株式会社インフォネットのM&A実績
Web制作・CMSの会社が、同じWeb・クリエイティブ領域の小さな会社を1〜2年おきに買っている例です。対象は売上5,400万円の受託開発会社から8億8,000万円の3DCG会社まで。売り手の多くは創業者個人で、5件中4件で金額(またはその計算材料)が開示されているのが特徴です。2026年5月には「M&Aやアライアンスを通じて成長の加速」を掲げ、持株会社体制への移行を決めています。
株式会社インフォネットが公表した適時開示5件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都港区
- 設立
- 2002年10月
- 事業内容
- 自社開発のCMS「infoCMS」「LENSAhub」を軸に、企業のWebサイト構築・運用、SaaS、AI検索・チャットボットまで、Webを使った企業の情報発信を支援する会社
- 売上高
- 20億8,500万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 5,500万円
- 純資産
- 10億8,700万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- Webサイト・アプリの受託開発/Webコンサルティング・AI検索/ブランディング・採用サイト制作/写真・動画撮影、SNS運用支援/建築CG・XR・デジタルツイン
- 対象の規模
- 対象の売上 5,400万円〜8億8,000万円
- 手法
- 株式譲渡(100%取得)が中心。直近のアクティブリテックでは、一部を現金で買い、残りを自社株と交換する株式交換を組み合わせた
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残しています。ただしアイアクトでは、主力のWeb事業を2025年7月に親会社へ吸収分割で移す計画が開示され、子会社にはAI関連サービスが残る形になりました。事業ごとにグループ内で整理し直すことがあります。
- 取得価額を開示する会社です。5件のうちアイアクト(6億3,500万円)、ブランドデザイン(1億5,974万円)、撮影ティブ(5,571万円)で金額が出ており、アクティブリテックも1株あたりの評価額から全体で約4億円と計算できます
- 金額が出た案件の倍率は、営業利益の6〜8倍台に収まっています(アイアクト6.4倍、アクティブリテック6.3倍、ブランドデザイン8.3倍)
- 買い手の関係者が売り手になった案件が2件あります。撮影ティブは株主の1人が当社の社外取締役、アクティブリテックは当社会長の資産管理会社が株主でした。いずれも開示文で関連当事者として明記されています
- 2026年5月の決算短信で、2026年10月1日付で持株会社「株式会社インフォネットグループ」に移行する予定と開示しています
買収の履歴5件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社アクティブリテック
建築CG・アニメーション、VR・ARのXRアプリ、デジタルツイン、Webアプリ開発、3DCGスキャナ販売/東京都新宿区/2021年11月設立
- 取得価額
- 4億2万円
- 対象の売上
- 8億8,000万円
- 対象の営業利益
- 6,300万円
- 対象の純資産
- 1億2,800万円
決算期:2025年9月期/譲渡前の株主:株式会社パスファインダー55.8%、前田拓海(社長)18.3%、株式会社フォーカスキャピタル8.3%、株式会社スターランドコミュニケーション4.2%、その他個人4名/株式全体の評価額。1株あたり333,349.8円×1,200株で算出(第三者算定機関のDCF法レンジは3億2,694万円〜4億2,252万円)。内訳は現金50,002,470円(150株)と、株式交換で交付する当社株419,685株×1株834円=約3億5,002万円。株式取得分のアドバイザリー費用等は別に約10百万円
買収理由:3DCG・システム開発の技術力と人材をグループに取り込み、将来の持株会社体制も見据えて経営資源を相互活用する
売上8億8,000万円・営業利益6,300万円・純資産1億2,800万円。売上は4億4,800万円→5億9,600万円→8億8,000万円と2年で倍近くに伸びていました。設立4年半の会社に、営業利益の6.3倍・純資産の3.1倍の値段がついています。対価の9割近くは現金ではなく買い手の株式で、売り手は売った後も買い手の株主として残る形です。なお株主のフォーカスキャピタルは当社会長の資産管理会社で、取締役会の決議から会長を外し、外部の算定機関の評価を取ったと開示されています。
2026年7月1日に株式交換の効力が発生し、完全子会社化の完了が開示されました。社名・代表者はそのままです。
株式会社撮影ティブ
ブランドコミュニケーション設計、写真・動画撮影、デザイン制作、記事制作、SNS戦略支援/東京都渋谷区/2021年9月設立
- 取得価額
- 5,571万円
- 対象の売上
- 8,122万円
- 対象の営業利益
- △8万円
- 対象の純資産
- 353万円
決算期:2024年8月期/譲渡前の株主:堤康允(社長)50%、八谷賢治50%(当社の社外取締役)/アドバイザリー費用等(概算)3百万円を加えた合計は58.711百万円
買収理由:IR・PR・採用の領域でブランドマーケティング支援を強化し、グループ横断の人材活用で制作効率を上げる
売上8,122万円・純資産353万円、直近期は営業損失7万8,000円でした。それでも5,571万円で売れています。純資産の約16倍、売上の0.7倍です。利益ではなく、撮影・制作のチームと実績そのものに値段がついた案件と読めます。設立3年、資本金200万円の会社でした。株主の1人が買い手の社外取締役で、開示文で関連当事者と明記されています。
2024年10月29日に株式譲渡実行予定として開示され、その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。
株式会社ブランドデザイン
ブランディング(採用・動画等)、デザイン、デジタルマーケティング、Webサイト構築、CMS導入/大阪府堺市/2020年9月設立
- 取得価額
- 1億5,975万円
- 対象の売上
- 7,573万円
- 対象の営業利益
- 1,919万円
- 対象の純資産
- 5,563万円
決算期:2023年8月期/譲渡前の株主:個人1名(渡邊 敦志)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)10百万円を加えた合計は169.748百万円
買収理由:ブランディング×SEOの支援力を取り込み、IR・PR・採用の領域でブランドマーケティングを提供する
売上7,573万円・営業利益1,919万円(利益率25%)・純資産5,563万円。売上1億円に届かない設立3年の会社が、1億5,974万円で売れています。営業利益の8.3倍、売上の2.1倍です。営業利益は1,610万円→3,866万円→1,919万円と前期から半減していましたが、利益率の高さが評価されたと読めます。大阪・堺の社長1人の会社が、東京の上場企業に売れた例でもあります。
2026年3月期の決算短信で連結子会社として言及されています。同決算では、当初の事業計画に対し進捗が遅れたとして、この会社の取得で生じたのれん等の減損を計上したと開示されています。
株式会社アイアクト
Webサイト・CMS構築、Webコンサルティング、AIチャットボット・AI検索/東京都中央区/1999年6月設立
- 取得価額
- 6億3,500万円
- 対象の売上
- 6億9,900万円
- 対象の営業利益
- 9,900万円
- 対象の純資産
- 2億1,000万円
決算期:2020年3月期/譲渡前の株主:株式会社博展(上場企業)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)39百万円を加えた合計は674百万円。外部機関の財務・法務デューデリジェンスの結果を勘案して決定
買収理由:Webマーケティングのサービス強化と技術力の相互研鑽、互いの顧客基盤を活かした顧客層の拡大
売上6億9,900万円・営業利益9,900万円・純資産2億1,000万円で、営業利益の6.4倍、純資産の3.0倍の6億3,500万円。営業利益は1,700万円→7,400万円→9,900万円と伸びている局面での譲渡でした。売り手は親会社の博展(上場企業)で、本業と異なる子会社を同業の会社に渡した形です。
2021年4月30日に取得完了。法人は残っていますが、主力のWeb事業(2024年3月期売上5億6,900万円)は2025年7月1日を効力発生日として親会社へ吸収分割で移す計画が開示されました。2026年3月期の決算短信では、AI検索・チャットボットを提供する子会社として言及されています。
スプレッドシステムズ株式会社
Webサイト・アプリの受託開発(フロントエンド開発、ディレクション、SES)/東京都渋谷区/2013年1月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 5,419万円
- 対象の営業利益
- 118万円
- 対象の純資産
- 583万円
決算期:2019年12月期/譲渡前の株主:個人1名(藤本 太一)が100%保有/相手方の意向により非開示。外部機関の財務・法務デューデリジェンスの結果を勘案して決定
買収理由:開発組織と経営人材の取り込み、受託開発・SESによる安定収益の追加
売上5,419万円・営業利益118万円・純資産583万円。この会社の案件で最も小さい会社です。売上は6,470万円→3,696万円→5,419万円と上下し、前々期は営業損失315万円でした。業績よりもエンジニアの組織と経営者本人を評価した買収で、取得理由にも「優秀な経営人材に当社グループに参画頂く」とあります。取得は2020年4月に実行済みで、開示は8月の四半期決算と同時でした。
2020年4月15日に株式譲渡実行済みとして開示され、その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された4件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社アクティブリテック4億2万円(売上の0.45倍・営業利益の6.3倍)
- 株式会社撮影ティブ5,571万円(売上の0.69倍)※営業赤字での譲渡
- 株式会社ブランドデザイン1億5,975万円(売上の2.11倍・営業利益の8.3倍)
- 株式会社アイアクト6億3,500万円(売上の0.91倍・営業利益の6.4倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
関連する記事
本ページは株式会社インフォネットが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日