株式会社SANKO MARKETING FOODSのM&A実績
飲食店を本業にしながら、「漁る・売る・つくる」を一社でつなぐ水産の6次産業化を掲げ、その穴を埋める会社を買ってきた会社です。民事再生中の水産仲卸、豊洲市場の卸売会社、社長が高齢で後継者のいない清掃会社、うどん店1店の事業と、規模も業種もばらばらですが、どれも営業赤字や小規模といった事情を抱えた案件です。売り手は4件とも創業家や個人オーナー(またはその人が持つ会社)でした。
株式会社SANKO MARKETING FOODSが公表した適時開示4件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都新宿区
- 設立
- 1977年4月
- 事業内容
- 居酒屋などの飲食店経営と、漁業・水産加工・仲卸・豊洲市場の卸売までを手がける水産事業(旧社名 三光マーケティングフーズ)
- 売上高
- 105億7,000万円(2026年6月期(連結))
- 営業利益
- △6億3,500万円
- 純資産
- 6,200万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 水産物の卸売(豊洲市場の大卸)/水産物の仲卸・加工(マグロ加工)/ビル清掃・除菌/飲食店(うどん店)
- 対象の規模
- 対象の売上 6,000万円〜32.3億円
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)が中心。子会社が買い手になる「孫会社化」、民事再生中の会社が新設分割で切り出した新会社の株式取得、飲食店1店の事業譲受も使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 買った会社は法人として残しますが、社名は変えることが多い会社です。海商は買収直後に「SANKO海商」、2026年4月には「綜合食品東海」に、サンヘイは「ジーエスサンヘイ」に変わりました。グループの看板に合わせて名前を寄せていく傾向があります。
- 4件のうち2件で金額が開示されています。綜合食品(売上32億円の豊洲の卸)が4,900万円、うどん店1店の事業が3,000万円でした
- 営業赤字や再生手続中の会社を続けて引き受けています。海商は民事再生中、綜合食品は3期連続の営業赤字でした
- 買い手自身も赤字が続いています。2026年6月期は営業損失6億3,500万円、連結純資産は6,200万円です(2026年6月期決算短信)
- このほか、千葉の水産食品卸・津田食品の株式10%を社長個人から取得する資本業務提携(2024年7月)がありますが、ここでは買い取った案件だけを載せています
買収の履歴4件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社Fリミテッドの「うどん038」事業
うどん店の運営(1店舗)/東京都大田区/譲渡会社は2014年7月設立設立
- 取得価額
- 3,000万円
- 対象の売上
- 6,000万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2025年6月期/譲渡前の株主:個人1名(二神 英治)が100%保有する株式会社Fリミテッド(資本金10万円)/現金による決済。譲受事業の資産・負債は「金額が僅少」として記載省略
買収理由:居酒屋業態に加えて日常食の業態を取り込み、収益を安定させる。未利用魚を使った天ぷらや出汁で水産部門とつなげる
この一覧でも小さい部類の案件です。売上6,000万円・経常利益900万円のうどん店1店を、3,000万円で譲り受けています。売上の0.5倍、経常利益の約3.3倍にあたります。資産と負債は「僅少」とされており、値段がついたのは設備ではなく店の稼ぐ力です。なお当初の譲受日は2026年4月1日でしたが、「前提条件に関し確認すべき事項が判明」として一度延期され、6月1日に実行されました。契約を結んでからでも、前提条件の確認で2か月ずれることはあるという実例です。
前提条件の成就を受けて譲受日が2026年6月1日に確定したと開示されています。その後の撤退などの開示はありません。
株式会社サンヘイ(現 株式会社ジーエスサンヘイ)
ビル清掃業/東京都文京区/2015年2月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 6,500万円
- 対象の営業利益
- 300万円
- 対象の純資産
- 500万円
決算期:2023年1月期/譲渡前の株主:個人2名(飯塚 和志50%、ほか1名50%)/非開示(相手先の意向と守秘義務による)
買収理由:飲食店向けの除菌・清掃事業の拡大。定期契約の取引先網を取り込む
売上6,500万円・営業利益300万円・純資産500万円の清掃会社。2年前の純資産はマイナス100万円で、債務超過を抜け出したばかりの会社でした。開示には譲渡の理由が「代表者高齢による後継者不在」とはっきり書かれ、役職員の高齢化で積極的な営業もしていなかったとされています。それでも取引先と結んだ定期契約という基盤があれば、規模が小さくても買い手は現れます。
2023年11月28日開示の『連結子会社の商号変更に関するお知らせ』で、2023年12月1日付で「株式会社ジーエスサンヘイ」に商号変更すると開示されました。公式サイトのグループ会社欄にもこの社名で載っています。
綜合食品株式会社
水産物の卸売(豊洲市場の水産物卸売会社=大卸)/東京都江東区/1947年11月設立
- 取得価額
- 4,900万円
- 対象の売上
- 32億2,700万円
- 対象の営業利益
- △1,900万円
- 対象の純資産
- 1億3,500万円
決算期:2021年3月期/譲渡前の株主:個人1名(野中 昭三)が100%保有/アドバイザリー費用等の概算8百万円を加えた合計は概算57百万円
買収理由:豊洲市場の集荷・分配の機能を得て、水産の6次産業化を加速する
売上32億2,700万円の会社が4,900万円で売られています。売上の約1.5%、純資産1億3,500万円の約0.36倍です。豊洲市場に7社しかない水産物卸の1社という看板がありながら、売上は53億9,300万円→39億100万円→32億2,700万円と縮み、営業赤字が3期続き、純資産も2億100万円から1億3,500万円へ減っていました。「老舗で売上が大きい」ことと「高く売れる」ことは別で、赤字が続くと純資産より安い値段になることを示す例です。一方で、社名を残したままグループの中核として続いている点は、看板を残したい売り手には参考になります。
2022年7月1日に取得完了。社名のまま公式サイトのグループ会社欄に載っており、2026年にはSANKO海商がこの会社との連携を理由に「綜合食品東海」へ改称しています。
株式会社海商が新設分割で設立した新会社(現 綜合食品東海株式会社)
鮮魚・魚介類の小売・卸売、水産物の加工(マグロ加工など)/静岡県浜松市/分割会社は1979年1月設立設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 30億8,100万円
- 対象の営業利益
- △6,000万円
- 対象の純資産
- ―
決算期:2021年3月期(承継部門)/譲渡前の株主:分割会社の株式会社海商(再生手続中。株主は船坂 章80.0%、船坂 敏之10.0%、船坂 知宏10.0%)/非開示(再生計画認可決定前であり、相手先の意向と守秘義務による)/新設会社のため、分割で承継する部門の2021年3月期の数値
買収理由:水産事業の早期確立。飲食事業の商品強化と、沼津での水産事業との連携
売上30億8,100万円・営業損失6,000万円。民事再生の手続中だった浜松の水産会社から、事業をまるごと新会社に移して引き受けた案件です。取得は再生計画の認可決定が確定することを条件にしており、確定(2021年9月)を待って11月に実行されました。再生手続に入っていても、事業そのものに価値があれば、スポンサーとして引き受ける上場企業はいます。
取得直後の2021年11月に「株式会社SANKO海商」へ改称。さらに2026年1月15日開示の『連結子会社の商号変更に関するお知らせ』で、2026年4月1日付で「綜合食品東海株式会社」に変更すると開示されました。公式サイトのグループ会社欄にもこの社名で載っています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された2件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社Fリミテッドの「うどん038」事業3,000万円(売上の0.50倍)
- 綜合食品株式会社4,900万円(売上の0.02倍)※営業赤字での譲渡
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社SANKO MARKETING FOODSが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日