、吸収分割で事業だけを引き取る形、株式の51%だけを取得する形も使う
赤字でも買うか
黒字の会社のみ
買収後の扱い
買った会社は社名のまま子会社として残すのが基本です。取得前に対象会社の側で子会社を吸収合併させて、1社にまとめてから引き取った例があります(グローバルワイズ)。
  • 取得価額を開示することが多い会社です。5件のうち3件で金額が出ています(1億9,200万円〜3億600万円)
  • アドバイザリー費用の概算も毎回書かれています。取得価額1億9,200万円に対して4,500万円、3億600万円に対して6,000万円と、買う側も取得価額の2割前後の費用をかけていることが分かります
  • 売上・利益を出さない案件もあります。ライリィとSHUNRIは「相手先との協議により」「開示基準に該当しない」として業績が省略されています
  • 2026年3月期の決算短信では、2027年3月期の営業利益を前期比53.5%減の45億円と見込んでいます。本業の設備投資需要が落ち着く局面で、本業以外の事業を増やしている流れです

買収の履歴5件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年4月1日株式譲渡(子会社化)。発行済株式の51%のみを取得

株式会社SHUNRI

和クレープ専門店「たばねのし」の運営(直営・FC)/東京都台東区/2022年12月設立

取得価額
3億600万円
対象の売上
―
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:非開示/譲渡前の株主:橋野絢妃51%、宮田光司34%、前田憲子10%、入野優芽5%(個人4名)。代表の橋野氏の51%分を取得/51%分の取得価額。アドバイザリー費用等(概算)60百万円を加えた合計は366百万円。単純に100%へ引き直すと約600百万円の評価

買収理由:グループの抹茶関連事業との商品開発・店舗展開のシナジー

設立から3年余り、資本金100万円の会社の株式51%に3億600万円がついています。業績は開示基準に該当しないとして省略されていますが、開示文は「直営・FCともに順調な成長」「高収益な事業構造を確立」と評価しています。創業から日が浅くても、伸びていて利益率の高い業態なら値段がつきます。買われたのは代表の持分だけで、残り49%は他の株主が持ったままです。

買収後存続2026年10月12日時点

2026年4月1日に取引実行。2026年3月期の決算短信で「株式会社SHUNRIが新たにグループに加わった」と書かれ、店舗展開を進める方針が示されています。

確認元:2026年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:株式取得(子会社の取得)に関するお知らせ

2025年8月7日吸収分割で事業だけを承継(子会社の箱根ガラスの森リゾートが承継)

株式会社うかいの文化事業(箱根ガラスの森美術館)

ヴェネチアングラス専門美術館「箱根ガラスの森美術館」の運営/東京都八王子市(分割会社)/分割会社は1982年8月設立設立

取得価額
2億円
対象の売上
10億9,000万円
対象の営業利益
9,400万円
対象の純資産
1億6,200万円

決算期:2025年3月期(文化事業部門)/譲渡前の株主:株式会社うかい(大株主は一般社団法人鵜飼家持株会24.27%、京王電鉄13.71%、キッコーマン8.89%)/吸収分割の対価として分割会社に交付する金銭。承継する資産325百万円・負債163百万円(2025年3月末の帳簿価格)の差し引き約162百万円に対し、約1.2倍。営業利益94百万円の約2.1倍/分割する文化事業部門の2025年3月期の数値

買収理由:観光・文化事業への事業領域の拡大

売上10億9,000万円・営業利益9,400万円の美術館事業を、2億円で引き取っています。営業利益の約2倍、承継する資産と負債の差額の約1.2倍です。売り手は飲食店を本業とする会社で、本業から離れた部門だけを切り出しました。承継した子会社は、もともとこの施設の不動産をうかいに貸していた会社です。会社全体ではなく1部門だけでも、買い手は現れます。

買収後存続2026年10月12日時点

2025年10月1日に効力発生予定として開示。2026年3月期の決算短信で「箱根ガラスの森美術館」の事業承継が投資活動の支出として計上され、開館30周年に向けた集客強化の方針が書かれています。

確認元:2026年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:子会社による事業の承継(吸収分割)に関するお知らせ

2024年8月2日株式譲渡(子会社化)。100%子会社のログオンシステムごと取得

株式会社Stadd(子会社の株式会社ログオンシステムを含む)

新規事業開発・デジタルサービス企画、システム開発(子会社ログオンシステムはソフトウェア開発)/東京都千代田区/2021年2月設立

取得価額
―
対象の売上
1,200万円
対象の営業利益
660万円
対象の純資産
1億6,200万円

決算期:2023年12月期(Stadd単体)/譲渡前の株主:CYO HOLDINGS PTE.LTD.(シンガポール)が100%保有。同社は個人1名(内ヶ崎俊介)が100%保有/相手先との守秘義務契約により非開示。外部専門家の株価算定とデューデリジェンスの結果を勘案して決定/Stadd単体の2023年12月期。実質的な事業会社である子会社ログオンシステム(札幌市、1996年設立)は2024年2月期で売上295百万円・営業利益36百万円・純資産157百万円

買収理由:グループ企業のDX推進。M&Aによる事業領域の拡大

持株会社のStaddは売上1,200万円ほどで、中身は札幌のソフト開発会社ログオンシステムです。ログオンシステムは売上2億2,300万円→2億7,000万円→2億9,600万円と伸び、純資産も9,300万円→1億5,700万円と積み上がっていました。オーナーが海外の資産管理会社を通じて持っていても、上場企業への譲渡は成立しています。

買収後不明2026年10月12日時点

2024年8月2日に取引実行。その後の決算短信や開示に社名が出てこず、存続を確かめる根拠がありません。

確認元:株式取得(子会社の取得)に関するお知らせ

出典:株式取得(子会社の取得)に関するお知らせ

2023年3月20日株式譲渡(子会社のアロフトが取得=孫会社化)

株式会社ライリィ

組み込みソフトの受託開発(パチスロ開発)/群馬県高崎市/2001年4月設立

取得価額
―
対象の売上
―
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:非開示/譲渡前の株主:個人1名(田中 健一)が100%保有/相手先との協議により非開示。外部専門家の株価算定とデューデリジェンスの結果を勘案して決定

買収理由:スマートパチスロ参入に向けたパチスロ開発の内製体制の獲得

資本金1,000万円、社長1人が全株を持つ受託開発会社です。業績は相手先との協議で非開示。買い手が欲しかったのは売上ではなく「設立以来続けてきたパチスロ開発」の技術者チームでした。小さな受託開発会社でも、買い手が新規参入したい分野の経験があれば、時間を買う相手として選ばれます。

買収後不明2026年10月12日時点

2023年4月1日に取引実行予定として開示。その後の決算短信や開示に社名が出てこず、存続を確かめる根拠がありません。

確認元:子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

出典:子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

2022年10月14日株式譲渡(子会社化)。98.3%を取得

株式会社グローバルワイズ

クラウド構築・システム開発・運用保守/愛知県名古屋市/1997年11月設立

取得価額
1億9,200万円
対象の売上
4億4,200万円
対象の営業利益
860万円
対象の純資産
1億8,900万円

決算期:2022年3月期/譲渡前の株主:代表取締役の伊原栄一が61.6%を保有。譲渡までに同氏が他の株主から買い集め、まとめて譲渡/98.3%分の取得価額(完了時の開示)。アドバイザリー費用等(概算)45百万円を加えた合計は237百万円。当初の開示では88.1%・175百万円の予定だったが、株主との交渉が進み取得割合と価額が増えた

買収理由:既存サービスのクラウド化に向けたシステム開発力の獲得

売上4億4,200万円・営業利益855万円・純資産1億8,900万円。売上は5億3,100万円→4億7,800万円→4億4,200万円と3期続けて減り、最終損益は2期が赤字でした。それでも純資産とほぼ同じ1億9,200万円で売れています。100%子会社のインフォウェアは債務超過でしたが、譲渡の前にグローバルワイズへ吸収合併させて1社にまとめています。社長が他の株主の株を先に集め、98.3%をまとめて渡した点も、株主が散っている会社の進め方として参考になります。

買収後不明2026年10月12日時点

2022年12月20日に取得完了し、新社長に松原真那武氏が就任。子会社インフォウェアは12月1日付でグローバルワイズに吸収合併済み。その後の決算短信や開示に社名が出てこず、現在の存続を確かめる根拠がありません。

確認元:株式会社グローバルワイズの株式取得(子会社化)完了に関するお知らせ

出典:株式会社グローバルワイズの株式取得(子会社化)完了に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 株式会社SHUNRI3億600万円
  • 株式会社うかいの文化事業(箱根ガラスの森美術館)2億円(売上の0.18倍・営業利益の2.1倍)
  • 株式会社グローバルワイズ1億9,200万円(売上の0.43倍・営業利益の22.3倍)

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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