TREホールディングス株式会社のM&A実績
廃棄物処理とリサイクルの会社を、地域ごとの拠点として買い足している会社です。ガラス屑の再資源化(関東・北海道)、札幌の収集運搬・リサイクル、中部の解体工事と、買うたびに「その地域の拠点」「既存事業の上流」という位置づけが開示に書かれています。中期経営計画2030でもM&Aを事業領域拡充の手段に挙げています。買い手になるのは持株会社ではなく、傘下のタケエイやリバーです。
TREホールディングス株式会社が公表した適時開示3件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都千代田区
- 設立
- 2021年10月
- 事業内容
- 廃棄物処理・再資源化、金属・自動車・家電リサイクル、木質バイオマス発電を手がける持株会社。傘下にタケエイ、リバーなど
- 売上高
- 1,191億6,400万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 223億3,600万円
- 純資産
- 852億6,700万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- ガラス屑の集荷・再資源化/一般廃棄物・産業廃棄物の収集運搬、リサイクル/建物・プラントの解体工事、産業廃棄物処理
- 対象の規模
- 対象の売上 11.9億円〜95.3億円(イーアンドエムは売上非開示)
- 手法
- 株式譲渡。傘下のタケエイやリバーが取得する「孫会社化」が基本
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 社名を残す場合と、グループ名に変える場合の両方があります。JWガラスリサイクルは買収の翌年に持株会社の直下へ移され、「TREガラス」に社名が変わりました。イーアンドエムは社名のまま残っています。
- 取得価額は個別の開示では出していません。JWガラスリサイクルは「守秘義務により開示を控える」、Obrasは「デューデリジェンスと株価算定を踏まえ公正な価額で決定」とだけ書かれています
- ただし決算短信の企業結合の注記で金額が出ることがあります。イーアンドエムは、90%分の取得原価22億4,100万円、のれん10億1,700万円が翌期の決算短信に載りました
- 売り手は個人オーナーとは限りません。大手グループの子会社(アサヒプリテック)や投資ファンドからも買っています
買収の履歴3件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
Obras Holdings株式会社(傘下に株式会社光、エコシスAZ株式会社)
オフィス・商業施設の解体工事の元請け(光)、焼却炉・プラントの解体と産業廃棄物処理(エコシスAZ)/東京都千代田区(事業会社の光は名古屋市、エコシスAZは三重県鈴鹿市)/2022年2月(持株会社)。光は1981年5月、エコシスAZは1999年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 95億2,500万円
- 対象の営業利益
- 3億9,200万円
- 対象の純資産
- 42億1,000万円
決算期:2025年7月期(連結)/譲渡前の株主:ケイマン籍の投資ファンド4本で99.1%、Obras IE有限責任事業組合(業務執行組合員は日本企業成長投資ホールディングス)0.9%。中間持株会社には個人株主2名が3.9%/非開示。「第三者によるデューデリジェンスの結果及び株価算定の結果を踏まえ、当事者間で協議・交渉した結果、公正な価額にて決定」とのみ記載/中間持株会社・日本環境開発ホールディングスの連結数値(Obras単体は売上0、純資産4,387百万円)。事業会社単体では、光が売上7,182百万円・営業利益613百万円・純資産5,037百万円、エコシスAZが売上2,342百万円・営業利益273百万円・純資産775百万円
買収理由:解体工事という既存事業の上流への進出と、中部圏の拠点確保。解体で出る金属スクラップや建設廃棄物をグループ内で扱う量を増やす
連結売上95億2,500万円・純資産42億1,000万円。売り手は投資ファンドです。連結営業利益は12億7,600万円→8億9,300万円→3億9,200万円と3期続けて下がっており、主力の光も売上108億7,500万円→71億8,200万円と縮んでいました。それでも買われた理由として開示が挙げるのは、解体工事が買い手のスクラップ・廃棄物処理の「上流」に位置することです。業績が下り坂でも、買い手の仕入れ口になる事業は異業種から欲しがられます。
株式会社イーアンドエム(子会社の有限会社リサイクルサービスを含む)
ビン・缶・ペットボトル、段ボール・古紙の回収、産業廃棄物の収集運搬・処分、建設廃棄物リサイクル/1995年設立
- 取得価額
- 22億4,100万円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 13億6,000万円
決算期:2025年7月1日の取得時点(受け入れた資産・負債の差額、子会社を含む)/90.0%分の取得原価(2026年3月期決算短信の企業結合注記)。アドバイザリー報酬等160百万円は別。取得時に受け入れた資産2,212百万円・負債852百万円(差引1,360百万円)に対し、のれん1,017百万円が発生。追加取得した10%分の金額は記載なし
買収理由:北海道で、TREガラスに次ぐ2つ目の拠点を得る。自治体や飲料メーカーとの取引基盤の取り込み
90%分で22億4,100万円。取得時の純資産13億6,000万円の90%(約12億2,400万円)に対し、約1.8倍の値段です。差額の10億1,700万円は「今後の事業展開によって期待される超過収益力」としてのれんに計上されています。自治体や飲料メーカーから回収を請け負う地場の取引基盤が、純資産を大きく上回る値段になった例です。個別の開示では金額は出ておらず、翌期の決算短信で分かりました。
2025年7月1日に取得。決算短信で結合後企業の名称は「変更ありません」とされ、2026年3月25日に追加取得して100%子会社になっています。
JWガラスリサイクル株式会社
板・瓶ガラス屑の集荷、破砕・選別による再資源化、ガラスカレットの販売/東京都江東区/2004年10月(前身の井尾ガラスは1951年創業)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 11億9,400万円
- 対象の営業利益
- 1億7,800万円
- 対象の純資産
- 10億3,400万円
決算期:2021年3月期/譲渡前の株主:アサヒプリテック株式会社(アサヒホールディングスの100%子会社)が100%保有/相手先との守秘義務により非開示。第三者(会計士、弁護士等)のデューデリジェンスを経て協議の上で決定
買収理由:太陽光パネルや自動車ガラスなど、今後増えるガラスリサイクルへの対応と再資源化事業の拡充
売上11億9,400万円・営業利益1億7,800万円(利益率約15%)・純資産10億3,400万円。大手グループの中の子会社が、同業の専業グループへ移った案件です。2009年からアサヒプリテックの傘下にありました。持株会社発足後の「M&A第1号」と開示されており、翌年には社名がグループ名入りの「TREガラス」に変わっています。社名を残すかどうかは買い手の方針で決まる、という実例です。
2023年3月にタケエイから持株会社の直下へ移され、同年4月3日付で「TREガラス株式会社」に商号変更(予定として開示)。2026年5月の決算短信でも「TREガラス(株)」として北海道の拠点に言及されています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された1件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社イーアンドエム(子会社の有限会社リサイクルサービスを含む)22億4,100万円
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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