ソーシャルワイヤー株式会社のM&A実績
インフルエンサーPRとSNS広告の周辺で、社員数人〜十数人の若い会社を買っている会社です。2018年に買ったFind Modelを主力事業に育てた経験があり、2025年からは同じ領域でiHack、SEIRYOと続けて取得しています。中期ターゲットは「2028年3月期に売上高50億円」で、買収をその手段と位置づけています。売り手は創業社長個人か、そのオーナーの会社です。
ソーシャルワイヤー株式会社が公表した適時開示5件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都港区
- 設立
- 2006年9月
- 事業内容
- インフルエンサーPR「Find Model」とプレスリリース配信「@Press」を軸にしたデジタルPR事業
- 売上高
- 35億1,300万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 2億2,700万円
- 純資産
- 18億600万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- インフルエンサーマーケティング・インフルエンサー事務所/SNS広告の運用支援(TikTok・ショート動画、成果報酬型)/翻訳・クラウドソーシング/イベント集客・運営管理システム
- 対象の規模
- 対象の売上 1.37億円〜6.7億円(事業譲受1件は非開示)
- 手法
- 株式譲渡(100%取得の完全子会社化)が中心。一部だけ買う形(84.4%)や、事業だけを引き取る事業譲受も使う
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社が法人として残るかは、手元の開示では追い切れていません。iHackは取得後の決算短信に連結子会社として社名が出ています。Find Modelはサービス名としては今も主力事業として開示に登場しますが、法人のその後は確認できていません。
- 株式を買った4件はすべて取得価額が開示されています。2億6,100万円、7億6,600万円、3億4,500万円など、金額とアドバイザリー費用を分けて書くのがこの会社の書き方です
- 決算が締まる前の数字で買っています。Find Modelは「決算前の速報値」、iHackは「見込数値」、SEIRYOは「未確定数値を含む」と開示されています。業績が伸びている最中に、その勢いを含めて値段をつけている形です
- 営業利益に「調整」をかけて評価しています。SEIRYOでは、M&A後に要らなくなる経費や親会社との共通費を足し戻した「調整後営業利益」7,788万円を、実際の営業利益2,688万円と並べて開示しています
- 取得金額はいずれも借入や手元資金で賄える規模です。2026年3月期は、iHack取得に伴う借入で長期借入金が6億4,278万円増えたと決算短信にあります
買収の履歴5件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社SEIRYO
TikTokを中心としたショート動画の広告運用支援、成果報酬型SNS広告/東京都千代田区/2020年6月設立
- 取得価額
- 3億4,500万円
- 対象の売上
- 6億7,000万円
- 対象の営業利益
- 2,700万円
- 対象の純資産
- 7,500万円
決算期:2026年3月期(未確定数値を含む、監査なし)/譲渡前の株主:株式会社ミカンが100%保有(事業会社)/取得関連費用(概算)31百万円を加えた合計は376百万円。独立した第三者機関の算定結果を踏まえ協議で決定。営業利益2,688万円に対しては約12.8倍、開示された調整後営業利益7,788万円に対しては約4.4倍
買収理由:TikTok・ショート動画の広告運用と成果報酬型SNS広告を取り込み、インフルエンサー施策から広告運用までを一体で提供する
従業員5名、資本金700万円。売上6億7,000万円・営業利益2,688万円・純資産7,535万円。営業利益は5,754万円→3,773万円→2,688万円と3期続けて下がり、直近は当期純損失1,257万円でした。それでも3億4,500万円がついています。買い手は「M&A後に不要となる経費、親会社等との共通費用」を足し戻した調整後営業利益7,788万円を並べて開示しており、決算書の利益ではなく、買った後に残る利益で値段を見ていることが読み取れます。ByteDance社の公認パートナー契約という、外から取りにくい資格も評価の材料になっています。
2026年6月12日に株式譲渡を実行する予定と開示されています。実行の完了や、その後の商号変更・合併を確認できる開示は手元にありません。
株式会社iHack
美容・化粧品に特化したインフルエンサーマーケティング支援、インフルエンサー事務所、美容クリエイター養成/東京都千代田区/2019年9月設立
- 取得価額
- 7億6,600万円
- 対象の売上
- 6億4,700万円
- 対象の営業利益
- 1億2,400万円
- 対象の純資産
- 1億1,000万円
決算期:2025年8月期(見込、監査なし)/譲渡前の株主:富田真人(代表取締役)82.5%、株式会社サイバー・バズ7.0%、江口航洋(執行役員)5.0%ほか、計7名/取得関連費用(概算)42百万円を加えた合計は808百万円。将来事業計画をもとに独立した第三者機関の算定結果を踏まえ協議で決定。見込みの営業利益1億2,400万円に対して約6.2倍
買収理由:インフルエンサーPR領域の拡大と、美容領域の顧客基盤を使ったクロスセル
従業員15名。前の期(2024年8月期)は営業損失2,675万円、純資産213万円でほぼ資本を食いつぶした状態でした。そこから1年で売上2億9,181万円→6億4,700万円(見込)、営業利益1億2,400万円(見込)まで戻した局面で、7億6,600万円で売れています。赤字の翌年でも、回復が数字で見えていれば値段はつきます。社長が82.5%を持ち、上場会社のサイバー・バズや役員も少しずつ株を持つ形でしたが、7名全員から買い取って100%にしています。
2026年3月期の決算短信で「連結範囲の重要な変更 新規1社 株式会社iHack」と社名が出ています。商号変更や合併の開示は確認できていません。
株式会社Find Model
インフルエンサーマーケティング/東京都渋谷区/2016年8月設立
- 取得価額
- 2億6,100万円
- 対象の売上
- 1億3,700万円
- 対象の営業利益
- 4,100万円
- 対象の純資産
- 4,200万円
決算期:2018年3月期(決算前の速報値)/譲渡前の株主:福田航太(代表取締役)、飛田啓介ほか個人1名の計3名(持株比率は非公表)/アドバイザリー費用等(概算)6百万円を加えた合計は268百万円。営業利益4,100万円に対して約6.4倍、純資産の約6.2倍
買収理由:プレスリリース配信の顧客にインフルエンサーマーケティングを提案し、マスメディアとソーシャルメディア双方に対応したPRを提供する
設立から1年8か月、まだ2期目の会社です。売上は3,400万円→1億3,700万円と1年で4倍、営業利益4,100万円(利益率30%)。決算が締まる前の速報値で2億6,100万円がついています。買い手はその後、このサービスを売上約10倍まで育てて主力事業にしたと開示しています。若い会社でも、伸びている事業なら「これから」の分まで値段に入ります。
2026年5月のSEIRYO取得の開示で、インフルエンサーPRサービス「Find Model」は売上規模を約10倍にした中核事業と説明されています。ただし法人としての株式会社Find Modelが残っているか、吸収合併されたかは手元の開示では確認できていません。
株式会社ネットスケットのイベント関連事業(everevo等)
イベント集客・集金サービス「everevo」、セミナー・イベント運営管理システム「EventCreate」/埼玉県上尾市/譲渡会社は2006年1月設立設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:株式会社ネットスケット(非上場、大株主は非開示)/当事者間の合意により非開示。業績への影響は「軽微」と開示
買収理由:プレスリリース配信の18.9%を占めるセミナー・イベント告知の顧客に、集客・運営支援まで提供する
会社ごとではなく、イベント関連のサービスだけを切り出して譲り受けた案件です。譲渡したネットスケットはシステム開発やWebメディアなど他の事業を手元に残しています。業績の数字は開示されていません。本業と別に育てたサービスだけを、それを欲しがる会社に渡すという形の一例です。
2018年3月1日に事業譲渡予定と開示されています。その後この事業がどうなったかを示す開示は手元にありません。
トランスマート株式会社
翻訳マッチングサービス「TRANSMART」「QQ翻訳」の運営(翻訳者2,000名超のクラウドソーシング)/東京都葛飾区/1996年8月設立
- 取得価額
- 6,500万円
- 対象の売上
- 2億700万円
- 対象の営業利益
- 800万円
- 対象の純資産
- 3,400万円
決算期:2015年3月期/譲渡前の株主:服部淳一(代表取締役社長)47.3%、セコム株式会社47.3%、個人4名と自己株式5.4%/アドバイザリー費用等(概算)2百万円を加えた合計は67百万円。84.4%分の金額。営業利益800万円に対して約8倍
買収理由:翻訳クラウドソーシングを足がかりに「アジアBPOプラットフォーム」を構築する
創業1996年、売上2億700万円・営業利益800万円・純資産3,400万円。セコムが持つ株は全部、社長の株は一部だけを買い、社長は株主として残りました。利益はわずかでしたが、売上1億5,000万円→2億700万円と伸びていた局面です。大株主の事業会社が抜けるタイミングで、創業社長が経営を続けたまま新しい親会社に乗り換えた例です。
2016年4月8日に株式譲渡実行予定と開示されています。その後の商号変更・合併・再売却を確認できる開示は手元になく、取得から1年以上たっているため存続とは判断していません。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された4件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社SEIRYO3億4,500万円(売上の0.51倍・営業利益の12.8倍)
- 株式会社iHack7億6,600万円(売上の1.18倍・営業利益の6.2倍)
- 株式会社Find Model2億6,100万円(売上の1.91倍・営業利益の6.4倍)
- トランスマート株式会社6,500万円(売上の0.31倍・営業利益の8.1倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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