株式会社フォーサイドのM&A実績
「積極的にM&Aや新規事業展開を推進」と開示で繰り返し書いている会社です。買うたびに新しい事業に入るのが特徴で、プライズ景品、雑誌、人材派遣、Web制作と、業種はそろっていません。いまの主力のプライズ事業も、2017年に買ったブレイクが担っています。売り手は創業者個人から上場企業、破産管財人まで幅があり、取得価額をほぼ毎回開示しています。
株式会社フォーサイドが公表した適時開示6件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都中央区
- 設立
- 2000年3月(創業)
- 事業内容
- プライズ(クレーンゲーム景品)の企画販売を主力に、電子書籍配信「モビぶっく」、雑誌「Popteen」の出版、AI関連、物流、総合人材サービスを束ねる持株会社
- 売上高
- 87億4,800万円(2025年12月期(連結))
- 営業利益
- 4億6,300万円
- 純資産
- 30億7,700万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- プライズ(アミューズメント機器用景品)の企画・製作/雑誌出版・モデルマネジメント/人材派遣・業務請負/Webサイト構築・クラウド運用/キャラクター商品のクラウドファンディング販売
- 対象の規模
- 対象の売上 0.94億円〜30.1億円
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)が中心。事業譲受や、破産会社の事業を管財人から買う形も使う。過半数(51%)だけを取得した例もある
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残し、その会社に新しいセグメントを担わせる形です。ブレイクは2017年の取得から9年たった今もプライズ事業とイベント事業の中核で、antzには取得の3か月後に物流関連事業を立ち上げさせています。一方で、手放すことも多い会社です。2014年に買ったデジタリオは2016年に、2017年に買った日本賃貸住宅保証機構は2024年に、それぞれ売却しています。
- 取得価額を開示する会社です。下の6件のうち4件で金額が出ています(マカルーデジタル5,000万円、antz 4億8,000万円、ブレイク3億1,000万円、そらゆめの事業230万円)
- アドバイザリー費用も別に書いてあります。マカルーデジタルでは株式5,000万円に対して費用2,900万円(仲介会社への支払いを含む)。小さな案件ほど手数料の比率が重くなることが、そのまま数字に出ています
- ここに載せていない買収として、主要株主や取締役の関係会社から買った案件があります(2014年デジタリオ2億5,000万円、2015年クレディエンス5,000万円、2017年日本賃貸住宅保証機構、2024年に代表取締役が100%保有していたエム)。利害関係者との取引で、第三者間の値付けとは性格が違うため一覧から外しました
- デジタリオは2億5,000万円で買い、約1年10か月後に1億7,000万円で第三者へ売却しています。買われた後にさらに売られることがある点は、この会社に限らず確認しておきたいところです
買収の履歴6件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社マカルーデジタル
Webサイト構築(Concrete CMS)、Webシステム開発、AWS中心のクラウドインフラ設計・運用、ホスティング/東京都世田谷区/2012年8月設立
- 取得価額
- 5,000万円
- 対象の売上
- 1億4,247万円
- 対象の営業利益
- 540万円
- 対象の純資産
- 275万円
決算期:2025年7月期/譲渡前の株主:菱川拓郎40%、宇佐見貴広20%、諏訪奨20%、佐々木多生20%(個人4名)/株式の取得価額50百万円。アドバイザリー費用等29百万円(M&Aロイヤルアドバイザリーへの費用を含む)を加えた合計は79百万円。第三者機関(MIコンサルティング、現・船井総研あがたFAS)の算定結果を基に協議で決定
買収理由:グループ内にWebサイト構築・クラウド運用の開発体制がなく、デジタル基盤の強化と情報発信力の向上が課題だったため
売上1億4,247万円・営業利益540万円・純資産275万円。2年前まで債務超過でした(純資産△718万円→△268万円→275万円)。コロナ期の不振で落ち込んだ後、黒字を続けて債務超過を解消した直後の譲渡です。価格5,000万円は営業利益の約9倍、純資産の約18倍。純資産がほとんど無くても、大手を含む保守運用の顧客基盤があれば値段はつきます。株主が4名で20〜40%ずつ持ち合っていた会社が、まとめて100%を譲渡しています。
株式会社antz
総合人材サービス(一般労働者派遣・作業業務請負)、一般貨物自動車運送、ITソリューション/東京都千代田区/2005年4月設立
- 取得価額
- 4億8,000万円
- 対象の売上
- 17億4,380万円
- 対象の営業利益
- 3,865万円
- 対象の純資産
- 1億4,289万円
決算期:2024年3月期/譲渡前の株主:個人1名(長尾 康裕)が100%保有/株式の取得価額480百万円。アドバイザリー費用等(概算)5百万円を加えた合計は485百万円。うち300百万円は実行日に支払い、残り180百万円は支払期日・方法を協議中と開示。第三者機関(東陽監査法人)の算定結果を基に協議で決定
買収理由:AI関連事業・運送事業での人材確保と、SESを通じたIT人材供給による人材事業の展開。運送事業同士の協業
売上17億4,380万円・営業利益3,865万円・純資産1億4,289万円。直近期は当期純損失4,327万円でした。価格4億8,000万円は営業利益の約12倍、純資産の約3.4倍です。最終赤字の期があっても、営業利益が出ていれば純資産を大きく上回る値段がついています。きっかけは、買い手の社長が人材確保の相談相手を探していて、共通の知人から紹介されたことでした。代金の一部(1億8,000万円)は後払いで、条件は契約時点でまだ決まっていません。分割払いを受け入れる場合は、支払条件を契約前に固めておきたいところです。
2025年3月31日に取得完了。2025年12月期決算短信で連結子会社として社名が挙がり、同年7月からはantzで物流関連事業も始めています。
株式会社ホールワールドメディア
「Popteen」専属モデル等のマネジメント、YouTubeチャンネル「PopteenTV」・ファンクラブの運営、イベント企画/東京都千代田区/2020年1月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 9,400万円
- 対象の営業利益
- 100万円
- 対象の純資産
- 1,900万円
決算期:2020年12月期/譲渡前の株主:株式会社角川春樹事務所51.0%、株式会社KeyHolder49.0%/守秘義務契約により非開示。第三者算定機関の評価を勘案して決定
買収理由:譲り受ける「Popteen」事業に付随するモデルマネジメントやYouTube運営を一体で持つため
売上9,400万円・営業利益100万円・純資産1,900万円。設立1年目の会社です。買われたのは角川春樹事務所が持つ51%だけで、残り49%は上場企業のKeyHolderが持ったままでした。雑誌事業とセットで、それに付随する会社の過半数を押さえる形です。
株式会社角川春樹事務所の「Popteen」事業
ティーン向けファッション誌「Popteen」の発行/東京都千代田区/譲渡会社は1995年9月設立設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 9億6,200万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2020年8月期(譲受事業のみ)/譲渡前の株主:株式会社角川春樹事務所(角川春樹50.0%、フィールズ30.0%ほか)/守秘義務契約により非開示。第三者算定機関の評価を勘案して決定。現金決済/譲受事業のみの2020年8月期の売上高。営業利益の開示はなく、経常利益19百万円
買収理由:自社の小中学生向け誌「Cuugal」と読者層がつながる中高生向け誌を取り込み、誌面とデジタル配信を連動させる
売上9億6,200万円・経常利益1,900万円。会社ではなく雑誌1誌の事業だけを切り出して売った案件です。資産・負債の引き継ぎは什器や備品の一部だけでした。売り手の角川春樹事務所は直近3期のうち2期が連結営業赤字で、本業に近い事業でも、伸ばせる相手に渡す判断をしています。売った側は買い手から15%の出資を受け、取次などで協力を続ける形を取りました。
「Popteen」は2025年12月期決算短信で、子会社ポップティーンが手がける出版事業(マスターライツ事業)として続いています。
株式会社そらゆめの「CROSSクラウドファンディング」事業
クラウドファンディングによるアニメ・ゲーム等のキャラクター商品の販売
- 取得価額
- 230万円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2017年3月期(会社全体)/譲渡前の株主:破産者株式会社そらゆめ 破産管財人/譲受価額2,300,000円。現金決済。引き継いだ資産は帳簿価額0円の無形固定資産のみ/譲受部門だけの数値は算出困難として、そらゆめ全事業の数値(2017年3月期:売上211百万円、経常損失117百万円)が開示されている。譲受部門の売上は約64百万円と推測とのこと
買収理由:キャラクター商品のクラウドファンディング販売に参入し、グループのコンテンツ事業と組み合わせる
破産した会社の事業が、管財人から230万円で売られた案件です。会社全体では売上2億1,100万円・経常損失1億1,700万円と、3期続けて1億円前後の赤字でした。事業そのものには買い手がつきましたが、破産してからだと値段はほぼ残りません。資金が尽きる前に動いていれば、別の売り方ができた可能性があります。
株式会社ブレイク
クレーンゲーム機・カプセル自販機などアミューズメント機器用景品の企画・製作・販売/東京都港区/2007年2月設立
- 取得価額
- 3億1,000万円
- 対象の売上
- 30億1,400万円
- 対象の営業利益
- 4,100万円
- 対象の純資産
- 2億9,000万円
決算期:2016年3月期/譲渡前の株主:アドアーズ株式会社(上場企業)が100%保有/株式の取得価額310百万円(1株163,158円)。アドバイザリー費用等(概算)5百万円を加えた合計は315百万円
買収理由:プライズ景品の企画販売という新規事業への参入と、電子書籍などの自社コンテンツのグッズ化
売上30億1,400万円・営業利益4,100万円・純資産2億9,000万円。営業利益は1億4,200万円→6,800万円→4,100万円と3期続けて減っていました。価格3億1,000万円は純資産とほぼ同額です。買い手の当時の連結売上は9億円台で、自分より3倍大きい会社を買ったことになります。売り手はゲームセンター運営のアドアーズで、上場企業の子会社が別の上場企業に移った案件です。ブレイクはその後、買い手グループの稼ぎ頭になっています。
2025年12月期決算短信で、プライズ事業(売上34億6,309万円)とイベント事業を担う子会社として社名が挙がっています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された4件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社マカルーデジタル5,000万円(売上の0.35倍・営業利益の9.3倍)
- 株式会社antz4億8,000万円(売上の0.28倍・営業利益の12.4倍)
- 株式会社そらゆめの「CROSSクラウドファンディング」事業230万円
- 株式会社ブレイク3億1,000万円(売上の0.10倍・営業利益の7.6倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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