6093東証スタンダード

株式会社ミトラグループのM&A実績

不動産取引の手続きを支える会社で、測量事務所、建築確認の代行会社、登記ソフトの事業など、不動産取引に関わる専門家の周辺業務を買い足してきた会社です。対象は売上4,700万円の事業から8億円台の事業まで、いずれも小規模です。売り手は個人オーナー、地方の同業グループ、大手システム会社の子会社、士業の団体と幅があります。2026年には中期経営計画の中で「M&A基本方針」を掲げ、専門人財や業務オペレーションの獲得を重要な戦略に位置づけています。

株式会社ミトラグループが公表した適時開示5件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
東京都千代田区
設立
2007年4月
事業内容
金融機関・不動産事業者・建築事業者・司法書士などの士業に向けて、住宅ローンや登記、建築確認などの手続きを代行・システム化するサービスを提供(ここに載せた開示はすべて旧社名「エスクロー・エージェント・ジャパン」時代のもの)
売上高
50億7,800万円(2026年2月期(連結))
営業利益
3億2,300万円
純資産
34億9,800万円

どんな会社を買っているか

買う業種
測量・不動産調査/建築確認申請・設計サポート、住宅診断/司法書士・土地家屋調査士向けの業務支援/登記申請ソフトウェア
対象の規模
対象の売上 0.47億円〜8.44億円
手法
株式譲渡(子会社化)、株式交換(対価は当社株式)、会社分割で切り出した新設会社の株式取得、事業譲受(受け皿の新会社を設立する形も)と、案件ごとに形を変えている
赤字でも買うか
黒字の会社のみ
買収後の扱い
買った会社や事業は子会社として残す形が見られます。2017年に取得した中央グループと、2022年に譲り受けた事業の受け皿として設立したサムポローニアは、2026年2月期の決算短信でも連結子会社として事業説明に出てきます。一方、伊藤厚事務所とネグプランは決算短信に社名が出てこず、その後は追えていません。
  • 取得価額を開示した案件が多い会社です。5件のうち4件で金額(株式交換の評価額を含む)が出ています
  • 純資産と同程度か、それを下回る価格の案件があります。伊藤厚事務所は純資産1億4,900万円(合併前2社の合算)に対し1億円、ネグプランは純資産4,600万円に対し株式評価額約2,725万円でした
  • 株式交換では、価格を円で固定し、交付する株式数を直前の平均株価で決める「変動性株式交換比率方式」を使っています。売り手から見ると、株価の動きで受け取る価値がぶれにくい形です
  • 2017年の中央グループ取得は、当時の当社代表取締役が代表を務める会社(株式会社ブレス)からの取得で、当社役員3名と執行役員1名が対象会社の役員を兼務していました。純粋な第三者間の案件とは性格が異なります

買収の履歴5件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年5月22日事業譲受(基本合意)

一般社団法人中央公共嘱託登記土地家屋調査士協会の補助業務事業

官公署からの依頼による土地家屋調査士業務(地図作成、長期相続登記等未了土地の解消など)を補助する事業/大阪府大阪市/譲渡元は2010年1月設立設立

取得価額
―
対象の売上
4,700万円
対象の営業利益
700万円
対象の純資産
―

決算期:2025年12月期/譲渡前の株主:一般社団法人中央公共嘱託登記土地家屋調査士協会(開示上の大株主は代表理事 中村章吾 100%)/未定。「第三者の専門家等による調査を踏まえて決定」し確定次第開示するとされているが、確定の開示は手元にない

買収理由:士業・不動産領域の業務ノウハウと専門人財を取り込み、専門業務の標準化・DX化を進める

売上4,700万円・営業利益700万円の小さな事業です。譲り受けるのは資格者でなくてもできる補助業務だけで、土地家屋調査士が行うべき業務は引き続き協会側の調査士が担うと明記されています。資産・負債の引き継ぎはなく、人とノウハウを移す形です。資格が要る仕事と要らない仕事を切り分ければ、士業の周辺業務も売却の対象になることを示す例です。譲渡元の純資産は2,600万円(2025年12月末)でした。

買収後不明2026年10月12日時点

2026年6月30日に事業譲受の予定と開示されましたが、最終契約の締結や譲受価額の確定を伝える後続開示は手元になく、実行されたかは確認できていません。

確認元:事業譲受に関するお知らせ

出典:事業譲受に関するお知らせ

2022年6月24日事業譲受(受け皿として100%子会社の株式会社サムポローニアを新設)

株式会社日立ソリューションズ・クリエイトのサムポローニア事業

司法書士業務総合支援システム「サムポローニア」など、登記申請に関わる士業向けソフトウェアの販売/東京都品川区/譲渡元は1976年4月設立設立

取得価額
1億6,600万円
対象の売上
8億4,400万円
対象の営業利益
100万円
対象の純資産
―

決算期:2022年3月期/譲渡前の株主:株式会社日立ソリューションズ・クリエイト(株式会社日立ソリューションズの100%子会社)/最終契約締結時点の概算。前渡金・前受金の差し引き残高で最終調整する。2021年11月の基本合意時点では「5億円を上限」とされていた。ソフトウェアの動作・テスト環境の構築費用は別途

買収理由:司法書士など士業専門家向けサービスを拡充し、登記などリーガル手続きのDX化を進める

売上8億4,400万円に対して営業利益は100万円。前年は売上8億3,600万円・営業利益2,700万円でした。ほぼ利益が出ていない事業でも、売上の約5分の1の1億6,600万円で値がついています。基本合意から最終契約まで日程が2度延期され、7か月かかりました。上限5億円とされた価格が最終的に1億6,600万円に落ち着いており、基本合意の金額がそのまま最終価格になるとは限らないことが分かる案件です。大企業グループの非中核事業を、専業の会社が引き取った形です。

買収後存続2026年10月12日時点

受け皿の株式会社サムポローニアは、2026年2月期決算短信で士業ソリューション事業を担う連結子会社として記載されており、「サムポローニアシリーズ」の売上も堅調とされています。

確認元:2026年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:(開示事項の経過)事業譲受並びに新会社設立に関するお知らせ

2018年2月15日簡易株式交換(完全子会社化、対価は当社株式)

株式会社ネグプラン

建築確認申請・長期優良住宅・省エネ関係の設計サポート、現場検査、瑕疵保険検査・地盤調査の取次など建設事業者向けの代行業務/新潟県新潟市/2012年3月設立

取得価額
―
対象の売上
4億5,100万円
対象の営業利益
1,400万円
対象の純資産
4,600万円

決算期:2017年3月期/譲渡前の株主:個人2名(木村利明 72.73%、岡部泰丸 27.27%)/ネグプラン1株を247,765円と評価(第三者機関AGSコンサルティングのDCF法による算定レンジ247,765円〜323,263円の下限)。発行済株式110株に乗じると約2,725万円。交付する当社株式数は直前10取引日の平均株価で決める変動性株式交換比率方式

買収理由:建設事業者向けの設計サポート機能と中古住宅の診断機能を加え、建設事業者向けサービスを拡充する

売上4億5,100万円・営業利益1,400万円・純資産4,600万円、従業員47名。売上は2億5,500万円→4億900万円→4億5,100万円と伸びていましたが、営業利益は700万円→3,300万円→1,400万円と振れています。評価額は第三者算定レンジの下限で、純資産を下回る水準でした。対価は現金ではなく買い手の株式です。株式交換で売ると、売り手は上場企業の株主になるので、その後の株価次第で受け取る価値が変わります。

買収後不明2026年10月12日時点

2018年4月1日に株式交換の予定と開示されました。2026年2月期決算短信の事業説明にネグプランの社名は出てこず、合併や商号変更を伝える開示も手元にないため、その後は追えていません。

確認元:2026年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:簡易株式交換による株式会社ネグプランの完全子会社化に関するお知らせ

2017年8月24日会社分割(新設分割)で切り出した新会社の株式を100%取得

株式会社中央グループ(新設分割で設立された新会社)

土地家屋調査士・司法書士などの専門家支援、測量、建築設計・都市開発、不動産鑑定/新潟県新潟市/2017年7月(事業は創業約30年)設立

取得価額
3,400万円
対象の売上
2億8,000万円
対象の営業利益
3,200万円
対象の純資産
3,300万円

決算期:2016年12月期(対象事業)。純資産は2017年7月3日時点/譲渡前の株主:株式会社ブレス(旧・株式会社中央グループ。本間大貴 100%保有、代表取締役は当時の当社代表取締役 本間英明)/第三者機関によるDCF法の算定結果に基づき決定/分割前の旧・株式会社中央グループにおける対象事業の2016年12月期の数値。新設会社のため確定した決算はない

買収理由:司法書士・土地家屋調査士など専門家向けの支援サービスの開発と、エスクローサービスの拡充

売上2億8,000万円・営業利益3,200万円・純資産3,300万円で、取得価額は3,400万円。価格は純資産とほぼ同じ、営業利益の約1倍でした。ただし売り手は当時の当社代表が代表を務める会社で、当社役員3名と執行役員1名が対象会社の役員を兼ねていた案件です。第三者間の相場の目安にはなりにくい点に注意が要ります。新潟で約30年続いた事業を、会社分割で必要な部分だけ切り出して渡す形が使われています。

買収後存続2026年10月12日時点

2026年2月期決算短信で、建築ソリューション事業を担う連結子会社「株式会社中央グループ」として記載されています。

確認元:2026年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:子会社の異動を伴う株式の取得に関するお知らせ

2016年4月19日株式譲渡(子会社化)。譲渡前に、同じオーナーのスクエア設計を伊藤厚事務所に吸収合併させてから取得

伊藤厚事務所株式会社(スクエア設計株式会社を吸収合併後)

大手不動産事業者向けの不動産調査・測量、宅地建物取引業/神奈川県横浜市/2009年5月設立

取得価額
1億円
対象の売上
4億9,200万円
対象の営業利益
900万円
対象の純資産
1億4,900万円

決算期:2015年9月期(2社の単純合算)/譲渡前の株主:個人1名(伊藤厚)が両社とも100%保有/2016年5月の経過開示で確定(取得株式100株)/伊藤厚事務所(175百万円)とスクエア設計(317百万円)の2015年9月期の単純合算

買収理由:不動産調査・測量機能を加え、不動産事業者や金融機関向けエスクローサービスのメニューを拡充する

2社合算で売上4億9,200万円・営業利益900万円・純資産1億4,900万円。取得価額は1億円で、純資産を下回る価格でした。スクエア設計の売上は7億2,100万円→6億5,500万円→3億1,700万円と3期で半分以下に落ち、営業利益も2,100万円→300万円まで縮んでいた局面です。同じオーナーが持つ2社を先に1社にまとめてから売るという進め方が取られ、社長の伊藤厚氏は子会社化の後も事業運営に関わると開示されています。

買収後不明2026年10月12日時点

子会社化後に商号を変更する予定と開示されていましたが、新しい社名は手元の開示で確認できません。2026年2月期決算短信の事業説明にも社名は出てこず、その後は追えていません。

確認元:子会社の異動を伴う株式の取得に関するお知らせ(開示事項の経過)

出典:子会社の異動を伴う株式の取得に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 株式会社日立ソリューションズ・クリエイトのサムポローニア事業1億6,600万円(売上の0.20倍・営業利益の166.0倍)
  • 株式会社中央グループ(新設分割で設立された新会社)3,400万円(売上の0.12倍・営業利益の1.1倍)
  • 伊藤厚事務所株式会社(スクエア設計株式会社を吸収合併後)1億円(売上の0.20倍・営業利益の11.1倍)

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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