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ラクスル株式会社のM&A実績

2024年3月に「連続的なM&Aを通じてさらなる企業価値向上をめざす」中期財務ポリシーを公表し、印刷・梱包材・ノベルティの周辺で中小企業を買い続けている会社です。ネット通販で特定の商材に強い会社(トートバッグ、ビニールカーテン、段ボール)を、創業社長から100%買う形が目立ちます。広告・映像の領域は子会社のノバセルが買い手になります。

ラクスル株式会社が公表した適時開示7件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月13日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
東京都港区
設立
2009年9月
事業内容
印刷・集客支援のプラットフォーム「ラクスル」、段ボール・梱包材の受発注プラットフォーム「ダンボールワン」などを運営し、中小企業向けの調達とマーケティング支援を手がける会社
売上高
619億5,000万円(2025年7月期(連結)※2026年7月期の通期決算短信は未取得のため前期の数字)
営業利益
38億1,900万円
純資産
159億7,600万円

どんな会社を買っているか

買う業種
ノベルティ・紙袋などの企画製造とEC/段ボール・梱包材のEC/オンデマンド印刷/BtoBのカスタム商材EC/広告代理店・映像制作(子会社ノバセル経由)
対象の規模
対象の売上 9.2億円〜43.5億円(広告・映像の小規模案件は売上非開示)
手法
株式譲渡(100%取得)が中心。関連会社として一部を持ってから残りを買い増す二段階の取得、取引先の事業を会社分割で切り出して買う形、子会社ノバセルによる「孫会社化」も使う
赤字でも買うか
買っている(実績あり)
買収後の扱い
製造・ECの会社は社名のまま子会社として残すのが基本です。一方、子会社ノバセルが買った小さな広告・映像の会社は、ノバセルに吸収合併されています(Antooとオールマーケ)。
  • 取得価額を開示することが多い会社です。ここに載せた7件のうち4件で金額が出ており、12億円〜20億円の水準でした
  • アーンアウト(業績に応じた追加の支払い)を使います。エーリンクサービスで最大1.5億円、ダンボールワンで5億円の条件付対価が契約されています
  • 開示基準に満たない案件でも「有用な情報と判断し任意開示」として、対象の3期分の業績まで出すことがあります
  • 広告・映像の領域で子会社が買った案件(Antoo、Wild Side)は、対象の業績も金額も省略された簡素な開示です

買収の履歴7件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2025年11月20日株式譲渡(完全子会社化)

株式会社チームライク

ビニールカーテン等のBtoB受注プラットフォーム「ビニプロ」の運営/神奈川県海老名市/2015年7月設立

取得価額
14億2,000万円
対象の売上
13億8,300万円
対象の営業利益
2,200万円
対象の純資産
2億3,100万円

決算期:2024年12月期/譲渡前の株主:代表取締役社長の中村健太氏74.9%、その他25.1%/株式取得価額14.2億円。アドバイザリー費用等(概算)0.1億円を加えた合計は14.3億円。のれんは約12.7億円の見込み

買収理由:採寸や施工が要るカスタム商材を「WEB完結」で売るノウハウと事業基盤の獲得。既存顧客へのクロスセル

売上13億8,300万円・営業利益2,200万円・純資産2億3,100万円。営業利益は2,200万円しかないのに、14億2,000万円で売れています。売上は8億1,300万円→10億5,800万円→13億8,300万円と2年で1.7倍、2022年12月期は営業損失8,200万円でした。利益はまだ小さくても、売上の伸びと「ニッチトップ」の地位で値段がついた例です。のれん12.7億円という数字が、純資産ではなく将来性に払ったことを示しています。

買収後存続2026年10月13日時点

2026年2月1日に株式譲渡実行予定として開示されました。商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:株式会社チームライクの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:株式会社チームライクの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2025年7月22日株式譲渡(子会社ノバセルが全株式を取得=孫会社化)

株式会社FUSION

TikTokやInstagramを中心としたSNS動画広告の広告代理店/東京都渋谷区/2020年3月設立

取得価額
―
対象の売上
22億3,500万円
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:2025年2月期/非開示/広告代理店の総額ベース。純額ベースの売上は989百万円

買収理由:SNS動画広告の専門知見とクリエイティブ制作機能を取り込み、ノバセルのサービスを拡充する

売上は総額22億3,500万円(純額9億8,900万円)、EBITDAはマイナス4,900万円でした。設立5年・資本金100万円の会社で、利益が出ていない段階でも、若年層向けのSNS動画広告という専門性が買われています。開示されたのは売上とEBITDAだけで、純資産や株主は書かれていません。

買収後存続2026年10月13日時点

2025年8月1日に株式譲渡実行予定として開示されました。商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:当社子会社(ノバセル株式会社)による株式会社FUSIONの株式取得(孫会社化)のお知らせ

出典:当社子会社(ノバセル株式会社)による株式会社FUSIONの株式取得(孫会社化)のお知らせ

2025年5月26日株式譲渡(2社とも完全子会社化)

丸玉工業株式会社・丸玉ウェル株式会社

オリジナル手提げ紙袋の企画・製造・輸入・販売(丸玉工業)、就労継続支援A型事業所の運営(丸玉ウェル)/岐阜県岐阜市/1962年5月(丸玉工業)設立

取得価額
―
対象の売上
9億1,600万円
対象の営業利益
3,800万円
対象の純資産
7億8,900万円

決算期:2024年6月期(丸玉工業)/譲渡前の株主:山下佳孝81.18%、山下さやか18.83%(丸玉工業。丸玉ウェルは山下佳孝99.95%)/非公表。適時開示基準には該当しないが「有用な情報と判断し任意開示」/丸玉工業の数値。丸玉ウェル(2024年3月期)は売上67百万円・営業損失10百万円・純資産14百万円

買収理由:段ボールと顧客の重なる手提げ紙袋の製造・販売機能を強化し、梱包材領域のシェアを広げる

創業1962年、売上9億1,600万円・営業利益3,800万円・純資産7億8,900万円。営業利益は△2,600万円→△700万円→3,800万円と、赤字から戻した直後の譲渡です。買い手は、障がい者就労支援の事業所(丸玉ウェル)で培った「製造業務オペレーションの標準化」を強みとして挙げ、本業の会社と一緒に福祉事業の会社も引き取っています。売上はまだ小さくても、本業を支える関連会社をまとめて渡せる例です。もともと買い手の子会社と取引のあった会社でした。

買収後存続2026年10月13日時点

2025年8月1日に株式譲渡実行予定として開示されました。商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:丸玉工業株式会社および丸玉ウェル株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:丸玉工業株式会社および丸玉ウェル株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2024年6月11日株式譲渡(完全子会社化)

株式会社エーリンクサービス

オリジナルトートバッグの製造・販売、ECサイト「トートバッグ工房」の運営/福井県鯖江市/2009年12月設立

取得価額
12億7,000万円
対象の売上
15億500万円
対象の営業利益
2億5,600万円
対象の純資産
9億6,000万円

決算期:2023年11月期/譲渡前の株主:株式会社CL(代表取締役社長の山本禎久氏が100%保有、2023年1月設立)が100%保有/株式取得価額12.7億円。アドバイザリー費用等(概算)1.0億円を加えた合計は13.7億円。条件成立時に最大1.5億円のアーンアウト対価が別途発生する契約(取得価額には含まない)。のれんは約7.7億円の見込み

買収理由:ノベルティ領域の主要カテゴリであるトートバッグのシェア拡大

売上15億500万円・営業利益2億5,600万円・純資産9億6,000万円。取得価額12億7,000万円は営業利益の約5倍、純資産の約1.3倍です。売上は9億800万円→11億8,000万円→15億500万円、営業利益は6,600万円→1億3,500万円→2億5,600万円と伸び続けている局面での譲渡でした。さらに最大1億5,000万円のアーンアウトが付いており、売った後の業績次第で受け取りが増える形です。株主は社長個人ではなく、譲渡の約1年半前に設立された社長100%出資の会社でした。

買収後存続2026年10月13日時点

2024年6月28日に株式譲渡実行予定として開示されました。商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:株式会社エーリンクサービスの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:株式会社エーリンクサービスの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2024年6月3日株式譲渡(子会社ノバセルが全株式を取得=孫会社化)

株式会社Antoo

映像制作(短納期・高品質な動画制作サービス)/東京都港区

取得価額
―
対象の売上
―
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:非開示/非開示。適時開示基準に該当せず、開示事項を省略

買収理由:ノバセルのマーケティング支援サービスの拡充

資本金100万円の映像制作会社。業績も金額も株主も開示されていません。この会社は、買われた翌年度に親会社ノバセルへ吸収合併され、法人としては消えています。小さな会社を子会社の機能として取り込む場合、社名が残らないこともある、という例です。

買収後吸収合併2026年10月13日時点

2025年7月期中に、ノバセル株式会社を存続会社とする吸収合併により消滅したと2025年7月期決算短信に記載されています。

確認元:2025年7月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:当社子会社による株式会社Antooの株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

2023年8月1日取引先が会社分割で事業を新会社に移し、その全株式を取得(基本合意→株式譲渡契約→実行の3段階で開示)

株式会社ラクスルファクトリー(ネットスクウェアの当社向けオンデマンド印刷事業)

オンデマンド印刷/東京都江東区/2023年5月(事業を承継させるために設立。分割元のネットスクウェアは2000年11月設立)設立

取得価額
12億円
対象の売上
15億2,900万円
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:2022年3月期(分割元の当該事業)/譲渡前の株主:ネットスクウェア株式会社が100%保有(ネットスクウェアの株主は浦上義久55.1%、ラクスル41.4%ほか1名)/株式取得完了時の開示で1,200百万円/分割元ネットスクウェアの2022年3月期における、ラクスル向け事業の売上高。新設会社のため確定した決算はない

買収理由:国内屈指のオンデマンド印刷機を持つ取引先の設備を取り込み、品質・費用・納期を改善する

取引先として長く仕事を受けていた印刷会社が、買い手向けの事業だけを新会社に切り出して売った案件です。対象の売上15億2,900万円は、ほぼ買い手1社への売上でした。基本合意の時点では「取得金額は現在協議中」とされ、完了時に12億円と開示されています。売上の大半が1社向けという会社は、その取引先自身が買い手になり得ることを示しています。

買収後存続2026年10月13日時点

2023年8月1日に取得が完了しました。商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:(開示事項の経過)株式会社ラクスルファクトリーの株式取得(子会社化)完了に関するお知らせ

出典:(開示事項の経過)株式会社ラクスルファクトリーの株式取得(子会社化)完了に関するお知らせ

2021年12月9日株式譲渡。2020年12月に約49%を取得して関連会社化し、今回残る50.1%を追加取得して完全子会社化

株式会社ダンボールワン(50.1%)

段ボール・梱包材の受発注プラットフォーム「ダンボールワン」の運営/石川県金沢市/2018年6月設立

取得価額
20億400万円
対象の売上
43億4,600万円
対象の営業利益
△8億6,600万円
対象の純資産
△6億3,300万円

決算期:2021年7月期(10か月、子会社との単純合算)/譲渡前の株主:代表取締役社長の辻俊宏氏50.1%、ラクスル49.9%/今回の50.1%分の取得価額。アドバイザリー費用等(概算)2百万円を加えた合計は2,006百万円。1回目と合わせた累計投資額は4,010百万円、のれんは4,900百万円の見込み。別途、業績の達成度合いに応じて500百万円のアーンアウト対価を同じ相手先に支払う契約/子会社との単純合算。決算期変更のため10か月決算。単体は売上4,343百万円

買収理由:4年連続で国内売上シェアNo.1の段ボール・梱包材通販を完全に取り込み、オフィス・産業資材の領域を広げる

直近期は営業損失8億6,600万円、純資産マイナス6億3,300万円の債務超過でした。それでも残りの50.1%に20億円、累計で40億円が払われ、さらに5億円のアーンアウトが付いています。前の期までは売上38億700万円・営業利益1億7,700万円(単純合算)の黒字でした。先に半分弱を売って提携し、1年後に残りを売るという二段階の出口の例で、創業社長は1回目の後も50.1%を持ち続けていました。

買収後存続2026年10月13日時点

2022年2月1日に完全子会社化の予定として開示されました。吸収合併や商号変更の開示は確認できていません。ただし2024年12月の開示ではラクスル株式会社自身の事業内容に「ダンボールワン」の運営が挙がっており、法人として残っているかはグループ会社一覧で確認できていません。

確認元:株式会社ダンボールワンの追加取得(完全子会社化)に関するお知らせ

出典:株式会社ダンボールワンの追加取得(完全子会社化)に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された4件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 株式会社チームライク14億2,000万円(売上の1.03倍・営業利益の64.5倍)
  • 株式会社エーリンクサービス12億7,000万円(売上の0.84倍・営業利益の5.0倍)
  • 株式会社ラクスルファクトリー(ネットスクウェアの当社向けオンデマンド印刷事業)12億円(売上の0.78倍)
  • 株式会社ダンボールワン(50.1%)20億400万円(売上の0.46倍)※営業赤字での譲渡

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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