6038東証グロース

株式会社イードのM&A実績

メディア(Webサイト・雑誌・イベント)を買い集めている会社です。開示には毎回「事業開発やM&Aを通じて事業拡大を推進」と書かれています。対象は売上1億〜7億円ほどの小さな会社が中心で、売り手は創業者や役員などの個人から、メルカリ・カカクコムのような上場企業まで幅があります。赤字の会社や債務超過の会社も買っています。

株式会社イードが公表した適時開示7件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月13日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
東京都中野区
設立
2000年4月
事業内容
自動車・教育・金融など21ジャンル84媒体のWebメディア運営を軸に、リサーチ、EC支援、出版・イベントを手がける会社
売上高
59億5,200万円(2026年6月期(連結))
営業利益
2億2,600万円
純資産
50億1,200万円

どんな会社を買っているか

買う業種
自動車メディア・コミュニティ/教育・子育てメディア、進学イベント/金融機関向け専門誌・出版/EC支援・EC運営/車両衝突試験・ファシリティマネジメント
対象の規模
対象の売上 0.8億円〜6.9億円(会社ごと買った案件)
手法
株式譲渡(子会社化)が中心。51〜75%だけを先に買う一部取得、業績に応じて残りを買い増す条件付対価(アーンアウト)、雑誌やWebサイトだけを買う事業譲受・会社分割も使う
赤字でも買うか
買っている(実績あり)
買収後の扱い
買った会社は社名のまま子会社として残すのが基本です。ただし固定ではなく、マイケル(CARTUNE)は取得から5年後に本体へ吸収合併、絵本ナビは5年半後に株式の一部をファンドへ売って持分法適用会社に、エンファクトリーは2026年にパソナグループへ全株を7億900万円で売却と、グループの形を組み替えることがあります。
  • 取得価額は2021年6月までの適時開示では金額まで、2022年以降は非開示です。ただし非開示でも「連結純資産の1%未満」「5%未満」と上限が書かれるので、おおよその水準は読めます
  • 大手からの事業切り出しを小さな金額で引き受けています。学研プラスからアニメ専門誌「アニメディア」など(売上5億9,100万円)を2,500万円、プロトコーポレーションから「グースクール」(売上1億500万円)を500万円、インプレスから「東京IT新聞」(売上3,300万円)を無償で譲り受けています
  • 売る前に配当で現金を抜く形が2件あります。SAVAWAYは減資と現預金の配当を済ませてから5,000万円で、webCGは進行期に2億5,000万円を配当してから譲渡されました

買収の履歴7件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年2月24日株式譲渡(子会社化)

株式会社webCG

自動車専門メディア「webCG」の運営/東京都渋谷区/2008年10月設立

取得価額
―
対象の売上
1億9,100万円
対象の営業利益
3,100万円
対象の純資産
3億4,500万円

決算期:2025年3月期/譲渡前の株主:株式会社カカクコム(上場企業)が100%保有/当事者間の契約により非開示。「連結および単体純資産の5%未満」。2025年6月期の連結純資産46億3,800万円の5%=約2億3,000万円を下回ると読める。第三者のデューデリジェンスと株価算定を踏まえて決定

買収理由:自動車メディア群(レスポンス、CARTUNE、e燃費など)に、webCGの編集力とブランド力を加える

売上1億9,100万円・営業利益3,100万円・純資産3億4,500万円。営業利益は△2,600万円→△800万円→3,100万円と、赤字から黒字に戻した直後の譲渡です。開示には「進行期において既存株主に対して250百万円の配当を実施」とあり、売る前に親会社が会社の現金を配当で受け取っています。純資産の大半が現金なら、売却価格に乗せるか配当で先に受け取るかを選べる、という実例です。

買収後存続2026年10月13日時点

2026年2月27日に株式譲渡実行予定として開示されました。完了の開示や、その後の商号変更・合併の開示は確認できていません。

確認元:株式会社webCGの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:株式会社webCGの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2025年6月24日株式譲渡(子会社化)。当初55.8%の予定が、取引先チエル株式会社の持分も買い取り75.8%に

株式会社エディト(75.8%)

金融機関向け専門誌「J-MONEY」「ファンドマーケティング」「保険マーケティング」の発行、広告、イベント/東京都渋谷区/1968年11月設立

取得価額
―
対象の売上
2億7,800万円
対象の営業利益
3,000万円
対象の純資産
△3,300万円

決算期:2024年9月期(監査を経ていない数値)/譲渡前の株主:盛直樹(社長)73.0%ほか個人7名、チエル株式会社(上場企業)/相手先の意向により非開示。「連結および単体純資産の1%未満」。2024年6月期の連結純資産42億6,600万円の1%=約4,300万円を下回ると読める

買収理由:既存の金融メディアとの連携と、紙の専門誌のデジタル化

純資産マイナス3,300万円の債務超過でした。ただし営業利益は△1,400万円→600万円→3,000万円、純資産も△6,400万円→△3,300万円と回復の途中です。創業57年の紙の専門誌でも、読者(金融機関)との関係が買われています。決議時は55.8%の予定でしたが、実行時に取引先の持分まで買い取って75.8%になりました。

買収後存続2026年10月13日時点

2025年7月4日に取得が完了し、2026年6月期の決算短信で連結子会社に加わったと記載されています。商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:2026年6月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:株式会社エディトの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2022年10月25日株式譲渡(子会社化)。残り29.3%は2024年6月期までに業績の達成割合に応じた条件付対価で段階的に追加取得する予定

エフ・アイ・ティー・パシフィック株式会社(70.7%)

車両衝突実験関連事業(つくばテクニカルセンター)、ケーブル&ファシリティマネジメント事業/東京都台東区/1996年7月設立

取得価額
―
対象の売上
6億8,600万円
対象の営業利益
5,800万円
対象の純資産
3億6,700万円

決算期:2022年3月期(監査を経ていない数値)/譲渡前の株主:役員および元役員等の個人(氏名は非公開)/相手先の意向により非開示。「連結および単体純資産の15%未満」。第三者のデューデリジェンスと株価算定を踏まえて決定

買収理由:自動車メディア・リサーチの発信力と、衝突・安全分野の試験設備を組み合わせる

売上6億8,600万円・営業利益5,800万円・純資産3億6,700万円。売上は8億9,200万円→6億4,900万円→6億8,600万円と、落ち込みから戻りかけの局面でした。7割を先に売り、残り3割は買収後の業績しだいで値段が決まるという条件です。売り手が経営に残り、業績を上げれば残りの株が高く売れる設計で、売り手と買い手で将来の見通しが食い違うときの落としどころとして使われています。

買収後存続2026年10月13日時点

2022年11月1日に株式譲渡実行予定として開示されました。残りの株式の追加取得の結果や、商号変更・合併の開示は確認できていません。

確認元:エフ・アイ・ティー・パシフィック株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:エフ・アイ・ティー・パシフィック株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2021年10月4日株式譲渡(全株式を取得し子会社化)

株式会社リンク

私立小中高の進学相談イベント(年間のべ455校参加)、フリーペーパー「Fravent」の発行/神奈川県横浜市

取得価額
―
対象の売上
―
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:非開示/開示なし(適時開示ではなくプレスリリースでの公表)

買収理由:教育情報サイト「リセマム」「リシード」とイベント・紙媒体を連携させる

業績も価格も出ていない小さな案件ですが、取得後も創業者の志水祐一氏が代表取締役会長として残り、イード側の担当者が社長に就きました。売ったあとすぐに去るのではなく、会長として引き継ぎに関わる形です。コロナ禍でオンライン説明会を早く立ち上げていたことも紹介されています。

買収後存続2026年10月13日時点

2021年10月1日付で子会社化したと公表されています。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:イード、進学相談イベントを展開するリンクを子会社化、教育情報サイトとの連携により進路選択をリアル&オンラインで支援

出典:イード、進学相談イベントを展開するリンクを子会社化、教育情報サイトとの連携により進路選択をリアル&オンラインで支援

2021年6月22日株式譲渡(完全子会社化)。実行前に減資と現預金の配当を実施

NHN SAVAWAY株式会社

EC支援サービス(複数ECショップ管理「TEMPOSTAR」など)/東京都港区/2017年5月(2004年創業)設立

取得価額
5,000万円
対象の売上
4億3,200万円
対象の営業利益
△1億4,400万円
対象の純資産
3億5,800万円

決算期:2020年12月期(監査を経ていない数値)/譲渡前の株主:NHN JAPAN株式会社が100%保有/アドバイザリー費用7百万円を加えた合計は概算57百万円。譲渡前に現預金の一部を除いて配当する予定と開示されており、譲渡時点の純資産は表の3億5,800万円より小さい

買収理由:EC関連事業をメディア事業に並ぶ柱にする

営業損失1億4,400万円、それも3期連続の赤字(△6億100万円→△5億2,500万円→△1億4,400万円)でした。価格は5,000万円。親会社は譲渡の前に資本金を5,000万円まで減らし、現預金の大半を配当で受け取っています。赤字の子会社でも、現金を先に回収したうえで事業を引き取ってもらうという手放し方の例です。

買収後社名変更2026年10月13日時点

株式譲渡実行日(2021年7月1日予定)に「SAVAWAY株式会社」へ商号変更する予定と開示されています(変更後の開示は未確認のため、予定に基づく推定です)。その後の合併や再譲渡の開示は確認できていません。

確認元:NHN SAVAWAY株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:NHN SAVAWAY株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2020年5月26日株式譲渡(完全子会社化)

マイケル株式会社

自動車好きのコミュニティアプリ「CARTUNE」の運営(月間300万人以上が利用)/東京都渋谷区/2016年12月設立

取得価額
8,600万円
対象の売上
8,100万円
対象の営業利益
△2億4,700万円
対象の純資産
2億500万円

決算期:2019年6月期(決算期変更により11か月、監査を経ていない数値)/譲渡前の株主:株式会社メルカリ(上場企業)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)1百万円を加えた合計は概算88百万円

買収理由:既存の自動車メディア(レスポンス、e燃費)にユーザー基盤を加える

売上8,100万円に対し営業損失2億4,700万円。立ち上げから3年の赤字事業でしたが、純資産2億500万円に対して8,600万円で売れています。売上より「月300万人のユーザー」が評価された案件です。親会社にとっては、本業から外れた新規事業を、その分野の専業に渡す出口でした。

買収後吸収合併2026年10月13日時点

2025年7月1日にイードを存続会社とする吸収合併で解散しました。取得から約5年で法人は消え、CARTUNEはイード本体の事業になっています。

確認元:完全子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)及び特定子会社の異動に関するお知らせ

出典:マイケル株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2015年5月26日株式譲渡(子会社化)。創業者・VC・事業会社から計50.10%を取得

株式会社絵本ナビ(50.1%)

絵本・児童書の試し読みメディア「絵本ナビ」の運営とオンライン販売/東京都渋谷区/2001年10月設立

取得価額
3億4,200万円
対象の売上
4億9,000万円
対象の営業利益
△8,000万円
対象の純資産
200万円

決算期:2014年6月期(監査を経ていない数値)/譲渡前の株主:金柿秀幸(社長)37.58%、Globis Fund III 20.12%ほかファンド・事業会社・個人/アドバイザリー費用等(概算)2百万円を加えた合計は概算344百万円

買収理由:保護者向けニュース「リセマム」と合わせ、0〜18歳の子育て家庭向けメディアをそろえる

売上4億9,000万円・営業損失8,000万円・純資産180万円。直近の9か月累計では純資産マイナス365万円と債務超過に入っていました。それでも年間864万人が使うサイトとして、半分の株に3億4,200万円がついています。社長は37.58%を持つ筆頭株主で、VCなど複数の株主と一緒に売り、社長として残りました。

買収後再売却2026年10月13日時点

2020年11月、イードは保有58.93%のうち11,256株を米国の投資ファンドSIG Global Japan Fund Iに約4億900万円で売却し、絵本ナビは連結子会社から持分法適用会社に変わりました(同時の増資後の保有は29.43%の見込み)。社名と代表者(金柿秀幸氏)はそのままです。

確認元:連結子会社の異動(株式譲渡)及び特別利益発生のお知らせ

出典:株式会社絵本ナビの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • NHN SAVAWAY株式会社5,000万円(売上の0.12倍)※営業赤字での譲渡
  • マイケル株式会社8,600万円(売上の1.06倍)※営業赤字での譲渡
  • 株式会社絵本ナビ(50.1%)3億4,200万円(売上の0.70倍)※営業赤字での譲渡

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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本ページは株式会社イードが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月13日