3683東証スタンダード

株式会社サイバーリンクスのM&A実績

和歌山のIT会社が、自社のクラウドサービスに足りない機能や地域を、小さなソフト会社を買って埋めてきた会社です。食品スーパー向けでは棚割ソフトやEDIの会社、自治体向けでは大阪南部の計算センターや沖縄の文書管理システムの会社を買っています。売り手は創業社長個人から、上場企業の子会社、破産した会社の事業まで幅があり、7件中6件で取得価額を開示しています。

株式会社サイバーリンクスが公表した適時開示7件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
和歌山県和歌山市
設立
1964年5月
事業内容
食品スーパー向け基幹業務クラウド「@rms」などの流通クラウド、自治体向けシステムの官公庁クラウド、デジタル証明書のトラスト事業、和歌山県内のドコモショップ運営
売上高
181億3,600万円(2025年12月期(連結))
営業利益
18億4,600万円
純資産
91億4,300万円

どんな会社を買っているか

買う業種
流通・小売業向けソフトウェア(棚割、EDI、POS分析)/自治体向けシステム(基幹系、文書管理)/AI会話技術
対象の規模
対象の売上 0.8億円〜23.9億円
手法
株式譲渡(子会社化)が中心。株式交換との組み合わせ、破産会社からの事業譲受けも使う
赤字でも買うか
買っている(実績あり)
買収後の扱い
小さなソフト会社は買ってすぐ本体や子会社に吸収合併することが多く(アイコンセプト、エニタイムウェア、イクシーズラボ)、自治体向けで規模のある会社は子会社として残しています(シナジー)。
  • 取得価額を毎回はっきり開示します。7件中6件で金額が出ており、500万円から23億8,200万円まで幅があります
  • 純資産を下回る価格の案件もあります。シナジーは純資産2億3,700万円に対して1億5,000万円、イクシーズラボは債務超過で500万円でした
  • 南大阪電子計算センターでは、現金での買取りと株式交換を組み合わせ、一部の株主には売却後もサイバーリンクス株を持ってもらう形を取りました。会長と社長は買い手の取締役に迎えられています
  • 買収をどの程度のペースで続けるかの方針は、手元の決算短信には書かれていません。件数は2014年から2025年までで7件と、年1件に届かないペースです

買収の履歴7件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2025年10月17日株式譲渡(完全子会社化)のうえ、子会社シナジーに吸収合併

株式会社イクシーズラボ

AI会話プラットフォーム「CAIWA」をベースにしたチャットボット等の提供、AI技術の応用研究/東京都江東区/2016年10月設立

取得価額
500万円
対象の売上
1億6,198万円
対象の営業利益
△35万円
対象の純資産
△1億974万円

決算期:2025年3月期/譲渡前の株主:株式会社ユニバーサルエンターテインメント(上場企業)が100%保有/第三者の評価意見等を参考に協議して決定。別にアドバイザリー費用等(概算)27百万円。手数料のほうが株価より高い案件

買収理由:子会社シナジーの自治体向け文書管理システム「ActiveCity」に、AIによる高度な検索機能を組み込むため

売上1億6,198万円、営業利益は3,013万円→396万円→営業損失35万円と落ち込み、純資産はマイナス1億974万円の債務超過でした。値段は500万円で、資本金と同じ額です。売り手のユニバーサルは「経営資源の選択と集中」の中で、さらに伸びる譲渡先を探したと説明しています。親会社の本業から外れた小さな技術会社でも、その技術を自社製品に組み込みたい買い手には価値があります。法人は残らず、取得の直後に吸収合併されています。

買収後吸収合併2026年10月12日時点

取得開示と同時に、2025年12月1日付でシナジーを存続会社、イクシーズラボを消滅会社とする吸収合併が決議・契約済みと公表されています。合併完了を伝える後続開示は手元にありませんが、効力発生予定日は過ぎています。

確認元:株式会社サイバーリンクスによる株式会社イクシーズラボの株式の取得(完全子会社化)および株式会社シナジーとの合併に関するお知らせ

出典:株式会社サイバーリンクスによる株式会社イクシーズラボの株式の取得(完全子会社化)および株式会社シナジーとの合併に関するお知らせ

2022年7月13日株式譲渡(完全子会社化)

株式会社シナジー

自治体向け文書管理システム「ActiveCity」等の販売、設計、開発、導入支援/沖縄県宜野湾市/2010年4月設立

取得価額
1億5,000万円
対象の売上
10億円
対象の営業利益
100万円
対象の純資産
2億3,700万円

決算期:2021年9月期/譲渡前の株主:下地勝也75.6%、同氏が100%保有する株式会社アースマインド24.4%(実質的に個人1名)/財務・法務・事業のデューデリジェンスと株式価値算定を第三者に委託し、DCF法で算定。別にアドバイザリー費用等(概算)31百万円

買収理由:全国の自治体に導入実績のある文書管理システムを取り込み、官公庁クラウド事業を全国へ広げる

売上10億円、営業利益100万円、純資産2億3,700万円。取得価額1億5,000万円は純資産を下回っています。開示には、ソフトウェア資産(帳簿価格9億4,900万円)に過去の償却不足が見つかり、連結時点で債務超過になる見込みと書かれていました。帳簿上の資産が実態より大きかったわけです。それでも、全国の自治体に入っている製品と販売代理店網があれば、値段を下げたうえで買い手はつきます。決算書の資産の中身は、DDで必ず見られます。

買収後存続2026年10月12日時点

2025年10月の開示ではイクシーズラボを吸収合併する存続会社とされ、2026年2月の決算短信でも「2023年に子会社化した株式会社シナジー」としてのれん償却に言及があります。

確認元:2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:株式会社シナジーの株式の取得(完全子会社化)に関するお知らせ

2019年2月13日株式譲渡(70,293株=議決権の87.81%を現金で取得)と株式交換(残り9,707株)の組み合わせで完全子会社化

株式会社南大阪電子計算センター

自治体向けシステムの販売・開発・導入支援・アウトソーシング、電子カルテ・医療事務システム/大阪府貝塚市/1969年12月設立

取得価額
23億8,200万円
対象の売上
23億9,000万円
対象の営業利益
2,700万円
対象の純資産
19億3,000万円

決算期:2018年9月期/譲渡前の株主:上岡兼千代35.19%、日本電気株式会社18.75%ほか。現金での売り手は事業会社4社(日本電気、地元の製造業など)と個人25名/現金で取得する87.81%(70,293株)分の金額。残り9,707株は1株につきサイバーリンクス株33株との株式交換で、その金額は開示されていない。現金部分の1株単価で100%に引き直すと約27億1,000万円。株式交換比率の算定では、対象の株式価値を修正簿価純資産法で評価。別にアドバイザリー費用等(概算)3百万円

買収理由:大阪府南部・和歌山県・奈良県の自治体向け営業基盤を取り込み、官公庁向けクラウドの全国展開を加速する

売上23億9,000万円、純資産19億3,000万円の地元の計算センター。営業利益は3億5,200万円→1億8,900万円→2,700万円と下がっている局面での譲渡でした。100%換算で約27億円、純資産の約1.4倍です。株主はNECのほか、地元の会社や個人など約30に分かれていましたが、現金で買い取る相手全員と契約を結んでいます。一部の株主は現金ではなく買い手の株を受け取る形を選べ、会長と社長は買い手の取締役候補になりました。売った後も経営に関わる道が用意された例です。

買収後不明2026年10月12日時点

2019年3月に全株主との株式譲渡契約の締結が開示されましたが、その後の存続・合併を確認できる開示は手元にありません。

確認元:株式会社南大阪電子計算センターの株式の取得及び株式交換による完全子会社化に関するお知らせ(開示事項の経過)

出典:株式会社南大阪電子計算センターの株式の取得及び株式交換による完全子会社化に関するお知らせ

2016年7月28日株式譲渡(34%保有の関連会社から完全子会社化)

クラウドランド株式会社

中堅流通小売業向けクラウド型EDIサービス「Rexmart」の運用管理/東京都中央区/2011年10月設立

取得価額
6,600万円
対象の売上
3億8,200万円
対象の営業利益
3,700万円
対象の純資産
2,700万円

決算期:2016年3月期/譲渡前の株主:兼松エレクトロニクス株式会社(上場企業)66%、サイバーリンクス34%/66%(1,320株)分の金額。第三者の評価意見等を参考に協議して決定。同じ単価で100%に引き直すと約1億円。別にアドバイザリー費用等(概算)1百万円

買収理由:流通業向けクラウドサービスの拡充と、食品流通の製造・物流・販売を結ぶ情報交換プラットフォームの構築

売上3億8,200万円(1億6,500万円→2億3,100万円→3億8,200万円と急伸)、営業利益3,700万円。2期前まで債務超過で、直前期にようやく純資産2,700万円とプラスに戻ったところでした。もともと2社の合弁で、相手側が持分を手放した形です。100%換算で約1億円、営業利益の約2.7倍でした。合弁の相手は、いずれ持分を引き取る第一候補になります。

買収後不明2026年10月12日時点

2016年11月30日に株式譲渡実行予定と開示されましたが、その後の存続・合併を確認できる開示は手元にありません。

確認元:クラウドランド株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:クラウドランド株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2014年10月14日株式譲渡(完全子会社化)のうえ、サイバーリンクス本体に吸収合併

エニタイムウェア株式会社

棚割システム「棚POWER」のASPサービス提供/東京都渋谷区/2000年10月設立

取得価額
1億2,400万円
対象の売上
8,100万円
対象の営業利益
400万円
対象の純資産
8,700万円

決算期:2014年1月期/譲渡前の株主:池上正祥50%、ミツイワ株式会社16.67%、株式会社アイコンセプト11.67%ほか個人/第三者の評価意見等を参考に協議して決定。同時に取得したアイコンセプトと合わせたアドバイザリー費用等(概算)は1百万円

買収理由:アイコンセプトの棚割システムをクラウドで提供していた会社として、一体で取り込む

売上8,100万円、営業利益400万円、純資産8,700万円。取得価額1億2,400万円は純資産の約1.4倍です。アイコンセプトの社長が半分を持つ兄弟会社で、取引先のミツイワや10名以上の個人も株主でした。株主が細かく分かれていても、まとめて1社に売れています。製品を作る会社と、それを提供する会社が分かれている場合は、セットで売るのが自然です。

買収後吸収合併2026年10月12日時点

取得開示と同時に、2014年12月1日付でサイバーリンクスを存続会社とする吸収合併が決議・契約済みと公表されています。合併完了を伝える後続開示は手元にありません。

確認元:株式会社アイコンセプト及びエニタイムウェア株式会社の株式の取得(子会社化)及び吸収合併(簡易合併)に関するお知らせ

出典:株式会社アイコンセプト及びエニタイムウェア株式会社の株式の取得(子会社化)及び吸収合併(簡易合併)に関するお知らせ

2014年10月14日株式譲渡(完全子会社化)のうえ、サイバーリンクス本体に吸収合併

株式会社アイコンセプト

棚割システム「棚POWER」「店POWER」の開発・販売/大阪府吹田市/1994年3月設立

取得価額
2億7,600万円
対象の売上
2億2,800万円
対象の営業利益
900万円
対象の純資産
1億2,000万円

決算期:2014年3月期/譲渡前の株主:池上正祥65%、池上昌美35%(個人2名)/第三者の評価意見等を参考に協議して決定。同時に取得したエニタイムウェアと合わせたアドバイザリー費用等(概算)は1百万円

買収理由:食品スーパー向け基幹クラウド「@rms」に棚割機能を加え、流通業向けサービスを強化する

売上2億2,800万円、営業利益900万円、純資産1億2,000万円。取得価額2億7,600万円は純資産の約2.3倍です。売上は3億3,200万円から2億2,800万円へ落ちた年でしたが、「視覚的で操作性の高い棚割システム」という製品の評価が値段を支えました。利益が小さくても、買い手の主力製品に足りない機能を持っていれば高く評価されます。

買収後吸収合併2026年10月12日時点

取得開示と同時に、2014年12月1日付でサイバーリンクスを存続会社とする吸収合併が決議・契約済みと公表されています。合併完了を伝える後続開示は手元にありません。

確認元:株式会社アイコンセプト及びエニタイムウェア株式会社の株式の取得(子会社化)及び吸収合併(簡易合併)に関するお知らせ

出典:株式会社アイコンセプト及びエニタイムウェア株式会社の株式の取得(子会社化)及び吸収合併(簡易合併)に関するお知らせ

2014年8月1日事業譲受け(破産手続中の会社から、固定資産・知的財産権等を譲受け。債権・債務は承継せず)

株式会社スマーツジャパンのソフトウェア事業(SEILシリーズの一部)

POSと連動した商品分析・顧客分析ソフトウェア「SEIL(ザイル)シリーズ」/静岡県静岡市/1997年11月設立

取得価額
―
対象の売上
―
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:非開示/譲渡前の株主:株式会社スマーツジャパン(2014年6月に破産手続開始。破産管財人が譲渡)/非開示

買収理由:食品スーパー向け基幹クラウド「@rms」のPOSデータ分析機能の強化と顧客の拡大

会社が破産した後でも、ソフトウェアという事業は買い手に引き継がれています。買い手は債権・債務を一切引き継がず、ソフトと知的財産だけを譲り受けました。譲受けと同時にサイバーリンクスがサービス提供を始めており、使っていた小売業の顧客にとってもサービスが途切れない形です。破産してからでは売り手の手元には何も残らないので、ここは「売るなら破産の前に」という裏返しの教訓でもあります。

買収後不明2026年10月12日時点

事業はサイバーリンクス本体が譲り受けてサービスを開始しました。その後のSEILシリーズの扱いを確認できる開示は手元にありません。

確認元:事業譲受けに伴う新サービス開始に関するお知らせ

出典:事業譲受けに伴う新サービス開始に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された6件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 株式会社イクシーズラボ500万円(売上の0.03倍)※営業赤字での譲渡
  • 株式会社シナジー1億5,000万円(売上の0.15倍・営業利益の150.0倍)
  • 株式会社南大阪電子計算センター23億8,200万円(売上の1.00倍・営業利益の88.2倍)
  • クラウドランド株式会社6,600万円(売上の0.17倍・営業利益の1.8倍)
  • エニタイムウェア株式会社1億2,400万円(売上の1.53倍・営業利益の31.0倍)
  • 株式会社アイコンセプト2億7,600万円(売上の1.21倍・営業利益の30.7倍)

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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