株式会社京進のM&A実績
学習塾の会社が、少子化を背景に「人の一生を支える」方向へ事業を広げるために買ってきた会社です。保育所、日本語学校、介護施設、給食と、本業と違う業種の会社を、その業種に参入する足がかりとして買うのが特徴です。売り手は創業者個人が多く、売上3億円台〜25億円規模の会社に、金額をはっきり開示して買っています。
株式会社京進が公表した適時開示6件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月13日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 京都府京都市
- 設立
- ―
- 事業内容
- 学習塾「京進」を母体に、日本語学校、保育園・学童、高齢者住宅・訪問介護・デイサービス、給食・配食までを手がける教育・保育・介護の会社
- 売上高
- 202億8,600万円(2026年2月期(連結、決算期変更による9か月の変則決算))
- 営業利益
- 4億8,100万円
- 純資産
- 39億700万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 保育所の運営/日本語学校の運営/有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・訪問介護/給食・配食/介護分野の職業紹介・資格スクール
- 対象の規模
- 対象の売上 3.4億円〜25.8億円(業績を開示していない小型案件を除く)
- 手法
- 株式譲渡(全株取得による子会社化)。シンセリティグループでは、売り手が個人で持っていた周辺会社4社を先に持株会社の下へまとめさせてから、持株会社ごと買う形を取った
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残すのが基本で、2026年2月期の決算短信でもビーフェア、リッチ、リンクハートなどが運営会社として名前を残しています。一方で、同じ事業の子会社が増えると統合することもあり、日本語学校の子会社は2026年4月に1社へ合併しています。
- 取得価額を開示する会社です。業績が開示された4件はすべて金額も出ていて、アドバイザリー費用まで別に書かれています
- 営業利益が小さい会社にも、純資産を大きく上回る値段をつけています。ビーフェア(保育所)は営業利益1百万円・純資産34百万円の会社を5億2,000万円で買いました
- 業績を開示しない小型の買収(リッチ、ヒューマンライフ)もあります。この2件は資本金と設立年しか出ていません
- 新しい業種に入るときは、まず1社を丸ごと買い、その会社をグループのその分野の受け皿にしています。介護はシンセリティグループ、保育はビーフェアが入口でした
買収の履歴6件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社リンクハート
サービス付き高齢者向け住宅の運営、訪問介護・訪問看護等(尼崎市内で介護関連6施設)/兵庫県尼崎市/2012年12月設立
- 取得価額
- 4億5,000万円
- 対象の売上
- 9億300万円
- 対象の営業利益
- 3,800万円
- 対象の純資産
- 8,400万円
決算期:2025年5月期/譲渡前の株主:個人(氏名・持株比率は先方の要請により非開示)/アドバイザリー費用等(概算)60百万円を加えた合計は510百万円(概算)
買収理由:既存の介護事業エリアに近い尼崎市の施設網を取り込み、運営ノウハウの共有と介護事業の基盤拡大を図る
売上9億300万円・営業利益3,800万円・純資産8,400万円で、4億5,000万円。純資産の約5.4倍、営業利益の約12倍です。営業利益は2,600万円→1,000万円→3,800万円と上下していますが、売上は8億900万円→8億6,900万円→9億300万円と伸びていました。資本金100万円の会社でも、1つの市に施設を集中させ、有資格者が多く在籍していることが評価の中心になっています。株主の氏名は先方の要請で伏せられており、個人オーナーが名前を出さずに上場企業へ売ることもできる例です。
2026年2月期の決算短信で連結子会社の新規1社として挙げられ、高齢者住宅とデイサービスを運営する子会社として社名が載っています。商号変更や合併の開示は確認できていません。
株式会社ヒューマンライフ
職業紹介事業、資格取得スクールの運営(介護領域が中心)/大阪府大阪市/2014年4月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/非開示。業績への影響は軽微と開示
買収理由:介護事業の人材確保と、教育事業のノウハウの共有
資本金2,000万円、設立5年の会社です。業績も価格も開示されていません。介護の資格スクールから就職の斡旋までを一貫して行う会社で、買い手が欲しかったのは売上より「介護人材の入口」でした。人手不足の業種では、人を集める仕組みそのものが買われる理由になります。
2026年2月期の決算短信の事業内容の説明には社名が見当たりません。合併や売却の開示も確認できておらず、現在どうなっているかは追えていません。
株式会社リッチ
給食事業(産業給食・宅配弁当)/大阪府大阪市/1984年5月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/非開示。業績への影響は軽微と開示
買収理由:給食の生産体制と販売網を、介護食中心の配食サービスと組み合わせる
創業35年、資本金1,000万円の給食会社です。業績・価格とも開示はありません。介護施設向けの配食を持つ買い手が、味と生産体制を持つ給食会社を買った組み合わせで、隣接する業種の小さな会社でも買い手の既存事業とつながれば話が成立します。
2025年3月に介護子会社の下から京進の直接の子会社へ移されました。2026年2月期の決算短信でも、産業給食・宅配弁当を運営する子会社として社名が載っています。
株式会社ダイナミック・ビジネス・カレッジ
日本語学校の運営/東京都荒川区/1999年6月設立
- 取得価額
- 10億5,100万円
- 対象の売上
- 3億6,100万円
- 対象の営業利益
- 9,200万円
- 対象の純資産
- 1億3,300万円
決算期:2018年3月期/譲渡前の株主:株式会社ONODERAホールディングス(ONODERA GROUP傘下の非上場企業)が100%保有/アドバイザリー等費用3百万円を加えた合計は1,054百万円。2019年1月11日に取得完了を開示
買収理由:日本語教育のノウハウと学校設備を取り込み、日本語教育事業の新サービス展開と語学関連事業とのシナジーを図る
売上3億6,100万円・営業利益9,200万円・純資産1億3,300万円で、10億5,100万円。営業利益の約11倍、純資産の約8倍です。営業利益は2,200万円→1,700万円→9,200万円と、直前期に大きく伸びたところでの譲渡でした。売り手は日本語学校のほか人材派遣や留学斡旋も手がけるグループで、事業の一部を専業の買い手に渡した形です。
2026年2月期の決算短信に、日本語学校を運営する子会社4社(ダイナミック・ビジネス・カレッジを含む)が2026年4月1日に京進ランゲージアカデミーを存続会社として合併したと記載されています。取得から約7年で法人としては消えた形です。
シンセリティグループ株式会社(傘下4社を含む)
有料老人ホーム・高齢者介護施設の運営、フードサービス、建築設計、経営コンサルタント/大阪府大阪市/2009年9月設立
- 取得価額
- 6億4,200万円
- 対象の売上
- 25億7,900万円
- 対象の営業利益
- 3,900万円
- 対象の純資産
- 4億2,500万円
決算期:2016年12月期(単純合算)/譲渡前の株主:代表取締役 西浦 誠二 が100%保有(子会社4社も同氏が保有)/アドバイザリー等費用(概算)88百万円を加えた合計は730百万円(概算)。別途、シンセリティグループが子会社4社の株式を取得する資金として、京進が330百万円を貸し付ける予定と開示/シンセリティグループと子会社4社の単純合算
買収理由:介護事業への本格参入。近畿圏の介護ノウハウと教育事業のノウハウを融合する
5社合算で売上25億7,900万円・営業利益3,900万円・純資産4億2,500万円。株式の対価は6億4,200万円で、これとは別に子会社4社の取得資金3億3,000万円を買い手が貸し付ける形でした。オーナーが個人でばらばらに持っていた会社を、売る前に1つの持株会社の下へまとめています。関連会社が複数ある社長には参考になる進め方です。営業利益は6,500万円→3,900万円と下がり、最終損益は△600万円でしたが、学習塾の会社が介護に入る足がかりとして買われました。
2025年3月、傘下5社(エメラルドの郷=旧ネクストライフ、優空、ユアスマイル、もぐもぐ、リッチ)が京進の直接の子会社へ移されました。この運営会社は2026年2月期の決算短信にも載っていますが、持株会社のシンセリティグループ自体がその後どうなったかは開示で確認できていません。
ビーフェア株式会社
保育所の運営/東京都西東京市/2001年10月設立
- 取得価額
- 5億2,000万円
- 対象の売上
- 3億4,300万円
- 対象の営業利益
- 100万円
- 対象の純資産
- 3,400万円
決算期:2014年3月期/譲渡前の株主:代表取締役会長 田淵 英人 が100%保有
買収理由:首都圏での保育事業の拡大。乳幼児から一貫したサービス提供と出店ノウハウの共有
売上3億4,300万円・営業利益100万円・純資産3,400万円で、5億2,000万円。純資産の約15倍で、利益はほとんど出ていない会社です。営業利益は500万円→1,300万円→100万円と小さいまま推移していました。待機児童問題で首都圏の保育所が足りないなか、首都圏に1園しか持っていなかった買い手にとって、首都圏で保育所を運営している実績そのものが値段の根拠になっています。利益が出ていなくても、買い手が自力で作るのに時間がかかるものを持っていれば評価されます。
2026年2月期の決算短信で、保育園を運営する子会社として社名が載っています。取得から12年たっても法人として残っています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された4件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社リンクハート4億5,000万円(売上の0.50倍・営業利益の11.8倍)
- 株式会社ダイナミック・ビジネス・カレッジ10億5,100万円(売上の2.91倍・営業利益の11.4倍)
- シンセリティグループ株式会社(傘下4社を含む)6億4,200万円(売上の0.25倍・営業利益の16.5倍)
- ビーフェア株式会社5億2,000万円(売上の1.52倍・営業利益の520.0倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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