サンフロンティア不動産株式会社のM&A実績
ビルの仕入れから再生、工事、管理、ホテル運営までをグループ内で抱える「内製化」のために買っている会社です。買う相手は、通信工事やサッシ工事の会社、地方の老舗ホテルや温泉旅館、首都圏の賃貸仲介チェーンと、どれも本業の周辺にある中小企業です。旅館は会社ごとではなく運営事業だけ、土地建物を除いて引き取る形も使っています。
サンフロンティア不動産株式会社が公表した適時開示6件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都千代田区
- 設立
- 1999年4月
- 事業内容
- 東京都心の中小型オフィスビルの再生(リプランニング)・売買・賃貸・管理を軸に、全国でのホテル開発・運営、佐渡などでの地方創生事業を手がける不動産会社
- 売上高
- 1,160億8,300万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 253億5,600万円
- 純資産
- 1,203億8,400万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- ホテル・温泉旅館の運営/住宅賃貸仲介/建築工事(サッシ・ガラス、内装、通信・電気設備)/ビル保有会社(保有ビル1棟の不動産賃貸会社)
- 対象の規模
- グループ売上 51億円〜65億円(いずれも概算・合算値。ホテル・旅館・工事会社の多くは業績非開示)
- 手法
- 株式譲渡(100%取得)が中心。ホテル・旅館は子会社のサンフロンティアホテルマネジメントが買い手になる。旅館は土地建物を含めず、運営事業(営業権・従業員など)だけを事業譲受で引き取る形もある
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 事業会社は法人を残し、社名を「SF◯◯」に揃えることがあります(コミュニケーション開発→SFコミュニケーション)。ホテル大佐渡や長野リンデンプラザホテルは社名のままグループ会社一覧に載っています。一方、ビルを1棟だけ持つ不動産賃貸会社は、子会社にしたあと本体に吸収合併し、ビルを再生商品にしています。
- 取得価額は今回確認した全件で非開示です。純資産の15%を上回る・下回るといった水準の記述もありません。業績も多くの案件で出ておらず、出ているのはグループ売上の概算だけです
- ビルを1棟だけ持つ会社を子会社にして、吸収合併する開示が4件あります。有限会社たけむら(2022年)、有限会社ユーティー商事(2025年、純資産4,800万円)、シーアールシー・ジャパン(2025年、1969年設立、純資産2億4,400万円)、河上製本(2026年、1950年設立の製本業・不動産賃貸業、売上1億100万円・純資産9,700万円)。いずれも目的は「保有するビルをリプランニング事業の商品として事業化すること」です。取得時の開示は出ていませんが、本業が細ってビルだけが残った会社も、ビルごと会社として引き取られていることが読み取れます
- 2025年10月の開示資料では、開示の出ていない取得も含めて近年のM&Aを並べています。ビル清掃(現SFビルメンテナンス、日本システムサービス)、内装仕上げ(現SFエンジニアリング)、ホテル(日本都市ホテル開発、三和開発〔静楓亭〕、オリエンタルリゾートアソシエイツ)などで、ここに載せた6件は一部にすぎません
- 2023年5月に太陽光発電・EPCのエコリードイノベーションの全株式取得を発表していますが、開示本文を確認できなかったため一覧には入れていません
- 2026年2月、伊藤忠商事が上限付き公開買付け(1株2,800円)と第三者割当増資を組み合わせ、完全希薄化後で20〜21%の株式を取得する資本業務提携を発表しました。上場は維持されます。中小企業の買収とは性格が異なるため一覧には入れていません
買収の履歴6件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社アエラス(グループ10社)
首都圏の住宅賃貸仲介(直営67店舗、年間仲介約4万5千件)/東京都豊島区/1984年3月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 65億円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2026年5月期/非開示。連結業績への影響は「軽微」とのみ開示/グループ10社の売上高「約6,500百万円」(概算)
買収理由:賃貸仲介のリーシング力と顧客基盤を、賃貸マンションの再生・新築事業に生かす
創業42年、首都圏67店舗・従業員約700名。資本金は1,000万円のまま、グループ売上約65億円まで育った会社です。3つのブランドで地域密着の物件から高級賃貸までを分けて運営していました。買い手が欲しかったのは仲介手数料そのものより「首都圏の豊富な賃貸住宅データ」と「埋める力」で、店舗網と顧客接点が、不動産会社にとっては仕入れ・販売の武器として評価されることが読み取れます。株主構成と取得価額は開示されていません。
2026年7月29日に取得済み。グループ会社一覧に「アエラスグループ」(アエラス、ソレイユ、グランデほか10社)として社名のまま掲載されています。
株式会社七重八重の旅館事業(静寂とまごころの宿 七重八重)
温泉旅館の運営(客室41室)/栃木県日光市(鬼怒川温泉)/譲渡会社は2008年11月設立(旅館の建物は1962年5月竣工)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/非開示
買収理由:ホテル運営客室数を2033年に1万室とする目標に向けた業容拡大
鬼怒川温泉の客室41室の旅館。土地と建物は譲渡の対象に入っておらず、引き取られたのは営業権と従業員を含む「運営」だけです。会社ごとでも不動産ごとでもなく、旅館の運営だけを切り出して引き継いでもらう、という出口があることを示す例です。
2026年3月5日に事業譲受済み。旅館は「静寂とまごころの宿 七重八重」の名称のまま、株主優待の利用対象施設に加えられています。譲渡会社の株式会社七重八重は買収対象ではありません。
株式会社大竹建窓ホールディングス(グループ5社)
オフィスビル・ホテル等のサッシ・ガラス工事の設計施工、建築、店舗内外装(都内に自社工場)/東京都品川区/2017年9月(創業1960年)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 51億2,500万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2025年3月期/非開示。連結業績への影響は「軽微」とのみ開示/グループ5社の財務諸表の単純合算。上場会社基準の適用や買い手の監査を行う前の数値
買収理由:ビル再生の企画から施工までを内製化し、新築オフィスやレジデンス開発にも広げる
創業65年、従業員115名、グループ売上51億2,500万円。持株会社の資本金は130万円です。ミリ単位の精度が要るサッシ工事の熟練技術者と、都内の自社工場という「すぐ動ける体制」が評価されました。下請けの専門工事会社でも、発注側の不動産会社から見れば内製化したい機能になることが分かる例です。取得後の組織図では、HDの代表取締役に買い手の社長が就き、事業会社側には大竹姓の役員を含む従来の経営陣が並んでいます。
グループ会社一覧に事業会社の大竹建窓株式会社(城南ケンソー、多摩ケンソー工業、アローを含む)が社名のまま載っています。持株会社の大竹建窓ホールディングス自体の名前は一覧に無く、扱いは確認できていません。
エムケー興産株式会社(長野リンデンプラザホテル株式会社の親会社)
不動産保有・株式保有。子会社が「長野リンデンプラザホテル」(客室136室、1995年竣工)を運営/長野県長野市(ホテル所在地)/1969年1月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/非開示
買収理由:ホテル運営客室数を2033年に1万室とする目標に向けた業容拡大
長野駅近くの客室136室のシティホテル。買われたのはホテル運営会社ではなく、その上で不動産と株式を持つ資本金4億7,500万円の親会社で、ホテル会社ごと傘下に入る形でした。不動産を持つ親会社と運営会社を分けていても、まとめて1件として売れる例です。業績は開示されていません。
子会社の長野リンデンプラザホテル株式会社はグループ会社一覧に社名のまま載っています。親会社のエムケー興産は一覧に名前が無く、2025年10月の開示資料では「長野リンデンホールディングスの株式取得」と書かれているため、商号を変えた可能性がありますが、開示では確認できていません。
株式会社ホテル大佐渡
ホテル事業(佐渡・相川春日崎の温泉ホテル、客室74室)/新潟県佐渡市/1963年9月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/非開示
買収理由:佐渡島での地方創生事業の強化。約650m先のグループホテル「ホテル吾妻」との連携
1964年開業、半世紀以上続く佐渡の老舗ホテル。買い手はすでに近くでホテルを運営していた会社で、近所の同業に引き継いでもらう形です。この取得で島内のグループ施設は4施設248室になりました。同じ地域で同業を運営している買い手は、人の融通や送客まで含めて計算できるので、地方の旅館・ホテルにとって現実的な相手になります。
株式会社コミュニケーション開発
オフィスのネットワーク工事、電話工事、内装工事、電気設備工事、携帯基地局設置工事/東京都中央区/1992年2月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/非開示
買収理由:セットアップオフィスの通信環境を内製化し、付加価値を上げる。5G基地局工事の伸び
資本金4,500万円の通信・電気工事会社。オフィスのLAN工事や5G基地局の設置工事を設計から施工まで自社でこなせる点が評価されました。取得後は「SFコミュニケーション」と買い手の名前を冠した社名になっていますが、法人は残っています。工事会社が発注元の不動産会社に入る、大竹建窓と同じ型の案件です。
2025年10月の開示資料のM&A実績に「2021 (現)SFコミュケーションの株式取得」とあり、現在はSFコミュニケーション株式会社としてグループ会社一覧に載っています(事業内容もネットワーク工事・携帯基地局工事で一致)。
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本ページはサンフロンティア不動産株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日