3133東証グロース

株式会社海帆のM&A実績

居酒屋チェーンから出発し、M&Aで事業の柱を付け替えてきた会社です。最初は飲食ブランドや居酒屋会社を現金で買っていましたが、2024年以降は美容クリニックの運営支援会社(MS法人)や電力会社を、自社株を対価にした株式交換で買う形に変わっています。売り手は個人オーナーが中心で、債務超過や売上ゼロの会社でも、将来の事業計画で値段をつけて買っています。

株式会社海帆が公表した適時開示6件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
愛知県名古屋市中村区
設立
2003年5月
事業内容
居酒屋を中心とする飲食事業に、太陽光発電を軸とした再生可能エネルギー事業と、美容医療クリニックの業務支援(ヘルスケア事業)を加えた複合企業
売上高
31億5,300万円(2026年3月期(連結))
営業利益
△14億3,800万円
純資産
4億9,400万円

どんな会社を買っているか

買う業種
飲食店(居酒屋、立ち食い焼肉)/美容医療クリニックの業務支援(MS法人)/小売電気事業・電力アグリゲーション
対象の規模
対象の売上 0円(ライセンスのみの会社)〜19.9億円
手法
初期は事業譲受・株式譲渡(現金)。2024年以降は簡易株式交換が中心で、一部を現金で払う組み合わせや、49%だけ取得して取締役会の過半数で子会社にする形も使う
赤字でも買うか
買っている(実績あり)
買収後の扱い
飲食は社名・ブランドを残す傾向です(SSSは子会社として存続、治郎丸はブランドとして運営継続)。美容医療の支援会社は、買った2社を4か月後に合併させて「Kaihan Medical」に社名変更しています。スペームについても、将来Kaihan Medicalとの合併を検討すると開示されています。
  • 現金で買った案件は取得価額が開示されています。SSSは6億円、治郎丸事業は6,000万円、どんぐり電力(49%)は4,900万円
  • 株式交換の案件は、金額でなく算定の中身が開示されます。第三者算定機関の名前、DCF法の企業価値・株式価値、交換比率の計算式、対象会社の数年分の事業計画まで出ています。自社の評価がどう組み立てられるかを知る材料になります
  • 過去の業績より将来の事業計画で値段がついています。売上0円の期が2年続いたワイデン、債務超過のスペームとも、取引先の医療法人との業務委託契約に基づく事業計画をもとにDCF法で算定されています
  • 株式交換で受け取るのは海帆の株式です。海帆は開示上、2024年3月期から2026年3月期まで3期連続の営業赤字で、2026年3月期の有価証券報告書には監査意見不表明と開示しています(2026年6月26日開示)。対価を株で受け取る場合は、買い手の財務状態も確認が必要です
  • このほか2025年に、ネパールの水力発電事業の権利を持つ会社(株式会社NEPAL HYDRO POWER HOLDINGS、香港法人が100%保有)を株式交換で取得しています。海外の発電事業の権利取得のため、この一覧には載せていません

買収の履歴6件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年7月15日簡易株式交換(完全子会社化)

スペーム株式会社

医療痩身クリニック(医療法人社団煌雲会)の広告宣伝支援・予約管理・経営支援を担うMS法人。人材紹介、不動産事業も/東京都中央区/2020年6月設立

取得価額
―
対象の売上
19億9,100万円
対象の営業利益
△2億4,600万円
対象の純資産
△4億8,300万円

決算期:2025年5月期/譲渡前の株主:個人2名(松村 康平51%、中川 龍太郎49%)/株式交換のため金額は記載なし。交換比率は1:14.38で、海帆株7,190,000株を新たに発行して交付。第三者算定機関(山下会計事務所)のDCF法で企業価値約15.8億円・株式価値約9.1億円、非流動性ディスカウント後の株式価値約6.3億円(合理的なレンジ約5.7億〜7.0億円)と算定され、取得対価総額はこのレンジ内と開示。1株当たり算定結果は1,149〜1,403円。ほかにFA費用81,518千円、法務・財務DD費用計6,537千円

買収理由:美容医療の業務支援事業で支援先を増やし、特定の取引先への依存を減らす。Kaihan Medicalとのノウハウ融合

売上19億9,100万円に対し、営業損失2億4,600万円・純資産マイナス4億8,300万円の債務超過。売上は2.2億円→7.9億円→19.9億円と急拡大しながら、広告費と人件費が先行して赤字が続いていました。それでも事業計画(2026年5月期の営業利益4.3億円見込み)をもとに、株式価値約6億円前後で評価されています。ただし計画では、取引先の医療法人が増院資金を優先するため、翌期に業務委託手数料を減らし減収減益になると開示されています。取引先が1つに集中している会社は、その契約条件がそのまま評価に効くことが分かる例です。2026年3月にM&A仲介会社から紹介を受け、約5か月で完了しています。

買収後存続2026年10月9日時点

2026年8月25日に株式交換の効力が発生し、完全子会社化が完了しました。公式サイトの子会社概要には確認時点で未掲載です。将来的なKaihan Medicalとの合併を検討すると開示されています。

確認元:簡易株式交換によるスペーム株式会社の完全子会社化完了に関するお知らせ

出典:簡易株式交換によるスペーム株式会社の完全子会社化に関するお知らせ

2026年3月5日株式譲渡。発行済株式の49%のみを取得し、取締役会の過半数を指名して連結子会社化

株式会社どんぐり電力

小売電気事業、コーポレートPPA支援、電力アグリゲーション、環境価値取引/東京都中央区/2025年1月設立

取得価額
4,900万円
対象の売上
1円未満
対象の営業利益
△1,700万円
対象の純資産
△8万円

決算期:2025年10月期/譲渡前の株主:TOFU合同会社(代表社員 小林 隼が100%保有)が49%を譲渡。残る51%は非開示の法人が引き続き保有/アドバイザリー費用100万円を含む総額5,000万円。民事再生後の会社のため、評価の対象は小売電気事業者の登録(ライセンス)とBtoBサービスの実行体制。売り手が要した民事再生関連費用・ライセンス維持費・システム再構築費と、海帆側の今後の収益貢献を勘案して決定

買収理由:太陽光発電の発電予測・インバランス管理を外注していたコスト(年約3,594万円)をグループ内に取り込む

前身の水戸電力は個人向けの電力小売で赤字を重ね、2025年に民事再生。債権放棄を経て法人向けに再出発した会社です。直近期は売上0円、純資産もわずかにマイナスでした。それでも小売電気事業者の登録(ライセンス)と体制に4,900万円の値段がついています。価格は「売り手がここまでにかけた費用」と「買い手が得られる効果」を突き合わせて決めたと開示されています。また全部を売らず、既存株主が51%を持って運営を続ける形で、営業は海帆、運営は既存株主と役割を分けています。

買収後不明2026年10月9日時点

株式譲渡実行日は2026年4月1日と開示されましたが、実行完了・中止のいずれの開示も確認できず、公式サイトの子会社概要(確認時点)にも社名がありません。

確認元:子会社概要(株式会社海帆 公式サイト)

出典:小売電気事業者である株式会社どんぐり電力の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2024年7月4日簡易株式交換(完全子会社化)。2,000株のうち267株は現金、1,733株は株式交換で取得。BOBSと同時取得

株式会社ワイデン

美容クリニック(医療法人大美会)の経営・運用・財務に関するコンサルティングを行うMS法人/大阪府大阪市/2017年12月設立

取得価額
―
対象の売上
1円未満
対象の営業利益
△70万円
対象の純資産
2,900万円

決算期:2023年11月期/譲渡前の株主:個人1名(水嶋 亨)が100%保有。医療法人大美会の創業者/株式交換を含むため取得価額としては記載なし。1株当たり評価額は375,000円(第三者算定機関の東京フィナンシャル・アドバイザーズがDCF法で算定)で、2,000株分に換算すると7億5,000万円。うち267株分は現金1億円。交換比率は「375,000円÷(海帆株の30日間の終値平均×0.9)」の変動制で、2024年7月12日開示で確定。アドバイザリー手数料はBOBSと合わせて4,500万円

買収理由:美容クリニック支援によるヘルスケア事業への参入

直近2期の売上は0円。医療法人が新規出店で赤字になった2021年以降、医療法人が安定するまで売上を立てていなかったと開示されています。純資産は2,900万円。それでも事業計画(売上2.5億〜2.9億円、営業利益1.1億円台)をもとにBOBSと同じ7億5,000万円の評価がついています。数字が止まっていても、取引先との契約と計画で値段がつく例です。ただし2026年の開示では、この支援事業は「従前の主要支援先へ大きく依存していたこと等により、収益基盤の再構築が課題」とされています。

買収後社名変更2026年10月9日時点

2024年12月25日付でBOBSを吸収合併し、株式会社Kaihan Medicalに社名変更しました。公式サイトの子会社概要にKaihan Medicalとして掲載されています。

確認元:完全子会社間の吸収合併及び商号変更に関するお知らせ

出典:簡易株式交換による株式会社BOBS及び株式会社ワイデンの完全子会社化に関するお知らせ

2024年7月4日簡易株式交換(完全子会社化)。3,000株のうち400株は現金、2,600株は株式交換で取得。ワイデンと同時取得

株式会社BOBS

美容クリニック(医療法人大美会、関西で7院)の経営管理・総務を受託するMS法人/大阪府大阪市/2019年3月設立

取得価額
―
対象の売上
4,000万円
対象の営業利益
600万円
対象の純資産
3,800万円

決算期:2024年2月期/譲渡前の株主:個人1名(野村 雄司)が100%保有。医療法人大美会の創業者で、海帆株も保有/株式交換を含むため取得価額としては記載なし。1株当たり評価額は250,000円(第三者算定機関の東京フィナンシャル・アドバイザーズがDCF法で算定)で、3,000株分に換算すると7億5,000万円。うち400株分は現金1億円。交換比率は「250,000円÷(海帆株の30日間の終値平均×0.9)」の変動制で、2024年7月12日開示で確定。アドバイザリー手数料はワイデンと合わせて4,500万円

買収理由:美容クリニック支援によるヘルスケア事業への参入

売上4,000万円・営業利益570万円・純資産3,800万円、従業員1人の会社です。売上は5,800万円→6,400万円→5,200万円→4,000万円と減っていましたが、評価は過去の実績ではなく、医療法人と結び直す業務委託契約に基づく事業計画(売上3億円台・営業利益1億円超)で行われています。クリニックの創業者が、運営を受託する自分のMS法人を上場企業に売り、対価の大半を上場株で受け取った形です。

買収後吸収合併2026年10月9日時点

2024年8月30日に完全子会社化。2024年12月25日付でワイデンを存続会社とする吸収合併により消滅しました(存続会社はKaihan Medicalに社名変更)。合併の実施は2026年7月のスペーム取得の開示で確認できます。

確認元:簡易株式交換によるスペーム株式会社の完全子会社化に関するお知らせ

出典:簡易株式交換による株式会社BOBS及び株式会社ワイデンの完全子会社化に関するお知らせ

2022年7月15日株式譲渡(完全子会社化)

株式会社SSS

居酒屋19店舗の運営。従業員の独立を支援する店舗展開も/東京都千代田区/2011年6月設立

取得価額
6億円
対象の売上
7億6,200万円
対象の営業利益
140万円
対象の純資産
2億500万円

決算期:2021年5月期/譲渡前の株主:個人1名(中山 俊士)が100%保有/概算。アドバイザリー費用等(概算)3,000万円を加えた合計は6億3,000万円。デューデリジェンスの結果と、クロージング日と2021年12月末のネットキャッシュの差額により変動する可能性があると開示

買収理由:オペレーションや原材料に共通点のある居酒屋事業を取り込み、M&Aで新たな事業・ブランドを獲得する

売上7億6,200万円・純資産2億500万円。営業利益は8,200万円→1,200万円→140万円とコロナ禍で大きく落ちていた時期の譲渡です。それでも純資産の約3倍、6億円の値段がついています。19店舗という店舗網と、従業員の独立を支える仕組みが評価されました。価格をネットキャッシュの差額で調整する条項が入っているのも、実務の参考になります。

買収後存続2026年10月9日時点

公式サイトの子会社概要に株式会社SSSとして掲載されています(本店は東京都港区に移転)。

確認元:子会社概要(株式会社海帆 公式サイト)

出典:株式会社SSSの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2019年5月30日事業譲受(有形固定資産と商標を譲受、負債の引継ぎなし)

株式会社弥七の立喰い焼肉『治郎丸』事業

立ち食い焼肉『治郎丸』の直営1店舗とフランチャイズ本部(FC5店舗)/東京都港区/譲渡会社は2014年11月設立設立

取得価額
6,000万円
対象の売上
1億6,700万円
対象の営業利益
910万円
対象の純資産
―

決算期:2018年10月期(治郎丸部門)/譲渡前の株主:株式会社弥七(大株主は守秘義務契約により非開示)/現金決済。譲り受けた資産の帳簿価格は1,936万円(有形固定資産1,510万円、差入保証金426万円)/治郎丸部門の数値

買収理由:既存業態にない知名度の高いブランドを獲得し、出店とFC展開を進める

直営1店舗とFC本部で売上1億6,700万円・営業利益910万円。6,000万円は営業利益の約6.6倍、帳簿上の資産の約3倍です。買われたのは店舗設備より「立喰い焼肉」という独自のブランドと商標で、最も良い店舗は坪当たり月200万円を売っていたと開示されています。会社ごとでなく、ひとつのブランド事業だけでも売れる例です。

買収後存続2026年10月9日時点

事業譲受のため法人は移っていませんが、公式サイトの飲食事業のブランド一覧に「治郎丸」が掲載され、運営が続いています。

確認元:飲食事業(株式会社海帆 公式サイト)

出典:事業譲受に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 株式会社どんぐり電力4,900万円※営業赤字での譲渡
  • 株式会社SSS6億円(売上の0.79倍・営業利益の428.6倍)
  • 株式会社弥七の立喰い焼肉『治郎丸』事業6,000万円(売上の0.36倍・営業利益の6.6倍)

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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本ページは株式会社海帆が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日